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図面枠の規格(A1/A2/A3/A4サイズ別の余白・とじ代)
このページでできるようになること
建築図面で使う 図面枠(外枠+表題欄+シート表) の規格、特に 用紙サイズごとの寸法・余白・とじ代の標準値 を体系的に理解できるようになります。JIS A 0150(建築製図通則)と関連する JIS Z 8311(製図用紙のサイズ及び図面の様式)が定める A1/A2/A3/A4 の用紙寸法、外周余白、とじ代の規格値を整理した上で、建築実務で実際にどう運用されているか・Jw_cadでどう設定するかを通しで把握できます。図面枠の作成手順は別記事(Ch.12)に委譲し、この記事は 「どんな寸法・配置で作るか」の規格解説 に集中します。
背景: 図面枠は単なる飾りではなく、「どこからどこまでが図面なのか」「どこに何を書くのか」を読み手に伝える共通フォーマット です。JIS規格は用紙サイズと外周余白を厳密に定めており、この枠組みを共有することで、設計事務所・施工会社・確認検査機関のあいだで図面のやりとりがスムーズに行えます。建築新人がまず押さえるべき製図ルールのひとつです。
図面枠とは何か
図面枠を構成する3つの要素
建築実務で「図面枠」と呼ばれるものは、厳密には次の3要素から構成されます。
| # | 要素 | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | 外枠(輪郭線) | 用紙端から一定距離内側に引かれる長方形の枠。図面の作図エリアを示す |
| 2 | 表題欄(タイトルブロック) | 外枠の右下または下辺に配置される情報欄。図面名・図番・縮尺・作成者・日付などを記載 |
| 3 | シート表(リスト表記) | 図面一覧・改訂履歴・凡例などを記入する補助欄。プロジェクトによっては省略 |
背景: 「図面枠を作る」と言ったとき、最低限の運用では 外枠+表題欄 の2要素を指すことがほとんどです。シート表まで含めるかは案件規模・社内ルールによります。住宅規模の確認申請図面では外枠+表題欄のみのシンプルな構成、ゼネコン物件では外枠+表題欄+シート表+改訂履歴欄まで揃った定型フォーマットが使われる、という傾向があります。
Jw_cadでの「用紙枠」と「図面枠」の違い
Jw_cad には 「用紙枠(ようしわく)」 という表示機能があり、これは図面枠とは別物です。
| 用語 | 意味 | 性質 |
|---|---|---|
| 用紙枠(Jw_cadの設定項目) | 設定 → 基本設定 → 一般(1)タブの「用紙枠を表示する」をONにすると、選択した用紙サイズの外形が点線で表示される | 表示のみ。印刷されない・データとしては書き込まれない |
| 図面枠(製図上の概念) | 用紙の内側に作図する 実線の長方形 +表題欄等。.jww データに線として保存される | 実体ある作図要素。印刷される |
注意: Jw_cad の「用紙枠」をONにしても、それは 画面上の参照線 に過ぎず、印刷時には出力されません。図面として印刷したい外枠は、別途 線コマンドで実際に作図 するか、印刷コマンドの「枠書込」機能で書き込む必要があります。詳しくは 印刷範囲枠の書込み を参照。
JIS規格が定める用紙サイズ
A判(Aシリーズ)の寸法
建築図面で使われる用紙サイズは JIS Z 8311 に基づき、A0〜A4 の5種類が標準です。
| サイズ | 寸法(mm) | 寸法比 | 主な用途(建築実務) |
|---|---|---|---|
| A0 | 841 × 1189 | 1:√2 | 大型構造物の配置図・平面図 |
| A1 | 594 × 841 | 1:√2 | 戸建住宅〜中規模建築の 標準サイズ。配置図・平面図・立面図 |
| A2 | 420 × 594 | 1:√2 | A1の半分。詳細図・矩計図・部分図 |
| A3 | 297 × 420 | 1:√2 | A1の1/4。打合せ図・社内検討図・確認申請の縮小図 |
| A4 | 210 × 297 | 1:√2 | 文書添付の小判・部分詳細・凡例ページ |
背景: A判は 「長辺を半分に折ると次のサイズになる」 という相似性が特徴で、これにより縮小コピー時の縦横比が変わりません。A1 を A3 に縮小しても図面の縦横バランスが崩れない設計です。1:√2 という比率を持つこのシリーズは、ヨーロッパの DIN 規格を起源に持ち、現在は ISO 216 として国際規格化されています。
要確認: 用紙寸法は実機検証フェーズで JIS Z 8311 の最新版(および Jw_cad の用紙サイズ選択肢)と完全照合します。
B判は建築実務ではあまり使わない
JIS には A判のほかに B判(B0=1030×1456 mm 等) もありますが、建築図面では基本的に使われません。理由は次のとおりです。
| 観点 | A判が選ばれる理由 |
|---|---|
| 国際整合 | ISO 216 として世界標準。海外案件・BIM出図でも整合 |
| プロッタ・複合機の標準 | 建築事務所のA1プロッタ・A3複合機は A判を前提に設計 されている |
| 確認申請の運用 | 行政の受付ではA判が前提。B判で出すと事実上扱われない |
PERSCの推奨: 建築実務で B判を使う必要はほぼありません。A1(標準)/A2(詳細図)/A3(打合せ)/A4(添付資料) の4サイズを使い分けるのが基本運用です。
JIS規格が定める余白・とじ代
外周余白(c寸法)
JIS Z 8311 は、図面枠の外枠線(輪郭線)を 用紙端から一定距離内側 に引くと定めています。この外周余白は用紙サイズによって異なります。
| 用紙サイズ | 外周余白(c寸法)標準値 | 備考 |
|---|---|---|
| A0 | 20 mm | 大判用紙のため余白を広く取る |
| A1 | 20 mm | 同上 |
| A2 | 10 mm | 中型用紙の標準 |
| A3 | 10 mm | 同上 |
| A4 | 10 mm | 小判用紙の標準 |
背景: 大判(A0/A1)と中小判(A2/A3/A4)で外周余白が異なるのは、プロッタの印字可能範囲 と 用紙の取り扱い時に縁が傷つくリスク を考慮しているためです。大判ほど縁の汚れ・破れが起きやすく、また製図機・プロッタの マージン(印字不可帯域) も大判ほど広い傾向があります。
要確認: 「20 mm/10 mm」の標準値は、JIS Z 8311 の最新版で再確認します。改訂で値が変わっている可能性があるため、規格本文との照合が必要です。
とじ代(綴じ代・綴じ余白)
図面を ファイリング(綴じる) ことを前提として、用紙の 左辺 には外周余白に加えて追加の余白を設けます。これが とじ代 です。
| 項目 | 標準値 |
|---|---|
| とじ代の追加幅 | 一般に 20 mm(最小25 mmという説もあり) |
| 配置位置 | 用紙の左辺(横向き図面の場合) |
つまり、横向きA1図面の左辺余白は 外周余白20 mm + とじ代20 mm = 計40 mm になります(規格・流派により値の差異あり)。
要確認: とじ代の標準値は「20 mm」「25 mm」の両説があり、JIS Z 8311 の現行版での明文値は実機検証フェーズで確定します。建築実務では 20 mm 運用が多数派 という肌感覚ですが、組織によっては25 mm を採用しています。
背景: とじ代は、穴あけパンチでファイリングしたとき、図面の重要部分が穴で欠けない ようにするための余白です。建築設計図書はA1で50枚以上になることがあり、ファイリング時に左辺が穴あけ・綴じ金具で隠れます。図面枠を左辺ギリギリまで広げてしまうと、フォルダに綴じた瞬間に外枠線が綴じ部分に隠れてしまうため、追加の余白が必要になります。
余白+とじ代の早見表
横向き図面の場合、外枠の位置は次のようになります(標準値で計算)。
| 用紙 | 用紙寸法 | 外周余白 | とじ代追加 | 左余白合計 | 上下右余白 | 外枠の作図エリア |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A0 | 841 × 1189 | 20 mm | 20 mm | 40 mm | 各20 mm | 781 × 1149 mm |
| A1 | 594 × 841 | 20 mm | 20 mm | 40 mm | 各20 mm | 534 × 801 mm |
| A2 | 420 × 594 | 10 mm | 20 mm | 30 mm | 各10 mm | 380 × 574 mm |
| A3 | 297 × 420 | 10 mm | 20 mm | 30 mm | 各10 mm | 257 × 400 mm |
| A4 | 210 × 297 | 10 mm | 20 mm | 30 mm | 各10 mm | 170 × 277 mm |
要確認: この計算表の値は規格の標準値前提です。実プロジェクトでは社内テンプレート・発注者仕様書による独自値が優先されることがあります。
画像準備中 — A1横向き図面の余白・とじ代を寸法線付きで示した模式図(外周余白20mm + 左辺とじ代20mm + 外枠線 + 表題欄の配置イメージ)
図面枠の標準スタイル
基本構成(外枠+表題欄)
建築実務でもっとも使われるのは 外枠+表題欄 の2要素構成です。横向き(ランドスケープ)配置を例にとると、次のようになります。
┌─────────────────────────────────────────┐ ← 用紙端
│ │
│ ┌───────────────────────────────────┐ │ ← 外枠線(輪郭線)
│ │ │ │
│ │ │ │
│ │ 作図エリア │ │
│ │ │ │
│ │ │ │
│ │ │ │
│ │ │ │
│ │ ┌────┤ │
│ │ │表題│ │
│ │ │欄 │ │
│ └──────────────────────────────┴────┘ │
│ │
└─────────────────────────────────────────┘
↑とじ代 ↑外周余白画像準備中 — A1図面の外枠+表題欄の標準スタイル(実機での作図サンプル)
表題欄の配置パターン
表題欄の位置は 「右下隅」「下辺全面」 の2パターンが主流です。
| パターン | 配置 | 採用される傾向 |
|---|---|---|
| 右下隅型 | 外枠の右下に長方形で配置 | A1/A2 図面の標準。コンパクトに収まる |
| 下辺全面型 | 外枠の下辺全体に帯状に配置 | A3/A4 図面で多用。図面情報+シート一覧を入れる |
詳細は 表題欄の項目と配置ルール で扱います。
補助記号(必要に応じて)
JIS Z 8311 が定める補助記号として、次のようなものがあります。建築図面で必須運用されるものは少なく、官公庁納品図面など一部で使われます。
| 補助記号 | 役割 |
|---|---|
| 中心マーク | 用紙各辺の中心に配置する短い線分。マイクロフィルム化時の位置基準 |
| 方位マーク | 図面の向き(北向き)を示す矢印・記号 |
| 比較尺度(スケールバー) | 縮小コピーされても実寸が判別できるよう、棒目盛りを枠内に配置 |
| 裁断マーク(トリムマーク) | 印刷物として裁断される位置を示す。出版・印刷物用 |
要確認: 補助記号の必須/任意の区分は JIS 規格本文で確定します。建築実務での実運用では、方位マークは配置図に必須・中心マーク等は省略 が一般的です。
縮尺との関係
図面枠と縮尺は連動する
図面枠の寸法は 「実寸(mm)」 で作図しますが、その中に描かれる建物・敷地は 縮尺をかけた寸法 で作図されます。Jw_cad の場合、レイヤグループごとに縮尺を設定できるため、図面枠は 1/1(原寸)レイヤグループ に作図し、建物本体は 1/100 や 1/50 のレイヤグループ に作図する運用が標準です。
| レイヤグループ用途 | 縮尺設定 | 作図内容 |
|---|---|---|
| 図面枠・表題欄 | 1/1 | 外枠・表題欄・文字 |
| 建物(平面図本体) | 1/100 | 通り芯・柱・壁・建具 |
| 詳細部(必要に応じて) | 1/30 や 1/20 | 矩計詳細・部分詳細 |
背景: Jw_cad はレイヤグループごとに独立した縮尺を持てるのが大きな利点です。これにより 「1枚の図面に異なる縮尺の図を同居」 できます(A2図面に1/100平面と1/30矩計を並べて配置するなど)。図面枠は 1/1 で作図しておけば、レイヤグループの縮尺を変えても枠の見え方は変わりません。
用紙サイズと縮尺の典型的な組み合わせ
建築実務での 「用紙サイズ × 縮尺 × 図面種別」 の典型パターンを示します。
| 用紙 | 縮尺 | 主な図面種別 |
|---|---|---|
| A1 | 1/100 | 配置図・各階平面図・立面図(戸建〜中規模建築) |
| A1 | 1/200〜1/500 | 配置図(大規模・敷地が広い案件) |
| A2 | 1/50 | 矩計図・断面詳細図 |
| A2 | 1/30 | 部分詳細図(玄関ポーチ・階段詳細 等) |
| A3 | 1/100 | 確認申請の縮小添付図・打合せ用 |
| A3 | 1/50 | 矩計図のA3版(簡略版) |
| A4 | 1/200 | 配置図のサムネイル版・道路占用申請添付 |
詳細は 縮尺の標準 で図面種別ごとに整理します。
Jw_cadで図面枠を扱う流れ
用紙サイズの設定
Jw_cadで作図を始める前に、メニューバー「設定」→「用紙サイズ」から使用する用紙サイズを選択します。A0〜A4が選択肢として表示されます。
背景: Jw_cad の用紙サイズは 作図エリアの想定サイズ を意味し、印刷時の用紙サイズとは別物です。Jw_cad で「A1」を選んでおいても、印刷時に「A3」を選べばA3で出力されます(縮小印刷)。設定詳細は 用紙サイズと縮尺 を参照。
用紙枠の表示ON
「設定」→「基本設定」→「一般(1)」タブの「用紙枠を表示する」にチェックを入れると、作図ウィンドウに選択した用紙サイズの外形が 点線 で表示されます(s-projects FAQ「用紙枠を表示する・書き込む」解説)。
Tips: 用紙枠の表示は作業時の 目安線 として使えます。実際に作図する図面枠の 外枠線(実線) とは別物なので、両方表示しておくと「どこが用紙端か/どこが図面枠か」が一目で分かります。
図面枠の作図方法(概要のみ)
実際の図面枠(外枠線)の作図方法は以下の2ルートがあります。
| 方法 | 概要 | 詳細記事 |
|---|---|---|
| 印刷範囲書込みから作る | 印刷コマンドで印刷範囲を指定 → コントロールバー「枠書込」で実線として書き込み | 印刷範囲枠の書込み |
| 線コマンドで自作する | 矩形コマンドで外枠を描き、寸法を直接指定して作る | 図面枠の作り方(簡易版) ※準備中 |
PERSCの推奨: 標準的な余白で良い案件では 印刷範囲書込み が手早く、JIS準拠の独自余白を厳密に取りたい場合は 線コマンドで自作 するのが確実です。後者の場合、この記事の「余白+とじ代の早見表」の数値をそのまま使って作図できます。
実務での使い方 ★PERSC独自
案件タイプ別の図面枠運用
PERSC編集部が建築実務で見聞きしてきた範囲では、案件タイプによって図面枠の作り込み度合いが大きく異なります。
| 案件タイプ | 用紙サイズ運用 | 図面枠の作り込み | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 個人住宅(新築) | A1主体/確認申請A3添付 | シンプル(外枠+表題欄のみ) | 工務店・設計事務所のテンプレを流用。表題欄は手書き相当のシンプル構成 |
| 個人住宅(リフォーム) | A3主体/A2併用 | 簡易(外枠+小型表題欄) | 打合せ重視のため装飾は控えめ。改修前後の比較図が入ることも |
| 共同住宅(マンション・アパート) | A1主体/A2詳細図 | 中程度(外枠+表題欄+シート表) | 確認申請物件はシート表で図面一覧を入れる |
| ゼネコン物件(事務所ビル等) | A1標準/A0配置図 | 重装備(外枠+表題欄+シート表+改訂履歴欄+承認欄) | 社内製図基準書に従う。承認印・押印エリアを枠内に配置 |
| 公共建築(学校・庁舎等) | A1標準/設計図書一式 | 最重装備(社内基準+発注者指定書式) | 公共建築設計業務委託共通仕様書の様式を踏襲 |
| 構造設計事務所 | A1主体 | 中程度+特殊欄 | 構造特記事項欄・配筋表記欄が標準で入る |
| 設備設計事務所 | A1主体/A2併用 | 中程度+系統凡例欄 | 設備記号凡例が表題欄横に配置される |
要確認: 公共建築の様式規定は「公共建築設計業務委託共通仕様書」「公共建築改修工事標準仕様書」等の最新版で参照表現を確認します。
設計事務所の標準テンプレート整備
新人時代に図面枠で苦労する原因の多くは、事務所ごとに標準テンプレートが整備されていない ことです。PERSC編集部の推奨するテンプレ整備方針は次のとおりです。
| # | 整備項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | サイズ別テンプレ4種 | A1・A2・A3・A4 をそれぞれ .jww ファイル化 |
| 2 | 縮尺別バリエーション | A1の中で 1/100・1/50・1/30 の3バリエーション(レイヤグループ縮尺だけ違うもの) |
| 3 | 表題欄の事務所ロゴ・社名固定 | 表題欄テンプレートに事務所情報を埋め込み済み |
| 4 | 改訂履歴欄テンプレ | 公共物件で必要になる改訂履歴欄を別レイヤで用意 |
| 5 | 用紙枠表示ON済み | 基本設定で「用紙枠を表示する」をON状態で保存 |
PERSCの推奨: テンプレートは 「すべての項目を埋めない」状態で保存 するのが運用の肝です。事務所ロゴ・社名のみ埋めて、案件名・図面名・図番は 空欄のまま保存 することで、案件ごとに上書きできます。すべて埋めたテンプレを作ってしまうと、案件追加のたびに書き換え漏れが発生します。
kantancad配布テンプレの活用例
参考解説サイト「kantancad」では A1〜A4の4種類×縮尺1/10/1/30/1/50/1/100の4種類 の図面枠テンプレートを無料配布しています(メールフォームから請求形式)。
| 観点 | 概要 |
|---|---|
| サイズ | A1 / A2 / A3 / A4(4種類) |
| 縮尺 | 1/10 / 1/30 / 1/50 / 1/100(各サイズで4縮尺) |
| 形式 | .jww 形式(無地・サイト名なし・縮尺記入欄あり) |
| 配布元 | https://kantancad.com/Jw_cad-drawingparts/Jw_cadentry27.html |
PERSCの推奨: 実務初心者の方は、まず kantancad 等の 配布テンプレを叩き台 にして、自分の事務所仕様に合わせて改造していくのが効率的です。ゼロから作ると寸法・余白の取り間違いをやりがちなので、規格に沿った既製品から始めるのが安全です。ただし配布元の利用規約(再配布禁止等)は必ず確認 してください。
A2サイズの「使いどころ」
建築実務でやや影が薄くなりがちな A2サイズ ですが、以下の用途では真価を発揮します。
| 用途 | A2が選ばれる理由 |
|---|---|
| 矩計図・断面詳細図 | A1だと余白が広すぎ、A3だと窮屈。1/50・1/30の詳細図がちょうど収まる |
| 部分平面詳細図 | 玄関・トイレ・階段など部分詳細を1/30で描くのに適サイズ |
| 確認申請の中型添付図 | A3縮小すると判読困難な詳細図を、A2で出すと適度な可読性 |
| 矩形比のいい配置図 | 細長い敷地でA1だと余白が偏るとき、A2が収まりよく見える |
Tips: 「A1とA3の中間が欲しい」と感じたら、A2が最適解 であることが多いです。プロッタもA2出力に対応しているケースが多く、運用のハードルは低めです。
印刷時の縮小と図面枠の見え方
A1で作図した図面を A3で縮小印刷 する運用はよくあります。このとき、図面枠の 線太さ・文字サイズが縮小されてつぶれる リスクがあります。
| 元図 | 印刷 | 縮小率 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| A1 | A1 | 1.0倍 | 想定通りに印刷される |
| A1 | A3 | 0.5倍 | 線太さ0.13 mm が0.065 mm 相当になり消える可能性 |
| A1 | A4 | 0.354倍 | 文字2.5 mm が0.88 mm に縮小され判読困難 |
PERSCの推奨: A3縮小での配布が前提の案件では、最小線太さ・最小文字サイズを A3で見えるサイズで設計 するのが堅実です。具体値は 印刷時の線太さ標準 と 文字サイズの標準 を参照。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: A1で作った図面枠を、別案件のA2に流用したい
→ そのままコピーすると枠が大きすぎてA2用紙に収まりません。図面枠は用紙サイズごとに専用テンプレを用意するのが安全です。サイズ違いに変換する場合、外枠線・表題欄を削除して新規作図し直すのが結局は早いです。社内テンプレを A1・A2・A3・A4の4種類セット で整備しておくと使い回しがききます。
Q: 「用紙枠を表示する」をONにしたのに、印刷したら枠線が出ない
→ Jw_cad の 「用紙枠」は表示専用の機能 で、印刷されません。実際に印刷したい外枠は、線コマンドで実線として作図 するか、印刷コマンドの「枠書込」機能 で書き込む必要があります。詳しくは 印刷範囲枠の書込み を参照。
Q: 余白20 mm と書いてあるが、どこを基準に20 mm なのか分からない
→ JIS の外周余白は 「用紙端から外枠線までの距離」 を指します。たとえばA1(594×841 mm)の場合、用紙の上端から20 mm 内側に外枠の上辺が来ます。とじ代を含めると、左辺は用紙端から 40 mm(外周20 mm + とじ代20 mm)の位置に外枠の左辺が来ます。
Q: とじ代は左辺だけ? 縦向き図面ではどうなる?
→ とじ代の位置は 「綴じる側」 に取ります。横向き図面なら左辺、縦向き図面なら上辺または左辺(運用による)です。建築図面はほぼ横向き(ランドスケープ)運用なので、左辺にとじ代 が事実上の標準です。
Q: 表題欄は外枠の中に入れる? 外枠の外?
→ 外枠の中(作図エリア内) に配置します。表題欄は 作図エリアの一部 として扱い、外枠線と表題欄の枠線が共有されているデザインが多いです(外枠の右下を切り取ったような形)。詳しくは 表題欄の項目と配置ルール を参照。
Q: 確認申請ではA1で出すべき? A3で出すべき?
→ 行政によりますが、正本はA1、副本(控え)と添付図はA3 という運用が多数派です。最近は電子申請(建築確認のオンライン申請)が増えており、PDFで提出する場合は A3 PDF が主流になりつつあります。提出予定の建築主事・指定確認検査機関に事前確認するのが確実です。
Q: Jw_cad の用紙サイズに「A2」がない?
→ Jw_cad の用紙サイズ選択肢には A2が含まれている はずです(A0〜A4の5種類)。表示されない場合はバージョン違い・カスタム設定の可能性があるため、最新版で再確認してください。詳細は 用紙サイズと縮尺 を参照。
Q: 図面枠と建物本体で、線の太さを変えたい
→ Jw_cad では 線色ごとに印刷時の線太さ を割り当てられます。たとえば「線色1=0.13 mm、線色2=0.18 mm、線色4=0.5 mm」のように設定し、図面枠の外枠線は線色4(0.5 mm)、表題欄の罫線は線色2(0.18 mm)、建物外形は線色2(0.18 mm)、というように使い分けます。詳しくは 線色運用の標準 を参照。
Q: 配布されている図面枠テンプレートを使うのは問題ない?
→ 配布元の利用規約を必ず確認 してください。kantancad のように「個人利用OK/再配布NG」を明記しているサイトもあれば、利用規約が不明確なサイトもあります。事務所で使う場合は 規約上問題ないテンプレ を選び、改造して自社仕様にする運用が安全です。配布元への謝意も忘れずに。
関連項目
- JIS A 0150(建築製図通則)の全体像 — 製図規約の地図
- 線色運用の標準 — 図面枠の外枠線・罫線に使う線色の指針
- 線種の使い分け — 外枠線(実線)の選び方
- 印刷時の線太さ標準 — 図面枠線の太さ標準
- 文字サイズの標準 — 表題欄の文字サイズ
- 表題欄の項目と配置ルール — 表題欄の中身
- 縮尺の標準 — 図面枠と組み合わせる縮尺
- 用紙サイズと縮尺 — Jw_cadの用紙サイズ設定
- レイヤと図面枠 — 図面枠を専用レイヤに分ける運用
- 印刷範囲枠の書込み — 印刷コマンドからの枠書き込み
- 図面枠の作り方(簡易版) ※準備中 — 印刷範囲から作る簡易図面枠
- 図面枠の作り方(表題欄付き) ※準備中 — 表題欄付きの本格版
まとめ
- 建築図面の用紙サイズは JIS Z 8311 に基づき A0〜A4 の5種類。建築実務の主力は A1(標準)/A2(詳細図)/A3(打合せ)/A4(添付)
- 図面枠は 「外枠+表題欄+(必要に応じて)シート表」 の3要素で構成
- JIS が定める 外周余白 は A0/A1=20 mm、A2/A3/A4=10 mm。これに とじ代(左辺、20 mm) が追加される
- Jw_cad の 「用紙枠」(点線表示) は印刷されない。実際の図面枠は 線コマンドで作図 するか 印刷コマンドの「枠書込」 で書き込む
- 用紙サイズ・縮尺・図面種別は連動する。A1×1/100×平面図 が建築実務の標準パターン
- 図面枠は 設計事務所単位で標準テンプレート(.jww 4種セット) を整備するのが運用の王道
- 図面枠の 作成手順は Ch.12 に委譲。この記事は「どんな寸法・配置で作るか」の規格解説に集中