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未検証

立面図の描き方(東西南北4面の作図手順) ​

このページでできるようになること ​

Jw_cad で 立面図(建物を真横から見た外観図) を、東西南北の4面分まとめて描けるようになります。GL(地盤面)・1FL・2FL・軒高・最高高さといった 基準線の組み立て方、平面図から幅と窓位置を投影する 位置投影の手法、屋根勾配の作図、外壁仕上げの目地表現、建具立面コマンドとの連携、外構レベルや植栽の表現まで、立面図1セットを仕上げる実務手順を一通り押さえます。

背景: 立面図は4面(東・西・南・北)をワンセットで作成します。1面ずつ独立して描くと 平面図との幅整合・隣面どうしの高さ整合がズレる 事故が起きやすいため、最初にすべての面に共通する基準線をまとめて引いてから、平面図を上下に置いて投影で展開する手順が定石です。線・複線・複写などのコマンド本体は他章に委譲し、ここでは「平面図から立面図への展開」「4面の作図順序」「外装表現」に焦点を当てます。

注意: 本記事は Jw_cadで立面図(東西南北4面)の作図を行う方法 の解説であり、軒高・最高高さ・斜線制限の適法性を保証するものではありません。

  • 軒高・最高高さ・地盤面(GL)の算定基準は、建築基準法・建築基準法施行令第2条・特定行政庁の取扱いで異なります
  • 道路斜線・隣地斜線・北側斜線・絶対高さ制限の規制値は、用途地域・特定行政庁の条例・都市計画で異なります
  • 立面図の高さ寸法・形状が法令適合と判断するのは、設計者・確認検査機関・特定行政庁の責任です
  • Jw_cadで描いた立面図は 設計検討・確認申請の参考添付 の用途であり、斜線制限の適合判定には別途斜線制限図・天空率算定書・日影図の作成と審査機関への事前協議が必要です

関連: 建築基準法第55条・第56条(高さ制限・斜線制限) / 建築基準法施行令第2条(面積、高さ等の算定方法) / 特定行政庁・指定確認検査機関への確認


立面図の基本ルール ​

立面図とは ​

立面図は、建物を 真横から見た外観図 です。外壁の見え方・屋根の形状・窓やドアの位置・高さ寸法(軒高・最高高さ)を表現します。確認申請の必須図書のひとつであり、施工時の 外装仕上げ・建具発注・足場計画 の基準資料にもなります。

用語意味
GLGround Level。地盤面(建物が建つ地面の高さ)。立面図の基準ゼロ
1FL1階床高。木造在来でGLから 400〜500mm 程度上がる
2FL2階床高。1FL から階高(一般に 2700〜3000mm)上がる
軒高軒先(屋根の出の付け根)の高さ。建築基準法の高さ制限基準のひとつ
最高高さ屋根の最も高い点の高さ。北側斜線・道路斜線の判定に使う
階高1FL から 2FL までの垂直距離

4面立面の呼称 ​

立面図は 建物を見る方向(向かう方角) で名付けるのが標準です。

図面名見る方向描かれる面
東立面図東側から見る建物の 東側外観
西立面図西側から見る建物の 西側外観
南立面図南側から見る建物の 南側外観(最も玄関・主開口が多い面)
北立面図北側から見る建物の 北側外観(隣地境界・斜線制限の根拠面)

背景: 「南立面図」は「南から見た図」=建物の南面が描かれる、という解釈が日本の建築実務では一般的です。ただし古い図面や一部地域では「南面立面(建物の南面が描かれた図)=南から見た図」と「南面立面=建物の北側から南面を見た図」のような解釈差もあります。実務では受注先の慣例に合わせてください。

立面図の三大ルール ​

実務で守るべき基本は次の3点です。

  1. 基準線(GL・FL・軒高・最高高さ)を最初にまとめて引く
  2. 平面図を立面図の上下に置いて、幅・窓位置を投影で展開する
  3. 4面で高さは完全一致、幅は各面の見える方向に応じて変わる

PERSCの推奨: 立面図は「Gp.2(立面図グループ)」に集約し、平面図(Gp.0)と同じ縮尺(1/100)で描くのが定番です。レイヤ構成の全体像は 建築図面のレイヤ分け実践 を参照してください。


描き始める前の準備 ​

準備1: 平面図を完成させておく ​

立面図は平面図から幅・窓位置を投影して描くため、平面図が固まっていないと立面図に着手できません。少なくとも次の情報が確定している必要があります。

  • 通り芯と外壁芯の位置
  • 開口部(窓・ドア)の位置と幅
  • 屋根の形状(切妻・寄棟・片流れ・陸屋根)と勾配
  • 軒の出の長さ

平面図側の作業が未着手の場合は、先に 平面図作図の全体ワークフロー ※準備中 と 通り芯の描き方 を進めてください。

準備2: 用紙サイズと縮尺の設定 ​

立面図の標準的な組み合わせは平面図と同じです。

用紙縮尺想定建物
A31/100一般的な戸建住宅(30〜40坪)
A21/100中規模住宅・小規模店舗
A21/50詳細立面図・部分立面

縮尺の標準的な使い分けは 縮尺ルール を参照してください。

準備3: 書き込みグループとレイヤを設定 ​

ステータスバーで書き込み先を Gp.2(立面図) に切り替え、立面図用のレイヤ構成を準備します。

レイヤ用途
0下書き・補助線(投影線)
1基準線(GL・1FL・2FL・軒高・最高高さ)
2躯体外形線(外壁・屋根の見え線)
3建具(窓・玄関ドア・庇)
4仕上線(サイディング目地・モルタル目地)
5設備外観(給湯器・エアコン室外機・換気フード)
6寸法(高さ寸法・幅寸法)
7文字(仕上材記号・矢視記号)
8記号(方位・GL記号)
9ハッチング(外装材・地盤・植栽)

PERSCの推奨: 投影線(平面図から立面図に幅を落とす補助線)はレイヤ 0 に分離して描き、清書時に非表示にします。これで「補助線が消し残った」事故を防げます。

準備4: 平面図を立面図エリアの真上または真下に配置 ​

立面図を効率よく描くには、平面図を立面図エリアの真上(または真下)に配置 して、幅・窓位置を真っ直ぐ下に投影できる位置関係にしておきます。

Tips: 平面図と立面図は別グループでも、同一ファイル内に配置すれば縮尺が一致するため、投影線で位置を引き下ろせます。グループ間の参照表示は レイヤグループ操作 ※準備中 を参照してください。


立面図の描き方サマリー(全9ステップ) ​

#工程所要
1用紙・縮尺・書き込みレイヤを設定し、平面図を上に配置3分
2GL(地盤面)を水平線で1本引く1分
31FL・2FL・軒高・最高高さを複線で順次展開5分
4平面図から外壁の幅を投影線で落とす5分
5外壁の見え線(左右端と屋根との取り合い)を清書10分
6屋根を勾配指定で作図8分
7窓・ドアを建具立面コマンドで配置10〜15分
8外壁仕上げ(サイディング目地・モルタル目地)を表現10分
9高さ寸法・図面名・GL記号を付与5分

合計: 1面あたり 45〜60分、4面分で 3〜4時間 が目安です。テンプレ化と複写を活用すれば、2面目以降は1面目の半分の時間で仕上げられます。


手順1: 基準線(GL・1FL・2FL・軒高・最高高さ)を引く ​

1-1: GL(地盤面)を水平に引く ​

線コマンドを起動して「水平・垂直」をオンにし、画面上で GLとなる水平線を1本 引きます。長さは「4面分の立面図を横に並べる」想定で、建物の総幅 × 4 + 各面の間の余白 を確保します。

立面図セットの幅目安計算例
木造2階建て30坪(総幅 9000mm × 4面 + 余白 5000mm)約 41000mm
木造2階建て40坪(総幅 11000mm × 4面 + 余白 5000mm)約 49000mm

線属性は「線色 2(黒)・実線」に設定します。GL は実線で描き、地盤を表すジグザグ記号やハッチングは後工程で別レイヤに追加します。

要確認: GL 線の線色・線種は事務所により慣例が異なります(線色 5 の太線で描く事務所もあり)。実機で標準テンプレを確認してください。

1-2: 1FL・2FL・軒高・最高高さを複線で展開 ​

複線コマンドで GL から 垂直方向に複線 して、上方向に基準線を順次展開します。

最高高さ ─────────  GL+7500mm 程度
         (屋根頂部)
軒高     ─────────  GL+6500mm 程度(2階建て木造)
2FL     ─────────  GL+3300mm 程度
1FL     ─────────  GL+450mm 程度
GL       ─────────  ±0
基準線木造2階建ての慣例値(GL からの距離)
1FL400〜500mm(基礎高さ+土台)
2FL1FL + 階高 2700〜3000mm
軒高2FL + 階高 2700〜3000mm + 軒桁高さ 100〜200mm
最高高さ軒高 + 屋根頂部までの高さ(勾配と軒の出による)

要確認: 基準線の標準値は構造(木造/RC/S)・地域・設計条件で大きく変わります。上記は一般的な木造2階建ての参考値です。実物件では構造設計の指示値を使用してください。

複線コマンドの基本操作は 複線(ダブル線)の基本 を参照してください。

1-3: 基準線の左端をそろえて延長 ​

基準線は 建物の幅より少し長く 引きます。理由は通り芯と同じで、高さ寸法の引出基準として基準線端が必要だからです。

縮尺基準線の延長長さ目安
1/100建物幅の左右に 1000〜1500mm 延長
1/50建物幅の左右に 500〜1000mm 延長

1-4: 4面分の作図エリアを基準線で区切る ​

GL・1FL・2FL・軒高・最高高さを5本引いたら、これを 横方向に4面分コピー して、東・西・南・北の作図エリアをまとめて確保します。

  1. 5本の基準線を範囲選択
  2. 「複写」コマンドで右方向にコピー
  3. コピー間隔は「建物の総幅 + 1000〜2000mm の余白」
  4. 4面分(合計4セット)を並べる

複写コマンドの詳細は 図形のコピー(複写) を参照してください。

PERSCの推奨: 4面の基準線をまとめて配置しておくと、高さ整合のミスが原理的に発生しません。1面ずつ別々に描いて後から並べる方法は、基準値の入力ミスで4面の高さがズレる事故が起きやすいので避けてください。


手順2: 平面図から幅・窓位置を投影する ​

2-1: 投影線を補助レイヤに引く ​

書き込みレイヤを レイヤ 0(補助) に切り替え、線属性を「線色 1(水色)・点線」にします。点線は「補助線・投影線」の慣例的な線種です。

2-2: 平面図の各端点から下方向に投影線を引く ​

平面図の 南面(手前面) を立面図に展開する場合の手順です。

  1. 線コマンドを起動して「水平・垂直」をオン
  2. 平面図の南面の 左端(外壁の左端) で右クリック(読取点)
  3. 真下にマウスを動かして、立面図エリアを越える位置で左クリック
  4. 同じ要領で 右端・各窓の左端と右端・玄関ドアの左右端 から投影線を引く

Tips: 「水平・垂直」をオンにしておけば、マウスを下方向に動かすだけで真っ直ぐ垂直の投影線が引けます。線属性を点線にしておくと、清書時の本線(実線)と区別しやすくなります。

2-3: 4面それぞれの投影方向を整理する ​

4面の立面図は 見る方向によって投影軸が変わる ことに注意します。

立面図投影元投影方向
南立面図平面図の 南面(下辺)真下に投影
北立面図平面図の 北面(上辺)真上に投影
東立面図平面図の 東面(右辺)右に投影(または平面図を90度回転して投影)
西立面図平面図の 西面(左辺)左に投影

PERSCの推奨: 東西立面は平面図の 左右の辺 が投影元になりますが、図面レイアウト上は南北立面と同じく上下方向に並べたいので、平面図のコピーを90度回転 させて東西立面の真上または真下に配置する方法が一般的です。


手順3: 外壁の見え線を清書する ​

3-1: 書き込みレイヤを「レイヤ 2(躯体外形線)」に切り替え ​

書き込みレイヤを レイヤ 2 に、線属性を「線色 2(黒)・実線」に切り替えます。

要確認: 外壁の見え線は事務所により太線(線色 5)で描く慣例もあります。印刷時の見栄えを優先する場合は線色を上げてください。詳しくは 印刷時の線太さ標準 を参照。

3-2: 外壁の左右端を引く ​

投影線(点線)の交点を基準に、外壁の左端と右端を GL から軒高まで縦に実線で引きます。

3-3: 軒先・破風・けらばの線を引く ​

屋根の張り出し部(軒の出)を表現します。木造の在来軸組では 軒の出 600〜900mm が標準的です。

  1. 軒高ラインから外壁面より外側に軒の出寸法だけ伸ばした位置に 軒先ライン を引く
  2. 軒先と外壁を結ぶ 破風(はふ) の線を引く

背景: 「軒の出」が長いほど雨掛かりが減って外壁が長持ちしますが、敷地境界からの後退距離が必要になります。最近の住宅は軒の出を 300〜450mm 程度に短くする傾向もあります。

3-4: 補助投影線を非表示にする ​

外壁外形線が引けたら、レイヤ 0(補助)を 「非表示」または「表示のみ」 に切り替えて、清書時の視認性を確保します。

レイヤ状態の切替は レイヤ状態切替 ※準備中 を参照してください。


手順4: 屋根を勾配指定で作図する ​

4-1: 屋根勾配の基本 ​

日本の住宅屋根は 〇/10 勾配(〇寸勾配) で表現するのが慣例です。

勾配角度(度数)用途
1/10(1寸勾配)約 5.7°緩勾配(陸屋根に近い)
3/10(3寸勾配)約 16.7°スレート屋根の最低勾配
4/10(4寸勾配)約 21.8°スレート・金属屋根の標準
5/10(5寸勾配)約 26.6°瓦屋根の標準
6/10 以上30° 超急勾配(雪国・デザイン要件)

要確認: 屋根勾配の角度換算は実機で確認してください。Jw_cad で線を勾配付きで引く場合、線属性「軸角設定」で角度入力する方法と、線コマンドの「寸法」欄で水平・垂直距離を指定する方法があります。

4-2: 切妻屋根の作図手順(最も基本) ​

切妻屋根は 2面の屋根が棟(むね)で交わる 最もシンプルな形状です。

  1. 軒高ラインの 左端(外壁面より軒の出だけ外) に始点を取る
  2. 線コマンドの「寸法」欄に「水平値,垂直値」で勾配を入力
    • 例: 4/10 勾配で水平 5000 → 垂直 2000
  3. 棟まで線を引く
  4. 棟から右端の軒先まで対称に線を引く

Tips: 軸角設定を「90 - 勾配角度」にしてから水平線を引く方法もあります。計算が複雑になる場合は、勾配を一度補助線で書いてから本線をなぞる方法が確実です。

4-3: 寄棟屋根の作図手順 ​

寄棟屋根は 4方向に勾配がある 屋根です。立面図では、面の手前側が「台形」または「三角形」で表現されます。

  1. 軒高ラインの左右端に 隅棟(すみむね)の取り付き点 を取る
  2. 隅棟の登り角度(勾配と同じ)で頂点まで線を引く
  3. 反対側も対称に引いて、頂部の 大棟(おおむね) で結ぶ

立面図によっては、手前面が三角形(妻側)か台形(平側)か で表現が変わります。

立面方向寄棟屋根の見え方
妻側(短辺方向の立面)三角形(頂点まで)が見える
平側(長辺方向の立面)台形(大棟が水平に見える)

4-4: 片流れ屋根・陸屋根の作図手順 ​

屋根種別作図のポイント
片流れ屋根軒高の片端だけ高くして、反対側まで一直線で勾配を付ける
陸屋根(RC造)屋根勾配なし。パラペット(立ち上がり)を 600〜1000mm で描く

手順5: 窓・ドアを建具立面コマンドで配置する ​

5-1: 建具立面コマンドの起動 ​

Jw_cad には 窓・ドアの立面表現を一発で描けるコマンド が組み込まれています。

  • メニューバー: 「作図」→「建具立面」
  • ツールバー: 「作図(2)」ツールバーの「建立」ボタン

詳しくは 建具立面コマンド を参照してください。

5-2: 建具データの選択 ​

コマンドを起動すると ファイル選択ダイアログ が開き、Jw_cad に標準で組み込まれた建具立面データ(建具立面 A〜D)が表示されます。

  • 引違い窓(2枚・3枚・4枚)
  • 上げ下げ窓
  • FIX窓
  • 縦すべり窓・横すべり窓
  • 玄関ドア(片開き・親子・両開き)
  • 勝手口ドア
  • シャッター付き窓

使いたい建具を 左ダブルクリック で選択します。

5-3: 寸法(内法)の入力と基準点の指定 ​

コントロールバーで建具の 内法寸法(窓やドアの開口寸法)を入力し、基準点を指定します。

設定項目説明
内法建具の幅・高さの実寸(横,縦 で入力)
左内法基準点を左端からどれだけ離すかの内法寸法
下内法基準点を下端からどれだけ離すかの内法寸法

要確認: 「左内法」「下内法」のUIラベルは実機で確認してください。基準点を変える機能であることは確実ですが、表記が「内法」表記でない可能性があります。

5-4: 配置位置を投影線で指示 ​

立面図上で、平面図から落とした 窓位置の投影線 と 窓の高さ基準(窓台または窓まぐさ) の交点に基準点を合わせて、左クリックまたは右クリック(読取点)で配置します。

5-5: 窓の高さ基準を別途引いておく ​

窓の高さは平面図には描かれていないため、別途設定資料(高さ表) から立面図に直接基準線を引いて指示します。

建具高さ基準(FL からの値)
リビングの掃出し窓窓台 0mm(FL面)/ 窓まぐさ 2000〜2200mm
居室の腰高窓窓台 800〜900mm / 窓まぐさ 2000〜2200mm
浴室・トイレの高窓窓台 1500〜1800mm / 窓まぐさ 2000〜2200mm
玄関ドア窓台 0mm / 窓まぐさ 2000〜2200mm

PERSCの推奨: 窓まぐさ(窓上端)の高さは 建物全体で統一(例: FL+2000mm)するのが一般的です。意匠的にラインを揃えることで外観の整いが大きく変わります。


手順6: 外壁仕上げの目地を表現する ​

6-1: サイディング目地の表現 ​

サイディング(外壁材)は、横張り または 縦張り で目地のラインが入ります。立面図ではこの目地を細い実線で表現します。

サイディング種別目地ピッチ表現
横張り(一般的)455mm(窯業系の標準働き寸法)水平方向の細い実線を等間隔
縦張り455mm垂直方向の細い実線を等間隔
大判パネル600mm / 910mm 等商品仕様に応じて

要確認: サイディングの働き寸法は商品により異なります。窯業系で 455mm 働きが標準的ですが、金属サイディングは 380mm/400mm 等の例もあります。実物件ではメーカー仕様書で確認してください。

6-2: 目地の作図手順 ​

書き込みレイヤを レイヤ 4(仕上線) に切り替え、線属性を「線色 1(水色)・実線」(細線)に設定します。

  1. 1FL から 軒高までの間に 横ラインを 455mm 間隔 で引く
  2. 線コマンド + 水平・垂直オン + 寸法欄に建物幅を入力
  3. 複線コマンドで 455mm 間隔の連続複線

Tips: 目地はあまりに濃い線で描くと、立面図全体の印象が「縞模様」になりすぎます。線色 1(細線)+ 短い破線または実線 で控えめに表現するのが見栄えのコツです。

6-3: モルタル目地(コーナー目地・誘発目地) ​

モルタル仕上げの場合、ひび割れ防止の誘発目地 を建物のコーナーや窓周りに入れます。

  • コーナー: 出隅・入隅から 200〜300mm 程度内側
  • 窓周り: 窓の四隅から斜め45度方向

6-4: タイル目地・木板貼り目地 ​

仕上材目地表現
タイル縦横の格子状目地(45×95、100角、150角 等)
木板貼り縦方向の木目地(鎧張り・大和張りなど)
金属パネル横またはランダム配置の継ぎ目

PERSCの推奨: 仕上線レイヤ(レイヤ 4)に集約することで、「仕上線だけ非表示」 にして躯体外形線・建具・寸法だけのシンプルな立面表現に切り替えられます。確認申請用の簡素な立面と、お客様プレゼン用の詳細立面を1ファイルで使い分けできます。


手順7: 外構レベルと植栽を表現する ​

7-1: GL のジグザグ表現 ​

GL(地盤面)は ジグザグ模様 または ハッチング で「土・地面」を表現するのが慣例です。

7-2: 隣地境界線・敷地境界線 ​

敷地形状を含む立面図では、隣地境界線を一点鎖線で表現することがあります。

背景: 確認申請の立面図では、北側立面に 北側斜線・道路斜線 の制限線を立面図上に重ねて描き、建物が制限内に収まっていることを示すのが慣例です。

7-3: 植栽・外構の簡略表現 ​

立面図には敷地全体の植栽を描くわけではなく、建物の正面に隣接する象徴木 や アプローチの植栽 を簡略な木の輪郭で表現することが多いです。

  • 高木: 地表 0mm から 4000〜6000mm の高さの輪郭を雲形で
  • 低木・植え込み: GL から 500〜1000mm の高さで地面に並べる

Tips: 植栽は別レイヤ(例: レイヤ 9)に集約すると、「植栽だけ非表示」「植栽だけ印刷」の運用が可能になります。


手順8: 高さ寸法と図面名を付与する ​

8-1: 高さ寸法を引く ​

書き込みレイヤを レイヤ 6(寸法) に切り替えます。

立面図の高さ寸法は、建物の左側または右側 に縦方向で記入するのが慣例です。

最高高さ ←──── 7500
軒高     ←──── 6500(GLから)
2FL     ←──── 3300
1FL     ←──── 450
GL ±0

寸法コマンドの基本操作は 寸法(直線寸法)の基本 ※準備中 を参照してください。

8-2: 各階の階高を分割寸法で表現 ​

全体高さ寸法に加えて、階高ごとの分割寸法 を内側に記入します。

              ┌── 2200(最高高さ - 軒高)
最高高さ      │
軒高    ──── 3200(軒高 - 2FL)
2FL     ──── 2850(2FL - 1FL)
1FL     ──── 450 (1FL - GL)
GL

8-3: 図面名と方位記号を配置 ​

書き込みレイヤを レイヤ 7(文字) に切り替えて、各立面図の下に図面名(例: 「南立面図 S=1/100」)を文字で配置します。

文字記入の操作は 文字記入の基本 を参照してください。

8-4: GL記号と仕上材記号 ​

書き込みレイヤを レイヤ 8(記号) に切り替えて、次の記号を配置します。

  • GL記号: GL ライン上の左端または右端に「GL ±0」または三角形の地盤記号
  • 仕上材記号: 「外壁: 窯業系サイディング 16mm」「屋根: ガルバリウム鋼板 立平葺き」等を引出線で

派生パターン ​

パターンA: 木造2階建て住宅の立面図(最も典型) ​

木造2階建て住宅は 南面立面図 が最も情報量が多くなります。リビングの掃出し窓・玄関・1階居室の腰高窓・2階居室の腰高窓・バルコニー手すりなどを盛り込みます。

主要要素配置の慣例
玄関ドア1FL面に配置(窓台 0mm)
リビング掃出し窓1FL面、玄関の隣
2階居室窓窓まぐさ FL+2000mm で揃える
バルコニー手すり2FL+1100mm(建築基準法の最低値)
給湯器北面または西面の壁付け
エアコン室外機各居室の外壁に

PERSCの推奨: 4面のうち、南面立面を最初に仕上げる のが効率的です。情報量が最も多いため、ここで建具・仕上げの判断が固まれば、他面の作業は機械的にこなせます。

パターンB: RC造マンション・店舗の立面図 ​

RC造は 陸屋根 + パラペット が標準です。木造との違い:

要素RC造の特徴
屋根陸屋根(勾配なし)+ パラペット 600〜1000mm
外壁コンクリート打放し / タイル張り / 吹付塗装
階高一般に 3000〜3500mm(マンション住戸階)
開口部階段室・住戸玄関・住戸窓・バルコニーが規則的に並ぶ
設備屋上に設備機械室・ハト小屋(パイプスペース突出部)が必要

パターンC: 鉄骨造(S造)店舗・倉庫の立面図 ​

S造は大スパン・大開口が可能なため、ガラスファサード や 金属パネル外装 が多くなります。

要素S造の特徴
外壁押出成形セメント板 / 金属サイディング / カーテンウォール
屋根折板屋根(緩勾配) / 陸屋根(断熱付き)
開口部大型ガラスサッシ・電動シャッター(倉庫)
構造表現露出柱を立面に表現(細い線色 5)することも

パターンD: 確認申請用の簡略立面図 ​

確認申請では 建物の高さ・斜線制限の判定 が主目的のため、仕上げ目地などは省略してよいケースもあります。

  • GL・1FL・軒高・最高高さ
  • 外壁外形線・屋根
  • 窓・ドアの開口位置(仕上げ詳細は不要)
  • 北側斜線・道路斜線の制限ライン
  • 高さ寸法・隣地境界線

Tips: 仕上線レイヤを非表示にして印刷するだけで、確認申請用の簡素版が出力できます。「仕上げあり/なし」をレイヤで切り替えられるようにしておくと、申請用と施主プレゼン用を1ファイルで共存できます。


実務での使い方 ★PERSC独自 ​

4面立面はテンプレ化して使い回す ​

事務所の標準として、木造2階建ての標準的な高さ・スパン・建具配置をまとめた 立面図テンプレJWWファイル を用意しておくと、新規物件の初期作業時間が大きく短縮されます。

立面図テンプレJWWファイルの作り方 ​

  1. 標準的な木造2階建て(総2階・寄棟・切妻の3パターン)を仮想設計
  2. 4面分の基準線・外壁外形・標準建具・サイディング目地を作図
  3. レイヤ構成を整える(レイヤ 1 = 基準線、レイヤ 2 = 外形、… の標準構成)
  4. 「テンプレ_立面_木造総2階_寄棟.jww」として保存
  5. 新規物件では、このファイルを「名前を付けて保存」で複製してから編集

詳しいテンプレ運用は レイヤテンプレート ※準備中 を参照してください。

1面目を完成させて2〜4面目に複写する ​

立面図4面は 基準線(GL・FL・軒高・最高高さ)が完全に共通 なので、1面目を仕上げてから残り3面に複写すると効率的です。

効率の良い作業順序 ​

  1. 南面立面 を最初にフル作業(基準線・外壁・屋根・建具・仕上げ)
  2. 完成した南面の 基準線部分(縦の建物外形は除く) を範囲選択 → 複写で東・西・北の位置にペースト
  3. 各面で 外壁の幅・建具配置だけ平面図から再投影 して描き直し
  4. 屋根は形状によって面ごとに異なるので個別作図
  5. 最後に4面まとめて寸法・図面名を付与

PERSCの推奨: 1面目で 「窓まぐさ FL+2000mm」「サイディング目地ピッチ 455mm」 などの数値を確定しておくと、2〜4面目で同じ基準線を流用できて作業が一気に楽になります。

平面図の変更が立面図に波及する場合の修正手順 ​

設計途中で平面図の窓位置や階高を変更する場合は、立面図にも修正が必要です。

  1. 変更箇所をリストアップ(窓の幅変更・位置移動・階高変更など)
  2. 立面図の 基準線レイヤをプロテクト解除
  3. 変更内容を立面図に反映(窓だけなら建具立面コマンドで再配置)
  4. 寸法を再記入
  5. 4面のうち変更が及ぶ面のみ修正(南面の窓を変えても東西北の南面端は影響なし)

注意: 階高(1FL→2FL の距離)を変更すると、4面すべての軒高・最高高さ・2階窓位置が連動します。階高変更は影響範囲が広いため、4面まとめて修正 する前提で着手してください。

確認申請用と施主プレゼン用の使い分け ​

立面図は 目的によって表現の濃淡を切り替える のが実務の効率化のコツです。

用途表現レイヤ運用
確認申請簡素版(仕上げ目地なし・植栽なし)仕上線・植栽レイヤを非表示
施主プレゼン詳細版(仕上げ・植栽・色塗り)全レイヤ表示 + ハッチング着色
施工図標準版(仕上げあり・寸法詳細)通常表示
基本設計概略版(基準線と外形のみ)レイヤ 1〜3 のみ表示

つまずきポイント・対処 ★PERSC独自 ​

Q: 平面図と立面図の幅が合わない ​

→ 投影線(点線)を平面図から立面図に下ろしたとき、「水平・垂直」がオフ になっていてわずかに斜めの投影線になっている可能性が高いです。線コマンドのコントロールバーで「水平・垂直」がオンになっているか確認してください。また、平面図と立面図が同じレイヤグループ=同じ縮尺 になっているか、ステータスバーの縮尺表示で確認します。

Q: 4面の高さが微妙にズレる ​

→ 1面ずつ別々に描いて並べると、基準線の入力数値で誤差が出ます。最初に基準線を引いてから複写コマンドで4面分にコピー する手順を守ってください。複写でズレたなら、4面分の基準線をすべて選択 → 「整列」または「移動」で再配置します。

Q: 屋根勾配の角度入力がうまくいかない ​

→ 線コマンドの「寸法」欄に「水平値,垂直値」をカンマ区切りで入力する方法と、軸角設定で角度を変える方法があります。4寸勾配なら「水平 1000, 垂直 400」 を1セットの単位として入れて、複線で必要な長さに伸ばすのが確実です。

背景: 角度の入力は事務所の標準ツール手順により異なります。建築用途では「4寸勾配 = 水平10に対して垂直4」のような表現が口頭で交わされるため、角度(度数)よりも比率で入力する方が現場感覚に近くなります。

Q: 建具立面コマンドで配置した窓のサイズが平面図と合わない ​

→ 建具立面コマンドの「内法」欄に入力した寸法と、平面図側の建具寸法が 同期されていません(コマンド間で自動連携しません)。平面図と立面図の建具寸法は 手作業で一致させる 必要があります。建具リストを別途作成して、平面・立面・矩計(断面)すべてで同じ寸法を使うのが安全です。

詳しくは 建具図3点セットの描き方(平面・断面・立面) ※準備中 を参照してください。

Q: サイディング目地の線がうるさく見える ​

→ 目地は 線色 1(細線・水色) で、間隔も 印刷時に視認できる最小限 に絞ってください。原則として:

  • 縮尺 1/100 では 455mm 目地は 省略または間引き(910mm 間隔程度に表現)
  • 縮尺 1/50 以上で 455mm の正確な目地表現

縮尺 1/100 の立面図で 455mm 目地をすべて描くと、紙面では 4.55mm 間隔になり読み取りづらくなります。

Q: 北側斜線・道路斜線の制限ラインを引きたい ​

→ 制限ラインは敷地境界線から 建築基準法の規定 に従って傾斜させて引きます。北側斜線は 真北方向の隣地境界から 5m + 1.25/1(住居系用途地域) 等の規定です。立面図に重ねて表現する場合は、別レイヤ(例: レイヤ A 法規ライン)に 線色 8(赤)・破線 で引いて、制限超過がないか視覚的に確認します。

要確認: 斜線制限の数値は用途地域・物件条件で異なります。法規確認は実務担当者の責任で行い、この記事の数値はあくまで参考値です。

Q: 立面図の補助投影線が消し残った ​

→ 投影線を レイヤ 0(補助) に集約しておけば、清書後にレイヤ 0 を非表示にするだけで一括非表示にできます。誤って投影線を本線レイヤに描いてしまった場合は、「属性変更」コマンドでレイヤを 0 に移動します。

詳しくは 属性変更 ※準備中 を参照してください。

Q: 軒高と最高高さの違いが分からない ​

→ 軒高は 軒先(屋根の出の付け根)の高さ、最高高さは 屋根の最も高い点の高さ です。陸屋根や片流れの場合は両者がほぼ一致しますが、切妻・寄棟では棟(屋根頂部)が最高高さになります。建築基準法では北側斜線・道路斜線の判定に 最高高さ を、絶対高さ制限(10m/12m)の判定に 建築物の高さ(軒高 + α) を使うため、両方を立面図に明記する必要があります。

Q: 4面立面の図面名が混乱する(南立面なのか北立面なのか分からなくなる) ​

→ 平面図上に 方位記号(北矢印) を描き、平面図の南辺=南立面、北辺=北立面、東辺=東立面、西辺=西立面、と機械的に対応付けると混乱しません。図面下に各立面の名前を必ず記載し、「南立面図 S=1/100」「北立面図 S=1/100」 のように縮尺もセットで書く慣例です。


関連項目 ​


まとめ ​

  • 立面図は 4面(東・西・南・北)をワンセット で作成し、最初にすべての面に共通する基準線をまとめて引く
  • 基準線の構成は GL・1FL・2FL・軒高・最高高さ の5本が標準。1面分を引いてから複写で4面分に展開
  • 平面図を立面図エリアの真上または真下に配置して、幅と窓位置を投影線(点線・補助レイヤ)で落とす
  • 屋根は 〇/10 勾配(4寸勾配・5寸勾配 等) を「水平・垂直」値で入力。切妻・寄棟・片流れ・陸屋根の4種類が基本
  • 建具は 建具立面コマンド で標準データから選択し、内法寸法と基準点を指定して配置
  • 外壁仕上げは サイディング目地(455mm 等) を仕上線レイヤに集約。縮尺 1/100 では間引き表現が見やすい
  • 4面立面は テンプレJWW化 して新規物件で再利用すると、初期作業時間が大幅に短縮される
  • 確認申請用と施主プレゼン用は レイヤ非表示 で同一ファイル内に共存可能

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