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SFCファイルでの公共・他CAD連携(建設CADデータ交換)
このページでできるようになること
国土交通省のCAD製図基準(電子納品要領)で求められる SFC形式 および P21形式(いずれも SXF データ)で図面をやり取りする実務手順がつかめます。SFCで送る前のチェック観点(線色・線種・レイヤ命名・補助線処理)、他CAD(AutoCAD・BJ-CAD・HOCAD等)から受け取った場合の互換挙動、DXF経由ではなくSFC経由の方が好ましい場面、変換時に失われやすい属性、自治体・国交省案件での提出パターンまで、建築設計事務所が公共案件や他CAD協業に関わる際に必要な知見を一通り押さえられます。
背景: SFC(Scadec Feature Comment file)と P21(STEP/Part21)は、いずれも建設業界の標準データ交換規格 SXF(Scadec data eXchange Format)を実装したファイル形式です。国土交通省の「CAD製図基準」「電子納品要領」では、官公庁工事の納品物として SXF データの提出が必須化されており、Jw_cad はこの SXF 入出力に標準対応しています。一方、AutoCAD 系で広く使われる DXF 経由のやり取りは、線種・線色・レイヤの定義差で属性ズレが起きやすく、公共案件では SFC 経由が原則と覚えておくのが安全です。
関連記事との境界(この記事の責務)
SFC・P21の入出力には複数の側面があり、操作部分・規約部分・実例部分に分けて整理しています。この記事は 「公共案件と他CAD連携の実例ワークフロー」 に特化します。
| トピック | 担当記事 |
|---|---|
| SFC・P21 を Jw_cad で開く・保存する操作(メニュー位置・ダイアログ手順) | SFC・P21の開き方と保存 |
| SXF対応拡張線色・線種ダイアログの操作・「ユーザー定義線色・線種」の設定 | SXF対応拡張線色・線種 |
| 基本設定「DXF・SXF・JWC」タブの線幅同一視・補助線出力等のオプション | 基本設定 DXF・SXF・JWCタブ |
| 線色運用標準(線色1〜8と印刷時線幅の対応) | 線色の運用標準 |
| 線種使い分けルール(実線・点線・一点鎖線・補助線種の規約) | 線種使い分けルール |
| 公共・他CAD連携の実例ワークフロー(この記事) | — |
| DXF経由でAutoCADと連携する実例 | DXFでAutoCADとやり取りする実例 ※準備中 |
| Jw_cad のバージョン違い間での互換性 | Jw_cadのバージョン互換 ※準備中 |
SFC・P21・SXF の関係を整理する
SFCとP21は、どちらも SXF というデータ仕様を実装したファイル形式 です。中身の図面情報は同等で、保存方式(フォーマット)が違うだけと理解しておくと実務でつまずきにくくなります。
三者の位置づけ
| 名称 | 種類 | 拡張子 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| SXF | データ仕様(規格名) | — | 建設CADデータ交換のための共通仕様。SFCとP21の上位概念 |
| SFC | SXFを実装したファイル形式(簡易版) | .sfc | 国内CAD間の交換で広く使われる軽量形式 |
| P21 | SXFを実装したファイル形式(STEP準拠) | .p21 | 国土交通省 電子納品の正式提出形式(STEP/Part21準拠) |
背景: SXF は 1999年から国交省主導で標準化が進められた建設CAD用のデータ交換仕様です。当時、官公庁案件で「会社ごとに異なるCADソフトを使っているため、納品データが互換しない」という問題が深刻だったことを背景に、ベンダー中立の中間形式として整備されました。SFCは扱いやすさを優先した簡易フォーマット、P21は国際標準のSTEP(ISO 10303)準拠で機械可読性を確保した正式フォーマットという棲み分けです。
SXF のレベル区分
SXF には機能の充実度に応じた レベル区分 があり、Jw_cad は SXF Ver.2 / Ver.3 のレベル2 相当に対応しています。
| レベル | 対応要素 | Jw_cad 対応 |
|---|---|---|
| レベル1 | 線・円・円弧・寸法・文字 | ◎ |
| レベル2 | レベル1 + 複合曲線・ハッチング・ラスタ | ◎ |
| レベル3 | レベル2 + 寸法属性・パラメトリック要素 | △(部分対応) |
| レベル4 | 高度な3D・部品ライブラリ | × |
要確認: Jw_cad の SXF 対応バージョンは公式に「SXF Ver.3.1 レベル2」と案内されることが多いものの、実機の保存ダイアログで明示される表記やヘッダ情報の最新値は記事執筆時点の実機で確認します。
公共案件で SFC・P21 が必要になる場面
国土交通省およびこれに準ずる地方自治体の発注工事では、設計成果物・施工図の納品時に SXF データの提出が 要領で定められています。建築設計事務所が直接または間接に公共案件に関わる場面は、想像以上に多くあります。
代表的な発注者と提出要件
| 発注者 | 主な要領 | 提出形式 |
|---|---|---|
| 国土交通省 営繕部・地方整備局 | 国土交通省CAD製図基準(建築・電気・機械) | P21(SXF Ver.3) |
| 国土交通省 河川・道路 | 電子納品要領(土木) | P21 |
| 都道府県・政令指定都市 | 各自治体の電子納品要領(国交省準拠) | P21 または SFC(自治体差) |
| 市町村(一般) | 自治体規程(簡易要領あり) | SFC(PDFと並列)が多い |
| UR都市機構・住宅供給公社 | 独自要領(国交省準拠) | P21 |
| 民間発注(公的セクター混在) | 発注者協議 | SFCで合意するケース多 |
PERSCの推奨: 提出形式の指定(P21 か SFC か)は 必ず発注者の要領原本で確認します。「SXF」とだけ書かれている場合は、原則として P21(電子納品の正式形式)を提出します。SFC で代替したい場合は事前協議が必要です。
提出されるフォルダ構成(典型例)
電子納品の納品物は、CD-R / DVD-R / オンライン納品ストレージに 指定のフォルダ構成で格納します。建築工事の主な格納先は次のとおりです。
電子納品ルート/
├── DRAWINGF/ (設計図フォルダ:完成図に相当)
│ └── *.p21
├── DRAWINGS/ (施工図フォルダ)
│ └── *.p21
├── PHOTO/ (写真)
└── DOCUMENT/ (その他文書)要確認: 上記のフォルダ名・拡張子の組合わせは要領のバージョンで変わる可能性があります。記事執筆時点の最新版要領で確認してください。
Tips: フォルダ名は半角大文字、ファイル名は半角英数字(一部記号)に限定されることがほとんどです。日本語ファイル名のままだと納品検査ソフト(電納ヘルパー等)でエラーになります。
SFCで送る場合の事前チェック(受け側で崩れない図面の作り方)
SFCで他者に送る、または納品する前に、Jw_cad 内で確認すべき項目を順序立てて整理します。この事前チェックを省くと、受け側で「線が消えた」「色が違う」「文字化けした」が起きやすいため、運用に組み込んでおくのが推奨です。
事前チェックサマリー(全8項目)
| # | チェック項目 | 確認場所 |
|---|---|---|
| 1 | 線色を SXF 規定の16色(または相互変換可能な色)で運用 | 基本設定「色・画面」 |
| 2 | 線種を SXF 規定の線種に合わせる(カスタム線種は要注意) | 線属性ダイアログ |
| 3 | レイヤ名を半角英数字に統一(または要領準拠の命名) | レイヤ一覧 |
| 4 | 補助線を出力するか・しないかを決める | 基本設定「DXF・SXF・JWC」 |
| 5 | 文字フォントを SXF 標準の「MS ゴシック」等に統一 | 基本設定「文字」 |
| 6 | ハッチング・塗潰しの種類が SXF レベル2の範囲内か | 範囲選択で属性確認 |
| 7 | 図面範囲・縮尺がレイヤグループごとに整合 | レイヤグループ設定 |
| 8 | 試しに自分で SFC 保存→再オープンして崩れないか確認 | Jw_cad 上でラウンドトリップ |
チェック1: 線色は SXF の規定色に合わせる
Jw_cad 標準の 線色1〜8 + 補助線色 は、SXF 規定の基本16色のうち代表的な色とほぼ整合しています。受け側で色がズレることを最小化するには、原則 線色1〜8 の範囲で図面を作るのが安全です。
| Jw_cad 線色 | 想定色 | SXF 線色での対応 |
|---|---|---|
| 線色1 | 水色 | SXF 線色 7(cyan)相当 |
| 線色2 | 黒 | SXF 線色 1(black)相当 |
| 線色3 | 緑 | SXF 線色 3(green)相当 |
| 線色4 | 黄色 | SXF 線色 2(yellow)相当 |
| 線色5 | 紫 | SXF 線色 6(magenta)相当 |
| 線色6 | 白 | SXF 線色 8(white)相当 |
| 線色7 | 赤 | SXF 線色 4(red)相当 |
| 線色8 | 濃い緑 | SXF 線色 3(green)の濃淡差として扱われる |
| 補助線色 | グレー(補助線専用) | SXF 補助線扱い |
要確認: 上記の色対応は一般的な解説記事の整理ですが、Jw_cad 実機での RGB 値(基本設定「色・画面」のRGB入力)と SXF 既定色の RGB との差は、基本設定の「±□ポイントのRGB値は同一視する」設定で吸収されます。実機での既定値・実装挙動は要検証です。
SXF 拡張線色を使うべき場面
Jw_cad には SXF対応拡張線色・線種 モードがあり、線属性ダイアログ上部のチェックボックスで切り替えると、SXF 規定の256色相当の線色や、SXF 規定線種(実線・破線・一点鎖線・二点鎖線・三点鎖線・破線2・一点鎖線2・二点鎖線2 など)を直接指定できます。発注者の要領で「SXF線色○○番で線種○○番」と細かく指定がある場合は、拡張線色・線種モードで作図します。
ダイアログ操作の詳細は SXF対応拡張線色・線種 を参照してください。
画像準備中 — 線属性ダイアログで「SXF対応拡張線色・線種」をONにした状態
画像準備中 — 基本設定「色・画面」タブで線色1〜8のRGB入力欄(SXF既定色との対比)
PERSCの推奨: 国交省案件で「SXF線色・線種で指示」がある場合は、拡張線色・線種モードを 作図開始時から 有効にして作業します。最後にまとめて変換するより、最初から SXF 規定で揃えておく方が、納品直前の手戻りがありません。
チェック2: 線種は SXF 規定の8種類に合わせる
Jw_cad 標準の線種(実線・点線1〜3・一点鎖線1〜2・二点鎖線1〜2)は、SXF 規定の線種にほぼ対応しています。ただし、ランダム線・倍長線種は SXF 標準の範囲外です。これらを使った図面を SFC で出すと、受け側では「実線」または「破線」に丸められてしまうことがあります。
| Jw_cad 線種 | SXF 互換性 | 注意点 |
|---|---|---|
| 実線 | ◎ | 問題なし |
| 点線1〜3 | ◎ | SXF 破線・点線にマッピング |
| 一点鎖線1〜2 | ◎ | SXF 一点長鎖線・一点短鎖線に対応 |
| 二点鎖線1〜2 | ◎ | SXF 二点鎖線に対応 |
| ランダム線1〜5 | × | SXFには直接対応なし。実線扱いに丸められる |
| 倍長線種 | △ | ピッチ比率が変わる可能性 |
線種の規約は 線種使い分けルール で詳しく扱っています。
チェック3: レイヤ名を半角英数字に統一
SXF はレイヤ名の文字コードを国際標準で扱うため、日本語レイヤ名がそのまま通る保証はありません。とくに古い CAD では「文字化け」「レイヤ名が空欄になる」事故が多発します。公共案件では、要領で レイヤ命名規則(例: D-WALL, D-COLM, D-DIM のような半角英数字+ハイフン)が指定されていることが一般的です。
PERSCの推奨: 公共案件用と社内用でレイヤ命名を分けるのが現実解です。社内用テンプレでは日本語名(「壁」「柱」「寸法」)で運用し、納品直前にスクリプト・手作業でレイヤ名を要領準拠に置換します。
チェック4: 補助線の出力可否を決める
Jw_cad の 補助線種 / 補助線色 は印刷されない・SXF出力時に扱いを選択できる特殊な属性です。基本設定「DXF・SXF・JWC」タブの 「補助線を出力しない」 チェックの状態次第で、SFC ファイルに補助線が含まれるか否かが変わります。
| 補助線出力設定 | 結果 |
|---|---|
| 「補助線を出力しない」チェック ON | 補助線は SFC に含まれない(公共納品向け) |
| 「補助線を出力しない」チェック OFF | 「補助線」という名前のレイヤに出力される(社内CAD連携向け) |
PERSCの推奨: 公共納品では 「補助線を出力しない」をON が原則です。下書きで使った補助線が納品データに残ると、検査でNGになる可能性があります。社内で他CADと交換する場合(後から作業を続けてもらう前提)は OFF にして補助線レイヤごと渡します。
設定の詳細は 基本設定 DXF・SXF・JWCタブ を参照してください。
画像準備中 — 基本設定「DXF・SXF・JWC」タブの「補助線を出力しない」チェックの位置
チェック5: 文字フォントを統一
SXF が標準サポートする文字フォントは限定的で、Jw_cad で使った装飾系のフォントは 受け側で代替フォントに置き換えられます。これにより文字幅が変わり、レイアウトが崩れることがあります。MS ゴシック / MS 明朝を基本に揃えるのが安全です。
チェック6〜8: ハッチング・縮尺・ラウンドトリップ
- ハッチングは「斜線」「格子」など SXF レベル2 の範囲内であれば変換されます。3D系・パラメトリック系は丸められます。
- レイヤグループごとに縮尺が異なる場合は、SXFファイル内で正しく保持されますが、受け側CADがレイヤグループを認識しない場合は混乱します。
- 送る前に必ず、自分で SFC 保存 → 別ファイルとして開き直し、見た目が変わらないか確認します。
Tips: 「保存して開き直す」だけでも、自分の図面で SXF 変換時に何が落ちるかが分かります。納品の何日も前にラウンドトリップ確認を済ませておくと、当日の慌てを防げます。
SFC送信の標準ワークフロー
公共納品・他CAD連携で SFC を送る一連の流れです。
送信ワークフローサマリー(全7ステップ)
| # | 工程 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | 図面を JWW で完成させる(社内標準で作図) | — |
| 2 | レイヤ名・線色・線種を要領準拠に変換 | 5〜30分 |
| 3 | 基本設定「DXF・SXF・JWC」タブで出力オプションを確認 | 1分 |
| 4 | 「SFC形式で保存」または「名前を付けて保存」で SFC・P21 出力 | 数秒 |
| 5 | 出力直後に 同じ Jw_cad で再オープンして破損確認 | 1分 |
| 6 | 可能なら受け側CAD相当のビューア(SXFブラウザ等)で開いて確認 | 5分 |
| 7 | メール添付・ファイル転送・電子納品ストレージへアップロード | 5分 |
合計: 規模にもよりますが、1図面あたり 15〜40分 が目安です。社内テンプレが整っていれば10分以内で済みます。
手順1〜2: 社内標準と要領準拠の橋渡し
社内のテンプレで普段から線色1〜8・SXF互換の線種で作図していれば、ほぼ何もしなくて済みます。日本語レイヤ名を採用している場合は、納品直前に レイヤ名を要領準拠の半角英数字 に置換します。
手順3: 基本設定の確認
メニューバー「設定」→「基本設定」→「DXF・SXF・JWC」タブを開き、SXF 書出しの項目を確認します。
| 項目 | 公共納品向け推奨 | 他CAD連携向け推奨 |
|---|---|---|
| ±□%の線幅は同一視する | 既定値(例: 5%) | 既定値 |
| ±□ポイントのRGB値は同一視する | 既定値 | 既定値 |
| ±□%の線種要素長は同一視する | 既定値 | 既定値 |
| 補助線を出力しない | ON | OFF(補助線も渡す) |
| 既定線種変換設定 | 要領準拠 | 既定値 |
画像準備中 — 基本設定「DXF・SXF・JWC」タブ全景(SXF書出しの全項目が見える状態)
手順4: SFC 保存の操作
メニューバー「ファイル」→「SFC形式で保存」を選択するか、「名前を付けて保存」ダイアログで「新規」ボタンを押し、保存形式を sfc(または p21)に切り替えます。
操作の詳細は SFC・P21の開き方と保存 に集約しています。
画像準備中 — メニューバー「ファイル」→「SFC形式で保存」の選択画面
画像準備中 — 名前を付けて保存ダイアログで「新規」→「保存形式」プルダウンに sfc / p21 が並ぶ画面
注意: 「SFC形式で保存」は DXF形式で保存と挙動が似ていますが別コマンドです。メニューを間違えると、意図しない形式で保存される可能性があります。保存後にエクスプローラーで拡張子が
.sfc(または.p21)になっているかを必ず確認します。
手順5: ラウンドトリップ確認
保存した SFC ファイルを 同じ Jw_cad で開き直して、線が消えていない・色が変わっていない・文字位置がズレていないかを確認します。これは「SFC変換で何が落ちるか」を発見する最も簡単な方法です。
画像準備中 — 保存したSFCをJw_cadで再オープンした画面(ラウンドトリップで差分なしの状態)
Tips: ラウンドトリップで違和感があった場合は、変換前のJWWファイルとの差分を画面上で重ね合わせて比較します。原因が特定できれば、線種・線色・レイヤ命名のどこかで対応できます。
手順6: 受け側CAD・ビューアでの確認(できれば)
国土交通省 NETIS や OCF 認定の SXFブラウザ(無償公開されている軽量ビューア)で開いて確認すると、受け側で見える図面に最も近い状態を把握できます。
要確認: 現行の SXF ブラウザ(OCF版・国交省版)の最新ダウンロード元と動作状況は実機で確認します。
手順7: 送信・納品
メール添付・チームのファイル共有・電子納品ストレージへ送ります。納品の場合はファイル名規則(半角英数字)と納品ソフト(電納ヘルパー等)でのチェックを忘れずに行います。
画像準備中 — 電子納品の典型フォルダ構成(DRAWINGF / DRAWINGS のエクスプローラー表示)
SFCで受け取った場合の互換挙動
逆に、他社(他CAD)から SFC・P21 を受け取って Jw_cad で開く場合の典型的な挙動と対処を整理します。
受け側 Jw_cad での読込手順
メニューバー「ファイル」→「SFCファイルを開く」、または「開く」ダイアログで拡張子フィルタを sfc / p21 に切り替えてファイルを選択します。詳細は SFC・P21の開き方と保存 を参照してください。
画像準備中 — メニューバー「ファイル」→「SFCファイルを開く」と、ファイル選択ダイアログで拡張子フィルタが sfc になっている状態
よくある変換崩れと対処
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 線色が違う色で表示される | 受け側CADの SXF 既定色と Jw_cad の線色RGBが乖離 | 基本設定「色・画面」で RGB を要領推奨値に再設定、または「±□ポイントのRGB値は同一視する」を緩める |
| 線種が実線に丸められた | 元CADで使っていた線種が SXF 規定外 | 元CADで SXF 規定線種に修正してもらう。または受け取った側で線種を編集 |
| 文字が違うフォントで表示 | 元CADで使ったフォントが受け側にない | フォントを MS ゴシック等に置換 |
| 文字化け | レイヤ名・文字データの文字コード不整合 | 元CADで半角英数字でやり直してもらう |
| 補助線レイヤが大量にある | 元CADが補助線出力ONで保存 | レイヤ非表示で対応、または不要分を削除 |
| 寸法が壊れて分解された | SXF レベル3 の寸法属性が Jw_cad では非対応 | 寸法を再記入。または DXF で再受領を依頼 |
| ハッチングが線の集合に分解された | レベル2 を超えるハッチング | 必要に応じてハッチを再作成 |
| 縮尺・図面範囲が崩れた | 元CADのレイヤグループ概念が異なる | レイヤグループを再設定。本図と部分図でグループを分ける |
画像準備中 — SFC→Jw_cad の互換崩れ実例(線色が変化したビフォーアフター比較)
画像準備中 — 補助線が納品データに残っている悪い例(補助線レイヤが大量にある画面)
PERSCの推奨: 受け取った SFC を Jw_cad で開いて違和感がある場合、まず「元CADで何で作ったか」を発信元に確認します。AutoCAD 由来か HOCAD 由来かで、起きやすい崩れの傾向が異なります。
AutoCAD(AutoCAD LT含む)からの受け取り
AutoCAD は SXF 出力を標準では持たず、サードパーティの SXF 変換ツール(OCF認定ツール等)を経由するか、AutoCAD用の SXF コンバータプラグインを使って SFC・P21 を出力します。このため、AutoCAD 由来の SFC は DXF と比較して確実性が高いものの、変換ツールの版によって挙動が違うことがあります。
背景: AutoCAD が SXF 出力に標準対応していない理由は、SXF が建設業界(国内)特化の規格で、AutoCAD のグローバル展開と直接の整合がないためです。代わりに、国内の AutoCAD ユーザーは「JWW Converter」のような変換ツールや AutoCAD 用 SXF プラグイン(FreeCAD、JW Win等)を介して国交省案件に対応しています。
HOCAD・BJ-CAD・DRA-CAD からの受け取り
これらは国産CADで、SXF出力を標準対応しているケースが多く、Jw_cad との相性は比較的良好です。線色・線種・レイヤの定義が国交省 SXF 仕様に近いため、ラウンドトリップ性能が高い傾向にあります。
Tips: 国産CAD間での SFC 交換は、DXF 経由よりも確実です。「DXF で送ります」と言われたら、可能なら「SFC でお願いできますか」と返すと、後の手戻りが減ります。
DXF経由 vs SFC経由 の使い分け
「DXFかSFCか、どちらで送るべきか」は実務でよく迷います。判断基準を整理します。
使い分けの判断マトリクス
| 場面 | 推奨フォーマット | 理由 |
|---|---|---|
| 国交省・自治体への納品 | P21(または SFC) | 要領で指定。DXF は不可 |
| AutoCAD 利用者と単発でやり取り | DXF | 受け側に SXF 環境がない場合の最低限の選択肢 |
| AutoCAD 利用者と公共案件で協業 | SFC または P21 | 双方が SXF 環境を整える方が品質が高い |
| 国産CAD(HOCAD・DRA-CAD等)と協業 | SFC | 互換性が高く、属性が落ちにくい |
| 図面を「絵」として渡したい(編集不要) | CAD編集を前提としない場面 | |
| 海外CAD(Revit・Allplan等)と連携 | DXF または IFC | SXF は国内規格のため対応外 |
| 社内バックアップ・他PCへのコピー | JWW(原本) | SXF・DXF 経由は属性が劣化する |
DXF経由ではなくSFC経由が好ましい場面
DXF経由よりSFC経由の方が 明確に有利 な場面は以下のとおりです。
場面1: 公共案件の納品(必須)
国交省CAD製図基準・電子納品要領は SXF(P21)を必須 とします。DXF での納品は原則認められません。
場面2: 補助線・寸法・ハッチングを正確に渡したい
DXF は細部の属性(補助線扱い・寸法構造・ハッチングパターン)が製品ごとに実装差があり、変換で崩れやすい傾向にあります。SXFは規格として補助線・寸法・ハッチングの扱いが規定されているため、互換が高くなります。
場面3: 国産CAD同士のやり取り
Jw_cad ・ HOCAD ・ BJ-CAD ・ DRA-CAD など国産CAD同士は、SXF対応が標準実装されており、SFC 経由なら属性が崩れにくくなります。
場面4: 線色・線種の事前合意がある場合
「線色1は外形線、線色4は寸法」のように、両者が SXF 規定色で合意している場合、SFC 経由なら両側のCADで同じ印象の図面が表示されます。
PERSCの推奨: 設計事務所のスタンダードとして、「公共・国産CAD連携 = SFC」「AutoCAD 単発・海外CAD = DXF」 の二本立てで覚えておけば実務の8割は迷いません。残り2割は発注者・協力会社との事前合意で決めます。
実務での使い方 ★PERSC独自
パターン1: 戸建住宅で公共資金が入る案件(地域型住宅グリーン化等)
地域型住宅グリーン化事業や、住宅金融支援機構の長期優良住宅補助金など、戸建住宅でも 公共資金が入る案件では、申請図面の SFC 提出を求められることがあります。
想定されるパターン
| シーン | 提出形式 |
|---|---|
| 補助金申請(事前審査) | PDF + JWW(原本) |
| 完成検査(現場検査用図面) | PDF + 紙 |
| 制度本体の電子納品(年度末取りまとめ) | SFC(地域差あり) |
PERSCの推奨: 戸建住宅の補助金案件では、年度初めに 「電子納品の有無」「あるなら形式は SFC か P21 か」 を補助金担当部署に確認しておくのが安全です。年度終盤に「SFCで」と言われると、社内テンプレが対応していなくて慌てます。
パターン2: 公共施設の改修設計(地方自治体発注)
地方自治体(県・市町村)の小規模公共施設(小学校トイレ改修・公民館バリアフリー化等)の設計では、自治体の規模によって電子納品要領のバージョン・厳格さが大きく異なります。
自治体別の傾向
| 自治体規模 | 電子納品要領の厳格さ | 提出形式 |
|---|---|---|
| 政令指定都市・中核市 | 厳格(国交省準拠) | P21 |
| 一般市(人口10万以上) | 中庸 | SFC 主体(P21 も可) |
| 町村 | 簡易 | PDF + JWW(SFC 任意) |
背景: 自治体の電子納品体制は、検査担当部署のCAD環境(SXFブラウザの整備状況)と連動します。担当者がSXFを開ける環境にない自治体では、紙とPDFが優先される傾向があります。実務では、提出前に「どのソフトで開かれるか」を確認しておくと、現実的な落としどころが見つけやすくなります。
パターン3: 民間案件で他CAD事務所との協業
意匠設計事務所が Jw_cad、構造設計事務所が AutoCAD、設備設計事務所が DRA-CAD というような 混在チーム でのやり取りでも、SFC を中継形式に使うとデータ品質が安定します。
中継ハブとしての SFC 運用
意匠(Jw_cad) ─[SFC]─→ 構造(AutoCAD + SXF変換)
↓ [SFC]
設備(DRA-CAD) ←[SFC]─ 構造意匠図を SFC で書き出し → 構造側が AutoCAD で開いて構造線を加筆 → SFC で書き戻し → 意匠側が Jw_cad で開いて確認、というラウンドトリップが理論的には可能です。実務では細部で属性が劣化するため、ラウンドトリップの回数は最小限に抑えるのが賢明です。
PERSCの推奨: 混在チームの実務では、**「正本は1か所のCADだけ」**と決めて、他CADはビューア・補助図面の作成のみに使う運用が、最も品質が安定します。SFCは「ある時点での図面共有」のためのスナップショット形式と捉えるのがおすすめです。
パターン4: 自治体の建築確認申請(電子申請の進展)
建築確認申請の電子申請が進む自治体では、申請図面を PDF + SXF で受け付けるケースが出てきています。すべての自治体で必須化されているわけではありませんが、今後の標準化が進めば SFC 出力スキルは申請業務でも必要になります。
要確認: 建築確認申請の電子化(建築確認スマート申請等)における SXF 受付の現状は、申請先指定確認検査機関に都度確認します。
パターン5: 社内の長期保管用フォーマット
JWW を原本としつつ、長期保管用に SFC(または PDF/A)を併存させる運用もあります。SFC は規格化された中間形式のため、将来 Jw_cad のサポートが終わっても、SXF 対応CADがある限り読めるという利点があります。
PERSCの推奨: 重要案件は「JWW + SFC + PDF」の三重保管を推奨します。JWW は編集用、SFC は規格保証、PDF は閲覧用と役割を分けることで、将来のソフト環境変化にも耐えられます。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: SFCで保存したファイルを受け側で開いたら、線色が全部違う色になっていた
→ 受け側CADの SXF 既定色と Jw_cad の線色RGBが乖離している可能性が高いです。事前合意として 「線色1〜8 をどの SXF 色にマッピングするか」 を決めておきましょう。長期的には、Jw_cad 側を SXF対応拡張線色・線種モードに切り替えて作業する方が、色のズレを根本的に減らせます。詳細は SXF対応拡張線色・線種 を参照してください。
Q: 補助線がそのまま納品データに残ってしまった
→ 基本設定「DXF・SXF・JWC」タブの 「補助線を出力しない」をON に切り替えてから保存し直してください。納品前のチェック項目に必ず含めるのが推奨です。詳細は 基本設定 DXF・SXF・JWCタブ を参照してください。
Q: SFCで保存したらレイヤ名が文字化けした
→ レイヤ名に日本語を使っていた可能性があります。納品用には半角英数字のレイヤ名(要領準拠の D-WALL 等)に置換してから保存してください。社内テンプレと納品テンプレを分ける運用が現実的です。
Q: P21で保存したらファイルサイズが極端に大きくなった
→ P21 はテキスト形式(STEP/Part21)で記述されるため、SFC(独自形式)に比べて数倍〜数十倍のサイズになることがあります。これは仕様通りで異常ではありません。納品先がP21を要求している場合はそのまま提出します。社内バックアップではSFC(軽量)またはJWW(原本)を使います。
Q: 受け取った P21 を Jw_cad で開いたら、寸法が線の集合に分解されていた
→ 元CADが SXF レベル3 以上の寸法属性で出力した可能性があります。Jw_cad は レベル2相当 の対応のため、レベル3の寸法属性は分解されて読み込まれます。寸法を再記入するか、元CADの送信者に「Jw_cadで開けるレベル2以下で出してほしい」と依頼してください。
Q: 「SFC形式で保存」と「DXF形式で保存」を間違えそうで毎回不安
→ メニューの位置が近いため起きやすいミスです。保存後に必ずエクスプローラーで拡張子(.sfc / .dxf)を目視確認してください。あるいは、Jw_cad のキーコマンドで「SFC保存」を独自キーに割り当てておくと、ボタン位置に依存せず操作できます。
Q: SXFブラウザで開いたら、Jw_cadで見たときと違う色・線幅で表示される
→ SXFブラウザは「SXF規定の標準表示」を再現するためのソフトです。Jw_cad の「画面表示」は社内設定の影響を受けますが、SXFブラウザの表示こそが他社CADでも見える本来の姿だと考えてください。違いがあれば、Jw_cad 側の基本設定(色・画面の RGB 値、線属性)を SXF 既定色に近づけて再保存します。
Q: ハッチングがすべて線の集合になってしまった
→ Jw_cad のハッチコマンドで作ったハッチは、SXF 出力時に「ハッチング図形」として保持されるか「線の集合」として展開されるか、ハッチ種別と SXF レベル対応で挙動が変わります。シンプルな斜線・格子であれば保持されますが、特殊パターンは展開されることが多いです。SXF レベル2 の範囲のハッチパターンを使うのが安全です。
Q: 公共納品で「電納ヘルパー」のチェックでエラーが出た
→ 電納ヘルパー(国交省の電子納品検査ソフト)は、SXF ファイルだけでなく フォルダ構成・ファイル名規則・XML 管理ファイル も検査します。SXF ファイル自体は問題なくても、フォルダ名が drawingf(小文字)になっている、ファイル名に全角文字が混じっている等で弾かれます。電納ヘルパーのエラーログを読んで、フォルダ・ファイル名から修正してください。
Q: AutoCADから受け取った SFC が、寸法のみズレて表示される
→ AutoCAD 用の SXF 変換ツールにはバージョン差があり、寸法スタイルの変換にクセがあります。元データのDXFも同時に送ってもらい、寸法だけは DXF で確認・補完するのが実用的な対処です。
Q: 自社のJw_cadで作ったSFCを公共納品に出したら、検査でNGになった
→ 検査でNGになる典型理由は (1)レイヤ名が要領違反 (2)線色・線種が要領で指定されたコードと違う (3)補助線が残っている (4)文字フォントが標準外 の4つです。一つずつ確認していきます。要領のチェックリスト(多くの場合PDFで配布)と照合するのが確実です。
関連項目
- SFC・P21の開き方と保存 — 操作手順の詳細
- SXF対応拡張線色・線種 — 拡張線属性ダイアログの操作
- 基本設定 DXF・SXF・JWCタブ — 出力オプションの詳細
- DXFファイルを開く — DXF読込の基本操作
- DXF形式で保存 — DXF書出しの基本操作
- 複数ファイルの一括変換 — JWW⇄SFC・DXFのバッチ変換
- 線色の運用標準 — 線色1〜8と SXF 既定色の対応
- 線種使い分けルール — SXF互換の線種選択
- ファイル形式変換ツール(外部) — JWW・SFC・DXF・PDFの相互変換ツール
- DXFでAutoCADとやり取りする実例 ※準備中 — DXF経由の連携実例
- Jw_cadのバージョン互換 ※準備中 — バージョン違い間の互換性
まとめ
- SFCとP21は SXF データ仕様 を実装したファイル形式で、国交省CAD製図基準・電子納品要領の正式提出形式
- Jw_cad は SXF Ver.3 レベル2 相当に対応し、SFC・P21 の入出力が標準で可能
- 公共案件は P21(または SFC)が必須、DXF での納品は原則不可
- SFCで送る前のチェックは 線色(SXF規定16色)・線種(SXF規定)・レイヤ名(半角英数字)・補助線出力可否・文字フォント の5点を中心に
- 受け取った SFC は線色・線種・寸法・ハッチングの崩れに注意し、必要なら元CADの送信者に SXF レベル2 範囲での再出力を依頼
- DXF経由ではなくSFC経由が好ましいのは (1)公共納品 (2)補助線・寸法・ハッチを正確に渡したい (3)国産CAD同士 (4)線色・線種の事前合意あり の4場面
- 重要案件は JWW + SFC + PDF の三重保管 で長期可読性を確保