Skip to content
未検証

接楕円(菱形内接・平行四辺内接)

このコマンドでできること

Jw_cadの「接円」コマンドにある「接楕円」モードを使うと、菱形・平行四辺形の辺をクリックするだけで、その図形に内接する楕円が一発で描けます。「菱形内接」サブモードでは菱形(4辺長が等しい平行四辺形)の3辺を指示すると、その3辺に接する内接楕円が確定します。「平行四辺内接」サブモードでは平行四辺形の4辺を指示すると、4辺すべてに接する内接楕円が描けます。透視図に登場する床面・天井面の楕円表現、斜投影で円が楕円に変化する表現、装飾モチーフの幾何学パターン、店舗看板の枠線フィットなど、**「楕円の中心や扁平率を計算するより、外形の枠を辺指示で囲んだほうが早い」**シーンで威力を発揮します。

背景: 円コマンドの「扁平率」指定楕円は数値で長軸・短軸・傾きを決め、接楕円「3点指示」(4-30)は通過点で形を決めます。これに対し、菱形内接・平行四辺内接は「外形の辺」で楕円を決める仕組みで、楕円が辺に接することが幾何学的に保証されます。図面上にすでに菱形や平行四辺形の枠が描かれている場面では、扁平率を計算せず辺をクリックするだけで枠ぴったりの楕円が描けるため、透視図・斜投影・装飾枠などの「枠フィット」用途で最短ルートになります。

注意: この記事は接円コマンドの「接楕円」モードのうち、「菱形内接」と「平行四辺内接」に絞った内容です。3つの通過点で楕円を描く「3点指示」「3点半楕円」は同じ接楕円モード内の別サブモードで、接楕円(3点指示・3点半楕円) で扱います。真円の接円(3つの線・円・点に接する円)は 接円の基本 を参照してください。扁平率・傾きを指定する一般的な楕円作図楕円の作図(扁平率・傾き指定) を参照してください。


接楕円モードへの入り方

菱形内接と平行四辺内接は、いずれも「接円」コマンド配下の接楕円サブモードです。まず接円コマンドを起動し、コントロールバーから接楕円モードに切り替えてから、目的のサブモード(菱形内接/平行四辺内接)を選びます。

コマンド起動の流れ(全4ステップ)

#操作所要
1メニューバー「作図」→「接円」、または左ツールバー「作図(2)」→「接円」をクリック数秒
2コントロールバーの「接楕円」ボタンをクリックしてサブモードに切り替え数秒
3切り替わった表示の中から「菱形内接」または「平行四辺内接」を選択数秒
4対象の辺を順にクリックして楕円を確定(菱形内接=3辺、平行四辺内接=4辺)数秒

要確認: コントロールバー「接楕円」ボタンの正確なラベル文言、および切替後に並ぶサブモードの並び順(3点指示/菱形内接/平行四辺内接/3点半楕円)は実機で確認します。kantancadの解説では「菱形接円」「平行四辺接円」という表記が混在していますが、s-projectsの解説では「菱形内接」「平行四辺内接」と表記されており、実機UI上のラベルは後者の表記である可能性が高い前提で本文を整えています。

コントロールバーの表示遷移

接円コマンド起動直後は「半径」「接楕円」「多重円」などが並ぶ通常の接円用コントロールバーが表示されます。「接楕円」ボタンをクリックすると、コントロールバーが切り替わり、「3点指示」「菱形内接」「平行四辺内接」「3点半楕円」の4つのサブモードが選択肢として並びます。

コントロールバー状態主な選択肢
接円コマンド起動直後半径/接楕円/多重円 など
接楕円モード切替後3点指示/菱形内接/平行四辺内接/3点半楕円

Tips: 「接楕円」ボタンをクリックするに、コントロールバー「多重円」のテキストボックスに数値を入れておくと、菱形内接・平行四辺内接でも多重楕円として複数の同心楕円が一括で描けます。後から多重円値を変更しても接楕円側に反映されない場合があるため、多重楕円が必要な場面では先に多重円値を確定してから接楕円モードに入る順序にしましょう。詳しくは 接楕円(3点指示・3点半楕円) の多重楕円節を参照してください。


菱形内接で楕円を描く

菱形内接」サブモードは、菱形の3辺を順にクリックして、その3辺に接する内接楕円を確定するモードです。kantancadの解説では「菱形接円」とも呼ばれ、3辺を指示することで3辺すべてに接する楕円が描かれます。

菱形内接の作図サマリー(全6ステップ)

#操作所要
1接円コマンドを起動(メニュー「作図」→「接円」)数秒
2コントロールバー「接楕円」ボタンをクリック数秒
3切り替わった表示の「菱形内接」をクリック数秒
4第1指示線(菱形の1辺)を左クリック数秒
5第2指示線(菱形の隣り合う辺)を左クリック数秒
6第3指示線(さらに隣り合う辺)を左クリックで確定数秒

手順1: 接円コマンドの起動

メニューバー「作図」→「接円」、または左側ツールバーの「作図(2)」グループの「接円」アイコンをクリックして接円コマンドを起動します。コントロールバーが接円用の表示に切り替わります。

手順2: 「接楕円」ボタンに切り替え

コントロールバーの「接楕円」ボタンを左クリックします。コントロールバーが接楕円モード用の表示に切り替わり、「3点指示」「菱形内接」「平行四辺内接」「3点半楕円」のサブモードが並びます。

手順3: 「菱形内接」サブモードを選択

切り替わった表示の中から「菱形内接」をクリックします。これで作図モードが「菱形の3辺を指示する楕円」に切り替わります。

手順4: 第1指示線を指示

図面上にすでに描かれている菱形(または平行四辺形・正方形・長方形)のうち、1本目の辺を左クリックします。これが第1指示線になります。kantancadの解説では「第一指示線」を左クリックで指示すると明記されています。

Tips: 菱形内接モードで指示できるのは直線だけです。kantancadの解説によれば「『三点指示』では、点や円なども指示することが出来ましたが、今回の『菱形接円』で指示できるのは直線だけ」とあり、点や円弧を指示しても認識されません。あらかじめ図面上に菱形・平行四辺形の枠を線コマンドで描いておく必要があります。

手順5: 第2指示線を指示

菱形の隣り合うもう1辺を左クリックします。これで2辺目が確定します。

手順6: 第3指示線を指示して楕円を確定

菱形のさらに隣り合うもう1辺を左クリックします。これで3辺目が確定し、3辺すべてに接する内接楕円が現在の書込線色・線種・書込レイヤで作図されます。

背景: 「3辺の指示で楕円が決まる」のは、菱形の幾何学的性質が前提です。菱形は対角線が直交し、4辺すべてが同じ長さで対辺が平行という条件が揃った図形のため、3辺を指示すれば残りの1辺の位置と楕円の中心・軸方向が一意に決まる仕組みです。長方形や正方形でも対辺が平行なため同じロジックで3辺指示で内接円・内接楕円が確定します。

楕円の傾きと幾何学的意味

菱形内接で描かれる楕円の長軸方向は、kantancadの解説で次のように説明されています。

接する辺の交点角の対角線を基準として描かれます」「鋭角部分の角度は、対象角の中心線に対する角度を表示したもので」「この2線が交わるところが、描かれた円の中心点

つまり、菱形内接楕円の長軸・短軸の方向は、指示した辺どうしが交わる角の二等分線に揃います。kantancadの検証画像では、菱形の鋭角・鈍角の二等分線が交差する点が楕円の中心になり、二等分線が長軸・短軸の方向と一致することが示されています。

指示した3辺の図形確定する内接楕円
菱形(4辺等長・対辺平行)鋭角・鈍角の二等分線方向に長軸・短軸を持つ楕円(一般に斜め向き)
正方形(4辺等長・各角90度)真円(kantancadに「水平垂直の線を三辺指示すれば指示した三辺に接する真円」と明記)
長方形(対辺等長・各角90度)長辺方向を長軸とする楕円(軸は水平・垂直)
平行四辺形(対辺平行のみ)二等分線方向に軸を持つ斜めの楕円

要確認: 菱形内接モードに長方形(4辺等長ではない)の3辺を指示した場合の挙動はkantancadで「水平垂直の線を三辺指示すれば指示した三辺に接する真円が描かれます」と記述されており、辺の長さに関係なく3辺の交差で決まる接円・接楕円が描かれる読み方になります。実機で長方形の3辺指示が真円ではなく楕円になるかを確認します。

指示する3辺の選び方

菱形は4辺ありますが、内接楕円を決めるには3辺指示で十分です。残る1辺の位置は他の3辺から計算できるため、4辺すべてを指示する必要はありません。指示する3辺は互いに隣り合う3辺(連続する3辺)にするのが基本です。

指示する3辺の組み合わせ結果
連続する3辺(例: 上辺→右辺→下辺)内接楕円が4辺目(左辺)にも自動的に接する
平行な対辺2本+1辺(例: 上辺→下辺→右辺)平行な2辺の中間に楕円が来て、3辺目が短軸方向の制約を与える

Tips: 「どの3辺を選ぶかで楕円の形が変わるか?」と心配になりますが、菱形・平行四辺形のように4辺で1つの図形が決まるケースでは、どの3辺を指示しても残り1辺の位置が同じで、結果として描かれる楕円は同じになります。手の動かしやすい順番で指示すれば大丈夫です。


平行四辺内接で楕円を描く

平行四辺内接」サブモードは、平行四辺形の4辺を順にクリックして、その4辺すべてに接する内接楕円を確定するモードです。kantancadの解説では「平行四辺接円」とも呼ばれ、s-projectsでは「平行四辺内接」と表記されています。菱形内接モードが3辺指示で済むのに対し、こちらは4辺すべてを指示します。

平行四辺内接の作図サマリー(全7ステップ)

#操作所要
1接円コマンドを起動(メニュー「作図」→「接円」)数秒
2コントロールバー「接楕円」ボタンをクリック数秒
3切り替わった表示の「平行四辺内接」をクリック数秒
4第1接点となる線を左クリック数秒
5第2接点となる線を左クリック数秒
6第3接点となる線を左クリック数秒
7第4接点となる線を左クリックで確定数秒

手順1〜3: 接円コマンド → 接楕円 → 「平行四辺内接」

菱形内接と同様、接円コマンドを起動 → 「接楕円」ボタン → 切り替わった表示の「平行四辺内接」をクリックします。

手順4〜7: 第1〜第4の接点線を順に指示

平行四辺形の4辺を順に左クリックで指示していきます。kantancadの解説では「第一接点となる線から第四接点となる線まで順に左クリックで指示します」と1ステップにまとめられていますが、実際は1辺ずつ4回クリックする操作です。

4辺すべての指示が終わると、その4辺すべてに接する内接楕円が現在の書込線色・線種・書込レイヤで作図されます。

平行四辺内接の特徴

kantancadの解説では、平行四辺内接の特徴を次のように整理しています。

  • 正方形 → 真円が描かれる
  • 長方形 → 楕円が描かれる
  • 平行四辺形 → 斜めの楕円が描かれる
指示した4辺の図形確定する内接楕円
正方形(各辺直交)真円
長方形(対辺平行・各角90度)軸が水平・垂直の楕円
平行四辺形(対辺平行のみ)軸が辺の角度に応じた斜めの楕円

平行四辺形であれば、角度がどう変わってもその内側に内接楕円が描けます。kantancadの記述では「平行四辺形であれば、角度が変ろうとその中に内接円を描くことが可能」と示されています。

平行四辺内接モードの制限

平行四辺内接は、4辺で囲まれた閉じた平行四辺形にしか使えません。kantancadの解説でも「制限が厳しい」「自由度が無く指示した4点の内側にしか円が描けません」と指摘されており、用途は限定的です。

指示対象平行四辺内接で可能か
平行四辺形(正方形・長方形含む)可能
一般四角形(対辺非平行)不可(楕円が確定しない/意図しない楕円になる可能性)
三角形・五角形以上不可
線分・円・点不可(菱形内接と同じく直線のみ指示可能)

要確認: 「平行四辺形でない一般四角形」(対辺が平行でない4辺)を指示した場合のJw_cad側の挙動は、エラー表示・無作為楕円作図・キャンセルのいずれかと推定されますが、実機で確認します。

菱形内接と平行四辺内接の使い分け

菱形内接モード(3辺指示)と平行四辺内接モード(4辺指示)はどちらも「外形の辺に接する楕円を描く」点で共通しますが、用途と特徴に違いがあります。

観点菱形内接(3辺指示)平行四辺内接(4辺指示)
指示する辺数3辺4辺
対応図形菱形・平行四辺形・正方形・長方形平行四辺形・正方形・長方形
操作の手数少なめ(3クリック)多め(4クリック)
残り1辺の位置他の3辺から自動計算4辺すべて明示指示
直感性「3辺で枠が決まる」原理を覚える必要あり「4辺の内側」と素直
推奨用途菱形・斜め配置の枠が多い場面確実に4辺の内側に楕円を入れたい場面

PERSCの推奨: 菱形・正方形・長方形・平行四辺形のいずれの内接楕円も、操作回数が1回少ない菱形内接モード(3辺指示)が基本選択です。平行四辺内接モードは、3辺指示で「どの3辺を選ぶか」を考えたくない場面や、新人スタッフへの説明で「4辺すべて指示するから直感的」と教えたい場面、平行四辺形以外の図形を誤指示しないよう4辺すべての確認を兼ねたい場面で選ぶと良いでしょう。


内接の幾何学的意味

内接」とは、図形の各辺に楕円のフチがちょうど1点ずつ接している状態を指します。菱形内接・平行四辺内接モードで描かれる楕円は、辺と楕円が接線関係にあり、楕円のフチが辺の上を「滑る」ように寄り添う形になります。

内接楕円の接点位置

菱形・平行四辺形の場合、内接楕円が各辺に接する点(接点)は、辺の中点になります。これは以下の幾何学的性質によります。

  • 平行四辺形の対辺は平行で同じ長さ
  • 内接楕円は対辺の中点を結ぶ直線が短軸または長軸になる
  • 各辺の中点が、その辺と楕円の接点になる
図形接点の位置楕円の軸
正方形各辺の中点水平・垂直(真円扱い)
長方形各辺の中点水平=長軸、垂直=短軸
菱形各辺の中点鋭角の二等分線方向=長軸、鈍角の二等分線方向=短軸
平行四辺形各辺の中点鋭角の二等分線方向=長軸、鈍角の二等分線方向=短軸

透視図・斜投影で円が楕円に変わる原理

3次元の円を斜め視点から見ると楕円に投影されます。建築の透視図(パース)や斜投影図で頻出する現象です。このとき、円を含む面の外接矩形(円が含まれる正方形)を斜めから見ると、視点に応じた平行四辺形に変形します。元の円は変形した平行四辺形に内接する楕円として描かれる、というのが視覚的なルールです。

元の図形視点投影された図
正方形に内接する円真上正方形+真円
正方形に内接する円斜め上平行四辺形+内接楕円
正方形に内接する円真横線分(円が見えなくなる)

背景: 透視図・斜投影では、円を直接描こうとすると視点角度ごとに扁平率を計算する必要があります。一方、円を含む正方形を先に変形して平行四辺形を描き、その内接楕円として円を表現すれば、扁平率の計算なしに正しい楕円が得られます。これが菱形内接・平行四辺内接モードが透視図・斜投影で重宝される理由です。


4点指示の入力順序の考え方

平行四辺内接モードでは4辺を順に指示しますが、「どの順番で指示すべきか」という点で迷うことがあります。kantancadの記述では「第一接点となる線から第四接点となる線まで順に左クリックで指示します」とのみあり、特定の順序(時計回り・反時計回り・対辺ペア)への言及はありません。

推奨される入力順序

実用上は、以下のいずれかの順序が分かりやすく、誤指示も防ぎやすい順序です。

順序パターン指示順利点
時計回り上→右→下→左視線移動が自然・誤指示防止
反時計回り上→左→下→右数学の角度方向と一致
対辺ペア順上→下→左→右対辺の関係を意識しやすい

PERSCの推奨: 社内で1つの順序に統一しておくと、図面共有時のレビュー・第三者の確認・複数人での同時作業の場面で齟齬が出にくくなります。多くの設計事務所では「時計回り」を標準にしている例が多く、視線が自然に動く順序として推奨されます。

要確認: 4辺の指示順序が結果の楕円に影響を与えるかは実機で確認します。理論上は4辺すべてに接する楕円が一意に決まるため、順序による形状差は発生しないはずですが、Jw_cad内部での仮表示の挙動・指示エラー検出のタイミングが順序で変わる可能性は実機検証で確認します。

4辺指示中のキャンセル

4辺すべての指示が終わるまでは、楕円は仮表示でしか確定しません。途中でキャンセルしたい場合は、Escキー(操作の巻き戻し)を押すと、指示済みの辺指定がリセットされます。間違って違う線を指示してしまった場合の救済策として覚えておきましょう。

要確認: 4辺指示の途中でEscを押した場合、第1指示まで戻るのか、第n指示の1つ前に戻るのかは実機で確認します。


接楕円で描いた楕円のデータ上の扱い

菱形内接・平行四辺内接モードで描いた楕円は、円コマンドの扁平率指定楕円や接楕円「3点指示」モードと同じく、ひとつの図形としてデータに記録されます。範囲選択コマンドでかこむと1要素として選ばれ、複写・移動・消去はワンクリックで効きます。

作図方法データ上の扱い
円コマンド「扁平率」指定楕円ひとつの楕円要素
接楕円「3点指示」ひとつの楕円要素
接楕円「菱形内接」ひとつの楕円要素(円コマンド楕円と同等)
接楕円「平行四辺内接」ひとつの楕円要素(円コマンド楕円と同等)

背景: 菱形内接・平行四辺内接モードで描かれる楕円は、内部的には円コマンドの扁平率指定楕円と同じ構造(中心座標・長軸・短軸・傾き)でデータに格納されます。3辺・4辺指示は「指示された辺から扁平率と傾きをJw_cadが内部計算する」操作と等価で、最終的な楕円データに「菱形内接で描いた」という属性は残りません。後の編集や中心点取得は通常の楕円とまったく同じ操作で効きます。

要確認: 菱形内接・平行四辺内接で描いた図形が範囲選択で1要素として選ばれるかは実機で確認します。

中心点の取得

接楕円で描いた楕円は、後から中心点を読取点として正確に拾えます。クロックメニューの右ボタンドラッグ3時方向「中心点取得」、またはメニューバー「設定」→「中心点取得」で楕円のフチをクリックすれば、内部に保持されている中心座標が返されます。

詳しくは 読取点の操作(中心点・端点・交点) を参照してください。


多重楕円との併用

菱形内接・平行四辺内接モードも、コントロールバー「多重円」テキストボックスとの併用で多重楕円として描けます。同じ菱形・平行四辺形に対して、軸を共有する複数の同心楕円が一括で描かれます。

多重楕円の作図手順

  1. 接円コマンドを起動
  2. 「接楕円」ボタンをクリックする前に、コントロールバー「多重円」テキストボックスに数値を入力(例: 3 で3重楕円、-50 で2重楕円かつ厚み50mm)
  3. コントロールバー「接楕円」ボタンをクリック
  4. 菱形内接」または「平行四辺内接」を選択
  5. 対象の辺を順に指示(菱形内接=3辺、平行四辺内接=4辺)して内接楕円を確定

Tips: 多重楕円は、装飾フレームの内輪×外輪、看板枠の二重縁取り、透視図の床面に並べる装飾モチーフなど、**「同じ枠の同心楕円が複数本必要」**な場面で活躍します。1本ずつ描いて中心と軸を合わせ直す手間がなくなり、軸ズレ事故を防げます。

要確認: 多重楕円の本数指定が円コマンドの多重円と完全互換かは実機で確認します。負の数による厚み指定が長軸方向の差として反映されるか短軸方向の差として反映されるかも合わせて検証してください。


実務での使い方 ★PERSC独自

透視図・パース図の床面・天井面の楕円表現

建築設計の透視図(手描きパースやCAD作画パース)で、正方形のタイル割り円形の装飾要素を斜め視点で描く場合、円は楕円に変形します。床面に置かれた円形ラグや円卓、円形の天井装飾などがこれに該当します。

例: 床面の円卓を透視図に描く

  1. パース上で円卓のあるべき位置に平行四辺形を線コマンドで描く(透視図のグリッドに沿って)
  2. 接円コマンド → 「接楕円」 → 「平行四辺内接
  3. 平行四辺形の4辺を順に左クリック
  4. 4辺に内接する楕円が自動で描かれ、円卓の上面が完成

これで、視点角度に応じた円卓の楕円シルエットが扁平率を計算せずに確定します。透視図のグリッドが正確なら、内接楕円も正確な投影になります。

斜投影図(アクソメ・等角投影)での円表現

アクソメ図・等角投影図では、3軸(X/Y/Z)が一定の角度で投影されるため、各面の正方形は菱形として描かれます。元が円だった要素は、その菱形に内接する楕円として表現されます。

例: 等角投影で円柱の上面を描く

  1. 等角投影のグリッドに沿って、円柱の上面位置に菱形を線コマンドで描く
  2. 接円コマンド → 「接楕円」 → 「菱形内接
  3. 菱形の3辺を順に左クリック
  4. 3辺に内接する斜めの楕円が描かれ、円柱の上面が完成

PERSCの推奨: 等角投影での円表現は、扁平率を計算で出すと「30度投影なら扁平率0.577」「45度投影なら扁平率0.707」のように覚えるべき値が増えます。菱形を描いて内接楕円で済ませるフローなら、投影角度を気にせず正確な楕円が得られるため、複数の投影角度を切り替える図面で特に効率が上がります。

装飾モチーフ・幾何学パターンの楕円配置

商業施設のファサード装飾、寺社建築の格天井模様、和風住宅の障子組子模様、店舗の壁面アートなど、菱形や平行四辺形を基調とした装飾モチーフには、その内側に楕円や円を配置するパターンが多く見られます。

例: 格天井の菱形パターンに楕円装飾を入れる

  1. 格天井の菱形枠を線コマンドで描く(あるいは既存図面から流用)
  2. 接円コマンド → 「接楕円」 → 「菱形内接
  3. 各菱形枠の3辺を順に左クリック → 楕円が確定
  4. 複数の菱形枠に同じ操作を繰り返し、装飾パターンを完成

「菱形ごとに楕円の中心と扁平率を計算する」必要がなく、枠を3辺指示するだけで済むため、装飾パターンの作図が大幅に高速化します。

看板・サイン枠への楕円フィット

ファサードサインや屋外看板で、長方形の枠の中にぴったり収まる楕円を描きたい場合、扁平率を「短辺÷長辺」で計算するよりも、菱形内接(または平行四辺内接)で枠をクリックするほうが手数が少なく済みます。看板枠が傾いている場合(屋根勾配に沿って傾いた看板など)も同じロジックで対応できます。

例: 看板枠(W900×H600・水平)の楕円ロゴ枠

  1. 看板の長方形枠を線コマンドで描く
  2. 接円コマンド → 「接楕円」 → 「平行四辺内接
  3. 長方形の4辺を順に左クリック
  4. W900×H600の長方形に内接する楕円が確定(扁平率0.667の楕円)

扁平率0.667を電卓で計算する必要がなく、枠の長辺・短辺の比がそのまま楕円の比に反映されます。

マンホール蓋・配管断面の斜投影

設備図・外構図で、マンホール蓋を斜めから見た図配管断面の楕円表現が必要になることがあります。マンホールは平面図では真円ですが、立面図に投影すると視点角度に応じた楕円になります。投影面の四角形枠を菱形・平行四辺形として描き、その内接楕円としてマンホール輪郭を確定すれば、視点角度に応じた正確な投影が得られます。

装飾アーチの楕円フレーム

エントランスホール・店舗ファサードで、菱形・平行四辺形の装飾枠の中に楕円フレームを配置する装飾デザインがあります。アーチの装飾枠が斜めに振られているケース(敷地境界に沿った斜め配置・意匠的に傾けた装飾など)でも、菱形内接モードなら枠の3辺をクリックするだけで内接楕円が確定します。

家具配置のスナップ枠(楕円型ラグ・楕円型テーブル)

平面図でラグやテーブルの配置を検討する際、家具のおおまかな大きさを長方形枠で先に確保し、その中に内接楕円として家具シルエットを入れる検討フローがあります。長方形枠を後で寸法調整しても、平行四辺内接で描き直せば内接楕円が枠に追従します。

リフォーム実測図の既存楕円窓・楕円柱の枠

歴史的建造物のリフォームや古民家の改修案件で、楕円窓楕円柱の現況復元を行う場面があります。窓枠・柱の外接矩形(楕円が収まる矩形)を実測寸法で描いてから、平行四辺内接モードで内接楕円を起こせば、楕円本体の寸法を直接実測しなくても外形枠の寸法だけで復元できます。

庭園図の楕円型池・花壇

外構図・造園図で、菱形や平行四辺形の敷地区画に内接する楕円型の池・花壇を計画する場面があります。敷地区画が斜めに配置されている場合(北東を向いた庭・川沿いの斜め敷地など)でも、菱形内接モードなら3辺指示で池の輪郭が確定します。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 「菱形内接」「平行四辺内接」のボタンが見つからない

→ 接円コマンドが起動できていて、かつコントロールバーの「接楕円」ボタンを押した状態になっている必要があります。接円コマンド起動直後は「半径」「接楕円」「多重円」が並んだ通常表示なので、まず「接楕円」ボタンをクリックしてください。クリック後にサブモード(3点指示/菱形内接/平行四辺内接/3点半楕円)が並びます。

Q: 線をクリックしても反応しない・楕円が描かれない

→ kantancadの解説によれば、菱形内接・平行四辺内接モードで指示できるのは直線だけです。点や円弧を指示しても認識されません。指示対象の図形が直線(線コマンドで描かれたもの)であることを確認してください。図形登録した複合図形やソリッド図形の輪郭線も認識されない可能性があります。

Q: 菱形を描いていないのに「菱形内接」を選んでしまった

→ 菱形内接モードは、kantancadの解説によれば「水平垂直の線を三辺指示すれば指示した三辺に接する真円が描かれます」とあり、菱形以外の図形(正方形・長方形・平行四辺形)でも3辺指示で内接円・内接楕円が描けます。3辺の延長線が交差する点で楕円の位置・軸が決まる仕組みのため、必ずしも菱形である必要はありません。

Q: 3辺指示したのに楕円が変な形になる

→ 指示した3辺が同じ点で交わらない(菱形・平行四辺形・長方形を構成しない3辺)と、想定外の楕円が描かれることがあります。互いに隣り合う3辺(連続する3辺)を指示してください。図面上に菱形・平行四辺形が事前に描かれている場合は、その図形の連続する3辺を確実に指示するのが安全です。

Q: 平行四辺内接で4辺指示したのに楕円が確定しない

→ 第4指示線まですべて指示が完了するまでは楕円は仮表示のままです。第4指示線も左クリックで確定する必要があります。また、4辺で正しい平行四辺形(対辺平行)を構成していないと、楕円が確定しないか想定外の楕円になる可能性があります。指示前に4辺が平行四辺形を構成していることを目視で確認してください。

Q: 平行四辺内接で4辺指示の途中でやめたい

→ Escキー(操作の巻き戻し)を押すと、指示済みの辺指定がキャンセルされます。間違って違う線を指示してしまった場合の救済策として覚えておきましょう。

Q: 真円ではなく楕円が出てくる(または逆)

→ 菱形内接モードに正方形の3辺を指示した場合、kantancadの記述では「水平垂直の線を三辺指示すれば指示した三辺に接する真円」が描かれるとあります。長方形の3辺を指示した場合は、長辺方向を長軸とする楕円が描かれます。意図する図形(正方形か長方形か)と指示する3辺の組み合わせを確認してください。

Q: 楕円の傾きが思ったのと違う

→ 菱形内接で描かれる楕円の長軸方向は、kantancadの解説で「接する辺の交点角の対角線を基準として描かれます」とあり、指示した辺どうしの交点で形成される角の二等分線に揃います。菱形が斜めに振られていると、内接楕円も同じだけ斜めに振られた形で描かれます。水平・垂直に揃った楕円が必要なら、指示する菱形の辺を水平・垂直に揃えて描き直してから3辺指示してください。

Q: 平行四辺形でない一般四角形の内側に楕円を描きたい

→ 平行四辺内接モードは対辺が平行な平行四辺形にしか正しく動作しません。一般四角形(台形含む)の内側に楕円を描きたい場合は、接楕円「3点指示」接楕円(3点指示・3点半楕円) )で軸両端+通過点を任意の3点で指定するか、円コマンドの扁平率指定楕円の作図(扁平率・傾き指定) )で寸法直接指定してください。

Q: 多重楕円にならない・多重円値が反映されない

→ s-projectsの解説によれば「【接楕円】ボタンをクリックする前に「多重円」テキストボックスに数値を入力しておく」必要があります。先に接楕円モードに入ってしまった場合、いったん接楕円モードを抜けて多重円値を入力し直し、再度接楕円ボタンをクリックして菱形内接・平行四辺内接に進んでください。

Q: 接楕円モードを終わりたい

→ コントロールバーの別モードボタンへの切り替え、または別コマンドへの切り替えで、接楕円モードを抜けられます。s-projectsの解説では明示されていないため、実機では「作図」メニューから別コマンドに切り替えるのが確実です。

要確認: 接楕円モードから接円コマンド本体(半径指定接円・3点接円)に戻る具体的な操作は実機で確認します。「接楕円」ボタンがトグル式で、もう一度クリックすると元に戻る仕様の可能性もあります。

Q: 描いた楕円の中心点を後から拾いたい

→ クロックメニューの右ボタンドラッグ3時方向「中心点取得」が使えます。楕円のフチで右ボタンを押したまま3時方向(右)にドラッグして放せば、楕円の中心が読取点として返されます。詳しくは 読取点の操作(中心点・端点・交点) を参照。

Q: 菱形内接の3辺と平行四辺内接の4辺、どちらを使うべきか

操作回数が少ない菱形内接モード(3辺指示)が基本選択です。平行四辺内接モード(4辺指示)は、4辺すべての指示で誤指示防止を兼ねたい場面、新人スタッフへの説明で「4辺すべて指示するから直感的」と教えたい場面、平行四辺形以外の図形を誤指示しないよう4辺すべてを確認したい場面で選びます。

Q: 接楕円「3点指示」と「菱形内接」のどっちを使うべきか

既存の枠(菱形・平行四辺形)が図面上にあるなら菱形内接(3辺指示で済む)。枠は描かずに3つの通過点だけが決まっているなら接楕円「3点指示」(接楕円(3点指示・3点半楕円) )。一発で見分けるコツは「辺をクリックしたいか/点をクリックしたいか」と問うこと。辺なら菱形内接・平行四辺内接、点なら3点指示です。


関連項目


まとめ

  • 菱形内接・平行四辺内接は「接円」コマンドの「接楕円」モード配下のサブモード。コントロールバー「接楕円」ボタンを押してから「菱形内接」または「平行四辺内接」を選ぶ
  • 菱形内接:菱形・平行四辺形・正方形・長方形の3辺を順に左クリックすると、その3辺に接する内接楕円が確定する
  • 平行四辺内接:平行四辺形・正方形・長方形の4辺を順に左クリックすると、その4辺すべてに接する内接楕円が確定する
  • 内接楕円の長軸・短軸方向は、辺どうしの交点角の二等分線に揃う。正方形なら真円、長方形なら水平・垂直軸の楕円、菱形・平行四辺形なら斜めの楕円になる
  • 指示できるのは直線のみ。点や円弧は指示対象として認識されない
  • 接楕円」ボタンを押すに「多重円」値を入れておくと、多重楕円として同心楕円が一括で描ける
  • 透視図の床面・天井面の楕円表現、斜投影図の円柱上面、装飾モチーフの幾何学パターン、看板・サイン枠への楕円フィットなど、**「楕円の中心や扁平率を計算するより、外形の枠を辺指示で囲んだほうが早い」**シーンで威力を発揮する
  • 描いた楕円は単一要素として記録され、後の編集・中心点取得は通常の楕円とまったく同じ操作が効く