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未検証

寸法を指定した矩形の作図

このページでできるようになること

Jw_cadの「矩形」コマンドで、横と縦の寸法をあらかじめ数値で指定して四角形を描く方法が使えるようになります。コントロールバーの「寸法」欄に「横,縦」をカンマ区切りで入力し、9点基準(左上・上中・右上・左中・中・右中・左下・下中・右下)で「クリックした位置を矩形のどこに合わせるか」を選んで配置する流れを、建築実務でよく使う寸法例(柱・壁・畳・建具)と一緒に身につけられます。

背景: マウスのドラッグで対角点を指示する作図方法は感覚的で速い反面、「910mmぴったり」「1820×910」のような規格寸法を正確に描くのは苦手です。矩形コマンドの「寸法」入力は、この弱点を埋めるための機能で、建築の壁芯・柱・畳・建具のように寸法が決まっている要素を1クリックで配置できます。

注意: この記事は寸法を指定する作図方法に絞った内容です。矩形コマンドの起動方法・始点と対角点で描く基本手順は 矩形の作図(基本) を参照してください。


寸法指定で矩形を描く流れ(全体像)

寸法指定の作図は、マウスドラッグでサイズを決める通常の矩形と手順が異なります。先に寸法を入力してから配置位置を決める順序になるため、最初に全体像をつかんでおきましょう。

寸法指定の作図サマリー(全5ステップ)

#操作所要
1矩形コマンドを起動数秒
2コントロールバー「寸法」欄に「横,縦」を入力(例: 1820,910数秒
3配置したい位置で左クリック(読取の場合は右クリック)数秒
49点基準のうち「クリック位置に合わせる点」を選ぶ方向へマウスを動かす数秒
5クリックして確定数秒

合計: 慣れれば10秒以内で1つの矩形を確定できます。


「寸法」入力欄の使い方

入力欄の位置

矩形コマンドを起動すると、画面上部のコントロールバーに「寸法」入力欄が表示されます。コントロールバーには「矩形」「水平・垂直」「傾き」「寸法」「ソリッド」「多重」などのチェックボックスや入力欄が並んでおり、「寸法」はその中の数値入力ボックスです。

要確認: コントロールバーのラベル文言は実機で「寸法」表記であることを確認します。バージョンや解像度によっては「サイズ」と表示される可能性も含めて検証してください。

基本の入力ルール

「寸法」欄には、横方向の寸法と縦方向の寸法を半角カンマ「,」で区切って入力します。

入力例意味完成する矩形
1820,910横1820mm × 縦910mm横長の長方形(畳1枚相当)
910,1820横910mm × 縦1820mm縦長の長方形(畳1枚を縦置き)
100,100横100mm × 縦100mm正方形
100横100mm × 縦100mm正方形(単一値で同じ寸法扱い)

Tips: 数値の前後にスペースを入れても受け付けます。例えば 1820 , 910 のように区切り直後にスペースが入っても、Jw_cadは「1820,910」と同じ意味で解釈します。コピー貼り付けで余分なスペースが混ざっていても焦らずそのまま確定してOKです。

要確認: 単一数値入力時の挙動(縦も同じ寸法になるか)はバージョン差がないか実機で確認してください。

計算式の入力

「寸法」欄では、簡単な四則演算(+ − × /)も入力できる仕様になっています。たとえば「1820の半分」を縦寸法にしたい場合、暗算しなくても次のように書けます。

  • 1820,910/2 → 横1820mm × 縦455mm
  • 910*2,910 → 横1820mm × 縦910mm
  • 3640-910,910 → 横2730mm × 縦910mm

背景: Jw_cadの数値入力欄の多くは、寸法だけでなく長さ・距離系の入力箇所でも計算式を受け付ける共通仕様になっています。「910を2で割った値」を頭で計算してから入力する手間が省けるため、モジュール(規格寸法)を割り付ける建築の作図と相性が良い設計です。

要確認: 計算式入力(/, *, +, -)が矩形の「寸法」欄でも有効かを実機で確認します。式計算コマンドで使える表記との整合も含めて検証してください。


入力した寸法は「実寸法」(縮尺非依存)

「寸法」欄に入力する値は、**用紙上のミリではなく、図面の実寸法(実際の建物のミリ)**として扱われます。1/100の縮尺で作図していても、1820,910 と入力すれば「実寸1820mm × 910mm」の矩形が描かれます(用紙上では18.2mm × 9.1mmで表示)。

背景: Jw_cadは縮尺を「レイヤごと」に持ち、入力数値は常に実寸として解釈する仕様です。図面を1/50に変えても、入力値の意味は変わりません。これは「畳は1820×910」「柱は120角」のような現実の寸法をそのまま入力できるようにするための設計で、紙の上で何mmかを暗算する必要がなくなります。

注意: この前提を知らずに「縮尺をかけた値(1/100なら18.2,9.1)」を入力してしまうと、用紙の中で1cmにも満たない極小の矩形が描かれて見えなくなります。**入力する数値は常に「現実の建物寸法」**と覚えておきましょう。


9点基準で配置位置を決める

寸法を指定して矩形を描く場合、マウスでクリックした位置が矩形の「どの点」になるかを9点の中から選べます。これが9点基準です。

9点基準の意味

矩形の外形を3×3の格子で区切ったときの9つの位置を、配置の基準点として選択できます。

基準位置説明使いどころ
左上矩形の左上角を指示位置に合わせる部屋の左上に部材を配置
上中矩形の上辺中央を指示位置に合わせる上の通り芯に天端を合わせる
右上矩形の右上角を指示位置に合わせる部屋の右上端から内側に配置
左中矩形の左辺中央を指示位置に合わせる左の通り芯に左端中央を合わせる
矩形の中心を指示位置に合わせる柱を芯に合わせて配置
右中矩形の右辺中央を指示位置に合わせる右の通り芯に右端中央を合わせる
左下矩形の左下角を指示位置に合わせる部屋の左下角を起点に配置
下中矩形の下辺中央を指示位置に合わせる下の通り芯に底面中央を合わせる
右下矩形の右下角を指示位置に合わせる部屋の右下角を起点に配置

9点基準の選び方(操作)

寸法を入力したあと、配置位置でクリックすると、マウスポインタの動きに合わせて矩形の仮表示が9つの位置に切り替わります。希望の位置に矩形が表示された状態でもう一度クリックすると確定します。

操作手順

  1. 「寸法」欄に「横,縦」を入力します(例: 1820,910
  2. 作図ウィンドウ内の任意の位置で左クリックします(読取りの場合は右クリック)
  3. クリックした位置を中心に、入力した寸法の矩形が仮表示されます
  4. マウスポインタを上下左右に動かすと、9点基準のうち「マウスの方向にある点」を基準とした位置に仮表示が切り替わります
    • マウスを右上に動かす → クリック位置を左下に持つ矩形(クリック位置から右上方向に矩形が広がる)
    • マウスを左下に動かす → クリック位置を右上に持つ矩形(クリック位置から左下方向に矩形が広がる)
    • マウスをほとんど動かさない → クリック位置を中心に持つ矩形
  5. 描きたい位置に仮表示が来た状態で、もう一度クリック(左でも右でも可)して確定します

Tips: 9点基準の仕組みを「マウスを動かした方向の反対側がクリック位置になる」と覚えると感覚的に使えます。部屋の左下角から始めて右上方向に伸ばす矩形を描きたいときは、左下角でクリック → マウスを右上に動かす、で確定です。

要確認: 9点基準の確定動作が「左クリック・右クリックどちらでも確定」かを実機で確認します(s-projects記述では「左でも右でも同じ」となっています)。


よく使う建築モジュール矩形

建築の作図では、寸法が決まっている要素が多く、それらを矩形コマンドの寸法指定で1クリック配置できると作図速度が大きく上がります。よく使うサイズを実例として整理します。

部材入力例用途
木造在来 105角柱105,105木造住宅の主要柱
木造在来 120角柱120,120木造住宅のやや太めの柱・通し柱
木造在来 150角柱150,150木造の大黒柱・大スパン用
鉄骨造 H形鋼 200×200200,200軽量鉄骨造の柱(外形寸法)
RC造 600×600柱600,600RC造一般の柱

部材入力例用途
木造間仕切り(半間)910,100木造の半間長さの内壁
木造外壁(1間長さ・厚100)1820,1001間スパンの外壁
RC壁(厚150)1820,150RCの一般的な内外壁
軽量間仕切り(厚75)1820,75LGSの内壁

畳・床

部材入力例用途
畳1枚(江戸間)1760,880関東の標準畳
畳1枚(京間)1910,955関西の畳
畳1枚(中京間)1820,910中京エリアの畳
1坪枠1820,1820坪割りの基準枠

建具

部材入力例用途
シングルドア(W×内法H)780,2000木造住宅の室内ドア
引違い窓2枚(W×H)1690,1100一般的な腰窓
玄関ドア860,2100標準的な玄関
掃出し窓1690,2030リビングの掃出し

PERSCの推奨: 自分の業務でよく使うモジュール寸法を、上記のような表として手元にメモしておくと作図効率が大きく上がります。毎回ググったり過去図面から拾い直したりする時間が消えるため、平面図のラフを一気に組むときに効きます。


入力値が残るときのクリア方法

「寸法」欄に一度数値を入れると、矩形コマンドを抜けて再び矩形コマンドに戻ったときも、その値が残った状態になることがあります。前の図面で使った寸法のまま新しい矩形を描きそうになる、という事故を防ぐために、クリア手順を覚えておきましょう。

クリア手順

  1. 「寸法」入力欄をマウスでクリックしてカーソルを置く
  2. Ctrl + A で全選択Delete または Backspace で削除
  3. 空欄になったことを確認

または、

  1. 「寸法」入力欄をダブルクリックして中身を全選択
  2. Delete または Backspace で削除

別寸法に書き換える場合

クリアしてから入力し直すよりも、全選択(Ctrl+A またはダブルクリック)から直接タイプしたほうが速いです。全選択された状態でキー入力すると元の数値が上書きされます。

注意: 「寸法」欄が空欄でないままマウスドラッグで矩形を描こうとすると、ドラッグの動きに関係なく入力済みの寸法で矩形が固定され、9点基準モードに入ります。「ドラッグで自由なサイズの矩形が描けない」ときは、まず「寸法」欄が空かどうかを確認してください。

要確認: 「寸法」欄の値がJw_cad終了時まで保持されるか、コマンド切替で自動クリアされるかを実機で確認します。


傾きとの併用

「寸法」欄と**「傾き」欄を同時に使う**と、寸法指定 × 角度指定の矩形を描けます。

操作の順序

  1. 「寸法」欄に「横,縦」を入力(例: 1820,910
  2. 「傾き」欄に角度を入力(例: 30 で水平から30度上に傾く)
  3. 配置位置で左クリック
  4. 9点基準を選んでもう一度クリックで確定

注意点

「水平・垂直」チェックボックスがONになっていると傾きが無視されるため、傾きを使うときはチェックを外す必要があります。傾きを入力したのに矩形が水平のまま描かれる場合、まず「水平・垂直」チェックを確認してください。

注意: 「水平・垂直」と「傾き」が両方有効な状態では、「水平・垂直」が優先されて傾き入力が無視される仕様です。先に「水平・垂直」のチェックを外してから「傾き」を入力する順序が安全です。

要確認: 「水平・垂直」OFF + 傾き入力 + 寸法入力 の併用時の挙動順序(始点クリック後に傾いた仮表示が出るか、9点基準が傾きに沿って回転するか)を実機で確認します。


実務での使い方 ★PERSC独自

平面図のラフを1分で組む

寸法指定矩形は、平面図の初期スケッチを高速に組む作業で最も効きます。柱・壁・畳・建具のサイズが頭に入っていれば、ドラッグで形を整える時間がほぼゼロになり、配置位置の検討にだけ集中できます。

例: 6畳間(中京間)のラフ

  1. 矩形コマンド起動
  2. 「寸法」に 2730,3640 を入力(畳1820×910を3×2並べたサイズ)
  3. 配置位置をクリック → 左下基準に切り替えてもう一度クリック
  4. 6畳間の外形が1ストロークで完成

この後、内部の畳割り(1820,910 の矩形を6回複写)や柱(120,120 を四隅に配置)を寸法指定矩形だけで組み上げられます。

詳細図の部材断面

詳細図(1/10、1/20)でも、部材の断面をそのまま寸法入力できる強みがあります。柱の引き出し詳細・梁の断面・サッシの框(かまち)などは決まった寸法で描かれることが多く、寸法指定矩形が活躍します。

例: 木造梁の断面(120×240)

  1. 「寸法」に 120,240
  2. 中心配置にしたい位置でクリック → マウスを動かさずもう一度クリック(中基準)
  3. 梁断面が中心配置で確定

設備図のシンボル化

エアコン室外機(800×300)、給湯器(500×800)、便器(700×400)のような設備機器の見下げ平面も、寸法指定矩形でラフを組めます。詳細はメーカー図形に差し替えますが、ラフ段階のスペース取りには十分です。

PERSCの推奨: 担当する案件種別ごとに「自分のチートシート」を作ると効率が一気に上がります。木造住宅・RC共同住宅・店舗改修のように案件種別ごとに使う寸法は固定化するため、チートシートを横に置いて作図するだけで毎回の暗算と参照が消えます。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: マウスドラッグで矩形を描こうとしたら、サイズが固定されて動かない

→ 「寸法」欄に数値が残っています。ドラッグで自由なサイズを決めたい場合は「寸法」欄を空欄に戻す必要があります。「寸法」欄をダブルクリックで全選択 → Delete でクリアしてから始点をクリックし直してください。

Q: 寸法を入れたのに、極小の矩形が描かれて見えない(または非常に大きく描かれる)

→ 縮尺の認識違いの可能性が高いです。Jw_cadの「寸法」欄は常に実寸(mm)として入力します。1/100の縮尺で 1820,910 と入れると、用紙上では約18.2mm × 9.1mmで表示されますが、これは正しい挙動です。逆に「縮尺をかけた小さい数値(18.2,9.1など)」を入れていると、用紙の中で見えないほど小さい矩形になります。実寸そのままの数値を入力しましょう。

Q: カンマで区切ったのに正方形になる

→ **半角カンマ「,」ではなく全角カンマ「,」**を入れている可能性があります。日本語入力がONになっていると全角になりやすいので、Shift キーや 半角/全角 キーで半角入力に切り替えてから入力してください。

Q: 9点基準で「右上」を狙いたいのにマウスを動かす方向がわからない

→ 「マウスの方向にある9点基準が選ばれる」と覚えると整理できます。クリック位置を矩形の右上にしたいときは、マウスを右上に動かすのではなく左下に動かします(矩形が左下方向に広がる=右上にクリック位置が来る)。マウスを動かしながら仮表示を見て、希望の位置に来た瞬間にクリックするのが確実です。

Q: 「寸法」欄が見当たらない

→ 矩形コマンドが起動できていないか、コントロールバーが非表示になっています。

  • メニューバー「作図」→「矩形」、またはツールバーの □ アイコンで矩形コマンドを起動
  • ステータスバーに「矩形」と表示されているかを確認
  • 「表示」メニューで「コントロールバー」が有効になっているかを確認

詳細は 矩形の作図(基本) を参照してください。

Q: 計算式(/2 など)を入れたのに反映されない

→ 半角の演算記号で入力しているか確認してください。全角の は受け付けません。また、桁区切りのカンマ(1,820,910 のような)と寸法区切りのカンマが混在すると区切り位置を誤認するため、桁区切りは入れないで入力します。

Q: 確定したのに矩形が9点基準モードに入ったまま抜けない

→ Jw_cadは「寸法を指定した矩形」では、1回確定するごとに次の配置位置クリックを待つ状態に戻ります。続けて同じ寸法の矩形を別の位置に置く前提の仕様です。コマンドを抜けるには、別のコマンド(線・消去など)を選び直すか、右クリックで読取り → ESC などの操作で矩形コマンドの状態をリセットしてください。詳しくは トラブルシュート: コマンドが切替らない ※準備中 を参照。


関連項目


まとめ

  • 「寸法」欄に**「横,縦」をカンマ区切り**で入力すれば、サイズの決まった矩形を1クリック配置で描ける
  • 入力値は常に実寸(mm)。縮尺をかけずにそのまま入力する
  • 配置時は9点基準でクリック位置を矩形のどこに合わせるかをマウス方向で選ぶ
  • 計算式(/, *, +, -)が使えるため、1820/2,910 のような割り付け計算が暗算なしで入力できる
  • 値が残るとドラッグ作図ができなくなるので、Ctrl+ADelete でクリアする習慣をつける