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範囲指定で複数線を一括複線化
Jw_cadの「複線」コマンドには「範囲選択」機能があり、矩形の選択枠で囲んだ範囲内の複数の線・円弧をまとめて同じ間隔で複線化できます。
1本ずつ基準線をクリックして複線を作成するのではなく、複数の線を一度に選んでから間隔を指定するため、同じ間隔の複線を大量に作成する場面で作業時間を大きく短縮できます。矩形・多角形・閉じた図形など、面で構成された形状全体を複線化したい場面で特に効果を発揮します。
背景: 複線コマンドの「範囲選択」タブは、Jw_cadの通常の「範囲選択」コマンドとほぼ同じ選択方法で図形を囲みますが、選択確定後にそのまま複線の間隔指定と方向指定へ続ける点が異なります。
複線コマンドの起動方法
範囲複線は「複線」コマンドの機能の一つです。通常の複線コマンドと同じ方法で起動します。
| 方法 | 操作 |
|---|---|
| ツールバー | 「編集(1)」ツールバー内の「複線」ボタンをクリック |
| メニューバー | 編集 → 複線 |
| クロックメニュー | 左ボタンを11時方向へドラッグ |
画像準備中 — 複線コマンドの起動方法(ツールバー上の「複線」ボタンの位置)
基本操作フロー(全6ステップ)
操作サマリー
| # | 操作 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | 複線コマンドを起動 | 数秒 |
| 2 | コントロールバーの「範囲選択」をクリック | 数秒 |
| 3 | 選択枠の始点を左クリックで指示 | 数秒 |
| 4 | 選択枠の終点を左クリックで指示 | 数秒 |
| 5 | 「選択確定」をクリックして対象図形を確定 | 数秒 |
| 6 | 間隔を入力し、方向をマウスで指示して左クリック | 数秒〜 |
合計: おおむね30秒〜1分で完了します。
ステップ1: 複線コマンドを起動する
ツールバーの「複線」ボタンをクリックしてコマンドを起動します。
コントロールバー(画面上部)の表示が複線コマンド用に切り替わります。
画像準備中 — 複線コマンド起動直後のコントロールバー全体
ステップ2: 「範囲選択」ボタンをクリックする
コントロールバーにある「範囲選択」ボタンを左クリックします。
要確認: 「範囲選択」ボタンの正確なラベル名(「範囲選択」か「範囲」か)を実機のコントロールバーで確認してください。
通常の複線コマンドは起動直後に「基準線を1本クリックして選択」する状態ですが、「範囲選択」ボタンをクリックすることで「矩形の範囲枠で複数の線をまとめて選択」するモードに切り替わります。
画像準備中 — 「範囲選択」ボタンをクリックした直後のコントロールバー
ステップ3: 選択枠の始点を左クリックで指示する
複線化したい図形を囲む範囲の始点(左上など)を左クリックで指示します。
マウスを移動させると赤い矩形の選択枠が表示されます。
画像準備中 — 始点クリック後に選択枠が表示されている状態
ステップ4: 選択枠の終点を左クリックで指示する
選択したい図形がすべて枠内に収まるように終点を左クリックで指示します。
終点を左クリックすると、選択枠内に完全に収まっている線が選択状態(強調表示)に変わります。
注意: 選択枠の内側に完全に収まっている線だけが選択されます。枠の境界にかかっている線は選択されません。図形を確実に囲めているか確認してから終点をクリックしてください。
Tips: 終点を右クリックすると文字も含めた選択になりますが、複線コマンドの範囲選択では文字は複線化されません。選択の見た目が変わっても、複線化の対象は線・円弧のみです。
画像準備中 — 選択枠内の図形が強調表示された状態
ステップ5: 「選択確定」をクリックして対象図形を確定する
対象の図形が選択状態になったことを確認してから、コントロールバーの「選択確定」ボタンを左クリックします。
要確認: 「選択確定」ボタンの正確なラベル名を実機のコントロールバーで確認してください。
「選択確定」をクリックすると、コントロールバーの表示が切り替わり、複線の間隔入力と方向指示ができる状態になります。
画像準備中 — 「選択確定」クリック後のコントロールバーの状態
ステップ6: 間隔を入力し、方向を指示して確定する
コントロールバーの「複線間隔」欄に数値(mm単位)を入力します。
次に、複線を作成したい側にマウスを移動させると、選択した図形の全線分に対して複線の仮表示が出ます。仮表示が意図した位置に出ていることを確認して、左クリックで確定します。
- 図形の外側に複線を作りたい → 外側にマウスを移動してクリック
- 図形の内側に複線を作りたい → 内側にマウスを移動してクリック
Tips: 閉じた図形(矩形・多角形など)の場合は、外側だけでなく内側への複線も作成できます。間取り図の部屋の輪郭線から内側に仕上げ厚分だけ複線を引く場面などで役立ちます。
画像準備中 — 複線仮表示が出ている状態(選択範囲の外側に表示)
画像準備中 — 複線確定後の完成状態
「1本選択」との使い分け
範囲複線(この記事)と、1本ずつ基準線をクリックする通常の複線(5-7)は、それぞれ得意な場面が異なります。
| 状況 | 推奨する方法 |
|---|---|
| 基準線が1本だけ | 通常の複線(5-7)で1本をクリック |
| 複数の線を同一間隔で複線化したい | 範囲複線(この記事) |
| 連続してつながった線(折れ線・矩形)を複線化したい | 連続線選択(5-8)または範囲複線 |
| 全体ではなく一部の線だけを選んで複線化したい | 通常の複線(5-7)で個別にクリック |
PERSCの推奨: 「同じ間隔で複数の線を複線化する」場面では範囲複線が最も効率的です。ただし、選択範囲に意図しない線が含まれる場合は通常の複線で1本ずつ処理するか、不要な線を後から消去してください。
「連続線選択」との違い
複線コマンドには「範囲選択」のほかに「連続線選択」という機能もあります(5-8)。どちらも複数の線をまとめて複線化できますが、選択方法が異なります。
| 比較項目 | 範囲選択(この記事) | 連続線選択(5-8) |
|---|---|---|
| 選択方法 | 矩形の枠で囲む | 1本の線をクリックして、端点でつながる線を自動収集 |
| 選択対象 | 枠内に収まるすべての線・円弧 | 端点同士でつながっている線・円弧のみ |
| 適した図形 | 格子状・複数の独立した線が混在する場合 | 矩形・多角形など閉じた連続線 |
| 閉図形への対応 | 可 | 可 |
背景: s-projects の解説では「範囲選択は範囲選択コマンドとほぼ同じ機能」と説明されています。閉じた図形に対しては連続線選択でも範囲選択でも同様の結果が得られますが、格子状に並んだ複数の独立した線をまとめて処理したい場合は範囲選択が適しています。
実務での使い方 ★PERSC独自
平面図の壁線を一括複線化する
住宅平面図では、壁の中心線(壁芯)を描いてから両側の壁面線を複線で作成するのが基本的な手順です。
部屋の区画が多い場合、壁芯線が十数本並ぶことになります。このとき、1本ずつ複線コマンドで基準線をクリックしていくのは手間がかかります。
範囲複線を使うと、一定のゾーン(たとえば1フロアの北側エリアなど)の壁芯線をまとめて選択し、壁厚の半分(例: 木造75mm)を間隔に指定して一度に複線化できます。片側を複線化したら、同じ範囲を再度選択して反対側を複線化すれば、両面の壁面線が揃います。
Tips: 壁芯線だけを特定のレイヤに配置しておくと、そのレイヤだけ編集可能にすることで不要な線を範囲内に含めずに済みます。レイヤの使い分けと組み合わせると、範囲複線の精度が上がります。
RC造の詳細図で梁・壁の断面線を一括作成する
RC造(鉄筋コンクリート造)の断面図・矩計図では、梁や壁の断面を示す線が縦横に多数登場します。構造部材の断面寸法が統一されている場合(例: 全梁の幅が400mm、全壁厚が200mm)は、中心線を描いてから範囲複線で一括複線化するのが効率的です。
平面的に広がったRC躯体の断面図では、縦方向の壁と横方向の梁が混在することがありますが、範囲選択であれば角度の異なる複数の線も一括選択できます。
要確認: 異なる角度の線(水平線・垂直線・斜め線)が混在する選択範囲に対して、範囲複線がそれぞれの線に対して正しく平行な複線を作成するかを実機で確認してください。
格子状の仕上げパターン図を効率よく複線展開する
外壁タイル割付図や床仕上げ割付図では、縦横に交差する目地線が格子状に配置されます。基準となる縦線・横線を描いてから、範囲複線で一括複線化する手順が効率的です。
タイルサイズが200mm×200mmであれば、縦の基準線を選択して間隔200mmで範囲複線→横の基準線を選択して間隔200mmで範囲複線、という2回の操作でグリッド全体を展開できます。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 「範囲選択」ボタンをクリックしてもすぐに操作できない
→ 複線コマンドを起動した直後は通常の「1本選択モード」になっています。コントロールバーにある「範囲選択」ボタンを先にクリックしてからでないと範囲枠による選択ができません。起動→「範囲選択」クリック→始点・終点指示の順を守ってください。
Q: 範囲を指定したのに図形が選択されない(強調表示にならない)
→ 選択枠の内側に完全に収まっている線だけが選択されます。線の端点が枠の外にはみ出している場合は選択されません。選択枠をひと回り大きく指定し直してみてください。それでも選択できない場合は、対象の線が編集不可のレイヤに配置されている可能性があります。レイヤの編集可否を確認してください。
Q: 意図しない線も複線化されてしまった
→ 範囲選択は「枠内のすべての線」を選択するため、対象外の線が近くにある場合は一緒に選択されます。対策として次のいずれかを選びます。
- 複線化したい線を別のレイヤに移動してから、そのレイヤだけ編集可能にして操作する
- 範囲を狭めて対象外の線を含まない選択枠に調整する
- 複線後に不要な線を消去コマンドで削除する
Q: 閉じた図形(矩形・多角形)の複線を外側に作りたいのに内側にできてしまう
→ 複線の方向はマウスの位置で決まります。「選択確定」後にマウスを図形の外側に移動させると複線の仮表示が外側に現れます。仮表示の位置を確認してから左クリックで確定してください。内側と外側が反転している場合は、マウス位置が意図した方向と反対になっています。
Q: 複線化したら間隔が0になった(基準線の上に重なった)
→ 「選択確定」後に複線間隔の入力を忘れたまま方向をクリックした可能性があります。間隔欄に数値が入っているか確認してから方向を指示してください。操作後は Ctrl+Z で取り消して再度間隔を指定してやり直せます。
Q: 連続線選択と範囲選択、どちらを使えばよいかわからない
→ 目安として、「矩形・多角形のように端点でつながった閉図形を複線化したい」場合は連続線選択(5-8)が向いています。「格子状の独立した線を複数まとめて複線化したい」「閉じていない複数の線を一括処理したい」場合は範囲選択が向いています。操作結果がほぼ同じになる場面も多いので、使いやすいほうを選んで構いません。
関連項目
- 複線の基本(間隔指定・端点指定) — 1本の基準線に複線を作成する基本操作
- 連続複線(同間隔の連続作図) — 前回の複線と同じ間隔でさらに複線を追加する
- 範囲選択の基本 — 範囲選択コマンドの基本操作
- 両側複線 — 基準線の両側に同時に複線を作成する
- 留線付き複線 — 複線の端部に留線を付ける
- 複線移動 — 既存の線を複線で移動する
- 図形複写 ※準備中 — 選択した図形を複写する
- 図形移動 ※準備中 — 選択した図形を移動する
まとめ
- 範囲複線は「複線」コマンドの「範囲選択」ボタンを使い、矩形の枠で囲んだ複数の線を一括で複線化する機能
- 操作の流れは「コマンド起動→範囲選択クリック→始点・終点指示→選択確定→間隔入力→方向指示」の6ステップ
- 枠の内側に完全に収まった線だけが選択対象になるため、選択枠はひと回り大きめに指定するのが確実
- 閉じた図形であれば外側・内側どちらへの複線も作成でき、平面図の壁線や断面図の躯体線の一括作成に有効