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線種指定包絡・中間消去・ブロック包絡
Jw_cadの包絡処理コマンドには、基本操作(包絡処理の基本)に加えて3つの応用オプションがあります。①コントロールバーで処理対象の線種・線色を絞り込む「線種指定包絡」、②選択範囲内の特定の線を選んで消す「中間消去」、③ブロック化された図形が範囲内にある場合の挙動確認「ブロック包絡」です。
この記事では包絡処理の基本操作を理解していることを前提に、3つの応用オプションの使い方を解説します。
線種指定包絡
線種指定とは
包絡処理コマンドを起動すると、コントロールバーに線種のチェックボックスが表示されます。このチェックボックスで「どの線種を処理対象にするか」を選べます。
| 線種チェックの状態 | 処理対象 |
|---|---|
| 実線にのみチェック | 実線のみが包絡処理の対象になる |
| 破線・鎖線にのみチェック | 破線・鎖線のみが対象になる |
| 複数の線種にチェック | チェックした全線種が対象になる |
| チェックなし(全OFF) | 包絡処理が実行されない |
チェックが入っていない線種は、選択範囲内にあっても処理されません。範囲内に実線・破線・補助線が混在している場合でも、「実線だけ整形して他は残したい」という選択的な処理が可能です。
要確認: コントロールバーの線種チェックの初期状態(起動直後に全ONか全OFFか)を実機で確認してください。
画像準備中 — 包絡処理コマンド起動直後のコントロールバー(線種チェックボックスが並んだ状態)
線種指定包絡の手順
| # | 操作 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 包絡処理コマンドを起動する | メニュー「編集」→「包絡処理」またはツールバー |
| 2 | 対象にする線種のチェックボックスをクリックする | 不要な線種のチェックは外す |
| 3 | 始点を左クリックする | 処理範囲の外側から囲む |
| 4 | 終点を左クリックで確定する | 指定線種だけが包絡処理される |
手順1: コマンドを起動する
メニューバー「編集」→「包絡処理」、またはツールバー「編集(2)」の「包絡」ボタンからコマンドを起動します。
手順2: 処理対象の線種を選択する
コントロールバーに表示された線種チェックボックスを確認し、処理したい線種にチェックを入れます。処理不要な線種のチェックを外してから次のステップに進みます。
画像準備中 — 実線のみチェックを入れたコントロールバー(他の線種チェックが外れた状態)
手順3: 始点を左クリックする
処理したい範囲の外側(端部)を左クリックして始点を指定します。
手順4: 終点を左クリックして確定する
範囲の仮表示枠で処理範囲全体を囲み、終点を左クリックします。チェックが入っている線種だけが包絡処理され、チェックが外れている線種は範囲内にあっても変化しません。
画像準備中 — 線種混在図で実線のみ包絡処理した前後の比較(破線は変化なし)
Tips: 線種指定を使わなくても、線色の違う線を対象から外す方法があります。Jw_cadの包絡処理は「同じ線種・線色の線同士」が処理対象になります。線種が同じでも線色が異なる線は処理されないため、線色の組み合わせでも処理範囲を制御できます。
中間消去(Shift + 左クリック)
中間消去とは
終点を確定するときに Shift + 左クリック を使うと、通常の包絡処理(外郭抽出)とは異なる「中間消去」が実行されます。
中間消去は、選択範囲内にある直線のうち、交差していない線(2本の線に挟まれた中間の線)も含めて消去する機能です。通常の包絡処理では端点・交点の2点間のみを部分消去しますが、中間消去では交差点がなくても選択範囲内の指定線種の線を消去できます。
| 終点の操作 | 処理内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 左クリック | 外郭抽出 | 端点・交点の2点間を部分消去する |
| 右クリック | 範囲内消去 | 指定線種を選択範囲内で全て消去する |
| Shift + 左クリック | 中間消去 | 交差していない中間の線も含めて消去する |
要確認: Shift + 左クリックによる中間消去の動作条件(2本の平行線に挟まれた直線が対象かどうか)を実機で確認してください。
中間消去が有効なシーン
壁の開口部(窓・出入り口)の描き方
建築平面図で壁に窓や出入り口を設ける場面が、中間消去の典型的な用途です。壁線の間に開口部を設けるには、壁の内外2本の線から開口幅の分だけ線を消去する必要があります。通常の外郭抽出では交差線が必要なため、開口部の両端に縦線(見切り線)を引いてから処理する方法が一般的ですが、中間消去を使うと縦線なしで壁線の中間区間を直接消去できます。
画像準備中 — 壁線に開口部を設ける際の中間消去の前後比較
中間消去の手順
| # | 操作 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 包絡処理コマンドを起動する | — |
| 2 | 処理対象の線種にチェックを入れる | 壁線の線種(実線)にチェック |
| 3 | 始点を左クリックする | 消去したい区間の外側から囲む |
| 4 | Shift を押しながら終点を左クリックする | 通常の外郭抽出でなく中間消去になる |
注意: Shift + 左クリックを使う際は、消去してよい範囲かどうかを始点・終点の位置で十分に確認してから実行してください。通常の外郭抽出と操作感が似ているため、気づかずに中間消去を実行してしまう場合があります。
Ctrl + Zで元に戻せます。
画像準備中 — Shift + 左クリックで中間消去を実行している状態(Shiftキーを押したカーソルの変化など)
ブロック包絡(ブロック化図形がある場合の挙動)
ブロック化図形と包絡処理の関係
Jw_cadのブロック化機能は、複数の線・円・文字をひとつの図形としてまとめる機能です。ブロック化された図形は、伸縮・コーナー処理・部分消去などの個別編集ができなくなります。
この性質は包絡処理にも適用されます。ブロック化されている図形の内部にある線は、包絡処理コマンドの対象にならないという点を理解しておくことが重要です。
| 図形の状態 | 包絡処理での扱い |
|---|---|
| 通常の直線 | コントロールバーの線種チェックに合致すれば処理対象 |
| ブロック化された図形内の線 | 線種にかかわらず包絡処理されない |
| ブロック化図形の輪郭線 | 選択クリックで「ブロック図形です」と表示されブロック全体を選択 |
要確認: ブロック化図形が包絡処理範囲内に含まれている場合の実際の挙動(エラーが出るか・無視されるか)を実機で確認してください。
画像準備中 — ブロック化図形と通常線が混在する範囲に包絡処理を実行した結果(ブロック内の線は変化しないことを示す)
ブロック包絡の実務上の注意
建材シンボル・家具・設備機器などをブロック化して使い回している図面では、ブロック化された部品が壁線と重なっている場合があります。このとき、壁線の交差部を包絡処理しようとすると、ブロック内の線は対象にならないため処理が一部しか効かないことがあります。
このような場合は、次のどちらかの方法で対応します。
- 包絡処理の前にブロックを解除する: 「BL解」(ブロック解除)コマンドで一時的にブロックを分解してから包絡処理を実行し、必要であれば再度ブロック化する
- 包絡処理の対象外として設計する: ブロック内の線と重なる部分の壁処理は、包絡処理に頼らず伸縮・消去コマンドで個別に仕上げる
PERSCの推奨: 壁の交差部処理に包絡処理を使う場合は、ブロック化した部品(建具・設備記号等)を配置する前に包絡処理を完了しておくのが最もスムーズです。壁線の整形が終わった後で建具等を配置する手順にすれば、ブロックと包絡処理の干渉を避けられます。
実務での使い方 ★PERSC独自
線種混在図での使い分けフロー
建築実務では、1つの図面に実線(壁線)・破線(隠れ線)・補助線・鎖線(中心線)が混在することが多くあります。壁線の交差部だけを処理したいのに補助線や中心線まで消えてしまうのを防ぐために、線種指定包絡が重要です。
推奨フロー
- コマンド起動後、コントロールバーで「実線のみ」にチェックを絞る
- 壁の交差部(T字・L字・十字)を順に範囲選択して包絡処理する
- 補助線や中心線は一切変化しないことを確認する
- 補助線の後処理が必要な場合は、補助線のみにチェックを切り替えてまとめて処理する
画像準備中 — 実線・補助線混在図で実線のみ包絡処理した結果(補助線が残っている状態)
壁開口部の描き方における中間消去の活用
住宅平面図の壁に窓・ドア開口を設ける手順は、複数の方法がありますが、中間消去を使う方法は図面の仕上がり段階で余分な補助線を出さずにすむメリットがあります。
中間消去を使った開口部の作成手順
- 壁の内外2本の実線を複線コマンドで描く
- 開口幅の位置を寸法などで特定する(始点・終点の目安として補助点を打つ)
- 包絡処理コマンドを起動し、実線のみにチェックを入れる
- 開口幅が入る範囲を選択し、Shift + 左クリックで中間消去する
- 壁の内外2本の線の開口幅分が消え、開口が完成する
背景: 開口部の処理には「消去コマンドで部分消去する方法」「中間消去を使う方法」「建具を配置して既存線を整合させる方法」などがあります。いずれも正しい操作ですが、中間消去は壁線2本を一度に処理できるため、工数が少ない利点があります。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 線種チェックを実線だけにしたのに、他の線も消えてしまった
→ 消えた線の線種・線色を確認してください。Jw_cadの包絡処理は「同じ線種・線色の線同士」を対象にするため、実線チェックが入っていれば同じ線色の実線は全て対象になります。消したくない線が同じ「実線」に属していた場合、線色を変えるか、あらかじめその線を別レイヤに逃がしてから包絡処理する方法が有効です。
Q: 線種チェックを操作したが包絡処理が効かない(何も変化しない)
→ チェックを入れた線種の線が選択範囲内に存在しているか確認してください。また、対象線が実際には「実線」ではなく「補助線」として書かれている場合があります。線の属性は「属性取得」コマンドや情報バーで確認できます。基本的な包絡処理が効かない原因の確認手順は 包絡処理の基本 も参照してください。
Q: Shift + 左クリックの中間消去を試みたが、通常の外郭抽出になってしまった
→ 操作中にShiftキーを押すタイミングを確認してください。終点のクリックと同時にShiftキーを押している必要があります。マウスボタンを押す前にShiftキーを押した状態にしておき、そのままクリックすると確実に中間消去が動作します。
Q: ブロック化した建具が範囲内にあって包絡処理がうまくいかない
→ ブロック化図形は包絡処理の対象外になります。ブロック解除(「BL解」コマンド)で図形を分解してから包絡処理を実行し、必要があれば処理完了後に再度ブロック化してください。あるいは、建具の配置前に壁線の包絡処理を済ませておく手順に変更することも有効です。
Q: 右クリック終点で「範囲内消去」と「指定線種消去」のどちらになるのか混乱する
→ 右クリック終点の挙動は「コントロールバーでチェックした線種を範囲内から全て消去する」です。チェックしていない線種は残ります。包絡処理の基本 で触れている「範囲内消去」と同じ操作です。チェックする線種を絞り込んだうえで右クリック終点を使えば、「指定した線種だけを範囲内で全消去する」という選択的な消去が可能になります。
関連項目
- 包絡処理の基本(外郭抽出・交差線処理) — 包絡処理コマンドの起動方法と基本操作
- 消去 — 個別の線・図形を消去する操作
- 伸縮 — 線を指定位置まで伸ばす・縮める操作
- 複線の基本(間隔指定・端点指定) — 壁面線を複線で作成する基本操作
- 線分割 ※準備中 — 線を指定点で分割する操作
- トラブルシュート: 包絡処理が効かない時 ※準備中
まとめ
- 線種指定包絡はコントロールバーのチェックボックスで対象線種を絞り込んでから包絡処理を実行する。チェックしていない線種は範囲内にあっても変化しない
- 中間消去は終点を Shift + 左クリックで確定することで、交差していない中間の線も消去できる。壁の開口部を描く際に2本の壁線を同時に処理する場面で特に有効
- ブロック化された図形の内部は包絡処理の対象外になるため、建具・設備シンボル等を配置する前に壁線の包絡処理を完了しておくか、必要に応じてブロックを解除してから処理する