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日影図
このページでできるようになること
Jw_cad の [日影図] コマンド(メニューバー「その他」→「日影図」、ツールバーの「日影」)を使い、平面図に高さを設定して 日影図・等時間日影図・指定点日影時間 を作図できるようになります。あわせて、真北の設定、緯度・季節・時間帯の入力、影倍率表・日影長さ表・方位角倍率図 の作図、確認申請で求められる図面表現 までを通しで身につけます。建築基準法第56条の2(日影規制)の対象建築物で必須となる日影図作成の標準ワークフローを、Jw_cad 単体で完結させられる状態を目指します。
背景: 日影図は 「冬至日(または規制で定められた日)の真太陽時で、対象建築物が周囲に落とす影」 を平面に投影した図です。中高層建築物の日影規制(建築基準法56条の2)では、この日影図を 真北方向を基準 に作図し、敷地境界線から一定距離(5m・10m)を超える範囲での日影時間が規制値以下であることを示します。Jw_cad は本体に日影図機能を内蔵しており、標準添付の日影計算外部変形と合わせて、確認申請レベルの日影検討を無料で行えます。
注意: 本記事は Jw_cadで日影図・等時間日影図・指定点日影時間の作図を行う方法 の解説であり、建築基準法第56条の2(日影規制)の適合性を保証するものではありません。
- 日影規制値(規制時間・測定面の高さ・規制ライン)は、用途地域・特定行政庁・条例で異なります
- 計算結果が法令適合と判断するのは、設計者・確認検査機関・特定行政庁の責任です
- Jw_cadで描いた日影図は 設計検討用・社内検算用 であり、確認申請添付や法令適合証明には別途算定書の作成・専門ソフトでの再計算・所管行政庁との事前協議が必要です
関連: 建築基準法第56条の2(日影規制) / 特定行政庁・指定確認検査機関への確認
日影図とは(用語整理)
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 日影図 | 建物が周囲に落とす影を、指定時刻ごとに平面に投影した図 |
| 等時間日影図 | 同じ「日影時間」になる地点を結んだ等時間線(2時間・3時間・5時間 等)を描いた図 |
| 指定点日影時間 | 任意の地点(測定点)について、その日に何時間影になるかを算出する機能 |
| 真北 | 地球の自転軸に基づく真の北方向。磁北(コンパスが指す北)とは別 |
| 測定高 | 日影規制で影の高さを測る基準面(多くの自治体で平均地盤面+1.5m もしくは +4m / +6.5m) |
| 影倍率 | 太陽高度から定まる「建物高さ → 影の長さ」の比率 |
| 方位角倍率図 | 真南からの方位角ごとの影倍率を放射状に表した参照図 |
| 日赤緯 | 太陽が天の赤道に対して持つ角度。冬至 -23.45°、春秋分 0°、夏至 +23.45° |
背景: 日影規制は 冬至日 が基準日となります。1年で最も太陽高度が低く影が長くなる日のため、この日に規制値をクリアできれば年間を通じて条件を満たせる、という考え方です。Jw_cad の季節設定で「冬至」を選ぶ場面がほとんどなのはこのためです。
[日影図]コマンドの起動
| 方法 | 操作 |
|---|---|
| メニューバー | 「その他」→「日影図」 |
| ツールバー | 「その他(2)」ツールバー内の「日影」ボタン |
| ショートカット | 標準では未割当(基本設定 KEY タブで割当可) |
画像準備中 — メニューバー「その他」→「日影図」と「その他(2)」ツールバーの「日影」ボタン位置
要確認: ツールバーの正確な配置・ボタン表記は実機で確認します。
作図前の準備
日影図を作る前に、平面図上に 次の3要素 を整えておきます。
| # | 要素 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 平面図(建物外周) | 影を落とす対象の建物形状を 真上から見た平面 で作図しておく。多角形の閉じた線分で構成 |
| 2 | 真北線 | 真北方向を示す直線。長さは任意。後で[日影図]コマンド内で「真北」として指定 |
| 3 | 敷地境界線・規制ライン | 敷地境界線から 5m / 10m の規制ラインを別レイヤに用意しておくと、日影図完成後の規制判定が楽 |
PERSCの推奨: 平面図・真北・敷地境界・規制ラインは それぞれ別レイヤ に分けておきます。日影図の作図結果(影の輪郭線・等時間線・各種表)も別レイヤに振り分けておくと、後の修正・差し替えが格段に楽になります。レイヤ運用は レイヤとは ※準備中 を参照。
背景: 真北線を「単なる線」として作図しておくのがポイントです。[日影図]コマンドはこの線の 始点・終点位置 から角度を読み取って真北方向を決定するため、独立した1本の直線として準備しておきます。真北の作図手法は 線の基本 ※準備中 と組み合わせて行います。
画像準備中 — 作図前の準備状態(平面図 / 真北線 / 敷地境界線が別レイヤで配置された画面)
作図手順サマリー(全7ステップ)
| # | 操作 | 入力/指定内容 |
|---|---|---|
| 1 | [日影図]コマンドを起動 | メニュー「その他」→「日影図」 |
| 2 | コントロールバー「高さ(m)」に値を入力し、平面図の各辺をクリック | 建物各部の高さ(m単位) |
| 3 | 「真北」をクリックし、真北線の北側端部を指示 | 真北方向の角度 |
| 4 | 「測定高」「緯度」「季節」「時間帯」を設定 | 規制条件に合わせた数値 |
| 5 | 「書」をクリックし、測定条件を作図 | 図面上に条件文字を配置 |
| 6 | 「確認」でアイソメ図表示 →「<<」で戻る | 形状チェック(任意) |
| 7 | 「日影図」「等時間」「指定点」を選択し、目的の図を作図 | 出力する図の種類 |
それぞれの詳細を以下に示します。
手順1: 高さの設定
[日影図]コマンドを起動すると、コントロールバーが切り替わります。
高さの入力方法
- コントロールバー「高さ(m)」のテキストボックスに m単位 で値を入力します(例:
15で15mの高さ) - 平面図の対象となる 辺を左クリック します
- クリックした位置に近い方の 端部に高さが設定 され、高さ数値が図面に作図されます
これを建物外周のすべての端部について繰り返し、必要な箇所すべてに高さを設定します。
画像準備中 — 高さ入力後、平面図端部に高さ数値が表示された状態
高さ操作のショートカット
| 操作 | 動作 |
|---|---|
| 線を 左クリック | コントロールバーの値を端部に設定 |
| 線を 右クリック | 既設の高さを取得(コントロールバーに反映) |
| 線を 左ダブルクリック | 設定済み高さを 消去 |
要確認: 高さ取得・消去のクリック挙動は実機で動作を再確認します。
Tips: 高さが異なる屋根の段差や塔屋がある場合は、高さの異なる端部に対して個別に値を設定 します。同一建物でも段違い屋根・ペントハウスは別の高さで入力してください。
注意: 高さ設定が ない辺は影として計算されない 仕組みです。閉じた多角形のすべての端部に高さが行き渡るよう、辺ごとに左クリックを忘れずに行います。
手順2: 真北の設定
真北の指定操作
- コントロールバー「真北」を左クリック
- 事前に作図しておいた真北線の 北方向の端部 をクリック
- 真北の方角が設定され、角度の文字が図面に作図されます
クリック種類で角度表示形式が変わる
| クリック | 角度表示形式 |
|---|---|
| 左クリック | 度単位(例: 12.345°) |
| 右クリック | 度・分・秒(例: 12°20'42") |
PERSCの推奨: 確認申請図に添付する場合は 度・分・秒(右クリック) での表記が一般的です。所管行政庁の様式に合わせて選択します。
真北を変更したいとき
別の線の端部を再度「真北」モードでクリックすれば上書きできます。誤って真北を指定し直す場合に活用します。
画像準備中 — 真北角度の作図結果(度・分・秒表記)
背景: 「磁北」と「真北」は数度ずれます(磁気偏角)。確認申請で求められる日影図はあくまで 真北基準 です。敷地測量図に記載された方位を流用する場合は、それが磁北・真北どちらか必ず確認します。測量図の表記は通常「真北」ですが、古い図面では磁北のことがあります。
手順3: 測定高・緯度・季節・時間帯の設定
コントロールバー右側の各項目に数値・選択を入れます。
測定高(地盤面からの基準高さ)
| 設定値 | 用途の目安 |
|---|---|
| 1.5m | 第1種・第2種低層住居専用地域・第1種・第2種中高層住居専用地域・田園住居地域(多くの自治体) |
| 4m / 6.5m | 第1種・第2種住居地域・準住居地域・近隣商業地域・準工業地域(多くの自治体) |
要確認: 測定高の規制値は 自治体の条例 で個別に定められています。所管行政庁の条例・告示・建築指導課の窓口で必ず確認します。
緯度
建設地の緯度を入力します。日本国内の主要都市の参考値は以下のとおりです。
| 都市 | 概算緯度 |
|---|---|
| 札幌 | 43.06° |
| 仙台 | 38.27° |
| 東京 | 35.68° |
| 名古屋 | 35.18° |
| 大阪 | 34.69° |
| 福岡 | 33.59° |
| 那覇 | 26.21° |
PERSCの推奨: 確認申請では 建設地の正確な緯度 を使うのが原則です。Google マップや住宅地図ソフトで建設地の緯度を測り、小数点以下2〜4桁程度で入力します。
季節
| 選択肢 | 日赤緯 | 用途 |
|---|---|---|
| 冬至 | -23.45° | 日影規制の標準(年間で影が最も長い日) |
| 春秋分 | 0° | 比較・検証用 |
| 夏至 | +23.45° | 比較・検証用 |
| 任意時期 | -23.45〜+23.45° の任意値 | 特殊検討用(条例で別日指定 等) |
背景: 日本の建築基準法56条の2では 冬至日 を基準日とします。一般的な確認申請では「冬至」を選ぶことになります。海外案件・特殊条例での運用がある場合のみ「任意時期」を使います。
時間帯
| 設定 | 計算時間帯 | 用途 |
|---|---|---|
| 「9〜15時」にチェック | 9時〜15時の6時間 | 真太陽時で 9〜15時 の規制(多くの地域) |
| チェック外し | 8時〜16時の8時間 | 真太陽時で 8〜16時 の規制(北海道など緯度が高い地域) |
要確認: 自治体によって日影規制の時間帯が異なります。建設地の所管行政庁で必ず確認します。
画像準備中 — 測定高・緯度・季節・時間帯の設定状態
手順4: 測定条件の書込
設定した条件を 図面に文字として残す 操作です。
- コントロールバー「書」を左クリック
- 書き込む位置をクリック(左クリック=任意点 / 右クリック=読取点)
- クリック位置を文字の 左下 として測定条件が書き込まれます
書き込まれる内容には、測定高・緯度・季節・時間帯・真北方向の数値が含まれます(実機での書出内容は要確認)。
要確認: 「書」で書き込まれる測定条件文字の正確なフォーマットは実機で取得します。
PERSCの推奨: 測定条件は確認申請図の 凡例欄付近 に配置するのが一般的です。日影図の位置とは離さず、同じレイヤグループに収めて出力します。
画像準備中 — 測定条件文字が作図された状態
手順5: アイソメ図で形状確認(任意)
設定した建物形状を アイソメ図(立体) で確認できます。複雑な段違い屋根・塔屋を入力した後の検算に使うと有効です。
確認操作
- コントロールバー「確認」を左クリック
- アイソメ図が表示され、左上に真北方向が表示されます
- コントロールバーが切り替わり、視点操作ボタンが並びます
視点操作ボタン
| ボタン | 動作 |
|---|---|
| 左 / 右 / 上 / 下 | 視点角度を増減 |
| 等角 | 左右回転角=45° / 上下角=35.264°(標準アイソメ) |
| 0 , 0 | 左右回転角=0° / 上下角=0°(真南からの正面) |
| << | 元の高さ設定画面に戻る |
画像準備中 — アイソメ図表示画面(建物形状の立体プレビュー)
Tips: 高さ設定の入力ミス(屋根の塔屋を入れ忘れた・段違いの値が逆 等)は、平面表示だけでは気づきにくいです。アイソメ図で1度確認 してから本作図に進むと、影の作図やり直しのリスクが大幅に減ります。
手順6: 日影図の作図
「<<」で戻った後、コントロールバー「日影図」を左クリックすると、作図モードのコントロールバー に切り替わります。
作図ボタンの種類
| ボタン | 内容 |
|---|---|
| 1時間毎 | 9・10・11・12・13・14・15時(または8〜16時)の整時刻ごとの影輪郭線を作図 |
| 30分毎 | 9:00・9:30・10:00... と30分刻みの影輪郭線を作図 |
| 時間指定 | ダイアログで任意時刻を入力 → その時刻の影のみ作図 |
画像準備中 — 1時間毎の日影図が作図された状態
背景: 1時間毎・30分毎は重ね描きされるため、時刻ごとに線色を変えると視認性が上がります。書込線色を切り替えながら時間指定で順次作図する運用も有効です。
影倍率表・日影長さ表・方位角倍率図
設定した条件下での 影の長さ・方位角の参照表 を作図できます。
| ボタン | 出力内容 | 基準点指示 |
|---|---|---|
| 影倍率表 | 時刻ごとの「建物高さあたり影の長さ倍率」を表化 | 表の左上点を指示 |
| 日影長さ表 | 時刻ごとの「実寸の影長さ」を表化 | 表の左上点を指示 |
| 方位角倍率図 | 真南を起点とした方位角ごとの影倍率を放射状に表示 | 中心点を指示 |
| 修飾キー | 動作 |
|---|---|
| 通常クリック | 30分毎 の表・図を作図 |
| Shift + クリック | 1時間毎 の表・図を作図 |
| Ctrl + クリック(日影長さ表のみ) | 太陽方位角を同時に作図 |
画像準備中 — 影倍率表・日影長さ表・方位角倍率図の出力例
PERSCの推奨: 確認申請の図面では 影倍率表 または 方位角倍率図 を凡例として添付することが多いです。所管行政庁の様式に合わせて、必要な表・図を選択します。
等時間日影図
「日影図の作図」設定が終わった段階で、コントロールバー「等時間」を左クリックすると、等時間日影図のコントロールバーに切り替わります。
等時間とは
ある地点が 何時間連続して影になるか を計算し、同じ時間になる地点を結んで線を引いたものです。建築基準法56条の2の規制は「敷地境界線から5m超〜10m以内では○時間以下、10m超では○時間以下」のように 時間単位 で規定されているため、等時間日影図は規制適合の判定図そのものになります。
プリセットボタン
| ボタン | 内容 |
|---|---|
| 2.0時間 / 2.5時間 / 3.0時間 / 4.0時間 / 5.0時間 | プリセットされた時間の等時間線を作図 |
| 時間指定 | ダイアログで任意時間を入力(小数点可)→ 等時間線作図 |
計算間隔
| ボタン状態 | 計算精度 | 用途 |
|---|---|---|
| 1分間隔計算 | 1分刻みで影の有無を判定 | 標準(速度優先) |
| 10秒間隔計算 | 10秒刻み | 詳細検討(時間がかかる) |
| 4秒間隔計算 | 4秒刻み(範囲指定時のみ) | 局所的な精密検討 |
ボタンをクリックすると表示が切り替わります。
PERSCの推奨: 確認申請レベルでは 1分間隔計算 で十分なことがほとんどです。境界付近で規制値ギリギリになる場合のみ、10秒間隔・4秒間隔に上げて精度を確認します。
範囲指定
「範囲指定」を左クリックして始点・終点を指示すると、その範囲内に限って等時間日影図を計算します。境界付近のクリティカルな部分だけ高精度で計算したいときに有効です。
範囲指定中はボタンが「範囲解除」に切り替わるので、解除する場合はそれを左クリックします。
画像準備中 — 等時間日影図(2.0時間・2.5時間・3.0時間の等時間線が描画された状態)
注意: 等時間日影図の計算は 建物形状が複雑なほど時間がかかります。計算中は画面操作ができないため、保存してから実行することを推奨します。
指定点の日影時間
特定の地点が その日に何時間影になるか をピンポイントで算出する機能です。隣家の窓位置・公共空間の特定地点など、規制適合の確認とは別に「具体的な地点での日影時間」を確認 したい場合に使います。
操作手順
- コントロールバー「指定点」を左クリック → コントロールバー切替
- 測定点を指示(左クリック=任意点 / 右クリック=読取点)
- 指示位置に「測定点」と「No.1」などの番号付き文字が作図される
- 必要な数だけ繰り返し(1回の計算で最大100点まで)
- 「1分間隔計算」または「10秒間隔計算」を左クリック
- 計算結果を書き込む位置を指示(左クリック=任意点 / 右クリック=読取点)
- 各測定点ごとに 日影になる時間帯(文字) が作図される
開始番号の変更
初期設定では「No.1」から始まりますが、「初期No 設定」 ボタンをクリックすると、開始番号を変更できます。複数枚の図面で番号を連続させたい場合に活用します。
グラフ作図オプション
計算結果書込前に「グラフ 無」を左クリックすると、表示が「グラフ作図」に切り替わります。この状態で書込を行うと、日影時間帯のグラフ が文字と同時に作図されます。
画像準備中 — 指定点日影時間の作図結果(測定点・時間帯文字・グラフ)
要確認: 1回の計算における測定点上限(100点)が現行版でも維持されているかは実機で確認します。
Tips: 測定点を多数打つ場合は、測定点の入力 → 計算実行 → 文字書込位置の指示 の流れを途中で止めてしまうと番号付与がリセットされます。先にすべての測定点を打ち切ってから計算ボタンに進む運用が安全です。
確認申請で使う場面
日影図は、建築基準法56条の2の 日影規制対象建築物 の確認申請で必須となる図書です。
| 用途 | 主な図書 | Jw_cad の対応機能 |
|---|---|---|
| 規制適合判定 | 等時間日影図(敷地境界線から5m・10mの規制ライン併記) | 「等時間」モード |
| 周辺影響説明 | 1時間毎日影図(影の動き全体を見せる) | 「1時間毎」モード |
| ピンポイント影響説明 | 指定点日影時間表+グラフ | 「指定点」モード |
| 計算条件の明示 | 測定条件(緯度・季節・時間帯・測定高) | 「書」ボタン |
| 計算根拠の参考 | 影倍率表・方位角倍率図 | 「影倍率表」「方位角倍率図」ボタン |
PERSCの推奨: 所管行政庁によっては 「日影計算外部変形」(標準添付) での出力を求められることがあります。本体[日影図]コマンドの結果と外部変形の結果は、同じ建物形状・同じ条件であれば一致 するはずなので、二重チェックの意味でも両方の出力を持っておくと安心です。外部変形の使い方は 外部変形の基本 と 外部変形プログラムの導入 を参照。
実務での使い方 ★PERSC独自
中高層計画の初期検討での「ボリュームスタディ」
確認申請の最終図面化の前段階、プランニング初期 で日影図の威力が発揮されます。建物ボリュームを仮置きし、等時間日影図を作図して規制ラインと突合せれば、計画階数・建物配置の妥当性を即座に判定 できます。
| 検討段階 | やること | 日影図の使い方 |
|---|---|---|
| ボリューム検討 | 階数候補を3〜4案作る | 各案で等時間日影図を作図 → 規制適合する最大ボリュームを把握 |
| 配置検討 | 建物の前後・左右配置を変える | 配置案ごとに等時間日影図 → 北側隣地への影響が小さい配置を採用 |
| 屋根形状検討 | 塔屋・パラペットの高さを変える | 「アイソメ図確認」で形状チェック → 等時間日影図で影響を確認 |
| 確認申請図化 | 建物形状を確定 | 1時間毎・等時間・指定点を所管行政庁様式で出力 |
「除外区域」「対象区域」の表現
日影規制では 「敷地境界線から○m以内は除外、その先○mまでは○時間以下、それ以遠は○時間以下」 という3層構造の規制となるのが一般的です。Jw_cad で表現する場合の運用パターン:
- 規制ライン を別レイヤに作図(5m・10mのオフセット線)
- 等時間日影図を 線色を分けて 作図(2.0時間=緑、2.5時間=黄、3.0時間=橙、4.0時間=赤 等)
- 規制ラインと等時間線が どこで交差するか を目視確認
- 必要に応じ「指定点日影時間」で交差付近のピンポイント時間を出力
隣地説明用の日影アニメーション風出力
近隣説明会で隣家から「うちの庭が何時に影になるのか」を聞かれた場合、指定点日影時間 + グラフ作図 が役立ちます。「お宅のここの地点では、○時○分から○時○分まで影になります」と 時刻単位で具体的に答えられる ため、説明の説得力が大きく上がります。
PERSCの推奨: 近隣説明用には、1時間毎日影図に 太陽位置を示す矢印 を時刻ごとに添えると視覚的に分かりやすくなります。本体機能では矢印は自動作図されないので、影の作図後に手動で追加します。
三斜面積計算との組合せ
敷地境界線・規制ラインと等時間日影図の交差範囲(規制超過範囲)の 面積を求める ときには、式計算(日影倍率・三斜面積) の三斜面積計算が活きます。等時間線で囲まれた領域を三斜分割し、面積を出すことで「規制違反面積○㎡」のような定量的な議論ができます。
バージョン互換と外部変形の併用
Jw_cad 本体の[日影図]機能は 長年大きな仕様変更がなく、過去ファイルとの互換性が高いです。一方、標準添付の日影計算外部変形 は計算ロジックが本体と異なる場合があり、所管行政庁が外変ベースの出力を指定してくることがあります。実務では:
- 第1選択: 本体[日影図]コマンドで作図
- 検算 / 行政庁指定対応: 標準添付の日影計算外部変形で再出力
- 両者の差分 が出た場合は、計算条件(緯度の小数点桁数・真北角度の有効桁・測定高の0.001m単位差 等)を疑う
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 高さを設定したのに影が作図されない
→ 辺の端部に高さが行き渡っていない 可能性が最も高い原因です。閉じた多角形を構成するすべての辺について、左クリックを忘れずに行ってください。確認方法は アイソメ図確認(コントロールバー「確認」)で、立体表示が想定通りかを目視チェックします。
Q: 真北の角度が思っていた値と違う
→ クリックした端部が 「南側」 だった可能性があります。真北を指定するときは、必ず 北方向の端部 をクリックしてください。誤った場合は別の線の北端を再クリックすれば上書きできます。
Q: 真北の表記が「12.345°」になってしまう(度・分・秒で出したい)
→ 真北モードで 右クリック すると度・分・秒表記になります。左クリックは度単位です。一度書き込まれた角度文字を削除して、真北モードで再度右クリックしてください。
Q: 等時間日影図の計算が終わらない
→ 建物形状が複雑(多角形の頂点数が多い)かつ 計算間隔が10秒間隔 だと、計算に数十分かかることがあります。「1分間隔計算」に戻して再実行 するか、「範囲指定」 で必要な箇所だけ計算範囲を絞ります。
Q: 季節を「冬至」にしたのに、日赤緯の値が思った通りにならない
→ 「冬至」選択時は日赤緯が -23.45° に固定されます。これは天文学的な冬至の値で、Jw_cad 内では変更できません。所管行政庁が別の値(例: -23.45°より少し違う条例値)を指定している場合のみ、「任意時期」を選んで該当の日赤緯を入力します。
Q: 「指定点」で測定点を打った後、計算結果が表示されない
→ 計算ボタン(「1分間隔計算」「10秒間隔計算」)を押した後、計算結果を書き込む位置をクリック する必要があります。クリックを忘れると結果は画面に出ません。コマンドを終了するとデータは消えるので、結果書込までを1セットで完了させてください。
Q: 指定点の番号がリセットされてしまった
→ 測定点入力中に別コマンドに切り替えると、それまでの入力がリセットされる場合があります。「初期No 設定」で開始番号を再設定 すれば、続きの番号で振り直せます。
Q: 影倍率表が30分毎で出てしまう(1時間毎にしたい)
→ Shift キーを押しながら 「影倍率表」をクリックします。Shift なしの通常クリックは30分毎です。日影長さ表・方位角倍率図も同じ操作で1時間毎に切り替わります。
Q: アイソメ図が表示されない・崩れている
→ 高さ設定が一部の辺だけ だと、立体形状が成立せずアイソメ図が崩れます。すべての辺について端部高さを設定してから「確認」を押してください。
Q: 確認申請で日影図の様式を行政庁から指摘された
→ 自治体ごとに様式(凡例の項目数・図面サイズ・添付資料の組合せ)が異なります。事前相談で求められる様式の見本を入手 してから図化に着手すると、手戻りが減ります。日影規制の制度詳細は JIS A 0150(建築製図通則)の全体像 ※準備中 と所管行政庁の窓口確認をお願いします。
Q: 日影規制の対象かどうか分からない
→ 用途地域・建築物の高さ・地方自治体の条例で対象が決まります(一般的には第1種低層住居専用地域・田園住居地域で軒高7m超 or 3階建以上、それ以外の住居系地域・近隣商業・準工業で高さ10m超 など)。所管行政庁の建築指導課で必ず確認してください。
関連項目
- 外部変形の基本(使い方とバッチ起動) — 標準添付の日影計算外変も外部変形の枠組み
- 外部変形プログラムの導入 — 日影計算外変・天空率計算等の入手と配置
- 天空図・天空率 ※準備中 — 道路斜線・隣地斜線の規制チェック(日影と並ぶ環境法規)
- 2.5D(立体表示・アイソメ図) ※準備中 — 立体プレビューの汎用機能(日影図の「確認」モードの上位互換)
- 式計算(日影倍率・ヘロン公式・三斜面積・RC断面算定) — 日影倍率の補助計算・規制超過範囲の三斜面積算出
- 線の基本 ※準備中 — 真北線の作図手法
- JIS A 0150(建築製図通則)の全体像 ※準備中 — 建築基準法56条の2 含む製図規約の全体像
- レイヤとは ※準備中 — 平面図・真北・規制ライン・日影図のレイヤ分け運用
まとめ
- [日影図]コマンドは 平面図に高さを設定 → 真北・緯度・季節・時間帯を入力 → 影輪郭・等時間線・指定点時間を作図 する機能
- 起動口は メニュー「その他」→「日影図」 または ツールバー「日影」
- 作図モードは 3種類: 1時間毎/30分毎/時間指定の 日影図、プリセット時間の 等時間日影図、ポイント指定の 指定点日影時間
- 影倍率表・日影長さ表・方位角倍率図 を併用すると、確認申請に必要な凡例が一通り出力できる
- 計算間隔は 1分間隔/10秒間隔/4秒間隔(範囲指定時のみ) から選択。標準は1分間隔で十分
- 真北は 北側端部クリック で設定。右クリックで度・分・秒、左クリックで度単位
- 季節「冬至」が 建築基準法56条の2 の標準 。日赤緯 -23.45°
- 法令詳細・規制値は所管行政庁・条例で確認(この記事は CAD 操作にフォーカス)