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線コマンドで水平垂直と斜線を簡単に切り替える
このページでできるようになること
線コマンド実行中に「水平垂直モード」と「斜線モード」を素早く切り替える3つの方法を、自分の作業スタイルに合わせて使い分けられるようになります。コントロールバーの「水平・垂直」チェックを直接トグルする基本操作に加えて、マウスを4回往復させるだけでクリックなしで切り替わる隠し設定、別コマンドへ抜けて戻ってくる方法、軸角を絡めた応用までを一気通貫で扱います。平面図で「壁は水平垂直、筋かいや屋根勾配だけ斜線」という現場でモード切替を1日に何十回も繰り返す実務向けの効率化Tipsです。
背景: Jw_cadの線コマンドには「水平・垂直」というチェックボックスが標準で用意されており、これをONにすると角度が0/90/180/270度の4方向に固定されます。建築図面は壁・通り芯・寸法線など水平垂直要素が大半を占めるため、ONで描く時間がほとんどです。一方で、筋かい・屋根伏図の勾配・敷地境界線・斜路などは斜線で描きます。このON/OFFの行き来をいかに速くするかが、線コマンドの体感速度を決めます。
このページの範囲
水平垂直⇄斜線の切替Tipsに絞って扱います。線コマンドそのものの起動方法や、コントロールバーの全項目(「傾き」「寸法」「15度毎」など)の詳細は線コマンドの解説に委譲します。
- 線コマンドの起動・始点終点の指示など基本操作 → 線コマンド
- 基本設定「一般(1)」タブの全項目解説 → 基本設定 一般(1)
- 軸角を傾けて作図する設定 → 軸角・目盛・オフセット
- 斜線を「指定角度」で描く方法(傾き入力) → 傾き指定で線を描く
注意: ここで扱う「水平・垂直」チェックは線コマンド/矩形コマンド/複線コマンドなどで共通して登場する設定の名前です。コマンドが変わるとチェックの効き方も微妙に違いますが、この記事では線コマンドを前提に書きます。矩形コマンドでの挙動は線コマンドと共通すると考えてほぼ問題ありません。
切り替え方法サマリー(3パターン)
線コマンド中に水平垂直⇄斜線を切り替える方法は、大きく3つあります。自分の手癖と相性のいい方法を1つ選んで体に染み込ませるのがコツです。
| # | 方法 | 操作 | 向き |
|---|---|---|---|
| 1 | コントロールバーを直接クリック | 「水平・垂直」チェックを左クリック | 確実・初心者向け |
| 2 | マウス4回移動で切替(推奨) | 始点指示後にマウスを上下または左右に4回往復 | 手をマウスから離さない人向け |
| 3 | コマンドを抜けて再起動 | 線コマンドをいったん終了 → 設定が初期値に戻る | 一時的に大きく挙動を変えたいとき |
PERSCの推奨: 方法2の「マウス4回移動で切替」を有効化したうえで、迷ったときだけ方法1で確認、というスタイルが最も速いです。基本設定で1回チェックを入れるだけで使えるようになる隠し機能なので、まだ有効化していない場合は今この瞬間に設定することを強く推奨します。
方法1: コントロールバー「水平・垂直」を直接クリックする
最も基本的な切り替え方法です。設定なしですぐ使えるため、まずはこの方法で動きを把握しましょう。
操作手順
- 線コマンドを実行します(メニューバー「作図」→「線」、またはツールバーの「/」)
- 画面上部のコントロールバーに「水平・垂直」というチェックボックスが表示されます
- チェックを入れる(ON)と、線が水平/垂直の4方向に固定されます
- チェックを外す(OFF)と、マウスの方向に自由に斜線が引けます
- 切り替えたいタイミングで、このチェックボックスを左クリックするだけです
画像準備中 — 線コマンドのコントロールバー「水平・垂直」チェックの位置
「水平・垂直」がONのときの動き
| マウスの方向 | 描かれる線 |
|---|---|
| 始点から左右方向(水平方向)に動かす | 水平線(角度0度または180度) |
| 始点から上下方向(垂直方向)に動かす | 垂直線(角度90度または270度) |
| 斜め方向に動かす | 始点とマウスの位置関係から、最も近い水平/垂直の方向に自動で吸い付く |
背景: 「水平・垂直」がONの状態では角度0/90/180/270の4方向に固定されますが、コントロールバーの「傾き」テキストボックスに数値(例: 30)を入れると、その角度+90度ごとの4方向が追加され、合計8方向に固定されます。たとえば「傾き=30」「水平・垂直=ON」だと、0/30/90/120/180/210/270/300度の8方向になります。
この方法のメリット・デメリット
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 学習コスト | ◎ チェックボックスを押すだけなので迷わない |
| 操作の確実性 | ◎ 必ず狙った状態に切り替わる |
| 操作の速さ | △ マウスを上部のコントロールバーまで運ぶ必要がある |
| 連続切替の負荷 | △ 1日100回切替えるなら、マウス移動距離が積み重なる |
方法2: マウス4回移動で切り替える(推奨)
線コマンド中にマウスを上下または左右に4回往復させるだけで「水平・垂直」のON/OFFが切り替わる隠し機能です。基本設定で1回チェックを入れれば常時使えるようになります。慣れると作業効率が大きく上がる書き方が体に染み付きます。
有効化の手順(最初の1回のみ)
- メニューバー「設定」→「基本設定」を開きます
- ダイアログ上部のタブから「一般(1)」を選択します
- タブの下部にある「線コマンドでマウスを左右または上下に4回移動すると水平垂直線と斜線との切替」にチェックを入れます
- 「OK」ボタンをクリックしてダイアログを閉じます
画像準備中 — 基本設定「一般(1)」タブ下部の「4回移動で切替」チェック項目の位置
要確認: チェック項目の正式な文言は実機で確認します。バージョンによっては末尾の「との切替」の表記揺れがある可能性があります。
Tips: この設定は
jw_win.jwf(環境設定ファイル)に保存されるため、Jw_cadを起動するたびに毎回チェックし直す必要はありません。一度有効にすれば、次回起動時もONのままです。
使い方
- 線コマンドを実行します
- 線の始点を指示します(左クリック=任意点、右クリック=読取点)
- このとき「水平・垂直」がONの状態だと仮定します
- 始点を中心にマウスを上下に4回往復させます(または左右に4回)
- ⇒ コントロールバーの「水平・垂直」チェックが自動で外れ、斜線を描ける状態になります
- もう一度4回往復させると、チェックが自動で入り、水平垂直モードに戻ります
画像準備中 — マウス4回移動でチェック状態が切り替わる様子(4コマ分割)
マウス移動の方向
「上下」と「左右」のどちらでも切り替わります。操作中の図面の状況に合わせてやりやすい方を使うのが実務的です。
| 状況 | 推奨する移動方向 |
|---|---|
| 水平線を描こうとしているとき(マウスがほぼ水平に動いている) | 上下に往復させる(水平線をまたぐイメージ) |
| 垂直線を描こうとしているとき(マウスがほぼ垂直に動いている) | 左右に往復させる(垂直線をまたぐイメージ) |
要するに、現在の作図方向と直交する向きに4回往復するイメージです。これなら作図の流れを大きく崩しません。
この方法のメリット・デメリット
| 観点 | 評価 |
|---|---|
| 学習コスト | △ 「4回」という回数を体で覚える必要がある |
| 操作の確実性 | ○ 慣れれば確実、慣れないうちは誤発動する |
| 操作の速さ | ◎ マウスをコントロールバーまで運ばなくてよい |
| 連続切替の負荷 | ◎ 手元で完結するので疲れない |
注意: 4回の往復は滑らかにすばやく行います。極端にゆっくり動かすと、Jw_cadが「往復」と判定せずに普通の作図移動と見なされてカウントされない場合があります。マウスを大きく動かしすぎる必要はなく、画面上で線の始点を中心に短い往復を4回で十分です。
Tips: 「気づいたら水平垂直モードが勝手に切り替わっている」と感じる人は、この設定が意図せずONになっている可能性があります。基本設定「一般(1)」タブ下部のチェックを確認しましょう。
方法3: コマンドを抜けて再起動する(リセット用途)
線コマンド中の状態を全部リセットしたい場合に使う方法です。チェックの切替というより「設定が散らかったので一度きれいにしたい」ときの逃げ道として使います。
操作手順
- 線コマンドを実行中の状態から、
Escキーを押す、または別のコマンド(例: 範囲選択)に切り替えます - 線コマンドを再度実行します
- 「水平・垂直」チェックは前回終了時の状態を保持するため、リセットされない場合があります
注意: 「水平・垂直」チェックの初期値は Jw_cad起動時にはOFFですが、コマンドを抜けただけではOFFに戻りません。完全にOFFから始めたい場合は、Jw_cadを再起動するか、コントロールバーで明示的にOFFにする必要があります。
背景: 線コマンドのコントロールバーの設定は、原則として前回コマンド終了時の状態を引き継ぐ仕様です。これが「便利」と感じる場面もあれば「思い込みの罠」になる場面もあるため、作業を始める前にコントロールバーの状態を一度確認する習慣がおすすめです。
関連設定: 軸角を傾けたときの「水平・垂直」
「水平・垂直」チェックは、軸角設定(XY軸を傾ける設定)と組み合わせて使えます。軸角を30度に傾けると、「水平・垂直」ONの状態でも軸角に追従して30度/120度/210度/300度の4方向に固定されるようになります。
軸角併用の使い所
- 敷地境界が斜めの建物の図面(敷地境界に合わせて軸角を傾けて作図)
- 屋根伏図で勾配方向に合わせて作図したいとき
詳しくは 軸角・目盛・オフセット を参照してください。
Tips: 軸角を傾けた状態で「水平・垂直」をONにしているのに画面上の本当の水平/垂直に固定されないと感じたら、軸角が想定外の値になっている可能性があります。ステータスバーで現在の軸角を確認しましょう。
関連設定: 「15度毎」チェックとの優先順位
線コマンドのコントロールバーには「15度毎」というチェックもあります。これをONにすると、線の角度が15度の倍数(0/15/30/45/...)に固定されます。
注意: 「15度毎」と「水平・垂直」の両方にチェックが入っている場合、「15度毎」が優先され「水平・垂直」は無視される、という仕様が解説サイトで報告されています。意図しない方向に線が描かれるときは、両方のチェック状態を確認しましょう。
画像準備中 — コントロールバー「水平・垂直」と「15度毎」の併存時の挙動
実務での使い方 ★PERSC独自
シーン1: 木造平面図の壁+筋かいの混在作図
木造2階建ての平面図では、壁芯(水平垂直)と筋かい(45度)を交互に描く作業が頻発します。
- 壁芯を引く:「水平・垂直」ON
- 筋かいを引く:「水平・垂直」OFF(傾き=45を入力)
- 次の壁芯:再度ON
このON/OFF切替を、コントロールバーまでマウスを運んで毎回クリックしていると、1枚の図面で軽く50回以上の往復になります。方法2のマウス4回移動を有効化しておけば、手元で完結するため、視線も大きく動かさずに済みます。
シーン2: 屋根伏図での勾配方向作図
寄棟屋根の屋根伏図では、4方向の屋根面それぞれに勾配方向の斜線を描きます。屋根勾配が4寸(角度=21.8度)など中途半端な値の場合、「傾き」入力で角度を指定したうえで「水平・垂直」をOFFにする必要があります。
- 軒先・棟線:水平・垂直 ON
- 屋根勾配の表現線:水平・垂直 OFF+傾き値入力
このとき、軸角を屋根の傾きに合わせて回転させる運用も併用すると、勾配方向の作図が一気に楽になります。詳しくは 軸角・目盛・オフセット を参照してください。
シーン3: RC造詳細図での開口枠回りの納まり
RC造の窓周りの詳細図では、窓枠の水平垂直線と、コンクリート躯体の取合い斜線(チリやモルタル塗りの境界)が混在します。スケール1/5〜1/10の細かい図面で、ON/OFF切替が遅いとリズムが崩れます。マウス4回移動の小技は、こういう細部の集中作業で特に効果を発揮します。
シーン4: 配置図の敷地境界と建物外形の混在
敷地境界線は土地の形状次第で任意の角度ですが、建物外形は水平垂直で描きます(軸角を傾けない場合)。この混在は方法2と相性が良く、敷地ラインを描いた直後に建物を描き始めるとき、マウスを少し往復させるだけで切り替えられます。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: マウスを4回往復しているのに切り替わらない
→ 以下を順に確認します。
- 基本設定「一般(1)」タブ下部の「線コマンドでマウスを左右または上下に4回移動すると水平垂直線と斜線との切替」にチェックが入っているか
- 線コマンド実行中であるか(矩形コマンドや複線コマンドでは効きません)
- 始点を指示済みであるか(始点を打つ前は効きません)
- マウスの往復が速すぎず遅すぎず、画面上で見て1秒以内くらいの自然な往復速度になっているか
- 4回 = 2往復です。1回 = 行って戻る、ではなく、行って戻って行って戻るで4カウント、と覚えます
Q: 設定したはずなのに、次回起動したらOFFに戻っている
→ Jw_cadを強制終了した場合、jw_win.jwf への設定保存が走らずに前回の状態に戻ることがあります。設定変更後は必ずメニュー「ファイル」→「Jw_cadの終了」で正規終了する習慣を付けましょう。詳しくは 設定が保存されない を参照してください。
Q: 4回移動が暴発する。意図せず斜線になってしまう
→ マウス操作のクセが「4回往復」と誤判定されている可能性があります。始点を打った直後にマウスをぐるぐる動かす癖がある人に起きがちです。違和感が強い場合は基本設定でチェックを外して方法1のクリック切替に戻すか、設計士・製図士の中でも手の動きが穏やかな人向けの機能だと割り切って使い分けます。
Q: コントロールバーの「水平・垂直」が見当たらない
→ 線コマンドが起動していない可能性があります。コントロールバーの内容は実行中のコマンドに連動して切り替わるため、別のコマンド(移動・複写など)の最中は「水平・垂直」チェックは表示されません。線コマンドを再度実行してから探してください。
Q: 「水平・垂直」がONなのに、なぜか斜めに線が引ける
→ 以下のいずれかが原因として考えられます。
- 「15度毎」チェックも同時にONになっている(15度毎が優先される仕様)
- 「傾き」テキストボックスに数値が入っている(傾き入力時は4方向 ⇒ 8方向に増える)
- 軸角が傾いている(画面上の水平/垂直ではなく、軸角ベースの水平/垂直に固定されるため、画面では斜めに見える)
ステータスバーや基本設定で、各設定値を確認してみましょう。
Q: 矩形コマンドでも同じ4回移動の小技は使える?
→ この設定項目の名前は「線コマンドで…」と明記されているため、原則として線コマンド専用です。矩形コマンドでは効きません。矩形コマンドでモード切替したい場合はコントロールバーから直接クリックします。
要確認: 矩形コマンドや複線コマンドで4回移動が効くかどうかは実機で再確認します。
関連項目
- 線コマンド — 線コマンドの基本操作
- 基本設定 一般(1) — 4回移動切替の設定項目を含むタブ
- 軸角・目盛・オフセット — 軸角を傾けて水平垂直を再定義する
- 角度を指定した線(15度毎含む) — 傾き入力・15度毎オプション
- トラブルシュート: 設定が保存されない
まとめ
- 水平垂直⇄斜線の切替は3パターン(コントロールバークリック/マウス4回移動/コマンド再起動)
- マウス4回移動切替は基本設定「一般(1)」タブ下部のチェックで有効化できる隠し機能
- 4回移動 = 2往復で、現在の作図方向と直交する向きに往復するのがコツ
- 軸角や「15度毎」チェックと併用するときは、両者の優先順位と現在値を確認する習慣を持つ
- 平面図の壁+筋かい混在、屋根伏図の勾配方向作図など、ON/OFFを頻繁に行き来する場面で効果が大きい