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未検証

パラメトリック変形の基本(部分伸縮で形状変更)

このページでできるようになること

Jw_cadの「パラメトリック変形」コマンドを使って、図形の中間部分だけを伸縮させて全体の大きさや形を変えられるようになります。建具の有効幅を後から広げる、通り芯のスパンを一括で延ばす、矩計(かなばかり)図の階高を変える、といった「形を保ったまま寸法だけ変えたい」場面で必要になる基本コマンドです。あわせて、寸法線・文字を巻き込んだ動作の理解、範囲選択時に「移動だけされる図形」と「伸縮される図形」が分かれる仕組みまで押さえます。

背景: 「パラメトリック」は本来「パラメータ(数値)で形が決まる」という意味で、3D CADのフィーチャー編集を指す言葉として広く使われます。Jw_cadのパラメトリック変形は3D CADほど高度ではありませんが、「範囲選択した部分点を一括移動して図形全体を変形させる」という考え方は共通です。手作業で線を1本ずつ引き直すよりはるかに速く、寸法線も巻き込んで動かせるのが大きな利点です。


どんなコマンドか

パラメトリック変形は、範囲選択した枠と交差する線分の「枠の内側にある端点」だけをまとめて移動させるコマンドです。範囲枠の外側にある端点は動かないため、線分の途中だけが伸縮し、図形全体の接続関係は保たれます。

具体的には次の3種類の図形が混在する状態で動きます。

図形の状態範囲枠との関係動作
完全に枠内にある図形枠の中に全部入っている形を変えずにそのまま移動される
枠と交差する図形線が枠の境界線をまたいでいる枠内側の端点だけが動き、伸縮される
完全に枠外の図形枠の外にある動かない(接続点が残る)

この3パターンが同時に起こるため、たとえば「窓の幅だけを広げる」「通り芯のスパンだけを延ばす」操作が、周囲の図形との接続を保ったまま一発でできます。

背景: 同じ「線を伸ばす」コマンドでも、伸縮(基本/包絡伸縮/突出長指定) は1本ずつ端点を伸縮させるのに対し、パラメトリック変形は範囲内のすべての交差線分の端点をまとめて移動します。「線分単位の編集」と「形状単位の編集」の違いです。

要確認: 円弧は変形対象外(jwdojoの記述)。範囲枠と交差する円弧がどう扱われるかは実機で確認します。


コマンドの起動方法

方法操作
メニューバーその他 → パラメトリック変形
ツールバー「その他(1)」ツールバー内の「パラメ」ボタンを左クリック
クロックメニュー作図ウィンドウ内で0時方向へ左ドラッグ中に右クリック

要確認: クロックメニューの起動方向(0時方向への左ドラッグ中に右クリック)を実機で確認します。jwdojoの記述ではこの操作で起動するとなっていますが、バージョンによって挙動が変わる可能性があります。

要確認: メニューバーの正確なラベル(「その他(A)」→「パラメトリック変形(P)」)と、ツールバー名(「その他(1)」)の現行表記を実機で確認します。


コントロールバーの構成

パラメトリック変形コマンドは、操作の段階によってコントロールバーの内容が切り替わります。最初は範囲選択用、選択確定後は変形指示用に変わります。

範囲選択モード時のコントロールバー

CB項目役割
選択確定範囲選択を確定し、変形指示モードへ進む
基準点変更基準点を任意位置に変更(左クリックすると同時に選択も確定される)
解除選択を取り消して最初からやり直す

変形指示モード時のコントロールバー

CB項目役割
任意方向マウス方向に自由に変形。左クリックで「任意→X方向→Y方向→XY方向→任意」に切替
倍率「X倍率, Y倍率」形式で変形倍率を入力。無指定は「1,1」(等倍)。マイナスで軸反転
回転変形と同時に回転させる角度を入力
数値位置元の位置からの相対座標で移動先を指定(X寸法, Y寸法 形式)
基点変更変形指示モードでも基準点を変えられる
再選択変形後にもう一度範囲選択モードに戻る

要確認: 各ボタン・入力ボックスの正確な表記を実機で確認します。「任意方向」の左クリックで「任意→X→Y→XY→任意」の順、右クリックで逆順となる挙動も確認します。


基本操作:5ステップで形を変える

注意: パラメトリック変形を行う前に、必ず以下の 3 ステップ安全手順 を踏んでください:

  1. コピー退避: 対象JWWファイルを別名でコピーバックアップ(例: 矩計図.jww矩計図_backup_2026-05-09.jww
  2. 検証: バックアップを別場所に置いた状態で、範囲枠と交差する線分・寸法線の挙動が想定どおりかを小範囲で確認(バックアップから戻せる前提を作る)
  3. 対処: 上記2ステップを踏んだ上で、本記事の手順を実行

パラメトリック変形は 範囲枠と交差する全線分の端点を一括移動する破壊的編集 です。寸法線・文字を巻き込んだ意図しない変形が起きると、図面データの 永続的損失 につながる可能性があります。原本に対して直接実行する前に、必ずバックアップを取ってください。

基本操作サマリー(全5ステップ)

#操作ポイント
1パラメトリック変形コマンドを起動範囲選択モードに入る
2変形させる範囲の始点・終点を左クリック範囲枠と交差する線が「伸縮対象」、枠内に完全に収まる図形が「移動のみ」になる
3コントロールバーの「選択確定」を左クリックまたはEnterキーで確定
4変形方向を指定(必要なら「任意方向」ボタンで切替)X方向のみ・Y方向のみに固定すると操作しやすい
5移動先で左クリックして変形を確定変形距離が作図ウィンドウに表示される

ステップ1: コマンドを起動する

メニューバー「その他」→「パラメトリック変形」、またはツールバー「パラメ」をクリックします。コマンドを起動するとマウスポインタが範囲選択用に変わり、コントロールバーも切り替わります。

ステップ2: 変形範囲を指定する

変形させたい部分を囲むように、範囲枠の始点と終点を左クリックで指定します。文字も範囲に含めたい場合は終点を右クリックします。

Tips: 範囲枠の取り方が結果を決めます。「動かしたい部分点を枠の内側に、固定したい接続点を枠の外側に」という配置を意識すると、意図どおりに変形できます。

ステップ3: 選択確定で変形指示モードへ進む

範囲を指定すると、選択された図形が選択色で表示されます。

  • 完全に枠内に収まった図形: 元線種の色(実線の選択色)で表示。変形時は形を変えずに移動するだけ
  • 枠と交差する線分: 点線の選択色で表示。変形時に伸縮される

範囲が意図どおりであれば、コントロールバーの「選択確定」を左クリック(またはEnterキー)で確定します。

要確認: 「実線色=移動のみ/点線色=伸縮対象」の表示色が現行バージョンでも同じか実機で確認します。

背景: この「実線色/点線色」での見分けが、パラメトリック変形を使いこなすうえで最も重要な概念です。範囲枠の取り方を変えるだけで「どこが伸縮し、どこが平行移動するか」を完全にコントロールできます。

ステップ4: 変形方向を選ぶ

選択確定後はマウスを動かすと変形後の状態が仮表示されます。X方向だけ・Y方向だけに変形を限定したい場合は、コントロールバーの一番左の「任意方向」ボタンを左クリックして方向を切り替えます。

ボタン表示動作
任意方向マウスポインタの位置に自由に変形
X方向水平方向のみ変形(垂直方向は固定)
Y方向垂直方向のみ変形(水平方向は固定)
XY方向水平・垂直のうちマウス移動量が大きい方に固定

Tips: 通り芯のスパン変更や建具幅の変更は「X方向」または「Y方向」に固定すると、ナナメに引きずられる事故を防げます。基本フォームとして覚えておきましょう。

ステップ5: 移動先で左クリックして確定

伸縮先の位置で左クリックすると変形が実行されます。読取点(既存の端点・交点)にスナップさせたい場合は右クリックを使います。

変形が完了すると、作図ウィンドウに移動した距離が表示されます。意図どおりの距離か確認しましょう。

Tips: 変形後も範囲選択は保持されます。続けて別方向にもう一度変形させたい場合や、倍率・回転を加えて再度動かしたい場合に便利です。範囲選択を解除したいときはコントロールバーの「再選択」を左クリックするか、別のコマンドを選びます。


寸法線・文字を一緒に変形させる

パラメトリック変形の大きな利点は、寸法線・文字も範囲選択に含めれば一緒に動くことです。

寸法線を巻き込む

寸法線を範囲枠と交差させると、寸法補助線(端点側の線)が伸縮の対象になります。寸法値の文字部分は枠内に収めて「移動のみ」扱いにすると、寸法線全体が変形した形に追従して動きます。

要確認: 寸法線が伸縮した際に、寸法値(数字)が新しい長さに自動更新されるかどうかを実機で確認します。寸法コマンドで作図された寸法かどうかでも挙動が変わる可能性があります。

文字を選択範囲に含める

文字(テキスト)を範囲選択に含めたい場合は、範囲指定の終点を右クリックします。左クリックの終点指定では文字は選択対象外です。

背景: Jw_cadの範囲選択全般で、「左クリック終点=文字を含めない/右クリック終点=文字を含める」の使い分けがあります。パラメトリック変形でも同じルールが適用されます。


派生パターン

パターンA: 倍率指定で正確にスケール変更

コントロールバー「倍率」入力ボックスに「X倍率, Y倍率」形式で数値を入力すると、変形時に指定倍率でスケールされます。

入力例結果
1,1等倍(無指定時のデフォルト)
2,1X方向のみ2倍に伸長
1.5,1.5縦横とも1.5倍に拡大
-1,1X方向に反転(鏡像)

Tips: 倍率指定は「形状を残したまま比率だけ変えたい」場合に使います。たとえば建具を1.5倍幅に統一したい場合、伸縮方向の倍率だけ「1.5」に変えてXY方向で確定すれば、複数寸法を個別計算せずに済みます。

パターンB: 回転を加えながら変形

コントロールバー「回転」入力ボックスに角度(度数)を入力すると、変形と同時に回転が加わります。傾斜屋根の勾配を変えながらスパンも変える、といった複合操作を1ステップで処理できます。

パターンC: 数値位置で相対座標移動

コントロールバー「数値位置」入力ボックスに「X寸法, Y寸法」を入力すると、現在位置からの相対座標で変形先を指定できます。マウスで目分量するより精度が高く、図面上に基準点が見当たらない場合に有効です。

入力例結果
500, 0X方向に+500mm移動して変形
0, -300Y方向に−300mm移動(縮小方向)
1000, 500斜め方向に相対移動

Tips: 「あと300mmだけ広げたい」「階高を200mm下げたい」のようにピンポイントの寸法調整に最適です。マウス操作で目測する手間が省けます。

パターンD: 基準点を変えて変形の中心を制御

範囲選択直後または変形指示モード中に「基準点変更」を押すと、基準点(変形の不動点)を任意位置に移動できます。基準点の詳細な使い方は パラメトリック変形の基準点変更 ※準備中 で解説します。


実務での使い方

建具の有効幅を後から広げる(住宅平面図)

住宅の平面図で「窓の幅を900mmから1200mmに広げたい」「玄関ドアを片開きから親子戸に変えたい」といった変更が発生したとき、伸縮コマンドで線を1本ずつ動かすと、上下の壁線・室内側の枠線・寸法線まですべて手作業になります。

パラメトリック変形なら、開口部全体を範囲選択して「X方向」に300mm広げれば、開口端部の縦線・寸法補助線・寸法値が一括で更新されます。

操作の組み立て例

  1. 開口部を中央付近で範囲選択(左右の壁線を範囲枠と交差させる)
  2. 「選択確定」→「X方向」に切替
  3. 数値位置「300, 0」を入力して右側へ移動
  4. 反対側はそのまま固定(範囲枠の外側にあるため動かない)

PERSCの推奨: 建具の幅変更はパラメトリック変形がもっとも速い手段です。開口の左右どちらの壁を動かすかは、範囲枠の取り方で決められます。「動かしたくない側の壁を範囲枠の外」に置けば、自然と片側だけが伸縮します。

通り芯のスパンを一括変更(RC造伏図)

RC造の伏図で「X2-X3通りのスパンを6,000mmから6,500mmに伸ばす」変更が入ったとき、X3通りより右側の通り芯・柱・梁・寸法線をすべて500mm右に動かす必要があります。

X3通りより右側全体を範囲選択(X3通り自体は範囲枠と交差させる)し、X方向に「500, 0」と数値位置で指定すれば、右側の通り芯・柱・梁・寸法がそのまま500mmずれた状態で再配置されます。

背景: RC造の伏図ではスパン変更が設計後半にも頻繁に発生します。通り芯の引き直し→柱の再配置→梁の再作図…と手作業でやると半日仕事ですが、パラメトリック変形なら数十秒です。

矩計図の階高を変える(矩計図)

矩計(かなばかり)図で「階高を2,800mmから3,000mmに変えたい」場合、2階以上の床線・天井線・梁・サッシ・寸法線をすべて200mm上に動かす必要があります。

2階床より上の部分を範囲選択し、Y方向に「0, 200」と数値位置で指定すれば、2階以上の構成材一式と寸法が同時に200mm上昇します。窓のサッシ高さや天井の取り合いまで連動するため、再作図の手間が大幅に減ります。

PERSCの推奨: 矩計図の階高変更は「階ごとに範囲選択を分ける」のがコツです。1階の天井から上を一括選択して上にずらし、屋根伏図側の参照線も同時にチェックします。

詳細図の寸法を一括調整

詳細図(金物の取り付け詳細・サッシまわりの納まり詳細など)では、設計の進行に伴って寸法を微調整する場面が頻発します。1mmや5mm単位の調整でも、線・寸法・文字を個別に動かすと整合がずれます。

パラメトリック変形で対象部分を範囲選択して数値位置で動かせば、すべて連動した状態で正確に調整できます。


つまずきポイント・対処

Q: 範囲選択した図形がぜんぶ平行移動するだけで、伸縮されない

→ 範囲枠が図形を完全に囲んでしまっているのが原因です。すべての線分が範囲枠の中に収まると「移動のみ」モードになります。伸縮させたい線分は、必ず範囲枠の境界線と交差させるように枠を取り直してください。

Q: 線がナナメに引きずられて、図形が崩れる

→ 「任意方向」モードで斜め方向に動かしてしまっている可能性があります。コントロールバーの「任意方向」ボタンを左クリックして「X方向」または「Y方向」に切り替えてから操作すると、水平または垂直に固定されて崩れません。

Q: 寸法値が更新されない

→ 寸法線・寸法値の両方を範囲選択に含める必要があります。寸法値(文字)を含めるには範囲指定の終点を右クリックしてください。左クリック終点では文字は選択対象外です。

要確認: 寸法値の自動更新が起きるかどうかは、寸法コマンドで作図された寸法かどうかにも依存します。実機で確認します。

Q: 円弧が含まれた範囲を変形させたら、円弧の形がおかしくなった

→ jwdojoの記述では「伸縮する図形は直線のみで円弧は変形の対象外」とされています。円弧を含む形状を変形させたい場合は、円弧の両端を範囲枠の内側に入れて「移動のみ」扱いにする運用が安全です。

要確認: 範囲枠と交差する円弧がどう扱われるかは実機で確認します。

Q: 「選択確定」を押す前に変形指示モードに入ってしまう

→ 「基準点変更」を押した場合、基準点指示と同時に選択も自動確定されます。基準点を変える必要がない場合は「選択確定」を押す運用にしてください。

Q: 変形後に「再選択」を押したら、選択がぜんぶ解除された

→ 「再選択」は範囲選択モードに戻すボタンです。再度範囲枠を引きなおして変形を続けてください。続けて同じ範囲を別方向に変形させたい場合は、再選択ではなくそのまま2回目の変形指示を実行します。

Q: 数値位置の入力方法がわからない

→ 「X寸法, Y寸法」のカンマ区切りで入力します。X方向は右が+・左が−、Y方向は上が+・下が−です。たとえば「右に500mm、下に200mm」なら「500, -200」と入力します。

Q: 図形だけ動かして寸法線を取り残してしまった

→ 範囲枠を取り直して、寸法線・寸法補助線・寸法値(文字)まで含めて選択し直してください。寸法値を含めるには終点を右クリックするのを忘れないようにします。

Q: パラメトリック変形と「移動」コマンドの違いは?

→ 移動 は選択した図形すべてを「形を変えずに」位置移動するコマンドです。パラメトリック変形は範囲枠との交差関係に応じて「枠内=移動/交差=伸縮/枠外=固定」と扱いを切り替えます。「形を保ったまま動かす」のが移動、「形そのものを変える」のがパラメトリック変形と覚えてください。


関連項目


まとめ

  • パラメトリック変形は「範囲枠と交差する線分の枠内側端点だけをまとめて移動させる」コマンド
  • 範囲枠との関係で枠内=移動のみ/交差=伸縮/枠外=固定の3種類が同時に動く
  • 基本フローは「コマンド起動→範囲選択→選択確定→方向指定→移動先指示」の5ステップ
  • 寸法線・文字を含めるには範囲指定の終点を右クリック。建具幅変更・通り芯スパン変更・階高変更などで効果が大きい
  • 倍率・回転・数値位置を併用すると、形状の比率変更や精密な寸法調整も1コマンドで完結する