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クロックメニュー活用テクニック
このページでできるようになること
クロックメニューの基本操作(12方向ドラッグとAM/PMの切替)はひととおり覚えたものの、「実務でどう使えばラクになるのか」がイメージできない。そんな段階を一段抜けるための応用テクニックをまとめます。属性取得・線長取得・コマンド連動・編集系コマンドの即時呼出など、メニューバーを経由しない作図フローに切り替えられるようになります。
背景: クロックメニューは96方向ぶんのコマンドが用意された強力な機能ですが、初心者向け解説サイトでは「12方向ドラッグでメニューが出る」までで終わっていることが多く、実務での活かしどころが見えづらいまま終わりがちです。この記事では「どの方向で何が呼べるか」を実務シーン別に整理し直します。
要確認: クロックメニューは初期割当のままを前提にこの記事を書いていますが、ご自身でカスタマイズした環境では呼出方向が異なる場合があります。挙動を確認する前に クロックメニューのカスタマイズ で初期値に戻すか、実機で割当を確認してください。
この記事の前提
クロックメニューの基本操作(左右ドラッグでメニューが出る・AM/PMの切替・キャンセル方法)はすでに理解している前提で進めます。基本操作に不安がある場合は、先に クロックメニュー(左ドラッグ・右ドラッグの円形メニュー) を読んでから戻ってきてください。
クロックメニュー全体は次のとおり整理できます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メニュー数 | 全8つ(左/右ドラッグ × AM/PM × クロックメニュー(1)/(2)) |
| 1メニューあたり | 12方向(時計の0時〜11時方向) |
| 合計コマンド数 | 最大96 |
| カスタマイズ | 設定 → 基本設定 → 「AUTO」タブ |
Tips: 全96コマンドを一気に覚える必要はありません。実務で効果が大きいのは10前後の方向だけです。この記事では使用頻度が高い順に紹介します。
応用1: 読取点系の即時呼出(右ドラッグAM)
クロックメニュー応用の入り口は、右ドラッグAMで呼べる特殊な読取点取得です。Ch.1の基本ページでも触れていますが、現場では一日に何十回も使うため、ここで再整理します。
右ドラッグAMの主要4方向
| 時計方向 | 機能 | 実務での使用シーン |
|---|---|---|
| 0時(上) | 円周1/4点取得 | 円柱・配管断面の真上下左右の点取得 |
| 3時(右) | 中心点取得(線・円・2点間) | 通り芯と通り芯の中央、配管センター |
| 6時(下) | オフセット | 端点から「○○mm逃げた点」の指示 |
| 9時(左) | 線上点・交点取得 | 仮想交点・線への垂線足 |
これらは 読取点取得 と 属性取得 で扱う「特殊な点を選び出す」操作と同じものです。違いは、わざわざ読取点モードに切り替えなくても、その場で右ドラッグするだけで一発呼出できる点です。
Tips: 「クロックメニューを使用しない」設定をONにしていても、上記4方向の右ドラッグだけは引き続き有効です。クロックメニュー嫌いの人でも、この4つだけは恩恵を受けられます。
📸画像準備中 — 右ドラッグAMの主要4方向(0時/3時/6時/9時)の使い分け図
中心点取得の3パターン
3時方向の中心点取得は、押す位置で結果が変わります。
| ドラッグ開始位置 | 取得される点 |
|---|---|
| 線の中央あたり(読取点なし) | その線の中央点 |
| 円周上(読取点なし) | 円の中心 |
| 端点・交点などの読取点上 | 「2点間中心」モードに入る → 続けて2点目を指示すると2点の中点 |
注意: ドラッグ開始位置が「読取点」かどうかで挙動が分岐します。線の中央付近を狙ったつもりが端点に吸い付いた、という場合は2点間中心モードに入るので、続けて2点目を指示する必要があります。意図しない場合は中央に戻して「キャンセル」してください。
応用2: 計測系の即時呼出(右ドラッグAM上半分)
計測コマンドは、右ドラッグAMの**上半分(10時〜2時付近)**に集まっています。長さ・角度をその場で吸い取って、次のコマンドの寸法欄や傾き欄に流し込む使い方が定番です。
線長・角度の即時取得
| 時計方向 | 操作 | 実行コマンド |
|---|---|---|
| 11時方向(右ドラッグ→左クリック) | 対象線上で開始 | 線長取得 |
| 10時方向(右ドラッグ→左クリック) | 任意点で開始 | 2点間長取得 |
| 4時方向(右ドラッグ→左クリック) | 対象線上で開始 | 線角度取得 |
| 1時方向(右ドラッグ→左クリック) | 対象線上で開始 | 線鉛直角度取得 |
要確認: 上記4方向はいずれも「右ドラッグでクロックメニューを出した状態で、ボタンを離す前に左クリックする」という入力です。挙動を実機で確認します。
計測 → 作図への流し込みフロー
長さ取得・角度取得は、その直後に作図コマンド(線・矩形など)を実行すると、寸法欄や傾き欄に取得値が自動入力されます。これにより、定規もキーボード入力も使わずに「同じ長さで作図」「同じ傾きで作図」を実現できます。
1. 長さを取りたい線の上で 11時方向へ右ドラッグ → 左クリック
2. 線長が取得される(コントロールバーの寸法欄に値が入る)
3. 続けて「線」コマンド → そのまま作図 = 同じ長さで描けるTips: 既存図面の壁厚に合わせて補助線を引きたい時など、毎回スケールを当てて測る代わりに「右ドラッグ11時 → 線」だけで済ませられます。
📸画像準備中 — 線長取得→作図コマンドの流し込み(コントロールバー寸法欄に値が入った状態)
応用3: 属性取得をマウスだけで完結(左ドラッグAM6時)
クロックメニュー応用の中で、特に効果が大きいのが**属性取得(書込みレイヤ・線色・線種を既存図形と揃える)**です。属性取得そのものは 属性取得 で詳しく扱いますが、ここではクロックメニューからの呼び方に絞ります。
呼出手順
- 揃えたい既存図形(線・円・文字など)の上で
- 左ボタンドラッグでAM6時方向へ少し動かす
- ボタンを離す → 属性取得コマンドが実行され、対象図形の属性が書込み属性にコピーされる
要確認: 「AM6時=属性取得」は s-projects の出典に基づく初期割当です。jwdojoの記述では別表記もあったため、実機で順序を確認します。
TABキーとの使い分け
属性取得には3つの呼出ルートがあります。
| ルート | 操作 | 特徴 |
|---|---|---|
| メニュー/ツールバー | 設定 → 属性取得(または「属取」アイコン) | 視覚的にわかりやすい |
| TABキー | キーボードのTAB | 1回押下で属性取得 ON、2回でレイヤ非表示化、3回で属性取得に戻る |
| クロックメニュー | 既存図形上でAM6時左ドラッグ | マウスから手を離さず即実行 |
PERSCの推奨: 属性取得はマウスを動かしながら使うことが多いので、クロックメニュー呼出が最速です。「揃えたい線の上で左ドラッグ下方向 → そのまま次の作図」が体に染み付くと、レイヤ間違い・線種間違いがほぼ発生しなくなります。
📸画像準備中 — 既存壁線の上で左ドラッグAM6時 → 属性取得が実行される様子
応用4: 主要コマンドの即時呼出(編集系)
メニューバーから呼ぶ機会が多い編集系コマンドも、クロックメニューに割り当てられています。図面操作中に手元から離さず呼び出せます。
編集コマンドの初期割当
| 時計方向 | 操作 | コマンド |
|---|---|---|
| 左ドラッグ4時 | そのままドラッグ離す | 範囲選択 |
| 左ドラッグ7時 | そのままドラッグ離す | 図形移動/図形複写(環境により異なる) |
| 左ドラッグ10時 | そのままドラッグ離す | 消去 |
| 左ドラッグ11時 | そのままドラッグ離す | 複線 |
| 右ドラッグ8時 | そのままドラッグ離す | 伸縮 |
要確認: 左ドラッグ7時方向は出典資料間で「図形移動」と「図形複写」の両方が登場します。実機で初期割当を確認のうえ表記を確定します。
作図コマンドの初期割当
| 時計方向 | 操作 | コマンド |
|---|---|---|
| 左ドラッグAM 0時 | そのままドラッグ離す | 文字 |
| 左/右ドラッグAM 1時 | そのままドラッグ離す | 線/矩形(始動コマンドにより分岐) |
| 左/右ドラッグAM 2時 | そのままドラッグ離す | 円弧 |
| 左ドラッグ9時 | そのままドラッグ離す | AUTOモード |
| 左ドラッグ9時(→右クリック) | ドラッグ中に右クリック | 中心線 |
| 左ドラッグ10時(→右クリック) | ドラッグ中に右クリック | 2線 |
| 左ドラッグ11時(→右クリック) | ドラッグ中に右クリック | 寸法 |
| 左ドラッグ7時(→右クリック) | ドラッグ中に右クリック | ハッチ |
Tips: 「ドラッグ中に右クリック」が必要なコマンドは、AM/PMでもPM側の割当を呼び出していると考えるとイメージしやすいです。AMで離せばAM側、PMに切り替わってから離せばPM側のコマンドが起動します。
📸画像準備中 — 左ドラッグ11時方向で複線が即時呼出される様子
応用5: コマンド実行中のクロックメニュー(コマンド連動)
クロックメニューは実行中のコマンドによって表示内容が変わる仕様になっています。例えば線コマンドで始点を指示したあと、その状態で左ドラッグAM0時方向に動かすと「線属性設定」ダイアログが開きます。
コマンド連動の代表例
| 状況 | クロックメニュー操作 | 結果 |
|---|---|---|
| 線コマンドで始点指示後 | 左ドラッグAM 0時 | 線属性設定ダイアログ |
| 矩形コマンド実行中 | 右ドラッグAM 3時(中心点) | 中心点を1点目として矩形作図 |
| 複線コマンド実行中 | 右ドラッグAM 6時(オフセット) | オフセット距離を入力して複線 |
| 範囲選択モード中 | 左ドラッグ4時(範囲選択再呼出) | 範囲を確定し直す |
背景: クロックメニューは「いまアクティブなコマンド」を見て表示メニューを切り替えています。線を引きながら線種を変えたいときに、メニューバーまで戻らずに線属性設定を呼べるのはこの仕組みのおかげです。
コマンド実行中の即時呼出が効く場面
- 矩形作図中に通り芯の中心から描き始めたい → 右ドラッグAM3時で中心点を1点目に
- 複線で逃げ寸法を毎回入れる → 右ドラッグAM6時オフセットを連発
- 寸法線を引きながら文字属性を変えたい → 左ドラッグAM0時で線属性/文字属性を切替
要確認: コマンド実行中の固有クロックメニュー一覧は、実機で1コマンドずつ確認して表に整理します。
📸画像準備中 — 矩形コマンド実行中に右ドラッグAM3時で中心点を1点目に取った状態
応用6: 作業効率を上げる組み合わせパターン
クロックメニュー単発ではなく、連続技として使うパターンを覚えると効果が跳ね上がります。
パターンA: 「測って描く」の連結
1. 既存壁の上で右ドラッグ11時 → 左クリック(線長取得)
2. そのまま左ドラッグAM1時方向(線コマンド呼出)
3. 始点を指示してそのまま作図 = 同じ長さの線が引けるパターンB: 「属性をコピーして描く」の連結
1. 既存通り芯の上で左ドラッグAM6時方向(属性取得)
2. そのまま左ドラッグAM1時方向(線コマンド呼出)
3. 同じレイヤ・同じ線色で線が引けるパターンC: 「コピー&範囲再選択」の連結
1. 左ドラッグ4時(範囲選択)→ 範囲を囲む
2. 左ドラッグ7時(図形複写または図形移動)
3. 配置先を指示Tips: 「マウスを作図ウィンドウの外に出さずに3コマンド連発できる」のがクロックメニューの真価です。ツールバーまでカーソルを往復させていた時間がほぼゼロになります。
実務での使い方 ★PERSC独自
1. 住宅平面図: 通り芯と壁を高速で描く
通り芯を引き終えたあと、壁線を引く工程ではクロックメニューが特に効きます。
1. 通り芯Aの上で左ドラッグAM6時 = 通り芯レイヤから「壁線レイヤ」に書込変更(属性取得後にレイヤ手動切替)
2. 通り芯Aの端点で右ドラッグAM6時 = オフセット → 壁芯ふところ寸法を入力
3. オフセットされた点を始点として左ドラッグAM1時 = 線コマンドで壁線作図通り芯と壁線を交互に行き来する工程で、ツールバー操作がほぼゼロになります。
2. RC造詳細図: 鉄筋ピッチの繰り返し配置
スラブ筋・帯筋などピッチで繰り返し配置する図形は、クロックメニュー連発が効きます。
1. 1本目を作図
2. 右ドラッグAM6時オフセット = ピッチ寸法を入力
3. オフセットされた基準点を始点に左ドラッグAM1時 = 線で鉄筋を作図
4. 2〜3を繰り返しピッチが100mm刻みでも200mm刻みでも、オフセット値だけ変えれば同じ手順で配置できます。
3. 設備図: 配管の中心線を吸い取る
既存配管の中心位置を別図に転写したいとき、線でも円でも右ドラッグAM3時で中心点取得が効きます。継手芯をピン留めする操作がマウスだけで完結します。
4. 改修図: 既存図形の属性を踏襲する
改修案件では「既存通り芯と同じ属性で記号を追加」「既存壁と同じ線色で増築壁を描く」など、属性踏襲が頻発します。左ドラッグAM6時の属性取得 → 作図 をリズムで回すと、「レイヤ違い・線色違い」のミスがほぼ撲滅できます。
PERSCの推奨: クロックメニュー応用で最初に体得すべきは「属性取得→作図」の連結です。これだけで作図品質と速度が両方上がります。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: クロックメニューを呼んだのに何も起きない
→ ドラッグ開始時にマウスがほとんど動いていないと「クリック」と判定され、クロックメニューは出ません。ボタンを押してから5〜10ピクセル程度動かしてから離すのを意識してください。逆に、右クリックメニュー(読取点系)として常に動いてしまう場合は、わずかにマウスが動いていてドラッグと誤判定されている可能性があります。
Q: 思った方向に行かず別のコマンドが起動する
→ クロックメニューの「3時」は厳密に水平、「12時」は厳密に垂直ではなく、45度ごとの扇形で判定されます。1時と2時、4時と5時のように隣接方向は誤爆しやすいので、目的の時計方向にしっかり振ってからボタンを離しましょう。中央付近で迷っていると意図しない方向に確定されます。
Q: 「ドラッグ中に左クリック/右クリック」のタイミングがわからない
→ クロックメニューの一部(線長・線角度・寸法・中心線・2線・ハッチなど)は、右ドラッグ/左ドラッグの最中に逆ボタンをクリックすることで起動します。「ドラッグして方向を決める → ボタンを押したまま反対側のボタンを瞬間クリック」という二段階操作です。慣れるまでは紙にメモを置いて練習しましょう。
Q: 左ドラッグ7時が「移動」だったり「複写」だったりする
→ 出典資料の間でも記述が揺れている方向です。実機で初期割当を確認し、必要なら クロックメニューのカスタマイズ で「移動」と「複写」を意図する方向に再割当してください。混乱を避けるため「7時=移動」「8時=複写」のように意味を分けるのが推奨です。
Q: コマンド実行中のクロックメニューが普段と違う
→ それは仕様です。クロックメニューはアクティブコマンドによって表示内容が変わります。線コマンド始点指示後の0時=線属性設定、矩形コマンド中の中心点取得など、「いまの状況だから出ている特別メニュー」だと理解しましょう。
Q: 属性取得をAM6時で呼ぶと意図しない属性まで拾う
→ 属性取得は対象図形のレイヤ・線色・線種を一括コピーします。線色だけ・線種だけを取りたい場合は、属性取得後に書込み線属性ダイアログを開いて手動で戻すか、別の方法(線属性を直接指定)を取ってください。詳細は 属性取得 を参照。
Q: AM/PMの切替がうまくいかない
→ ドラッグしたまま中央のクロック中心へ戻し、「キャンセル」表示が出てから再度ドラッグします。ボタンを離すとキャンセルになるため、押したまま操作を続けるのがコツです。
関連項目
- クロックメニュー(左ドラッグ・右ドラッグの円形メニュー) — 基本操作・AM/PM・キャンセル方法
- クロックメニューのカスタマイズ — 各方向の割当を変更する手順
- 基本設定 一般(1) タブ — クロックメニューの表示ON/OFF
- 属性取得 — AM6時方向で呼び出すコマンド本体
- 読取点取得 — 中心点・線上点・円周1/4点・オフセットの読取系
- マウス操作の基本(左右クリック・ダブルクリック) — クリックとドラッグの判定差
- トラブルシュート: クロックメニューが勝手に出る
まとめ
- 右ドラッグAMの0時/3時/6時/9時は読取点系。実務で最も使う4方向
- 計測系(線長・線角度)は右ドラッグAM上半分。右ドラッグ→左クリックで発動
- 属性取得は左ドラッグAM6時。マウスだけでレイヤ・線色・線種を踏襲できる
- 編集系(消去・複線・範囲選択)は左ドラッグの主要方向に集約
- コマンド実行中はメニュー内容が変わる仕様。線属性設定や中心点1点目取りに活用できる
- 連続技(測って描く・属性をコピーして描く)として組むと効果が跳ね上がる