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建具図の作り方(建平・建立・建断の3点セット作成)
このページでできるようになること
実施設計の終盤で必要になる 建具表シート(建具リスト)を、Jw_cad 標準の建具コマンド3種「建具平面(建平)」「建具立面(建立)」「建具断面(建断)」を組み合わせて作れるようになります。各建具に「W1・W2…」「D1・D2…」といった符号を付け、平面・立面・断面の3点セットを並べた1枚の建具表シートに仕上げる流れを身に付けられます。建具リストのレイアウト・寸法・縮尺・整合チェックまで含めて、住宅・ビル両方の実施設計で使える形にまとめます。
背景: 建具表は実施設計図書の中でも「平面図 → 立面図・断面図 → 建具表 → 仕上表」と順番に作る、後工程の図面です。平面図に貼った窓・ドアと、建具表に並んだ建具姿図が W1 = W1 で揃っている ことが、施工側との信頼を作る一番の要点になります。この記事は建具コマンド3種の単体操作ではなく、それらを束ねて1枚の建具表シートにまとめる工程を扱います。
建具表シートとは
建具表シート(建具リスト)は、建物に使う窓・ドアを 1建具ずつ姿図で並べた図面 です。意匠図の最後に1〜数枚添付され、現場の発注・取付指示に使われます。
1枚の建具表シートに載るもの
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 建具姿図(けんぐすがたず) | 各建具の 平面図・立面図・断面図 の3点セット |
| 建具符号 | W1, W2, D1, D2 などの記号 |
| 寸法注記 | W(幅)×H(高さ)の内法寸法 |
| 仕様注記 | 材質・ガラス種別・金物・取手位置 |
| 建具表(表組み) | 全建具を一覧化した数量表(凡例表) |
| 図面枠・タイトル欄 | シート番号・縮尺・物件名 |
背景: 建具姿図の「姿(すがた)」は、建具を正面から見た立面と、上から見た平面、断面で切った見え方をまとめた一式の表現です。平面・立面・断面の3点で1組という言い方は実施設計の現場用語で、建築図面の標準的な表現方法です。
この記事の範囲
| 範囲 | 扱う/扱わない |
|---|---|
| 建具表シートのレイアウト・並べ方 | この記事で扱う |
| W/D 符号の付け方・運用 | この記事で扱う |
| 平面・立面・断面の3点セットを揃える整合運用 | この記事で扱う |
| 建具表(表組み)の列構成 | この記事で扱う |
| 建平・建断・建立コマンドの個別操作詳細 | Ch.4 各記事に委譲 |
| 平面図への建具配置 | 12-5 に委譲 |
| 配布用建具データ集 | Ch.15 素材ライブラリに委譲(※準備中) |
全体ワークフロー
建具表シートを完成させるまでの工程は、おおむね以下の流れです。
建具表作成フロー(全7工程)
| # | 工程 | 内容 | 所要 |
|---|---|---|---|
| 1 | 建具リスト作成 | 平面図から窓・ドアを拾い出し、W1・D1 と符号を割り振る | 1〜2時間 |
| 2 | レイアウト設計 | 建具表シートのレイヤグループ・縮尺・並び順を決める | 30分 |
| 3 | 立面図作成 | 「建立」コマンドで各建具の立面図を作図 | 1建具あたり1〜2分 |
| 4 | 平面図作成 | 「建平」コマンドで各建具の平面図を作図(建具表シート用) | 1建具あたり30秒 |
| 5 | 断面図作成 | 「建断」コマンドで枠の納まり断面を作図 | 1建具あたり1〜3分 |
| 6 | 寸法・符号注記 | W×H・W1〜・材質・金物等を文字で記入 | 30分〜1時間 |
| 7 | 建具表(表組み)作成 | 全建具を1表に整理して凡例表を貼り付け | 30分〜1時間 |
合計: 住宅1棟(建具15〜20個)でおおむね4〜6時間、RC造小規模ビル(建具30〜50個)でおおむね半日〜1日が目安です。
画像準備中 — 建具表シート完成形(W1〜W3 + D1〜D3 の3点セット並列レイアウト)
建具コマンド3種の役割分担
Jw_cad には建具データを呼び出す3つの専用コマンドがあります。建具表シートでは 3つすべてを使う ことになります。
3コマンドの対応関係
| コマンド | 略称 | 何を作るか | 縮尺の目安 | 主な入力欄 |
|---|---|---|---|---|
| 建具平面 | 建平 | 建具を 真上から 見た図 | 1/50 | 内法(mm) |
| 建具立面 | 建立 | 建具を 正面から 見た図 | 1/50 | 内法(横, 縦 mm) |
| 建具断面 | 建断 | 建具を 断面で切った 図 | 1/5〜1/10 | 見込(mm) |
背景: 平面・立面・断面の縮尺が違うのは、建断(断面)が「枠と壁の取り合い」「ガラスのはまり方」「気密パッキンの位置」といった納まりの細部を見せるためです。1/50では潰れるため、1/5〜1/10にして詳細を表現します。
コマンドの起動方法(共通)
3コマンドはすべて以下のいずれかで起動できます。
- メニューバー: 「作図」→「建具平面/建具立面/建具断面」
- ツールバー: 「作図(2)」ツールバー内の「建平/建立/建断」ボタン
- クロックメニュー: 4時方向ドラッグ + 右クリック(建断の例)
各コマンドの操作詳細・コントロールバーの全項目は以下の専用記事に集約しています。
この記事ではこれらを 建具表シート作成のために組み合わせる視点 で使い方を整理します。
建具リスト(拾い出し)の作り方
建具表シートの作図に入る前に、平面図から建具を拾い出して 建具リスト(一覧表) を作ります。これが後の工程すべての基礎になります。
拾い出しの基本ルール
| 観点 | ルール |
|---|---|
| 拾い出し単位 | 同じ寸法・同じ仕様のものは 1符号にまとめる |
| 符号の付け方 | 窓は W1, W2, .../ドアは D1, D2, .../引戸は SD1, SD2, ... |
| 番号順 | 玄関側 → 居室 → 水廻り → サービスヤード の順が読みやすい |
| 階層別 | 1F は W1〜、2F は W101, W102 のように階層プレフィックスを付ける運用も可 |
PERSCの推奨: 同じ寸法・仕様の窓が複数箇所にあれば 同じ符号(例: W3 を計5箇所) で拾います。建具発注は数量単位で行うため、現場目線では「W3 を5枚」が自然です。1箇所ごとに別符号を付けると建具リストが肥大化して整合チェックが破綻します。
符号の標準命名(PERSC編集部推奨)
| 種別 | 符号 | 対象 |
|---|---|---|
| 窓 | W系(W1, W2…) | 引違い窓・FIX窓・縦すべり窓・横すべり窓・出窓 |
| ドア | D系(D1, D2…) | 玄関ドア・勝手口ドア・室内ドア(片開き/両開き) |
| 引戸 | SD系(SD1, SD2…) | 室内引戸・押入れ引戸・引込みドア |
| 折戸 | FD系(FD1, FD2…) | クローゼット折戸・浴室折戸 |
| シャッター | RS系(RS1, RS2…) | 雨戸・電動シャッター |
背景: W は Window、D は Door、SD は Sliding Door、FD は Folding Door、RS は Rolling Shutter の略。標準化されているわけではありませんが、設計事務所・ハウスメーカー・建設会社の多くがこの体系を採用しています。受注先に独自ルールがあればそれに合わせます。
拾い出し表のサンプル(住宅例)
| 符号 | 種別 | 内法 W×H | 配置箇所 | 数量 |
|---|---|---|---|---|
| W1 | 引違い掃出し | 1690 × 2030 | LDK南面 | 2 |
| W2 | 引違い腰窓 | 1690 × 1170 | 寝室・子供部屋 | 3 |
| W3 | 引違い小窓 | 690 × 770 | トイレ・浴室 | 2 |
| W4 | FIX窓 | 405 × 970 | 階段踊場 | 1 |
| D1 | 親子玄関ドア | 1200 × 2400 | 玄関 | 1 |
| D2 | 片開きドア | 800 × 2000 | 各居室 | 4 |
| D3 | 片開き浴室ドア | 700 × 2000 | 浴室 | 1 |
| SD1 | 引違いクローゼット | 1690 × 2000 | クローゼット | 2 |
このリストを基に、次工程で各符号の建具姿図(3点セット)を作っていきます。
建具表シートのレイアウト設計
拾い出した建具をどう並べるかを先に決めます。レイアウトを後から変えると寸法注記の位置調整が二重作業になるためです。
用紙サイズと建具数の目安
| 用紙 | 縮尺 | 1シートに収まる建具数 |
|---|---|---|
| A3横 | 建平/建立 1/50・建断 1/10 | 4〜6個 |
| A2横 | 建平/建立 1/50・建断 1/10 | 8〜12個 |
| A1横 | 建平/建立 1/50・建断 1/10 | 16〜24個 |
PERSCの推奨: 木造住宅(建具15〜20個)なら A2横1〜2枚 が標準です。1シートに詰め込みすぎると凡例表との対応が追いにくくなるため、A2 1枚に8〜12個までを上限にすると見やすく整います。
1建具あたりの占有スペース
各建具の3点セットを並べる際、1建具あたりの占有スペースは縮尺1/50で 横600 × 縦400mm(実図面上) が目安です。
1建具セルのレイアウト例
┌─────────────────┐
│ [建立] 立面図 │ ← 正面から見た姿
│ │
├──────┬──────────┤
│[建平]│ [建断] │ ← 真上 / 断面詳細
│ 平面 │ 断面 │
├──────┴──────────┤
│ W1 1690×2030 │ ← 符号 + 寸法注記
│ アルミ・引違い │
└─────────────────┘Tips: 立面を上、平面を左下、断面を右下に置くのが一般的です。立面が一番大きく見せたい情報のため、上段を広く取ります。断面詳細はサイズが小さいため右下に小さく配置できます。
画像準備中 — 1建具分の「平面・立面・断面」3点セットの拡大
レイヤグループの分け方
建具表シートは 平面図とは別のレイヤグループ に作るのが基本です。
| グループ | 内容 | 縮尺 |
|---|---|---|
| Gp.A | 建具表シート(建立・建平本体) | 1/50 |
| Gp.B | 建具表シート(断面詳細用) | 1/10 |
| Gp.C | 建具表(凡例表・表組み) | 1/1 |
| Gp.F | 図面枠 | 1/1 |
背景: 同一レイヤグループ内の図形はすべて同じ縮尺になるため、1/50の建立と1/10の建断を同居させるとどちらかが歪みます。レイヤグループを分けて配置するのが、Jw_cad で混在縮尺を扱う標準アプローチです。詳しくは 建築図面のレイヤ分け実践 を参照してください。
画像準備中 — 建具表シート用のレイヤグループ構成
立面図(建立)の作図
3点セットの中で最初に作るのは立面図です。立面が建具表の主役になるため、ここを基準にレイアウトを決めるのが効率的です。
建立コマンドの基本手順(建具表用)
- 書込みレイヤを「建具姿図」レイヤに切替
- 「建立」コマンドを起動
- 建具データから配置するものを選択(左ダブルクリック)
- コントロールバーの「内法」に
横, 縦をカンマ区切りで入力 - 必要に応じて「左内法」「下内法」タブで基準点を切替
- 配置位置を左クリック(任意点)または右クリック(読取点)
要確認: 建具立面の「内法」欄は
横寸法 , 縦寸法の2値カンマ区切り入力です(s-projects/jwdojoの記述に基づく)。実機での挙動と単位の正確性は確認が必要です。
画像準備中 — 建立のコントロールバーで「内法」に「横,縦」を入力した状態
内法の入力例
| 建具 | 内法(横, 縦) | 入力 |
|---|---|---|
| 引違い掃出し | 1690mm × 2030mm | 1690,2030 |
| 引違い腰窓 | 1690mm × 1170mm | 1690,1170 |
| 玄関ドア(親子戸) | 1200mm × 2400mm | 1200,2400 |
| 片開きドア | 800mm × 2000mm | 800,2000 |
| FIX窓 | 405mm × 970mm | 405,970 |
基準点(左内法・下内法)の切替
建立のコントロールバーには「左内法」「下内法」のタブが並びます。タブをクリックするごとに基準点が切り替わります。
| タブ | 横方向の切替順 | 縦方向の切替順 |
|---|---|---|
| 左内法 | 左内法 → 中 → 右内法 → 右外側 → 左外側 | — |
| 下内法 | — | 下内法 → 中 → 上内法 → 上外側 → 下外側 |
PERSCの推奨: 建具表シートでは 「左内法・下内法」(建具の左下内側を基準) が初期値で使いやすいです。配置位置で右クリックして基準点に建具左下を合わせると、隣の建具との並びが揃います。
要確認: タブのクリック切替順序とラベル変化は実機で確認します。バージョンにより挙動差がある可能性があります。
画像準備中 — 建立の基準点切替(左内法/中/右内法/上外側/下外側のラジオ配置)
立面図の作図順
建具リスト順に作図するのが定石です。
W1 → W2 → W3 → W4 → D1 → D2 → D3 → SD1W系をまとめて配置してから D系・SD系に進むと、リズムが崩れず連続作業になります。
平面図(建平)の作図
建立で立面が並んだら、各建具の真下に 平面図(建平) を配置します。建具表シートの建平は、平面図本体に貼る建平とは目的が異なります。
平面図本体に貼る建平との違い
| 観点 | 平面図本体(12-5の範囲) | 建具表シート(この記事) |
|---|---|---|
| 目的 | 開口部を表現する作図要素 | 建具の上面形状を見せる凡例 |
| 縮尺 | 1/100 が一般的 | 1/50 が標準 |
| 周囲 | 壁線あり(要切り欠き) | 壁線なし(建具単体) |
| 寸法 | 通り芯起点の位置寸法 | 内法寸法のみ |
建具表シート用の建平作図手順
- 書込みレイヤを「建具姿図」レイヤに切替(立面と同じレイヤ)
- 「建平」コマンドを起動
- 建具データから立面と同じ建具を選択
- コントロールバーの「内法」に 横寸法のみ(例:
1690)を入力 - 仮基準線を作図ウィンドウ内に左クリックで指示
- 立面の真下に当たる位置を読取点で指示
Tips: 建具表シート用に「仮基準線」を別レイヤ(補助線レイヤ)で薄く水平に引いておくと、建平の基準線指示が一発で決まります。仮基準線は建具表完成後に削除またはレイヤ非表示にします。
寸法の整合確認
建具表シートで一番怖いのが 建立と建平で横寸法が一致していない 失敗です。建立に 1690,2030 と入れたら、建平でも 1690 を入れます。
注意: コピー&ペーストで2個目の建具に流用すると、内法を変え忘れて全件同じ寸法になりがちです。建具リストに従って 1建具ずつ内法を打ち直す のが安全です。
断面図(建断)の作図
建立・建平が並んだら、各建具の 枠の納まり断面 を建断コマンドで描きます。建断は3点セットの中で最も詳細を見せる図のため、別レイヤグループで縮尺1/10前後で扱います。
建断コマンドの基本手順
- 書込みレイヤグループを 断面詳細用グループ(Gp.B) に切替
- 書込みレイヤを「断面詳細」レイヤに設定
- 「建断」コマンドを起動
- 建具データから配置するものを選択(建具断面 A〜C のフォルダから)
- コントロールバーの「見込」に枠の見込寸法(mm)を入力
- 基準線を左クリック → 始点を左クリック(読取点なら右クリック)→ 終点を指示
Tips: 「見込」とは建具枠の 奥行き方向の厚み のことです。アルミサッシなら70〜100mm、木製建具なら30〜45mm、玄関ドア枠なら100mm前後が一般的です。建具メーカーのカタログから引用するのが確実です。
画像準備中 — 建断のコントロールバーで「見込」入力欄を有効にした状態
見込寸法の標準値
| 建具 | 見込(mm) | 備考 |
|---|---|---|
| アルミサッシ(半外付け) | 70〜100 | YKK AP / LIXIL の住宅用標準 |
| ビル用アルミサッシ | 100〜170 | 内付け・外付け |
| 木製室内ドア枠 | 30〜45 | 真壁・大壁で異なる |
| 玄関木製ドア枠 | 90〜110 | 断熱性能で変化 |
| 玄関アルミドア枠 | 100〜200 | 親子戸で大きめ |
要確認: 見込寸法はメーカー・製品で大きく異なります。建具表で記載する数値は実プロジェクトの仕様書・カタログから引用するのが原則です。
基準点変更ダイアログ
建断にも「基準点変更」タブがあり、クリックするとラジオボタンが並ぶダイアログが開きます。建具のどの位置を基準に貼るかを9点(左上・上中・右上・左中・中・右中・左下・下中・右下)から選択できます。
PERSCの推奨: 建断は枠の左下角を基準にして、立面の真横(または下)に並べるとレイアウトが揃います。
断面詳細に追加する要素
標準の建具断面データだけでは情報が不足するため、追加で書き込むことが多い要素です。
| 要素 | 書き込み内容 |
|---|---|
| 取付ビス位置 | 「ステンレスSUS304 4×40 @300」等の注記 |
| 気密パッキン | EPDMパッキン、シリコンシール部分 |
| ガラス押え | アルミ押え、シリコン押え |
| ガラス種別 | 単板/合せ/ペア/網入り の表記 |
| 内外区別 | 屋内側/屋外側 の矢視 |
| 取り合い | 壁の納まり・額縁の取付 |
3点セットの整合チェック
平面・立面・断面で寸法・形状が 一致している ことが、建具表シートの信頼性を決めます。整合が取れていないと、現場発注で取り違えが発生します。
整合チェック5項目
| # | チェック観点 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 1 | 横寸法の一致 | 建立の横(1690等)= 建平の横(1690)= 拾い出し表の W |
| 2 | 縦寸法の一致 | 建立の縦(2030等)= 拾い出し表の H |
| 3 | 見込寸法の整合 | 建断の見込(70等)= 建具メーカーカタログ値 |
| 4 | 引き勝手の方向 | 建立の引き勝手(→ ←)= 建平の引き勝手(→ ←)= 平面図本体の引き勝手 |
| 5 | 開き勝手(ドア) | 建立の吊元位置 = 建平の吊元位置 = 平面図本体の吊元位置 |
画像準備中 — 平面と立面で W1 寸法が一致している様子の図示
整合の取り方の運用
PERSCの推奨: 整合は「建具リストを正」とする運用が確実です。建具リスト(拾い出し表)の数値が真実で、建立・建平・建断はそれに合わせて作る、という単方向の流れにします。リストを更新したら3点セットを直す、3点セットを直してもリストは触らない、というルールを徹底すれば、整合崩れの大半が防げます。
注意: 平面図本体(12-5で扱う範囲)に貼った建具の引き勝手・吊元方向と、建具表シートの3点セットが食い違うと、現場側で「どっちが正?」となります。整合は 平面図 → 建具リスト → 3点セット の方向で揃えるのが安全です。
ガラス・金物・取手の表現
建具表シートでは、ガラス種別と金物の位置を 建具姿図の上に追記 します。標準の建具データには含まれないため、自前で書き足すことになります。
ガラスの表現
| ガラス種別 | 立面図での表現 | 断面図での表現 |
|---|---|---|
| 単板(フロート板) | 線なし or 「FL5」等の文字 | 1本線 |
| 合せガラス | 斜線ハッチング | 中央に薄い樹脂層を線で表現 |
| 複層(ペア/Low-E) | 「Pair」表記+網点 | 2本線(中空層は実線間隔で表現) |
| 網入り | 縦横の格子線 | 中央に細い線(金網) |
| すりガラス(型板) | 細かいドット | 1本線+「型板」注記 |
画像準備中 — 網入り/合せ/ペアの3パターン断面ハッチング比較
取手・金物の表現
立面図に取手位置を 小さい円や四角 で描き加えます。
| 建具種別 | 取手の描き方 |
|---|---|
| 引違い窓 | 中央2箇所に「クレセント」を描く(縦長の小四角) |
| 片開きドア | 吊元の反対側 ・床から1000mm 高さに「レバーハンドル」(横長の小長方形) |
| 引戸 | 中央付近に「引手」(縦の小溝) |
| 玄関ドア | サムラッチ・電気錠等を実物形状で |
画像準備中 — 引違い窓(クレセント) vs 片開きドア(レバーハンドル)の描き分け
Tips: 取手位置は建具表シートで指示する重要要素です。施工後に「取手位置がカタログと違う」というクレームを防ぐため、寸法線で 床から○○mm を必ず記入します。
金物リスト(補足表)
ガラス・金物が複雑なプロジェクトでは、建具表に追加列を設けるのではなく 金物リスト を別シートで作る運用もあります。
建具表(凡例表・表組み)
建具姿図の3点セットを並べたあと、シート下部または別シートに 建具表(けんぐひょう) という表組みを配置します。
PERSC推奨の建具表9列テンプレ
| 列 | 列名 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | No. | 通し番号 |
| 2 | 符号 | W1, D1 等 |
| 3 | 種別 | 引違い掃出し/片開きドア 等 |
| 4 | 寸法 W×H(mm) | 内法 1690×2030 等 |
| 5 | 材質 | アルミ/木製/樹脂 等 |
| 6 | ガラス | FL5/合せ/Pair 等 |
| 7 | 金物 | クレセント/レバーハンドル 等 |
| 8 | 数量 | 5枚/2枚 等 |
| 9 | 備考 | 防火認定・色番号・特記事項 |
画像準備中 — 9列テンプレートに W1〜W3 を記入した状態
表組みの作成方法
Jw_cad で表組みを作るには、以下のいずれかが一般的です。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 線コマンドで罫線を引く | 自由度が高い | 手間が多い |
| Excel等で作成 → 画像貼り付け | 編集が楽 | 寸法整合に注意 |
| 図形登録した「表テンプレ」を読み込む | 再利用が早い | 初回テンプレ作成が必要 |
PERSCの推奨: 建具表テンプレートは1度作って 図形登録(部品登録)しておくと、次プロジェクトで一発で呼び出せます。詳しくは 図形コマンド ※準備中 を参照してください。
数量計算の運用
建具表の数量列は 拾い出し表と一致 させます。同じW1が5箇所にあれば、建具表には1行だけ書いて「数量5」と記入します。
注意: 建具表の数量と平面図に貼った建具の数が違うと、現場発注で過不足が発生します。建具表完成後に 平面図のW1記号を全数カウントして数量列と照合 する作業を必ず入れます。
木造住宅とRC造ビルの違い ★PERSC独自
建具表の作り方は基本同じですが、扱う建具種別と表現の細部が異なります。
主な違い
| 観点 | 木造住宅 | RC造ビル |
|---|---|---|
| 主要建具 | 引違い窓・FIX窓・片開きドア | FIX・縦すべり・横すべり・ドア |
| サッシ種類 | 半外付けアルミサッシ(住宅用) | ビル用アルミサッシ(内付け) |
| 枠見込 | 70〜100mm | 100〜170mm |
| 建具数 | 15〜30個 | 30〜100個(規模依存) |
| 製品の特注度 | カタログ品の組合せが大半 | 特注サイズが頻出 |
| ガラス | 単板+ペア(断熱用) | Low-E複層・防火・防音 |
| 金物 | クレセント・レバーハンドル | フロアヒンジ・電気錠・自動ドア |
| 防火指定 | 一部地域のみ | ほぼ全数で関与 |
画像準備中 — サッシ枠表現の違い(半外付け vs アルミサッシ枠)
木造住宅で気を付ける点
- 引違い窓の半外付け: 外壁面より少し外に出る納まりのため、建断で「外壁仕上 → 防水紙 → 半外付け部 → 内部木下地」の取り合いを描く
- モジュールに合わせた寸法: 910mm柱間に内法1690mm(取付代65mm両側)等の定型サイズが多い
- 建具数が少ない: A2 1枚に収まる物件が大半
RC造ビルで気を付ける点
- 特注サイズの管理: メーカー受注生産品が多く、同じ符号でも製造ロットが分かれることがある
- 防火認定の管理: 防火戸・特定防火設備の認定番号を建具表に記入する必要がある
- 金物の点数が多い: フロアヒンジ・自動ドア・電気錠を別リストで管理することが多い
- 複数シート構成: A1複数枚にまたがる規模のため、建具一覧表(インデックス)を別シートで作る
印刷時の体裁
建具表シートは 施工側が現場で見る図面 のため、印刷時の見やすさが重要です。
線色と印刷線幅の標準
| 要素 | レイヤ | 線色 | 印刷線幅(mm) |
|---|---|---|---|
| 建具姿図の主線(外形) | 建具姿図 | 線色4(黄) | 0.25 |
| 建具姿図の内部線(桟・框) | 建具姿図 | 線色2(黒) | 0.13 |
| ガラスのハッチング | ハッチング | 線色7(薄グレー) | 0.05 |
| 寸法線 | 寸法 | 線色2(黒) | 0.13 |
| 文字(符号 W1 等) | 文字 | 線色2(黒) | 文字種5以上 |
| 表組み罫線 | 表組み | 線色6(白/黒) | 0.18 |
PERSCの推奨: 線色運用の詳細は 線の種類別運用ルール を参照してください。建具表シート専用の線色マッピングをテンプレ化しておくと、新規プロジェクトの立ち上げが早くなります。
文字サイズの選び方
| 要素 | 文字種 | 高さ目安(1/50時) |
|---|---|---|
| 符号(W1, D1) | 文字種7 | 4.5mm |
| 寸法注記 | 文字種5 | 3.0mm |
| 仕様注記(材質・金物) | 文字種3 | 2.0mm |
| 表組み内 | 文字種3〜5 | 2.0〜3.0mm |
詳しくは 文字サイズ標準 を参照してください。
印刷プレビューでの確認
画像準備中 — 建具表シートを A2 で印刷プレビュー表示
印刷前に確認したい項目は以下のとおりです。
- 各建具姿図がセル枠内に収まっているか
- 寸法注記が他の図形と重なっていないか
- 表組み罫線が薄すぎず濃すぎないか
- 符号文字が小さすぎないか
- 用紙端の余白が適切か
建具表作成チェックリスト ★PERSC独自
建具表シートを完成させたら、以下の8項目をチェックします。
| # | チェック項目 | OK基準 |
|---|---|---|
| 1 | 拾い出し表と建具表の符号・数量が一致 | 全建具で符号と数量が同じ |
| 2 | 平面図本体に貼った W1〜D5 と建具表の符号が全数対応 | 平面図に貼ってあるのに建具表にない/建具表にあるのに平面図にない、がゼロ |
| 3 | 平面・立面・断面の3点セットが全建具に揃っている | 「立面しかない」「断面が抜けている」等のセル欠けがゼロ |
| 4 | 寸法(W×H)が建立・建平・拾い出し表で一致 | 全建具で3者一致 |
| 5 | 引き勝手・吊元方向が建立・建平・平面図本体で一致 | 反転ミスがゼロ |
| 6 | ガラス種別・金物が記入済み | 全建具で記入あり |
| 7 | 数量列が平面図上の実カウント数と一致 | 平面図のW1×5箇所=建具表「数量5」 |
| 8 | 印刷プレビューで全要素が読める | 文字つぶれ・寸法重なりなし |
PERSCの推奨: チェック1〜2は 施工事故に直結する項目 です。建具表だけでなく必ず平面図も並べて目視確認します。可能であれば、設計担当以外のメンバーがクロスチェックする体制を組みます。
実務での使い方 ★PERSC独自
木造住宅の建具表(A2 1枚運用)
木造住宅では建具数が15〜25個程度のため、A2横1枚に収まることがほとんどです。LDK南面の掃出し(W1)を主役に、同じ寸法の腰窓を W2、水廻り小窓を W3、階段窓を W4 と並べ、玄関ドアを D1、室内ドアを D2、浴室ドアを D3 と進めます。引違いクローゼットは SD1〜 で別ブロックにまとめます。
RC造ビルの建具表(A1複数枚運用)
RC造の事務所ビル・賃貸マンション等では建具数が50〜200個に及ぶため、A1複数枚に分けて作ります。最初のシートに 建具一覧表(インデックス) を置き、後続シートで個別の3点セットを並べます。用途別に「W系シート」「D系シート」「SD系シート」と分割すると、現場での参照が楽になります。
改修・増築工事での運用
既存建物の改修では、既存建具と新規建具を分けて管理します。
| 区分 | 符号運用 |
|---|---|
| 既存利用(撤去なし) | 「(既)W1」のように既マーク |
| 既存撤去 | 「(撤)W1」 |
| 新規取付 | 通常通り「W1」 |
背景: 改修工事で「既存/撤去/新規」が混在すると、現場で取り違えが起きやすくなります。符号にプレフィックスを付けて視覚的に区別するのが、PERSC編集部の標準運用です。
建具表テンプレートの育成
社内で繰り返し使う建具リストは テンプレ化 すると大幅な時短になります。
- 「住宅向け標準建具20種テンプレ.jww」を作る
- 各建具を W1〜W10、D1〜D10 で配置
- 寸法・材質・金物のサンプル値を記入
- 新規物件はこのテンプレをコピーして寸法だけ書き換え
実プロジェクトの2〜3割のスピードで建具表が立ち上がります。
Tips: テンプレファイルは半年〜1年に1度の頻度でレビューし、メーカーの仕様変更(見込寸法の改定等)に追随させると陳腐化を防げます。
平面図との連動運用
平面図に貼った建具の符号(W1, D1)と建具表は手動連動です。整合を保つコツは:
- 平面図の建具配置時に、建具表シート側にも同じ符号で1セル予約しておく
- 平面図で1建具減らしたら、建具表側でも同じ建具を消す
- 週次で平面図と建具表の符号一致を目視確認
詳しくは 平面図への建具配置 を参照してください。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 建具リストを作る前に建具表シートの作図を始めてしまった
→ 拾い出し表(W1〜・D1〜)を先に作っておかないと、後から「あれ、この建具どこに使うんだっけ?」と迷います。最初に拾い出し表を作る を徹底します。10〜15分の手間で、後工程の混乱を大きく減らせます。
Q: 建立で「内法」に1値しか入れず、思った形にならない
→ 建立は 横, 縦 の2値カンマ区切り入力です(例: 1690,2030)。1値だけだと建具が想定外の比率で描かれます。建立の仕様としては内法欄が建平・建断と異なる点に注意してください。詳しくは 建具立面コマンド を参照してください。
Q: 建立の基準点がいつもズレて、隣の建具と並ばない
→ 「左内法」「下内法」タブで基準点を変更します。建具表シートでは 基準点を「左内法・下内法」(建具の左下内側)で固定 すると、隣の建具と高さが揃います。配置位置を読取点(右クリック)にして仮基準線に合わせるのも効果的です。
Q: 建平と建立で横寸法が違うことに後から気付いた
→ 建具リスト(拾い出し表)を 正 として、それに合わせて建平・建立を直し直します。建具表シートが大きくなってからこの整合崩れを直すのは骨が折れるため、各建具を並べ終えるたびに「建平の横 = 建立の横 = リストの W」を目視確認する習慣を付けます。
Q: 建断で見込寸法が分からず止まってしまう
→ 建具メーカーのカタログ・仕様書から引用します。アルミサッシ(住宅用半外付け)なら70〜100mm、ビル用なら100〜170mm、木製室内ドア枠なら30〜45mmが目安です。プロジェクト初期に「使用建具の見込寸法一覧」をまとめておくと、後の作業で迷いません。
Q: 建具表シートに同じ建具を縮尺違いで載せたい
→ 縮尺の異なる図面は レイヤグループを分けて配置 します。建立・建平を Gp.A(1/50)、建断を Gp.B(1/10)に置きます。同じレイヤグループ内で異なる縮尺を混在させると、片方が歪みます。詳しくは 建築図面のレイヤ分け実践 を参照してください。
Q: 建具数が多くてA2 1枚に収まらない
→ A2複数枚で運用するか、A1サイズに用紙を上げます。A1だと建具16〜24個まで載せられます。建具30個超のRC造プロジェクトは A1複数枚 + 建具一覧表(インデックス) の構成が標準です。
Q: 平面図を直したら建具表との整合が崩れた
→ 平面図と建具表は 手動連動 のため、片方を直したらもう片方も更新する必要があります。整合チェックは 拾い出し表(リスト)を正 として、平面図 → リスト → 建具表 の順に同期させます。週次で目視チェックする運用を組み込むと、最終図面の整合崩れを防げます。
Q: 建具表の表組みを毎回ゼロから引いていて時間がかかる
→ 表組みテンプレートを 図形登録(部品登録) しておきます。1回作っておけば次プロジェクトで一発呼び出しできます。9列テンプレ・15行確保の標準フォームを社内テンプレに加えておくと、表組み作成だけで30分〜1時間の短縮になります。
関連項目
- 建具平面コマンド — 建平の操作詳細
- 建具立面コマンド — 建立の操作詳細(内法カンマ区切り入力含む)
- 建具断面コマンド — 建断の操作詳細(見込入力含む)
- 平面図への建具配置 — 平面図本体に建具を貼る実シナリオ
- 文字基本 — 符号・寸法注記の文字記入
- 文字サイズ標準 — 建具表シートの文字サイズ運用
- 線の種類別運用ルール — 線色2/4/6の使い分け
- 建築図面のレイヤ分け実践 — レイヤグループ縮尺の運用
- 平面図ワークフロー ※準備中 — 平面図全体の流れと建具表の位置づけ
- 立面図の作り方 ※準備中 — 立面図側の建具表現
- 断面図の作り方 ※準備中 — 断面詳細の作図
- 平面建具集 ※準備中 — 配布用の平面建具データ
- 断面建具集 ※準備中 — 配布用の断面建具データ
- 立面建具集 ※準備中 — 配布用の立面建具データ
まとめ
- 建具表シートは 拾い出し表 → レイアウト設計 → 立面 → 平面 → 断面 → 注記 → 建具表 の7工程で進める
- 符号は窓 W系・ドア D系・引戸 SD系で標準化し、同寸法・同仕様は1符号にまとめる
- 立面(建立)の内法は
横, 縦のカンマ区切り で入力する点が建平・建断と異なる - 縮尺は建立・建平が1/50、建断は1/5〜1/10。レイヤグループを分けて 混在縮尺を扱う
- 建立の基準点は「左内法・下内法(建具左下内側)」固定で隣の建具と並びを揃える
- 整合は 拾い出し表を正 として 平面図 → リスト → 3点セット の単方向で同期
- 建具表は9列テンプレ(No./符号/種別/寸法/材質/ガラス/金物/数量/備考)で社内テンプレ化する
- 木造住宅はA2 1枚運用、RC造ビルはA1複数枚+インデックスシート運用が標準
- 完成後の8項目チェックで「平面図とのカウント不整合」「3点セット欠け」を必ず潰す