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未検証

正多角形の作図(中心→頂点・辺指定・辺寸法)

このコマンドでできること

Jw_cadの「多角形」コマンドを使うと、3角形から数千角形までの正多角形(すべての辺の長さと角度が等しい多角形)を作図できます。コントロールバーで角数(3、5、6、8、12など)を入力し、「中心→頂点指定」「中心→辺指定」「辺寸法指定」の3つの寸法基準から1つを選ぶだけで、寸法どおりの正多角形が一発で出せます。住宅平面図の八角窓や床下点検口、敷地形状の六角コーナー、設備図のボルト穴記号(六角・八角)、装飾モチーフのタイル割付、神社仏閣の八角堂や六角堂の平面など、図面の中で「正○角形」と決まった形を扱う場面はすべてこのコマンドが基準になります。

背景: Jw_cadの多角形コマンドは、正多角形・任意多角形・ソリッド化の3つの機能をひとつのコマンドにまとめた統合作図コマンドです。コントロールバー上のラジオボタンとチェックボックスで作図モードを切り替える設計のため、正多角形だけを使う場合でも、起動直後に「正多角形のラジオボタンを選ぶ」というひと手間が必要になります。


起動方法

多角形コマンドは2つの起動方法があります。どちらを使っても同じコマンドが立ち上がります。

方法操作
ツールバー ★推奨左側「作図(2)」ツールバー内の「多角形」アイコンを左クリック
メニューバー作図」 → 「多角形」を左クリック

PERSCの推奨: 左側ツールバーの「多角形」アイコンを使うのがおすすめです。「作図(2)」ツールバーには多角形・曲線・ソリッドなどのやや特殊な作図コマンドがまとまっており、矩形(「」)や円(「」)の隣ではなく、別グループに配置されています。多角形を続けて何個も描く場面では、ツールバーから一発起動するのが速いです。

要確認: 「作図(2)」ツールバー内での多角形アイコンの位置(左から何番目か)と、メニューバーの正確な階層は実機で確認します。


コントロールバーの全体像

多角形コマンドのコントロールバーには、複数のオプションが並んでいます。正多角形を描くために使うのは左半分の「2辺中心→頂点指定中心→辺指定辺寸法指定」ラジオボタン、「角数」「寸法」「底辺角度」入力ボックス、「基点」切替ボタンです。

オプションできること詳細
2辺(ラジオボタン)2辺で作るV字・三角形の2辺を描く正多角形の作図とは別モード。この記事では割愛
中心→頂点指定(ラジオボタン)多角形の中心から頂点までの距離を半径として正多角形を描くこの記事で解説
中心→辺指定(ラジオボタン)多角形の中心から辺の中点までの距離を半径として正多角形を描くこの記事で解説
辺寸法指定(ラジオボタン)1辺の長さを指定して正多角形を描くこの記事で解説
任意(ボタン)任意の連続点を結んだ多角形を描く任意多角形の作図
角数(入力ボックス)多角形の角数(3以上の整数)この記事で解説
寸法(入力ボックス)中心→頂点/辺中/辺長の数値この記事で解説
底辺角度(入力ボックス)多角形の傾きを度数で指定この記事で解説
基点(切替ボタン)マウスポインタに合わせる基準を「中央/頂点/辺」から切替この記事で解説
ソリッド図形(チェックボックス)中が塗りつぶされた多角形を描くこの記事で概要、詳細は 多角形のソリッド化
任意色(チェックボックス)ソリッド図形専用の色を設定する多角形のソリッド化

Tips: コントロールバーの設定は、多角形コマンドを別のコマンドに切り替えても多角形コマンドの状態として保持されます。「中心→頂点指定」のラジオボタンを選んだまま別の作業に移り、再度多角形コマンドに戻ると、そのラジオボタンの選択が残っています。意図しないモードを防ぐため、多角形を描き始める前にラジオボタンの状態を一度確認する習慣をつけましょう。


正多角形の3つの寸法基準

正多角形を描くときの最初の判断は、**「どこを基準に大きさを決めるか」**です。多角形コマンドのラジオボタンには、寸法基準に応じた3つのモードが用意されています。

モード寸法欄の意味向いている用途
中心→頂点指定中心から頂点までの距離(外接円の半径)多角形を外接円でくくった図面(六角ボルト頭、装飾モチーフ)
中心→辺指定中心から辺の中点までの距離(内接円の半径)多角形を内接円でくくった図面(六角窓、八角堂の柱配置)
辺寸法指定1辺の長さ辺の長さで寸法管理する場面(タイル割付、敷地形状)

背景: 同じ角数・同じ寸法値でも、どのラジオボタンを選んだかで描かれる多角形の大きさは変わります。たとえば角数6・寸法1000の場合、「中心→頂点指定」では外接円半径1000mmの六角形(=辺長1000mm)、「中心→辺指定」では内接円半径1000mmの六角形(=辺長約1155mm)、「辺寸法指定」では辺の長さが1000mmの六角形(=外接円半径1000mm)となり、3つのモードで多角形のサイズが異なります。意図した寸法管理ができていない場合、多くは寸法基準のラジオボタンを取り違えていることが原因です。


基本操作: 中心→頂点指定で正六角形を描く

ここでは、多角形の中で出番の多い正六角形を「中心→頂点指定」で描く手順を例にします。3つのモードのうち、まずはこのモードを基準に覚えると、他のモードへの切り替えも理解しやすくなります。

正多角形作図の手順サマリー(全7ステップ)

#操作所要
1多角形コマンドを起動数秒
2コントロールバーで「中心→頂点指定」ラジオボタンを選択数秒
3角数」欄に角数(例: 6)を入力数秒
4寸法」欄に中心→頂点の長さ(例: 100)を入力数秒
5必要に応じて「底辺角度」「基点」を設定数秒
6仮表示の多角形を見ながら配置位置にマウスを移動数秒
7配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定数秒

手順1: 多角形コマンドを起動

左側「作図(2)」ツールバーの「多角形」アイコンを左クリックします。コントロールバーが多角形コマンド用の表示に切り替わります。

手順2: 「中心→頂点指定」ラジオボタンを選択

コントロールバーの「中心→頂点指定」ラジオボタンを左クリックして選択します。これで「中心からの頂点距離」を寸法として扱うモードに切り替わります。

手順3: 「角数」欄に角数を入力

コントロールバーの「角数」入力ボックスを左クリックし、描きたい角数(例: 6)を入力します。3以上の整数を指定でき、5なら正五角形、6なら正六角形、8なら正八角形、12なら正十二角形が描けます。

Tips: 角数が大きくなるほど、見た目は円に近づきます。角数を100以上にすると、印刷上はほぼ円と区別がつきません。装飾的な「ほぼ円・微妙に角張った形」を表現したい場合に、あえて多めの角数を指定する使い方もあります。

手順4: 「寸法」欄に中心→頂点の長さを入力

コントロールバーの「寸法」入力ボックスを左クリックし、中心から頂点までの距離(mm単位)を入力します。たとえば「100」と入れると、中心から頂点までが100mmの正六角形(=外接円半径100mm)が描けます。

手順5: 仮表示の多角形を確認

寸法と角数が入力されると、作図ウィンドウに仮表示の正六角形(赤い細線)が表示されます。マウスポインタを動かすと、仮表示の多角形もポインタに追従して移動します。サイズはマウス位置に依存せず、「角数」「寸法」で指定した一定値が保たれます。

手順6: 配置位置で確定

多角形を置きたい位置で左クリック(読取点に合わせたい場合は右クリック)します。これで仮表示が確定し、現在の書込線色・線種・書込レイヤで正六角形が作図されます。

手順7: 続けて次の正多角形を描く

正多角形が1つ確定すると、多角形コマンドはそのまま次の作図を待ち受ける状態に戻ります。「角数」「寸法」「ラジオボタン」の設定はそのまま保持されるため、続けて同じ寸法・角数の正多角形を描く場合は、配置位置をクリックするだけで作図が進みます。

Tips: 同じ角数・同じ寸法の正多角形を連続で配置する作業では、最初に1度だけ角数と寸法を入力すれば、あとはマウスクリックの繰り返しで作業が進みます。タイル割付や、複数本のボルト穴記号を一気に並べたい場合に活きるワークフローです。


中心→辺指定モード(内接円基準)

中心→辺指定」ラジオボタンを選ぶと、寸法欄の数値は中心から辺の中点までの距離(内接円の半径)として扱われます。多角形を内接円で寸法管理したい場面、たとえば「壁芯から壁芯までの寸法が決まっている六角窓」や「指定径の円に内接する八角形」を描きたい場合に使います。

中心→頂点指定との違い

ラジオボタン寸法欄の意味寸法1000・角数6のとき
中心→頂点指定外接円の半径辺の長さ1000mm(外接円半径=辺長)
中心→辺指定内接円の半径辺の長さ約1155mm(内接円半径×2÷√3)

操作手順

  1. 多角形コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「中心→辺指定」ラジオボタンを左クリックします
  2. 角数」欄に角数を入力します
  3. 寸法」欄に中心から辺中点までの距離を入力します
  4. マウスを動かして仮表示を確認し、配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

Tips: 「外接円基準」と「内接円基準」の使い分けは、図面の寸法表記がどちらを基準にしているかで決めます。意匠図で「対辺寸法H300」と書かれていれば内接円直径300(=寸法欄150)、構造図で「対角寸法D300」と書かれていれば外接円直径300(=寸法欄150)です。寸法の取り違えで2倍違う多角形が出たら、まずどちらの基準だったかを確認します。


辺寸法指定モード(1辺の長さで描く)

辺寸法指定」ラジオボタンを選ぶと、寸法欄の数値は1辺の長さとして扱われます。タイル割付・敷地形状・装飾モチーフなど、辺の長さで寸法管理したい場面で使います。

操作手順

  1. 多角形コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「辺寸法指定」ラジオボタンを左クリックします
  2. 角数」欄に角数を入力します
  3. 寸法」欄に1辺の長さを入力します
  4. マウスを動かして仮表示を確認し、配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

背景: 「辺寸法指定」と「中心→頂点指定」は、角数3(正三角形)のときに同じ結果になります(正三角形の外接円半径=辺長)。それ以外の角数では結果が異なるため、角数の違いを意識してモードを選び分けます。


寸法欄が空欄のときの挙動(中心→頂点/中心→辺の場合)

寸法」欄を空欄にしたまま「中心→頂点指定」または「中心→辺指定」モードを使うと、マウスクリックで2点を指示して大きさを決められます。寸法を決めずにバランスだけ合わせたいスケッチ用途で使います。

中心→頂点指定(寸法欄空欄)の操作手順

  1. ラジオボタン「中心→頂点指定」を選択し、「寸法」欄を空欄にします
  2. 角数」欄に角数を入力します
  3. 多角形の中心点を左クリック(読取点なら右クリック)します
  4. マウスを動かすと、中心から頂点までの距離に応じて仮表示の正多角形が拡大/縮小します
  5. 頂点を置きたい位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

中心→辺指定(寸法欄空欄)の操作手順

寸法欄空欄のときの「中心→辺指定」モードは、2点目のクリック位置を辺の中点として扱います。中心と辺の中点の2点を指示する流れです。

辺寸法指定(寸法欄空欄)の操作手順

寸法欄空欄のときの「辺寸法指定」モードは、辺の始点と終点を順にクリックします。指示した2点間の距離が辺の長さになり、指定角数の正多角形が作図されます。

Tips: 寸法欄を空欄にする使い方は、既存図形上の2点に正多角形を合わせたい場面で重宝します。たとえば「既存の通り芯交点の2点を結ぶ六角形」「敷地境界の2点間を1辺とする六角形」など、図面上の点をそのまま寸法基準として使えます。両端を右クリックで読取点に合わせれば、寸法欄を打ち込まずにぴったりの正多角形が出せます。


底辺角度(傾きの指定)

底辺角度」入力ボックスは、正多角形の傾きを度数で指定する欄です。デフォルト(空欄または0)では「底辺が水平」の向きで描かれます。たとえば30と入力すれば、底辺が水平から30度傾いた正多角形が描けます。

底辺角度の操作手順

  1. ラジオボタン・角数・寸法を設定した状態で、「底辺角度」欄に角度(度数、例: 30)を入力します
  2. 仮表示の多角形が指定角度だけ傾いた状態に変わります
  3. 配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

Tips: 正六角形の場合、底辺角度を0にすると2辺が水平・2辺が垂直近似の「横倒し六角形」、30にすると2頂点が真上・真下に来る「縦長六角形」になります。蜂の巣模様(ハニカム)の並べ方は、底辺角度0と30で見え方が変わります。タイル割付では事前に向きを決めて統一するのがコツです。

Tips: 「底辺角度」欄に数値を残したまま次の多角形を描くと、その傾きのまま作図されます。傾きを使った作業から通常の水平多角形に戻るときは、必ず「底辺角度」欄を空欄に戻すか、0を入力し直しましょう。


基点の切替(中央・頂点・辺)

基点」ボタンは、マウスポインタに多角形のどこを合わせるかを切り替えるスイッチです。寸法欄に数値が入っていて、かつラジオボタンで正多角形モードを選んでいるときに有効になります。

3つの基点の意味

基点マウスポインタに合う位置主な用途
中央(初期)多角形の中心点通常の配置(中心位置を決めて描く)
頂点いずれかの頂点既存の角・読取点に頂点を合わせて描く
いずれかの辺の中点既存の壁面・線分の中点に辺を合わせて描く

基点の切替手順

  1. ラジオボタン・角数・寸法を入力済みの状態で、コントロールバーの「基点」ボタン(初期表示は「中央」)を左クリックします
  2. クリックごとに「中央」→「頂点」→「」と表記が切り替わり、仮表示のマウス追従位置も対応する基点に変わります
  3. 描きたい基点に合わせたら、配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

背景: 基点を「中央」だけで考えると、既存の角や辺に揃えて配置したいときに毎回中心位置を計算することになります。「頂点」「」の基点が用意されているおかげで、たとえば「壁の角に多角形の1頂点を合わせる」「壁面に多角形の1辺の中点を合わせる」といった配置を、計算なしで決められます。

Tips: 基点が「中央」以外に設定されていると、次に多角形を描こうとしたときに想定外の位置に配置されてしまうことがあります。基点を切り替えたあとは、用が済んだら**「中央」に戻しておく**のが安全です。


正多角形は「複数の線」として作図される

多角形コマンドで描いた正多角形は、見た目は1つの図形ですが、データ上は辺の数と同じ本数の独立した線として記録されます。範囲選択コマンドで多角形をかこむと、辺ごとに別々の線として選ばれます。

作図方法データ上の扱い
多角形コマンド(通常)角数と同じ本数の独立した線
多角形コマンド「ソリッド図形」ONひとつの塗りつぶし図形
円コマンド(通常)ひとつの円要素

背景: 多角形が複数の線として確定する仕様のおかげで、後から1辺だけ消去・伸縮・複線したい場合に、辺単位で自由に編集できます。多角形を「ひとまとまり」として扱いたい場合は、後述するソリッド多角形か、範囲選択 → ブロック化で対応します。

Tips: 正六角形の対角線(中心を通る3本の線)を引きたい場合は、多角形コマンドだけでは描けません。多角形を描いた後で、別途「線」コマンドで頂点同士を結ぶか、6本の頂点に向かって中心から放射状に線を引きます。詳しくは 線コマンドの基本(始点・終点・水平垂直) を参照。


ソリッド多角形(中が塗りつぶされた多角形)

コントロールバーの「ソリッド図形」チェックボックスにチェックを入れると、中が塗りつぶされた正多角形(ソリッド図形)を描けます。基本操作(ラジオボタン選択・角数・寸法入力)は通常の正多角形とまったく同じです。

ソリッド正多角形の作図手順

  1. 多角形コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「ソリッド図形」を左クリックしてチェックを入れます
  2. ラジオボタン(「中心→頂点指定」など)を選び、「角数」「寸法」を入力します
  3. 必要に応じて「任意色」にチェックを入れ、「任意■」ボタンから塗り色を設定します
  4. 配置位置で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します

ソリッド多角形のデータ上の扱い

ソリッドにチェックを入れて描いた多角形は、通常の多角形(複数の線)と異なり、ひとつの塗りつぶし図形として確定します。範囲選択でかこむと1要素として選ばれ、複写・移動はできますが、線単位の編集(1辺だけ伸縮など)はできません。

注意: ソリッド多角形は通常の編集コマンドの一部が効きません。形を変えたい場合は、いったん消去して描き直すのが基本です。詳しいソリッド機能の解説は 多角形のソリッド化 を参照してください。

Tips: ソリッド多角形と任意色を組み合わせれば、平面図の床仕上げ材ごとに六角タイル・八角タイルを色分けしたカラープレゼン資料が作れます。詳しくは ソリッド(塗りつぶし) を参照。


書込線色・線種との関係

多角形コマンドで作図される多角形は、現在の書込線色・線種で描かれます。違う種類の正多角形を描きたい場合は、多角形コマンドの操作前に書込線属性を切り替えます。

書込線属性の確認・変更

画面下部のステータスバー右寄りに「線属性」ボタンがあります。ここに現在の書込線色(例: 線色2)と線種(例: 実線)が表示されています。クリックすると線属性ダイアログが開き、線色(線色1〜8)と線種(実線・点線・一点鎖線・二点鎖線等)を切り替えられます。

Tips: 建築図面では、八角窓の枠は実線、六角タイルの目地は細い実線または破線、装飾モチーフは一点鎖線、というように多角形の用途で線種を使い分けます。多角形コマンドを起動するたびに「次に描く多角形は何の用途か」を意識して、線属性をその都度切り替えるのが実務の流儀です。詳しくは 線属性(線色・線種)の設定 を参照。


描いた正多角形の中心点を読み取る

多角形コマンドで描いた正多角形は、後から中心点を読取点として正確に拾えます。多角形の中央に十字や引き出し線を入れたい、多角形どうしの中心を結ぶ線を引きたい、といった作業で必須のテクニックです。

正多角形は複数の線で構成されているため、各辺の中点・頂点・対角の頂点を組み合わせて中心を特定するのが基本です。クロックメニューの「中心点取得」を使うと、辺ごとの中点を順に読み取れます。詳しくは 読取点の操作(中心点・端点・交点) を参照してください。

Tips: 多角形作図と同時に、中心位置にコマンドで仮点を打っておくと、後から中心位置を拾う作業がぐっと楽になります。手間に見えますが、ボルト穴記号・タイル割付の基準点・装飾モチーフの並び芯など、後で中心を使う場面が多い多角形ほど、最初に中心点を打っておく価値が高いです。詳しくは 点コマンドの基本 を参照。


派生する多角形の作図パターン

この記事で扱った正多角形(中心→頂点・中心→辺・辺寸法)以外にも、多角形コマンドにはコントロールバーから派生する作図パターンがあります。それぞれ専用記事で詳しく解説します。

派生パターン用途専用記事
2辺(V字図形)三角形の2辺を寸法指定で描く任意多角形の作図
任意多角形任意の連続点を結んだ多角形を描く任意多角形の作図
多角形のソリッド化既存の円・連続線を多角形ソリッドに変換多角形のソリッド化

実務での使い方 ★PERSC独自

八角窓・六角窓の枠取り(意匠図)

和風住宅や洋館の特徴ある意匠として、八角窓六角窓を採用する設計があります。中庭側のアクセント窓、玄関ホールの飾り窓、トイレの明かり取りなどに使われます。

意匠図では、窓の対辺寸法(壁芯から壁芯)が決まっていることが多いため、「中心→辺指定」モードで描きます。たとえば対辺寸法H600の八角窓なら、寸法欄に300(半分)、角数欄に8を入れて、通り芯の交点に右クリックで配置します。底辺角度0度(=2辺が水平の向き)が標準ですが、意匠的に45度回転させた配置も多用します。

六角タイルの割付(仕上げ図・展開図)

トイレ・洗面・玄関などの床仕上げに六角タイルを採用する設計では、タイル割付図に正六角形を並べていきます。タイル1枚の対辺寸法が規格で決まっているため、「中心→辺指定」モードで1枚目を描き、複写コマンドで縦横に並べていきます。

ハニカム配置(蜂の巣状)では、底辺角度0度と30度を組み合わせて並べる場合と、すべて同じ向きで並べる場合があります。事前に並べ方を決め、底辺角度を統一しておかないと、タイル目地が合わずやり直しになります。

ボルト穴記号・六角ボルト頭(構造図・設備図)

構造図や鉄骨詳細図に登場する六角ボルト頭八角ナットは、対角寸法(=外接円直径)で寸法管理されることが多いため、「中心→頂点指定」モードで描きます。M16ボルトなら対辺寸法24mm程度(=外接円半径12〜14mm程度)、M20ボルトなら対辺寸法30mm程度、というように規格表に基づいた寸法を入れます。

ボルトの位置を右クリックで構造材の中心に合わせ、底辺角度0度で揃えれば、複数のボルトが一発で同じ向きに並びます。

装飾モチーフ・パターンタイル(意匠図)

イスラム建築風の装飾、和風の組子細工、現代住宅の壁面アクセントなど、正多角形を組み合わせた装飾モチーフは意匠図で頻出します。正三角形・正六角形・正八角形を組み合わせると、隙間なく敷き詰められる「平面充填パターン」が描けます。

最初の1個を「辺寸法指定」で描き、複写コマンドで縦横に並べていく流れが速いです。基点を「頂点」または「」に切り替えて、隣の多角形の頂点・辺に合わせると、計算なしでぴったり並びます。

敷地形状の六角コーナー・八角コーナー(敷地図・配置図)

敷地境界が単純な四角形ではなく、六角形八角形になっている敷地(角切り敷地、五叉路に面した敷地など)の配置図では、敷地境界を多角形で描くと作図が早くなります。「辺寸法指定」モードで境界長さを直接指定し、底辺角度で道路境界線の角度に合わせれば、1コマンドで敷地全体の枠が描けます。

ただし実務の敷地は厳密な正多角形ではないため、本格的な敷地境界は任意多角形の作図 で各境界の長さを個別に指定するのが基本です。正多角形コマンドは、おおまかな当たり取りや、規則的な多角形敷地の場合に使い分けます。

神社仏閣の八角堂・六角堂(古典建築の図面)

伝統建築では、八角堂(法隆寺夢殿、興福寺北円堂など)や六角堂(頂法寺六角堂など)の平面が登場します。柱配置・柱芯・屋根伏図などで正多角形コマンドが活躍します。柱芯位置は「中心→頂点指定」、外壁の対辺位置は「中心→辺指定」というように、寸法基準を使い分けて柱・壁・屋根を順に描いていきます。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 多角形が描けない・反応しない

→ 多角形コマンドが起動していない可能性があります。コントロールバーの表示が「2辺」「中心→頂点指定」「中心→辺指定」「辺寸法指定」「角数」「寸法」「底辺角度」などになっているか確認してください。違うコマンドのコントロールバーが出ている場合は、左ツールバー「作図(2)」内の「多角形」アイコンを左クリックして多角形コマンドを再起動します。

Q: ラジオボタンを選んでも何も起きない

→ 「角数」欄に数値を入れていない可能性があります。3以上の整数を入力すると、その時点で仮表示の多角形がマウスポインタ位置に現れます。寸法欄が空欄でも、中心→頂点指定/中心→辺指定の場合は中心点クリックで仮表示が出始めます。

Q: 描いた正多角形のサイズが想定の2倍違う

→ 寸法欄に直径ではなく半径(中心→頂点指定/中心→辺指定の場合)または1辺の長さ(辺寸法指定の場合)を入力する仕様です。図面の表記が直径主体(φ100など)の場合、ここで頭の中で2で割る作業が発生します。「対辺H600」と書かれている場合は寸法欄に300、「対角D600」なら寸法欄に300(中心→頂点指定の場合)です。

Q: 同じ寸法・同じ角数で描いたのに、サイズが違う

→ ラジオボタンを取り違えている可能性があります。「中心→頂点指定」「中心→辺指定」「辺寸法指定」の3つは、同じ寸法値でも描かれる多角形のサイズが異なります。図面の寸法表記がどれを基準にしているかを確認してから、対応するラジオボタンを選び直します。

Q: 多角形が傾いた状態で出てしまう

→ コントロールバーの「底辺角度」入力欄に角度の数値が残っている可能性があります。欄を空欄に戻すか、0を入力すれば、底辺が水平の向きで描かれます。

Q: マウスを動かしても多角形のサイズが変わらない

→ 寸法欄に数値が入っているときの正しい挙動です。寸法欄に数値があると、サイズはマウス位置に依存せず一定値に固定されます。マウス位置で大きさを決めたい場合は、寸法欄を空欄にして、中心→頂点(または中心→辺)の2点指示で描きます。

Q: 描いた多角形の位置が想定とずれる

→ 「基点」ボタンが「中央」以外(「頂点」「辺」)になっている可能性があります。マウスポインタが中心ではなく頂点・辺の中点に合うため、配置位置がずれて見えます。基点ボタンの表示を確認し、必要なら「中央」に戻してから配置し直してください。

Q: ラジオボタンを切り替えるたびに寸法欄の値が消える

→ ラジオボタン切替時に寸法欄の値が保持されるか/クリアされるかはバージョンによる挙動差があります。ラジオボタンを切り替えた後は、必ず「角数」「寸法」が想定の値になっているかを目視確認してから配置クリックします。

Q: ソリッド多角形を描いたら色が予想と違う

→ ソリッド多角形の塗りつぶし色は、書込線色または任意色設定のどちらかが使われます。任意色を使っている場合は、コントロールバー「任意■」ボタンから設定中の色を確認してください。書込線色を変えたい場合は、線属性ダイアログから線色を切り替えます。

Q: ソリッド多角形を消去・編集できない

→ ソリッド多角形は「ひとつの塗りつぶし図形」として作図されているため、線単位の伸縮・部分消去ができません。形を変えたい場合は、いったん消去コマンドで全体を消してから描き直すのが基本です。詳しくは 多角形のソリッド化 を参照。

Q: 「ソリッド図形」のチェックを外し忘れて、塗りつぶしばかりになる

→ コントロールバーの設定はコマンドを切り替えても保持されるため、塗り作業の後は忘れずにチェックを外すのがコツです。多角形を描き始める前にコントロールバーの「ソリッド図形」が外れていることを毎回確認する習慣をつけると、誤塗りつぶし事故を防げます。

Q: 正三角形・正方形を多角形コマンドで描いてもいいか

→ 正三角形は他に専用コマンドがないため、多角形コマンドで「角数3」を指定して描くのが定石です。正方形(=正四角形)は矩形コマンドの基本(始点・対角点) で描くほうが簡単で、寸法管理もしやすくなります。多角形コマンドの「角数4・辺寸法指定」でも正方形は描けますが、傾きを指定したい特殊な場面以外では矩形コマンドを使います。

Q: 多角形を描き始めたけどキャンセルしたい

→ Escキー(操作の巻き戻し)を押すと、現在の指示状態がキャンセルされます。間違って中心点をクリックしてしまった場合の救済策として覚えておきましょう。


関連項目


まとめ

  • 多角形コマンドは「作図(2)」ツールバーの「多角形」アイコン(または「作図」→「多角形」)で起動し、コントロールバーで正多角形のラジオボタンを選んでから角数・寸法を入力する
  • 正多角形の寸法基準は3種類: 中心→頂点指定(外接円半径)/中心→辺指定(内接円半径)/辺寸法指定(1辺の長さ)。同じ寸法値でも描かれるサイズが異なるため、図面の寸法表記に応じて選び分ける
  • 底辺角度」で多角形の傾きを度数指定でき、「基点」で「中央/頂点/辺」のどこをマウスポインタに合わせるかを切り替えられる
  • 寸法欄を空欄にすると、マウスクリックの2点指示で大きさを決められる(読取点に合わせた多角形作図に便利)
  • 描かれる多角形は通常、データ上は辺の数と同じ本数の独立した線として扱われる(ソリッドONの場合のみ1つの塗りつぶし図形)
  • 八角窓・六角タイル・ボルト穴記号・装飾モチーフ・敷地形状・八角堂など、図面の中で「正○角形」と決まった形を扱うすべての場面でこのコマンドが基準になる