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未検証

Direct2D(描画高速化)

このページでできるようになること

Jw_cadの「Direct2D」モードを ON / OFF に切り替える方法を理解し、線・円弧の数が多い大規模図面で再描画が遅いときの対処として描画高速化を有効化できるようになります。あわせて、Direct2D が有効なときに発生しがちな線の表示崩れへの対処、ANTIALIAS(線の滑らか表示)との関係、古いPCや特殊なグラフィック環境で OFF にしておくべきケースまで一通り押さえられます。

背景: Direct2D は Windows の DirectX 上で動作する 2D描画API で、Jw_cad 標準の GDI 描画と比べて大量の線・円弧の描画を高速で処理できます。設備図や大規模配置図のように、画面の拡大・縮小のたびに数万本の要素を再描画するような図面で効果を発揮します。


Direct2D の起動方法

経路操作
メニューバー「表示」→「Direct2D」

要確認: メニュー項目名は実機で「Direct2D」表記そのままか確認してください。一部のバージョンで括弧書きが付く可能性があります。


ON / OFF の判別方法

[Direct2D] はトグル式のコマンドです。実行するたびに ON と OFF が切り替わります。現在の状態はメニュー上のチェックマークで判別できます。

メニュー表示状態
「Direct2D」の左にチェックマーク ありON(Direct2D で描画中)
「Direct2D」の左にチェックマーク なしOFF(標準 GDI で描画中)

ON / OFF を切り替える操作手順

  1. メニューバー「表示」を左クリックします
  2. プルダウンメニュー内の「Direct2D」を左クリックします
  3. メニューを再度開いて、チェックマークの状態が反転していることを確認します
  4. 作図ウィンドウを画面拡大・縮小して、再描画が反映されるのを確認します

Tips: ショートカットキーは標準では割り当てられていません。頻繁に切り替える場合は基本設定の「KEY」タブで Direct2D コマンドにキーを割り当てる方法もあります。詳しくは 基本設定 KEY タブ を参照してください。


Direct2D と GDI の違い

Jw_cad の描画方式は大きく2種類あります。標準の GDI 描画と、追加機能としての Direct2D 描画です。

描画方式仕組み特徴
GDI(標準)Windows 標準の 2D描画API安定性が高い・どの環境でも動く・要素数が増えると遅い
Direct2DDirectX 11 ベースの 2D描画API大量要素でも高速・GPU 支援を受けやすい・環境依存で表示崩れが起きることがある

背景: Windows のソフトウェアが画面に絵を描く方式は、伝統的に GDI と呼ばれる仕組みが使われてきました。Direct2D はその後継として Windows 7 以降で利用できるようになった新しい描画API で、ゲームや動画ソフトと同じ DirectX の枠組みで動きます。GPU(グラフィックボード)の支援を受けやすく、線・円弧を一度に大量に描く処理が GDI より高速です。

どちらを使うべきか

  • データ量が少ない図面(数百〜数千要素程度): どちらでも体感差は小さい。OFF で問題なし
  • データ量が多い図面(数万要素以上、設備図・配置図・電気配線図など): ON にすると拡大・縮小時の再描画が明確に速くなる
  • 古いPC・古いグラフィックドライバ環境: OFF が安定。表示崩れやクラッシュ回避のため

Direct2D ON で起きる表示の癖

Direct2D を ON にすると描画は速くなる反面、標準 GDI とは異なる表示の癖が発生することがあります。

よくある表示崩れ

現象内容
線が二重に見える同一座標に重なった線が、わずかにずれて2本見えることがある
円弧が分割線のように見える円弧を細かい折れ線として描画するため、ギザギザが目立つ
線の濃淡が不均一同じ線色でも、拡大率によって濃さが変わって見えることがある
端点形状の見え方が変わる「端点の形状(丸・四角・平)」設定がすべて「丸」相当に見える環境がある

背景: これは Direct2D が GPU でラスタライズ(線をピクセルに変換)する際の処理特性で、Jw_cad のバグではありません。設計の確認には影響しないレベルですが、見た目の精度を重視するときは OFF に切り替えるのが安全です。

円弧のギザギザを緩和する方法

円弧や斜め線が「カクカクして見える」ときは、ANTIALIAS(線の滑らか表示) を併用すると軽減されます。

  • メニューバー「表示」→「ANTIALIAS」を ON
  • ※ ANTIALIAS は Direct2D が ON のときのみ有効です

詳しくは ANTIALIAS(線の滑らか表示) ※準備中 を参照してください。

要確認: ANTIALIAS コマンドは Direct2D が OFF の状態ではグレーアウトされて選択できない仕様か、選択はできても効果が出ないだけか、実機で確認が必要です。


設定の保存と起動時の状態

Direct2D の ON / OFF 状態は、Jw_cad を正常終了した時点で環境設定ファイル(jw_win.jwf)に保存されます。次回起動時は前回の状態がそのまま再現されます。

終了方法Direct2D 状態の保存
メニュー「ファイル」→「Jw_cadの終了」保存される
ウィンドウ右上の「×」ボタン通常は保存される
タスクマネージャーから強制終了保存されない可能性あり

要確認: Direct2D 状態が jw_win.jwf に保存される正確な内部キー名・セクション、および「初期インストール直後の起動時デフォルト値」(ON か OFF か)は実機で確認してください。

注意: Direct2D を ON にした状態で表示崩れが激しく、操作が困難になった場合は、いったん [Direct2D] を OFF に戻してから Jw_cad を正規終了させてください。OFF 状態で正規終了すれば、次回起動時は安全な GDI 描画で立ち上がります。


ANTIALIAS との関係

「Direct2D」と「ANTIALIAS」は、表示メニュー内で並んで配置されている関連コマンドです。両者の関係を整理しておきます。

項目Direct2DANTIALIAS
役割描画を高速化する線・円弧のギザギザを緩和する
単独実行可能Direct2D が ON のときのみ有効
描画速度への影響速くなるわずかに低下することがある
見た目の品質折れ線的になることがあるなめらかに見える

PERSCの推奨: Direct2D を ON にする場合は ANTIALIAS もセットで ON にしておくのが基本構成です。速度向上と見た目の品質の両立が図れます。表示の正確さを最優先する場合のみ、両方 OFF(GDI 描画)に戻します。

詳しくは ANTIALIAS(線の滑らか表示) ※準備中 を参照してください。


どんなときに ON / OFF を切り替えるか

実務上、Direct2D の ON / OFF 切替が役立つ典型的な場面を整理しておきます。

シーン推奨設定理由
通常の住宅平面図(〜数千要素)OFF体感差が小さく、表示崩れの心配がない
設備図・電気配線図(数万要素)ON拡大縮小の再描画が明確に速くなる
大規模配置図・敷地図ON全体表示と詳細ズームの往復が快適に
印刷直前の最終チェックOFF表示の正確さを優先
プレゼン用に画面共有OFF受け手の環境差を意識して安定優先
古いPC・古いグラフィックドライバOFFクラッシュ・フリーズの回避
リモートデスクトップ経由の作業OFFリモート環境では Direct2D が正しく動かないことが多い

動作環境の目安

Direct2D は Windows の DirectX 11 以降に依存します。一般的な目安として以下の環境で動作します。

環境項目必要条件
OSWindows 7(DirectX 11 適用済)/ Windows 8 / 8.1 / 10 / 11
グラフィックドライバDirectX 11 対応のドライバが正しくインストールされていること
GPUIntel HD Graphics 以降のオンボードグラフィックでも動作可
リモート接続リモートデスクトップ環境では正しく動かない場合あり

要確認: 実際に Windows 7 / 8 / 8.1 / 10 / 11 のそれぞれで Direct2D が動作するか、最新の Jw_cad で実機確認が必要です。古い環境ではメニューを実行してもチェックが入らない、もしくはクラッシュする可能性があります。

背景: 一般的な業務用ノートPC・デスクトップPC(2015年以降に発売されたモデル)であれば、特別な設定をしなくても Direct2D は動作します。グラフィックドライバが極端に古い場合や、Windows Update を長期間止めているPCではドライバ側で対応していないことがあります。


実務での使い方 ★PERSC独自

大規模図面のレスポンス改善

設備図・電気配線図・敷地配置図など、線や記号が数万本オーダーになる図面では、Direct2D を ON にすることで「画面拡大→再描画待ち→操作」のリズムが大きく改善します。具体的には、全体表示から詳細ズームへ切り替える瞬間の待ち時間が体感で半分以下になることがあります。

図面タイプ想定要素数Direct2D 効果
住宅平面図数千効果は小さい
RC造詳細図(部分)数千〜1万やや効果あり
商業ビル意匠図一式数万効果あり
電気・設備配線図数万〜十数万効果が大きい
敷地配置図(広域)数千〜数万効果が大きい

PERSCの推奨: 案件ごとに描く図面の規模が読める段階で、Direct2D の運用方針を決めておくと作業効率が安定します。住宅意匠中心の事務所は OFF 標準、設備・電気・配置を扱う事務所は ON 標準が目安です。

古いPCでは OFF を基本に

事務所のサブ機・現場事務所のお下がりPC・自宅作業用の古いノートPCなど、ハードウェア性能に不安があるPCでは OFF を基本にします。Direct2D が ON の状態で重い処理が走ると、Jw_cad ごとフリーズすることがあります。

  • 5年以上前に発売されたPC: OFF を推奨
  • グラフィックドライバの更新が止まっている: OFF を推奨
  • Windows のサポート期限を過ぎたOS: OFF を推奨

注意: 「速くなりそうだから」と古いPCで Direct2D を ON にしたところ、かえって動作が不安定になり図面データを巻き込んでクラッシュしたという報告もあります。古いPCでは安定優先が鉄則です。

案件単位で ON / OFF を使い分ける

「1台のPCで案件ごとに使い分ける」運用も可能です。設備図を開くときは ON、住宅意匠図に戻るときは OFF、というように切り替えます。

  1. 開く図面に応じて [Direct2D] を切り替え
  2. 描画が安定していることを確認してから作業開始
  3. 作業終了時に Jw_cad を正規終了して状態を jw_win.jwf に確定

切り替え操作自体は数秒で完了するため、**「切り替えコストより、最適な描画モードで作業するメリットの方が大きい」**ケースでは積極的に使い分けます。

印刷前は OFF に戻して見た目確認

Direct2D の表示は GDI と微妙に異なるため、印刷前の最終確認は GDI(OFF)で行うのが安全です。具体的には次のフローを推奨します。

  1. 作図中は Direct2D ON で快適に作業
  2. 印刷前に [Direct2D] を OFF に切り替え
  3. 画面表示を GDI モードで確認(線の重なり・円弧の見え方)
  4. 問題なければ印刷実行

印刷出力そのものは描画モードに左右されませんが、画面で「OK」と判断したものが紙でも「OK」となる安心感は、印刷前 OFF のひと手間で得られます。

Direct2D を切り替えた直後は再描画を促す

[Direct2D] を切り替えても、画面上の表示は次の再描画イベントが起きるまで変わりません。確実に切り替え後の表示を見たい場合は、以下のいずれかで再描画を促します。

  • マウスホイールで少し拡大→元の倍率に戻す
  • [画面倍率] で「全体表示」を実行
  • メニュー「表示」→ 任意の表示コマンド実行

Tips: Direct2D を切り替えても画面が変わらないように見えるとき、「コマンドが効いていない」と勘違いしがちです。実際は次の再描画から反映されているだけなので、まずズームして確認するのがおすすめです。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: Direct2D を ON にしたら線が二重に見える

→ Direct2D 特有の表示挙動です。バグではなく、GPU で線をラスタライズする際の処理特性によるものです。線そのものは1本しかないので、印刷には影響しません。表示の正確さを優先したい場面では、いったん [Direct2D] を OFF に戻してください。

Q: Direct2D を ON にしたら Jw_cad がフリーズした/クラッシュした

→ グラフィックドライバとの相性問題か、ハードウェア性能不足の可能性があります。タスクマネージャーから Jw_cad を強制終了し、再起動後すぐに [Direct2D] を OFF に切り替え、Jw_cad を正規終了して jw_win.jwf に OFF 状態を確定させてください。詳しくは 動作が重い・描画が遅い ※準備中 を参照してください。

Q: 円弧がカクカクして見える

→ Direct2D の描画特性で、円弧は細かい折れ線として描かれます。気になる場合は ANTIALIAS も合わせて ON にしてください。詳しくは ANTIALIAS(線の滑らか表示) ※準備中 を参照してください。

Q: メニューの「Direct2D」をクリックしてもチェックが付かない

→ 古いグラフィックドライバや非対応環境の可能性があります。Windows Update でグラフィックドライバを最新化するか、メーカーのサポートサイトから最新ドライバを入手してください。リモートデスクトップ接続経由でJw_cadを使っている場合も、Direct2D が無効化されることがあります。

Q: ANTIALIAS をクリックしても効果がない

→ ANTIALIAS は Direct2D が ON の時だけ有効です。先に [Direct2D] を ON にしてから [ANTIALIAS] を ON にしてください。

Q: Direct2D の ON / OFF 設定が次回起動時に元に戻ってしまう

→ Jw_cad を正常終了していない可能性があります。設定変更後はメニュー「ファイル」→「Jw_cadの終了」で終了してください。タスクマネージャーから強制終了すると、Direct2D の状態が jw_win.jwf に書き込まれません。詳しくは 設定が保存されない ※準備中 を参照してください。

Q: 描画が重い原因が Direct2D で本当に解決するか分からない

→ Direct2D は「描画処理そのもの」を高速化する機能です。重さの原因が描画ではなく、画像同梱・データ重複・レイヤ過多にある場合は Direct2D を ON にしても改善しません。原因切り分けの手順は 動作が重い・描画が遅い ※準備中 を参照してください。

Q: GDIとDirect2Dを意識せずに使うことはできないのか

→ 多くの利用者は意識せず使えています。初期状態で問題なく動いていれば、無理に切り替える必要はありません。表示が遅くて困ったとき、もしくは表示が崩れて困ったときに、初めて切り替えを検討する程度で十分です。


関連項目


まとめ

  • Direct2D は DirectX 11 ベースの描画API で、大量の線・円弧を高速描画できる
  • 切り替えはメニュー「表示」→「Direct2D」のトグル操作。チェックマークが状態を示す
  • データ量が多い図面では ON、少ない図面や古いPCでは OFF が安定運用
  • ON時は線の二重表示・円弧のギザギザなど GDI と異なる表示の癖 が出る
  • 円弧のギザギザは ANTIALIAS を併用すると緩和される(Direct2D ON 時のみ有効)
  • 設定状態は jw_win.jwf に保存される。正規終了で確実に書き込ませる