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複線移動(基準線を複線位置に移す)
Jw_cadの複線コマンドには「移動」モードがあります。通常の複線は基準線を残したまま平行線を新しく作図しますが、「移動」モードをオンにすると基準線そのものが複線位置へ移動します。新しい線が作られるのではなく、元の線が指定した距離だけずれるイメージです。
このページでは「移動」モードの使い方・通常の複線との違い・図形移動コマンドとの使い分けを解説します。
複線移動でできること
| 操作の種類 | 基準線の扱い | 線の本数の変化 |
|---|---|---|
| 通常の複線 | 基準線が残る | 元の線+新しい平行線で増える |
| 複線移動 | 基準線が消える(複線位置に移動) | 変わらない(移動するだけ) |
「壁芯線を移動距離ぴったりでずらしたい」「描いた線が少しずれているのを正確な寸法で修正したい」という場面に適しています。
背景: 複線コマンドのコントロールバーにある「移動」チェックボックスをオンにすることでモードが切り替わります。複線コマンドの拡張機能という位置づけで、図形移動コマンドとは仕組みが異なります。
コマンドの起動方法
複線移動は複線コマンドの中の機能です。まず複線コマンドを起動します。
| 方法 | 操作 |
|---|---|
| メニューバー | 編集 → 複線 |
| ツールバー | 「編集(1)」ツールバーの「複線」ボタンをクリック |
| クロックメニュー | 作図ウィンドウ内で11時方向へ左ドラッグ |
要確認: クロックメニューの起動方向(11時・左ドラッグ)を実機で確認してください。
画像準備中 — ツールバー上の「複線」ボタンの位置(矢印で強調)
コントロールバーの確認
複線コマンドを起動すると、ウィンドウ上部のコントロールバーが切り替わります。このページで扱う「移動」チェックボックスの位置を確認しておきましょう。
| CB項目 | 役割 |
|---|---|
| 複線間隔 | 移動距離(何mm離れた位置に移すか)を入力 |
| 移動 チェックボックス | これをオンにすると移動モードに切り替わる |
| 端点(始点側)・端点(終点側) | 移動後の線の長さを調整する(基本操作と同様) |
| 連続線選択 | 連続する線をまとめて選択する |
Tips: 「移動」チェックボックスは、基準線を選択した後に有効になる場合があります。操作手順の途中でオンにする方法を後述しますので、手順通りに進めてください。
画像準備中 — 複線コマンド起動直後のコントロールバー全体(「移動」チェックボックスの位置を強調)
基本操作フロー(1本の線を移動する)
操作手順サマリー(全5ステップ)
| # | 操作 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 複線コマンドを起動 | 上記の3通りの方法から選択 |
| 2 | 移動したい線を左クリックで選択 | 線が選択色(ピンク等)に変わる |
| 3 | コントロールバーの「複線間隔」に移動距離を入力 | mm単位で実寸を入力 |
| 4 | 「移動」チェックボックスをオンにする | 仮表示が反転する |
| 5 | 移動方向にマウスを動かして左クリックで確定 | 基準線が指定距離の位置に移動する |
手順1: 複線コマンドを起動する
ツールバーの「複線」ボタンをクリックするか、メニューバーから「編集」→「複線」を選択してコマンドを起動します。
手順2: 移動したい線を左クリックで選択する
移動させたい線(基準線)の上にマウスを移動し、左クリックします。選択された線はピンク色(強調表示)に変わります。
Tips: 線の真上を正確にクリックする必要があります。ズーム倍率が低いと細い線を選択しにくいため、対象の線を拡大表示してからクリックするとスムーズです。
画像準備中 — 基準線を選択してピンク表示になった状態
手順3: コントロールバーの「複線間隔」に移動距離を入力する
基準線が選択された状態でコントロールバーの「複線間隔」欄をクリックし、移動したい距離をmm単位で入力します。
例: 壁芯線を150mm右にずらしたい場合は「150」と入力します。
Tips: 間隔入力後にEnterキーを押すか、そのままマウス操作に移ることで入力が確定します。
画像準備中 — 「複線間隔」に数値を入力した状態のコントロールバー
手順4:「移動」チェックボックスをオンにする
コントロールバーにある「移動」チェックボックスを左クリックしてオンにします。
チェックを入れると、作図ウィンドウ内の仮表示線が基準線を境に反転します。通常の複線では新しい平行線が仮表示されていますが、移動モードでは「基準線が移動先へ動く」イメージの表示に変わります。
要確認: 「移動」チェックをオンにした後に仮表示が反転するという挙動を実機で確認してください。
画像準備中 — 「移動」チェックをオンにした後の仮表示の変化(ビフォーアフター)
手順5: 移動方向を決めて左クリックで確定する
マウスを基準線の移動させたい方向(左右・上下)に動かします。仮表示が移動先の位置を示します。意図した方向に仮表示が出ていることを確認して、左クリックで確定します。
基準線がそのまま指定距離の位置に移動します。元の位置には線が残りません。
画像準備中 — 確定後の状態(元の位置に線がなく、移動先に線が1本ある)
通常の複線との操作比較
実際に操作してみると、通常の複線と複線移動の違いが直感的にわかります。
通常の複線(「移動」チェックなし)
操作前: 線A が1本ある
↓ 複線コマンド(移動チェックなし)
操作後: 線A(元の線)+ 線B(新しい平行線)= 2本になる複線移動(「移動」チェックあり)
操作前: 線A が1本ある
↓ 複線コマンド(移動チェックあり)
操作後: 線A が移動した位置に1本だけある(元の位置には何もない)注意: 複線移動は元の線が消えます。「複線を引きたかったのに移動モードになっていた」という誤操作に注意してください。操作後すぐに 戻る・進む(取り消し・やり直し) で元に戻せます。
連続線をまとめて移動する(矩形・折れ線への応用)
1本の線ではなく、壁の矩形(四辺形)や折れ線全体を一括で移動したい場合は「連続線選択」を組み合わせます。
手順
| # | 操作 |
|---|---|
| 1 | 複線コマンドを起動 |
| 2 | コントロールバーの「移動」チェックをオンにする |
| 3 | 移動したい図形の一辺(任意の1本)を左クリックで選択 |
| 4 | コントロールバーの「連続線選択」をクリック |
| 5 | 端点同士でつながっている線が全選択される |
| 6 | 「複線間隔」に移動距離を入力 |
| 7 | 移動方向を指示して左クリックで確定 |
端点同士がつながった図形(矩形・L字形の壁など)を効率よく移動できます。
要確認: 「移動」チェックをオンにしてから「連続線選択」を使う手順と、基準線選択→「連続線選択」→「移動」チェックの順序どちらが正しいかを実機で確認してください。
画像準備中 — 矩形の一辺を選択後、「連続線選択」で4辺が全選択された状態
画像準備中 — 矩形全体が移動後の完成状態
図形移動コマンドとの使い分け
Jw_cadには複線移動とは別に「図形移動」コマンド(メニューバー: 編集 → 図形移動)があります。どちらも図形を移動する機能ですが、用途が異なります。
| 比較項目 | 複線移動(複線コマンドの「移動」) | 図形移動コマンド |
|---|---|---|
| 向いている操作 | 距離が明確なとき(○mm移動) | 場所が明確なとき(あの位置に移動) |
| 移動距離の指定 | 数値入力(mm単位)で正確に指定 | マウスで移動先をクリック(または数値位置入力) |
| 対象の選択 | 1本の線(または連続線) | 範囲選択で複数の図形をまとめて選択可能 |
| 倍率・回転 | 非対応 | 対応(縮尺変更・回転移動ができる) |
| 複数選択 | 連続線選択で連結線のみ | 範囲選択で線・文字・図形を混在選択可能 |
複線移動を選ぶ場面:
- 「壁芯線を120mm内側にずらしたい」のように移動量が数値で決まっている
- 平行移動(方向を変えずにずらす)だけで十分な場面
図形移動を選ぶ場面:
- 部屋の設備記号(衛生器具・家具等)を別の位置に移したい
- 文字・寸法線・図形を含む複数要素をまとめて移動したい
- 回転・縮尺変更を伴う移動が必要な場合
PERSCの推奨: 建築平面図の壁線修正は「複線移動」を優先して使います。移動距離が壁厚や柱寸法で明確な数値として決まることが多いため、複線移動の数値入力方式のほうが正確・速い作業ができます。設備図の機器配置変更など、距離より位置で管理するものは図形移動コマンドを使います。
実務での使い方 ★PERSC独自
壁芯線の位置修正(平面図)
住宅の平面図を作成中に「通り芯(壁の中心線)の位置が設計変更で動いた」という場面は実務でよくあります。
変更前の壁芯線を複線移動で正確な距離だけ移動することで、消して描き直すより素早く修正できます。
操作手順の例:
- 複線コマンドを起動して「移動」チェックをオン
- 修正対象の壁芯線を選択
- 設計変更量(例: 455mm)を「複線間隔」に入力
- 修正方向にクリックして確定
その後、この移動した壁芯線を基準に通常の複線で壁面線を両側に引き直すことで、壁全体の修正が完了します。
画像準備中 — 壁芯線を複線移動で修正した後、複線で壁面線を作成している途中の平面図
開口部・建具の位置調整(平面図)
扉や窓の開口位置を壁の中で少しずらしたい場合も複線移動が有効です。開口部両端の線(開口限界線)を選択して、指定した距離だけ移動させることで正確な位置調整ができます。
特に「910mm間隔の木造モジュール(グリッド)に沿った移動」のように移動距離が整数で決まる建築実務の場面に向いています。
設備配管のルート修正(設備図)
給排水・空調の配管図で「ルートを50mm内側に変更したい」という修正も複線移動で対応できます。
配管の中心線(基準線)を選択して移動距離を入力するだけで完結します。「消して描き直す」手順と比べて、作業時間を大幅に短縮できます。
建物配置の微調整(配置図)
敷地配置図で建物のブロックを数値指定で移動したい場合は、連続線選択と組み合わせた複線移動が活用できます。建物外形線の一辺を選んで「連続線選択」で4辺をまとめて選択し、移動距離を入力して確定します。
つまずきポイントと対処 ★PERSC独自
Q: 移動後に元の位置にうっすら線が残っているように見える
→ 画面の再描画が追いついていないことがあります。F5キーまたはメニューバー「表示」→「再表示(再描画)」で画面をリフレッシュすると消えます。それでも残る場合は本当に線が残っているので、戻る・進む で取り消して再操作してください。
Q: 「移動」チェックをオンにしたのに通常の複線になってしまう
→ 「移動」チェックボックスをオンにするタイミングを確認してください。基準線を選択した後にチェックを入れる手順が正しい場合と、コマンド起動直後に設定できる場合があります。
要確認: 「移動」チェックを入れる正確なタイミング(基準線選択の前か後か)を実機で確認してください。
Q: 複線移動をしたら元の線が消えてしまった(意図しない移動モードだった)
→ Ctrl + Z で直前の操作を取り消せます。複線コマンドを起動するたびに「移動」チェックの状態を確認する習慣をつけましょう。チェックが入っていると移動モードになります。
Tips: 複線コマンドを起動したら、コントロールバーの「移動」チェックが意図どおりの状態になっているか確認してから操作を始めると、誤操作を防げます。
Q: 連続線選択で矩形全体を選択したつもりが一部の線しか選択できない
→ 選択した線と端点が完全につながっていない線は「連続線選択」で拾えません。よくある原因は「線の端点が重なっているように見えてわずかにズレている」ケースです。一度 拡大表示 で端点をズームして確認し、端点がつながっていない線はつなぎ直してから再操作してください。
Q: 複線移動と図形移動コマンドのどちらを使えばいいかわからない
→ 「移動距離が決まっている(数値で指定できる)」なら複線移動、「移動先の位置が決まっている(他の図形の点に合わせる等)」なら図形移動コマンド、という基準で判断します。詳しくは 図形移動 ※準備中 を参照してください。
Q: 移動した後に線の長さが変わってしまった
→ 端点欄(始点側・終点側)に意図しない数値が入っていると、移動後の線長が変化します。コントロールバーの端点欄が「0」になっていることを確認してから操作してください。
関連項目
- 複線の基本(間隔指定・端点指定) — 複線コマンドの基本的な使い方
- 連続複線 ※準備中 — 同じ間隔の複線を連続して作図する
- 両側複線 ※準備中 — 基準線の両側に同時に複線を作成する
- 留線付き複線 ※準備中 — 端部に留線を付けた複線を作成する
- 範囲複線 ※準備中 — 選択範囲の全線分に複線を一括作成する
- 図形複写 ※準備中 — 図形を複写する(複線移動との使い分け)
- 図形移動 ※準備中 — 図形移動コマンドの詳細操作
- 戻る・進む(取り消し・やり直し) — 誤操作を取り消す
まとめ
- 複線コマンドのコントロールバーにある「移動」チェックをオンにすると、基準線が複線位置に移動する(元の位置に線が残らない)
- 移動距離を数値で正確に指定できるため、壁芯線の位置修正など「○mm移動したい」という建築実務の場面に向いている
- 複数の連続線をまとめて移動するには「連続線選択」との組み合わせが有効
- 距離ではなく位置で移動先を決めたい場合、または複数種類の図形をまとめて移動したい場合は図形移動コマンドを使う