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未検証

角度を指定した矩形の作図

このコマンドでできること

Jw_cadの「矩形」コマンドで、コントロールバーの「傾き」欄に角度を入力すると、水平・垂直ではなく任意の角度に傾いた長方形を描けます。敷地の境界線に合わせた建物外形、方位を傾けた配置図のブロック、斜めの街路に向いたバルコニーやポーチなど、図面の中で「斜めの四角」が必要な場面はすべてこの操作でカバーできます。

背景: 矩形コマンドは初期状態だと水平・垂直の長方形しか描けない印象がありますが、コントロールバー「傾き」に1つ数値を入れるだけで、傾いた矩形に切り替わります。線コマンド側の角度指定(4-2)と同じ「傾き」入力UIが矩形コマンドにも用意されており、同じ感覚で操作できます。

注意: この記事は矩形の傾き指定に絞った内容です。矩形コマンドの起動方法・始点と対角点で描く基本手順は 矩形コマンドの基本(始点・対角点) を参照してください。線の角度指定UI全般(15度毎チェック・負角度・小数点入力など)の詳細仕様は 角度を指定した線の作図(15度毎含む) で扱います。


角度指定で矩形を描く流れ(全体像)

水平・垂直の矩形と異なり、傾きを指定する場合は先にコントロールバーで角度を入力してから始点・対角点をクリックします。最初に全体像をつかんでおきましょう。

角度指定矩形の作図サマリー(全5ステップ)

#操作所要
1矩形コマンドを起動数秒
2コントロールバー「水平・垂直」チェックを外す数秒
3「傾き」欄に角度を入力(例: 30数秒
4始点を左クリック(読取点なら右クリック)数秒
5対角点を左クリック(読取点なら右クリック)数秒

合計: 慣れれば10秒以内で1つの傾いた矩形を確定できます。


「傾き」入力欄の使い方

入力欄の位置

矩形コマンドを起動すると、画面上部のコントロールバーに「矩形 / 水平・垂直 / 傾き / 寸法 / ソリッド / 多重」のチェックボックスとテキストボックスが並びます。「傾き」はその中央寄りにあるテキストボックスです。

要確認: コントロールバーのラベル文言は矩形コマンド側でも「傾き」表記であることを実機で確認します。線コマンドと同じUI部品が共通利用されている設計のため、文言も一致している前提で記述しています。

基本の入力ルール

「傾き」欄には、水平右方向(X+方向)からの角度を半角数字で入力します。プラスの値(0〜359)が反時計回り、マイナスの値(例: -30)が時計回りを表す扱いは、線コマンドの「傾き」と完全に共通です。

入力例意味完成する矩形の見え方
0傾きなし(水平・垂直の矩形と同じ)水平の長方形
30反時計回りに30度傾く右上がりに30度傾いた長方形
45反時計回りに45度傾く右上がりに45度傾いた長方形
-30時計回りに30度傾く(330度と等価)右下がりに30度傾いた長方形
90反時計回りに90度傾く90度回転した長方形(縦横が入れ替わったように見える)

背景: 「傾き=0」は画面の右方向(X+方向)が基準で、反時計回りがプラスです。これは数学の極座標と同じ向きで、線コマンド・矩形コマンド・複線コマンドなど数値で角度を扱う箇所すべてで一貫しています。建築図面で「北を上にして時計回りで方位角を測る」習慣とは回転方向が逆なので、最初は混乱しがちです。詳しい理屈と注意点は 角度を指定した線の作図 を参照してください。


角度指定で矩形を描く操作手順

手順1: 矩形コマンドを起動

左側ツールバーの「」アイコンを左クリック、またはメニューバー「作図」→「矩形」で矩形コマンドを起動します。コントロールバーが矩形コマンド用の表示に切り替わります。

手順2: 「水平・垂直」チェックを外す

コントロールバーの「水平・垂直」チェックボックスにチェックが入っていると、「傾き」に数値を入れても無視されて水平の矩形が描かれます。傾きを使う前に、このチェックを必ず外しておきます。

注意: 「水平・垂直」のチェックは、傾き指定時の最大の落とし穴です。「傾きを30度に入れたのに矩形が水平のまま描かれる」というつまずきの原因は、ほぼこのチェック残りです。傾き指定の作業に入るときは、最初に「水平・垂直」を外す習慣をつけましょう。

手順3: 「傾き」欄に角度を入力

コントロールバーの「傾き」テキストボックスを左クリックしてカーソルを置き、角度を半角数字で入力します。例えば水平から反時計回りに30度傾けたい場合は 30 と入力します。

Tips: 「傾き」欄は数値を入力するだけで反映され、Enterキーを押す必要はありません(押してもエラーにはなりません)。入力後はそのまま作図ウィンドウへマウスを動かして、始点指示に進みます。

手順4: 始点を指示

矩形の角のひとつになる位置にマウスポインタを動かし、左クリックします(既存の点や線端に合わせたい場合は右クリックで読取点)。これが矩形の始点(1つ目の角)になります。

Tips: 始点を指示した直後から、入力した角度に沿って傾いた赤い仮表示の矩形が表示されます。マウスを動かすと矩形のサイズだけがリアルタイムに変化し、傾きはずっと固定されたままになります。

手順5: 対角点を指示

矩形の対角の角にしたい位置で左クリック(読取点なら右クリック)します。仮表示が確定し、現在の書込線色・線種・書込レイヤで指定した角度に傾いた矩形が作図されます。

手順6: 続けて次の傾いた矩形を描く

矩形が1つ確定すると、矩形コマンドはそのまま次の矩形を待ち受ける状態に戻ります。「傾き」欄の値も保持されたままなので、同じ角度の矩形を続けて何個でも描けます。違う角度の矩形を描きたい場合は、再び「傾き」欄をクリックして数値を書き換えます。

Tips: 同じ敷地で同じ方位を持つ建物群を配置するときに、傾きを残したまま連続作図できる仕様は便利です。逆に、別の角度に切り替えたいことを忘れると意図しない傾きで矩形が並ぶ事故になるので、毎回コントロールバーの「傾き」値を確認する習慣をつけましょう。


始点と対角点の関係(傾きは「辺」の方向)

傾き指定の矩形では、入力した角度が矩形の「辺」の向きを意味します。具体的には次のような関係になります。

  • 「傾き=30」と入力すると、矩形の水平方向だった2辺が反時計回りに30度傾く
  • 同時に、矩形の垂直方向だった2辺は90度ずれた120度(30+90)の方向を向く
  • 結果として、矩形全体が30度回転した姿になる
入力した傾き横辺の向き縦辺の向き矩形の見え方
0水平(0度)垂直(90度)水平の長方形
30反時計回り30度反時計回り120度右上がりに30度傾いた長方形
45反時計回り45度反時計回り135度右上がりに45度傾いた長方形
90反時計回り90度(垂直)反時計回り180度(水平・左向き)縦長と横長が入れ替わったように見える長方形

背景: 矩形コマンドの傾きは「対角線の角度」ではなく「辺の角度」で指定する仕様です。これは線コマンドの傾き入力と同じ方向の取り方で、CADの作図感覚と一致します。「対角線が30度の矩形を描きたい」場合は、矩形の縦横比から逆算して辺の角度を求めるのではなく、寸法指定矩形(寸法=横,縦)と組み合わせて目的の対角線角度を構成するのが現実的です。

マウス位置と作図方向

始点を指示した後、マウスを動かす方向によって、矩形が始点から見てどの方向に広がるかが決まります。「傾き=30」の場合、始点を中心に「反時計回り30度の辺方向と、120度の辺方向」の2軸で矩形が伸びるため、マウス位置の象限に応じて矩形の広がる側が4パターンに切り替わります。

マウス位置(始点比)矩形の広がる側
右上方向始点を左下角に持つ矩形
左上方向始点を右下角に持つ矩形
左下方向始点を右上角に持つ矩形
右下方向始点を左上角に持つ矩形

要確認: 4象限のうち、始点と対角点の関係が「水平・垂直矩形」と完全に同じパターンで切り替わるか、傾き角度に応じて軸も傾いた状態で判定されるかは実機で確認します。仕様上は「傾いた軸」で4象限を判定する側が自然ですが、検証中はこの記述で進めます。


「水平・垂直」と「傾き」の優先関係

矩形コマンドのコントロールバーでは、「水平・垂直」チェックと「傾き」入力欄が同居しています。両方が同時に有効な状態では、「水平・垂直」が優先されて「傾き」の入力値が無視されます。

「水平・垂直」「傾き」結果
ON空欄水平の矩形
ON数値あり(例: 30水平の矩形(傾き値は無視される)
OFF空欄水平の矩形(傾きが0扱い)
OFF数値あり(例: 3030度傾いた矩形

注意: 「傾き」に数値を入れても矩形が水平のままになる典型的な原因は、この「水平・垂直」チェック残りです。傾き指定の作業を始めるときは、まず「水平・垂直」のチェックを外してから「傾き」に数値を入れる順序で進めます。

Tips: 角度指定の作業から通常作図(水平・垂直)に戻るときは、「傾き」欄の数値を消すよりも「水平・垂直」にチェックを入れるほうが速い場合があります。傾き値を残したまま一時的に水平矩形を描き、その後の傾き指定にはチェックを外すだけで戻れる、という運用ができます。


軸角と矩形「傾き」の関係

Jw_cadの「軸角」設定(軸角を設定する)を有効にすると、画面の水平・垂直方向そのものが回転した状態になります。この状態で矩形コマンドの「傾き」を使うと、軸角を基準とした相対角度として解釈されます。

軸角・傾き・水平垂直チェックの組み合わせ

軸角「水平・垂直」「傾き」結果
0度ON画面の水平・垂直に沿った矩形
0度OFF30画面の水平から30度傾いた矩形
23度ON軸角に沿った水平・垂直の矩形(画面上は23度傾いて見える)
23度OFF30軸角の23度に対してさらに30度(合計53度)傾いた矩形
23度OFF0軸角に沿った矩形(軸角=23度の方向に水平な矩形)

軸角と矩形傾きの使い分け方針

  • 建物全体・敷地全体が同じ方位に傾いている場合 → 軸角を設定し、矩形は「水平・垂直ON」または「傾き=0」で描く
  • 特定の矩形だけが他と違う角度に傾いている場合 → 軸角は0のまま、矩形コマンドの「傾き」に個別の角度を入れる
  • 両方が混在する案件(傾いた敷地に、さらに斜めに振られた建物がある)→ 軸角で大きな傾きを取り、矩形の「傾き」で残りの相対角度を入れる

PERSCの推奨: 敷地が傾いている案件では、最初に軸角を設定する判断を強くおすすめします。1棟分の矩形をすべて「傾き=23」のように個別入力してまわると、入力ミスや書き換え忘れで角度がずれた矩形が混入する事故が起きやすくなります。軸角を1度設定すれば敷地全体が水平基準に揃うため、その後の矩形・線・複線などすべての作図が「傾き=0または90」で済むようになります。詳しくは 軸角を設定する を参照してください。

要確認: 軸角設定中の「傾き」値が「軸角を含めた絶対角度」か「軸角からの相対角度」かはバージョン差の可能性があります。実機で確認してください。


寸法指定との併用

「傾き」欄と「寸法」欄を同時に使うと、サイズが決まっていて、なおかつ傾いた矩形を1クリック配置で描けます。寸法指定矩形の9点基準による配置と、傾き指定が同時に効く形になります。

操作の順序

  1. 矩形コマンドを起動
  2. 水平・垂直」のチェックを外す
  3. 傾き」欄に角度を入力(例: 30
  4. 寸法」欄に「横,縦」を入力(例: 1820,910
  5. 配置位置で左クリック
  6. 9点基準を選んでもう一度クリックで確定

9点基準と傾きの関係

寸法指定矩形では、マウスの方向に応じて「クリック位置を矩形のどこに合わせるか」が9点(左上・上中・右上・左中・中・右中・左下・下中・右下)で切り替わります。傾きを併用した場合、9点基準の枠そのものも傾きに沿って回転します。例えば「傾き=30」「寸法=1820,910」で配置するときの「右上基準」は、傾いた矩形の右上の角を意味し、画面上の絶対的な右上ではありません。

要確認: 9点基準の枠が傾きに沿って正しく回転するかは実機で確認します。仕様上は回転する側が自然ですが、バージョン差の可能性があります。

Tips: 寸法と傾きを両方指定するパターンは、敷地に合わせた建物外形を1ストロークで配置する場面で力を発揮します。建物の標準外形が 9100,7280 で、敷地の北辺が23度傾いているなら、軸角=23度を設定した上で「寸法=9100,7280」を9点基準(中基準など)で配置すれば、敷地に沿った建物が一発で配置できます。

寸法指定の詳細は 寸法を指定した矩形 を参照してください。


ソリッド矩形との併用

ソリッド」チェックボックスをONにした状態で「傾き」を入力すれば、**傾いたソリッド矩形(中が塗りつぶされた斜めの長方形)**を描けます。基本操作(始点・対角点クリック)は通常の傾き矩形とまったく同じで、確定後の矩形が「4本の線」ではなく「ひとつの塗りつぶし図形」になる違いだけです。

傾きソリッド矩形の作図手順

  1. 矩形コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「ソリッド」を左クリックしてチェックを入れる
  2. 水平・垂直」のチェックを外す
  3. 傾き」欄に角度を入力(例: 30
  4. 始点を左クリック(読取点なら右クリック
  5. マウスを動かして矩形のサイズを決め、対角点で左クリック(読取点なら右クリック

Tips: 傾いたソリッド矩形は、敷地境界沿いの法面(のりめん)や、斜め街路に向いた駐車場の塗り分けといったプレゼン用途で重宝します。任意色(コントロールバー「任意■」ボタンで設定)と組み合わせれば、建築規制図のセットバック範囲・斜線制限のかかる範囲を斜めの帯で表現できます。

要確認: 「傾き」入力+「ソリッド」ONで作図したソリッド矩形が、傾いたまま1つの図形として確定し、移動・複写後も傾きを保持するかは実機で確認します。

ソリッド矩形の基本仕様(対角線・任意色)は 矩形コマンドの基本(始点・対角点) のソリッド節を参照してください。


入力した「傾き」のクリア・書き換え

「傾き」欄に一度数値を入れると、矩形コマンドを抜けて再び矩形コマンドに戻ったときも、その値が残った状態になることがあります。意図せず斜めの矩形が描かれて困るのを防ぐため、クリア手順を覚えておきましょう。

クリア手順

  1. 傾き」入力欄をマウスでクリックしてカーソルを置く
  2. Ctrl + A で全選択 → Delete または Backspace で削除
  3. 空欄になったことを確認

または、

  1. 傾き」入力欄をダブルクリックして中身を全選択
  2. Delete または Backspace で削除

別角度に書き換える場合

クリアしてから入力し直すよりも、全選択(Ctrl+A またはダブルクリック)から直接タイプしたほうが速いです。全選択された状態でキー入力すると元の数値が上書きされます。

注意: 「傾き」欄が空欄でないまま矩形を描くと、入力済みの角度で矩形が固定されます。「マウスで自由に対角点を指示しているのに、なぜか同じ角度に傾く」ときは、まず「傾き」欄が空かを確認してください。

要確認: 「傾き」欄の値がJw_cad終了時まで保持されるか、コマンド切替で自動クリアされるかを実機で確認します。線コマンドの「傾き」と矩形コマンドの「傾き」が同じ値を共有するかどうかも合わせて検証してください(共有する場合、線で23度を入れた直後に矩形へ移ると矩形側にも23度が乗ったままになります)。


書込線色・線種との関係

傾き指定で作図された矩形(4本の線、またはソリッド図形)は、現在の書込線色・線種で描かれます。違う種類の傾き矩形を続けて描きたい場合は、矩形コマンドの操作前に書込線属性を切り替えます。

書込線属性の確認・変更方法は 線属性(線色・線種)の設定 を参照してください。

PERSCの推奨: 傾いた矩形は、図面上で「補助的な情報」を表すことが多いです(敷地境界沿いのセットバック範囲、斜線制限のかかる範囲、法面の表現など)。**補助線レイヤ + 細線(線色6)**にしておくと、印刷時に主役の建物外形と区別しやすくなります。


角度指定矩形の使い分け(実務での意思決定)

角度を持つ矩形を描く方法は、状況によって最適解が変わります。代表的な選択肢を整理します。

状況選ぶ手段理由
1〜2個だけ斜めの矩形がある矩形コマンド「傾き」軸角を変えるほどではない。手早く済ませる
多数の矩形が同じ方位に傾く軸角設定 + 矩形「水平・垂直」全体の傾きを一括で取り、個別矩形は水平基準で描ける
傾きと寸法の両方を厳密に指定矩形「傾き」+「寸法」+ 9点基準配置位置と寸法を1クリックで確定
既存線と平行な矩形を描きたい矩形「傾き」+ 角度取得(既存線の角度を読み取り)既存線から角度を自動取得できるため計算不要
傾いた塗りつぶしを表現したい矩形「傾き」+「ソリッド」+「任意色」法面・規制範囲などの面表現に最適

「角度取得」機能で既存線の角度を「傾き」欄に自動入力する操作については、線コマンドと共通仕様のため 角度を指定した線の作図 のつまずきポイント節も参考になります。


実務での使い方 ★PERSC独自

敷地境界に合わせた建物外形(配置図)

敷地境界線が水平・垂直に対して傾いている案件は、住宅地・商業地問わず非常に多くあります。北辺が23度傾いた敷地に、敷地に平行な向きで建物を配置するとき、矩形コマンドの「傾き」に23を入れて建物外形を1ストロークで描けます。

実務的には、敷地全体が傾いている場合は軸角設定を併用するのが第1選択ですが、軸角を変えたくない(既に他の作図が画面水平基準で進んでいる)場合は、矩形コマンドの「傾き」だけで対応するのが現実解です。

例: 23度傾いた敷地に9100×7280の建物を配置

  1. 矩形コマンドを起動
  2. 「水平・垂直」のチェックを外す
  3. 「傾き」に 23 を入力
  4. 「寸法」に 9100,7280 を入力
  5. 敷地の南西角(建物の左下に置きたい角)を右クリックで読取り
  6. マウスを右上方向に動かして「左下基準」の仮表示が出た状態で左クリック確定

この6ステップで、敷地境界に沿った建物外形が一発で配置できます。

方位を傾けた配置図のブロック群

商業施設・倉庫・公共施設のように、複数棟が同じ方位に傾いて並ぶ配置図では、すべての建物外形を同じ「傾き」値で連続作図します。1棟描いたら、複写コマンドで残りを並べる運用が効率的です。

PERSCの推奨: 同じ傾きで複数の建物を配置する場合、1棟目を矩形コマンドで描き、2棟目以降は範囲選択 → 複写で並べるのが速いです。複写コマンドは元の傾きを保持したまま複製するため、「傾き」値を毎回入力し直す必要がありません。

斜め街路に向いたバルコニー・玄関ポーチ

住宅でも、敷地は水平・垂直なのに「バルコニーやポーチだけ斜めに振った設計」というケースがあります。リビング側を東南東に向けて日射を多く取り込むデザインや、隣地境界線を避けて雁行(がんこう:建物を斜めにずらす配置)させるプランです。

この場合、建物本体は水平・垂直の矩形で描き、バルコニー・ポーチ部分だけ「傾き」に角度を入れて作図します。部分的に傾いた要素には軸角設定は使わず、矩形コマンドの「傾き」だけで対応するのが正解です。

法面(のりめん)・段差処理の表現

造成図・外構図では、法面(斜めに切り土・盛り土した壁面)を斜めの矩形で表現することがあります。「傾き」+「ソリッド」+「任意色」で薄いグレーの傾いた帯を描けば、法面のかかる範囲が一目で伝わります。

例: 30度の法面範囲を斜めソリッド矩形で表現

  1. 矩形コマンドを起動 → 「水平・垂直」OFF
  2. 「傾き」に 30 を入力
  3. 「ソリッド」にチェック → 「任意色」にチェック → 「任意■」で薄いグレーを設定
  4. 法面の上端を始点(右クリック)→ 下端の対角点(右クリック)で確定

斜め街路に並ぶ駐車場区画の塗り分け

商業施設の駐車場で、街路に沿って区画が斜めに並ぶレイアウトをプレゼン図で表現するときは、傾きソリッド矩形を1区画分描いて、それを複写で並べるのが最速です。1区画あたり 2500,5000 程度の傾いた塗りで配置していけば、駐車計画のラフが短時間で組めます。

規制範囲の傾き帯(斜線制限・道路境界後退)

建築基準法の斜線制限・道路境界後退(セットバック)は、敷地に対して斜めの帯で示すと申請図で読みやすくなります。**傾きソリッド矩形 + 任意色(半透明系のグレー)**で帯を作成すれば、規制範囲が建物外形に重なるかどうかが視覚的に確認できます。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 「傾き」に数値を入れたのに、矩形が水平のまま描かれる

→ 「水平・垂直」チェックボックスがONになっている可能性が最も高いです。コントロールバーを確認し、「水平・垂直」のチェックを外してから「傾き」に数値を入れ直してください。「水平・垂直」がONの場合、「傾き」の入力値は無視されます。

Q: 「傾き」欄に数値を入れたが、思ったのと逆向きに矩形が傾く

→ Jw_cadの「傾き」は反時計回りがプラスです。建築の方位角(北基準で時計回り)と回転方向が逆なので、最初は混乱しがちです。時計回りに傾けたい場合は、マイナスの値(例: -30)を入れるか、360 - 角度(例: 330)を入れてください。

Q: 矩形が予想と違う角度に傾いている(例: 入れた値と違う角度になる)

軸角が0以外に設定されている可能性があります。軸角が23度に設定されている状態で「傾き=30」を入れると、画面の絶対角度では53度(軸角23度+傾き30度)傾いた矩形が描かれることがあります。意図しない場合は、軸角を0に戻してから矩形コマンドの「傾き」を使い直してください。軸角の確認・解除手順は 軸角を設定する を参照。

Q: 描き終わった矩形を見ると、辺が斜めに切れて見える(矩形になっていない)

→ 仕様上、矩形コマンドで描いた4本の線は始点・対角点に応じて閉じた長方形になるはずです。閉じていないように見える場合は、画面表示の倍率が低くて辺の交点がずれているように見えているだけの可能性があります。マウスホイールで拡大表示してもう一度確認してください。それでも閉じていない場合は、別コマンドを誤起動して途中で線が混入している可能性があります。

Q: 同じ角度の矩形を続けて描きたいのに、毎回「傾き」を入れ直しになる

→ 通常、矩形コマンドを抜けない限り「傾き」値は保持されます。毎回リセットされる場合は、別のコマンド(線・消去など)に切り替えてから戻ってきていないかを確認してください。コマンド間で「傾き」値が共有されない設定・バージョンの場合は、矩形コマンドを抜けない運用にして、書込線属性の変更などはコマンドを抜けずに行うのが速いです。

Q: 「傾き」を入れて矩形を描いたら、続けて引いた線まで斜めになった

→ 矩形コマンドで設定した「傾き」値が、線コマンドにも引き継がれている可能性があります。線コマンドのコントロールバーで「傾き」欄を確認し、不要な角度値が残っていれば Ctrl+ADelete でクリアしてください。逆もまた然りで、線コマンド側で設定した傾きが矩形コマンド側に持ち越されることもあります。

Q: 既存の斜め線と同じ角度の矩形を描きたい

→ 既存線の角度を目分量で読み取って手入力するのではなく、「線角度取得」機能を使うのが正解です。メニューバー「設定」→「角度取得」→「線角度」で対象線をクリックすると、コントロールバーの「傾き」欄にその線の角度が自動入力されます。矩形コマンドでもこの値が反映されるため、敷地境界線に正確に平行な建物外形を1クリックで取得できます。

Q: 傾けた矩形を範囲選択したら、4本の線がそれぞれ別の角度で選ばれた

→ それが正しい挙動です。矩形コマンドで描いた矩形は、データ上は独立した4本の線として記録され、傾けた矩形でも辺ごとに角度が異なります(横辺2本=指定傾き、縦辺2本=指定傾き+90度)。「ひとまとまり」として扱いたい場合は、範囲選択 → ブロック化を行うか、ソリッド矩形として描き直します。

Q: 9点基準で配置するときの「右上」「左下」がわからなくなる

→ 寸法指定 + 傾き指定を併用した場合、9点基準の枠は傾きに沿って回転します。「右上」は傾いた矩形の右上の角であって、画面の絶対的な右上ではありません。マウスを動かしながら仮表示の矩形がどの位置で表示されるかを目で確認し、希望の位置に来た瞬間にクリックするのが確実です。

Q: 「傾き」と「軸角」のどちらを使うべきか判断に迷う

→ 判断基準は「傾きが必要な要素が単発か、図面全体に及ぶか」です。図面全体・敷地全体が傾いている場合は軸角設定で一括対応するのが正解です。一部の要素(バルコニー1枚、看板1枚など)だけが傾いている場合は、矩形コマンドの「傾き」で個別対応します。両方が混在する案件では軸角で大きな傾きを取り、残りの相対角度を「傾き」で入れる二段構えにします。

Q: 小数点を含む角度(例: 21.8度)はどう入力する?

→ 半角の「.」(ピリオド)で 21.8 と入力します。全角ピリオドや読点(、)はエラーになります。屋根勾配やJIS規格の角度(4寸勾配=21.80度、5寸勾配=26.57度など)はすべてこの方法で入れられます。傾けた屋根の野地板を矩形で描く場合などに使います。


関連項目


まとめ

  • 傾いた矩形は、矩形コマンドのコントロールバー「傾き」欄に角度を入力して描く
  • 角度入力前に必ず「水平・垂直」チェックを外す(チェックON時は傾きが無視される)
  • 「傾き=0」は画面の右方向(X+)。反時計回りがプラス、時計回りはマイナス(または 360-x
  • 図面全体が傾いている場合は軸角設定で対応するのが第1選択。一部要素だけが傾いている場合は矩形「傾き」で個別対応
  • 「傾き」+「寸法」+「ソリッド」を組み合わせれば、敷地に沿った建物外形・法面・規制範囲などの傾き面表現が1ストロークで描ける
  • 入力した「傾き」値は他の操作にも残ることがある。意図しない斜め矩形が出たら、まず「傾き」欄を空欄に戻す