Skip to content
未検証

AutoCADとのDXFデータ交換実例(互換性チェックと文字化け対策)

このページでできるようになること

建設業界で主流のAutoCADを使う取引先と、Jw_cad側がDXF経由で図面をやり取りする際の「実際の交換シーン」を、双方向(送る・受け取る)の流れに沿って一通り押さえられます。書出しDXFのバージョン選択、文字化け・線種化け・レイヤ命名のすり合わせ、ハッチングや寸法のスタイル違い、ペーパースペースとモデル空間の概念差、よくある事務所間の連携パターン3〜4例まで、PERSC編集部が建築実務で蓄積した運用ノウハウとしてまとめます。

背景: 建築・土木・設備の各業界では「設計事務所はJw_cad、ゼネコン・施工会社・サッシメーカーはAutoCAD」というすみ分けがいまだに広く残っています。両者が共同作業する局面では、必ずどこかでDXFまたはDWGによるデータ交換が発生します。「読込操作の手順」「書出操作の手順」「文字化け原因と対処」はそれぞれ別記事に整理してあるため、このページは実際の取引相手とのやり取りで起きる場面別ノウハウに絞って解説します。基本操作の習得は先に済ませておく前提です。


関連記事との役割分担

このページは「シナリオ」に特化しています。手順詳細・原因解説は別記事に任せ、ここでは現場で迷うポイントだけを取り上げます。

知りたいこと担当記事
DXFファイルを開く操作の手順DXFファイルを開く(読込)
DXF形式で保存する操作の手順DXF形式で保存(書出)
DXFバージョンや出力オプションの設定項目基本設定 DXF・SXF・JWC タブ
文字化けが起きたときの原因と対処DXFを開くと文字化けする
線種・線色がおかしくなるときの原因と対処DXF経由で線種・線色がおかしくなる
受領DXFを一括変換したいファイル一括変換
JacConvertなど変換ツールの使い分けファイル形式変換ツール
SFC(公共CAD)形式を絡めた交換SFCでの公共CADデータ交換 ※準備中
Jw_cad側のバージョン互換性Jw_cadバージョン間互換 ※準備中

PERSCの推奨: このページは「初回読み込みで使うチェックリスト」として設計しています。AutoCADユーザーとの取引が始まったタイミングで、相手と一緒に上の関連記事を1巡眺めておくと、その後のやり取りで詰まる回数が大きく減ります。


前提知識: Jw_cad と AutoCAD の世界観の違い

DXF交換でつまずく根因の多くは、両者の「図面の表現方法そのもの」が違うことに起因します。先にこの世界観の差を3点だけ押さえておきましょう。

違い1: ファイル形式の系譜

項目Jw_cadAutoCAD
ネイティブ形式.jww(バイナリ独自).dwg(バイナリ独自)
交換用形式.dxf(読み書き両対応).dxf(読み書き両対応)
公開仕様JWWは非公開(事実上の標準)DWGは非公開、DXFは仕様公開
ライセンス完全無料商用ライセンス(数十万円〜)

背景: AutoCADの.dwgはAutodesk社の独自バイナリ形式で、Jw_cad本体は標準ではDWGの読み書きに対応していません。AutoCAD↔Jw_cadの交換は基本的に**.dxf 経由**になります。DWGを受け取った場合は、後述の「DWG TrueView」などで一度DXFに変換してから扱います。

違い2: モデル空間/ペーパースペースの有無

AutoCADは「モデル空間(Model Space)」と「ペーパースペース(Paper Space / Layout)」の2層構造です。実寸の図形はモデル空間に描き、印刷レイアウトは1枚の紙のメタファとしてペーパースペースに配置します。一方Jw_cadはこの分離が無く、用紙枠の中にすべて実寸で描く1層構造です。

概念AutoCADJw_cad
実寸の図形を描く場所モデル空間用紙の枠内(実寸ベース)
印刷レイアウトの設計ペーパースペース(複数レイアウト持ち)レイヤグループ単位で縮尺切替
縮尺の概念ビューポートの「ビュースケール」で指定レイヤグループに紐付く
用紙サイズの位置付けレイアウト側で指定ファイル単位で1つ

PERSCの推奨: AutoCADから送られてきたDXFをJw_cadで開いて「枠が小さすぎる/大きすぎる」「縮尺が合わない」と感じたら、まず疑うのはこの世界観の差です。Jw_cadではペーパースペースのエンティティが分離せず1平面上に展開されることがあるため、受領DXFは最初にレイヤ・縮尺・用紙サイズを上から眺める癖をつけましょう。

違い3: 属性管理(レイヤ vs 線一本ずつ)

AutoCADはByLayer運用(線の色・線種・線幅をレイヤに紐付け、線自体は「レイヤに従う」と指定する運用)が標準です。Jw_cadはレイヤと線属性が独立しており、線一本ごとに線色・線種を持たせるのが基本です。

設計思想AutoCAD(ByLayer)Jw_cad(属性独立)
色・線種の紐付けレイヤ単位で一括管理線一本ごとに保持
レイヤを変更するとレイヤ上の全線の色が一斉に変わる既存線の色は変わらない(属性を保持)
修正の柔軟性レイヤ設計が決まれば変更しやすい個別に細かい上書きがしやすい

背景: AutoCAD側で「赤の通り芯レイヤ」「黒の壁レイヤ」と運用していた図面をJw_cadで開くと、レイヤ依存の色情報が Jw_cadの線色1〜8に丸め込まれて反映されます。逆に Jw_cad の図面を AutoCAD で開いてもらうと、ByLayer運用に慣れた相手から「色がレイヤと一致しない」「線一本ずつ色が違う」と指摘されることがあります。これは仕様差であり、設定だけでは完全には解消しません。


シナリオ1: Jw_cad → AutoCAD(送る側)

Jw_cad で作った図面を、取引先のAutoCADオペレータに渡す代表的なフロー。打合せ用の参考図、確認申請用の控え、サッシ・建具の発注図など、用途を問わず送る側で押さえるべきチェックリストです。

送る前のチェックリスト(全7項目)

#チェック項目確認場所
1レイヤ名に日本語・半角スペースが入っていないかレイヤ一覧
2補助線色の線が残っていないか図面全体目視・属性取得
3図形登録(ブロック)を分解するか保持するか決めたか「DXF・SXF・JWC」タブ設定
4寸法を線・文字に分解するかどうか決めたか同上
5ハッチングを線分に分解するか決めたか同上
6文字フォントが取引先で再現可能か(MS ゴシック・MS 明朝推奨)基本設定「文字」タブ
7用紙枠を残すか削除するか決めたか用紙枠の手動削除可否

PERSCの推奨: 上記の7項目は 書出し前のセルフチェック表 として運用すると安定します。最初の数件は項目を口で読み上げながら確認し、慣れてきたら頭の中でなぞるだけで済みます。詳細な操作手順は DXF形式で保存(書出) のチェックリスト節にも整理してあります。

バージョン選択の早見表

書出し時のDXFバージョン選択は、相手のAutoCADバージョンに合わせるのが基本ですが、互換性の高さで選ぶ運用も実用的です。

書出しバージョン互換性推奨される取引先
R12形式最大(古いCAD・他社CADでも開きやすい)取引先のAutoCADバージョン不明・他社CAD混在
R2000形式高(AutoCAD 2000〜2024で広く読める)AutoCAD・LT・BricsCAD等の主流環境
R2004形式中(2000以降の機能拡張対応)TrueColor・新機能を活かしたい相手
R2007〜R2010形式低めだが新機能対応最新環境で確実に新機能を使いたい相手

PERSCの推奨: 取引先のバージョンを把握しきれない場合の安全策は R2000形式 です。これより新しいバージョンへの読込互換は十分にあり、古いCADでも問題なく開けます。R12形式は最大互換ですが、その代わりに新機能(TrueColor、ハッチング塗りつぶしなど)が使えなくなる点だけ注意します。

要確認: Jw_cadのDXF書出しUIで選択できるバージョンの範囲は実機で確認が必要です。バージョンによっては R12 / R2000 のみ、最新版では R2010 まで対応など差があります。

よくある不具合とその場での対処

書き出したDXFを取引先のAutoCADで開いてもらった結果、典型的な指摘が返ってくる場面別の対処です。

取引先からの指摘即時対処
「線がぜんぶ黒に見える」Jw_cad の線色1〜8を取引先側のAutoCAD ACI 1〜8に対応させた送付メモを添付。先方でレイヤ色を整える
「文字化けしている」基本設定「文字」タブで MS ゴシック・MS 明朝に統一→再書出し。詳しくは DXF文字化け対処
「寸法値が動かない」Jw_cadの寸法は分解出力されるため、相手側で「寸法線・矢印・文字を1セット」として再構成してもらうしか無い
「ハッチングが線分の集合になっている」仕様。再現性のあるハッチパターンが必要なら受け側で再ハッチを依頼
「用紙枠が図面の一部として入っている」書出し前に用紙枠(補助線色)を削除するか、相手側で1度だけ消してもらう
「縮尺が1/1になって巨大に開いた」DXFはmm単位の実寸出力。相手側AutoCADで「ビューポート尺度1:100」を設定してもらう

シナリオ2: AutoCAD → Jw_cad(受け取る側)

取引先のAutoCADオペレータから受領したDXF(あるいはDWG経由)を、Jw_cadで作業可能な状態に持ち込むフロー。受領フェーズ・確認フェーズ・整形フェーズの3段階で進めます。

受領フェーズ: ファイル形式の見極め

受領形式Jw_cadで直接開けるか必要な前処理
.dxf(DXF)◎ 直接開けるテキストエディタで $DWGCODEPAGE を事前確認推奨
.dwg(DWG)× 直接は開けないDWG TrueView 等でDXFへ変換、または相手にDXF再書出を依頼
.dxf をzip圧縮◎ 解凍してから開ける解凍後、文字コード確認
.bak(AutoCAD自動バックアップ)× 開けない拡張子だけ .dwg にリネームしてもらう or 相手に正規ファイルを依頼

PERSCの推奨: DWGで受け取った場合は、まず相手にDXFでの再送を依頼するのが正攻法です。DWGのまま処理しようとするとAutodesk製の「DWG TrueView」(無料)または有料変換ツールが必要になり、変換時に文字化け・線種化けが起きるリスクが上乗せされます。

確認フェーズ: 開く前の3点チェック

DXFを受け取ったら、Jw_cadでいきなり開く前にテキストエディタで先頭部分だけ覗く癖をつけると、化けた状態で上書き保存してしまう事故が激減します。

  1. サクラエディタや VS Code で受領DXFを開く
  2. 先頭から数百行以内にある $DWGCODEPAGE の値を確認
    • ANSI_932 → Shift_JIS(Jw_cad向き)
    • UTF8 → UTF-8(要変換または再依頼)
  3. $ACADVER の値で AutoCAD バージョンを把握
    • AC1009 → R12、AC1015 → R2000、AC1018 → R2004、AC1021 → R2007、AC1024 → R2010 など

Tips: $ACADVER の値が新しすぎる(AC1027以降)場合、Jw_cadで読み込めても線種・ハッチングなどの一部要素が欠落する可能性があります。R2000形式(AC1015)以下で書き出してもらうよう相手に再依頼するのが安全です。

整形フェーズ: 受領後にJw_cad側で整える項目

受領DXFを開いた直後にJw_cad側で整える項目を、優先度順に整理します。

優先度整形項目操作
レイヤ整理(不要レイヤ削除・命名整え)レイヤ一覧で「データ無し」レイヤを削除
線色1〜8の見直し(必要なら基本設定で色を初期化)基本設定 DXF・SXF・JWC タブ
縮尺・用紙サイズの再設定図面情報→用紙サイズ・縮尺タブ
文字種フォントの統一(MS ゴシック等)基本設定 文字 タブ ※準備中
寸法線・引出線の見た目チェック該当寸法を選択→ DXF線種・線色トラブル
ハッチング部分が線分集合になっていないか確認該当部の範囲選択→分解線数の確認
補助線色化の処理(不要な要素の補助線化)属性変更(属取)
JWW形式での再保存DXF形式で保存(書出) ではなく上書き保存(jww)

PERSCの推奨: 受領DXFは最初の作業として必ずJWWに変換保存してから本格的な編集に入ります。DXFのまま編集すると、上書きするたびに文字コード・線属性の丸め込みが上書きされ、変更履歴を追えなくなる可能性があります。


シナリオ3: 双方向の継続的なやり取り(往復案件)

設計→構造→意匠の調整→施工と、複数回往復するDXF交換は、毎回フルの整形を繰り返すと作業時間が膨らみます。取引先と「最初に1度」交換ルールを文書化しておくと、2巡目以降の手戻りがほぼゼロになります。

取引先との「DXF交換ルール」テンプレ

PERSC編集部が建築設計事務所と取引先の間で実際に運用している標準ルールの例です。新規取引の初回送付時に、このテンプレを添付してすり合わせます。

text
■DXF交換ルール(〇〇邸プロジェクト)

【共通】
- 形式: DXF(R2000形式)
- 文字コード: Shift_JIS(ANSI_932)
- 単位: mm(1/1実寸)
- 用紙: A1(縮尺1/100、A1モデル空間)

【レイヤ命名】
- 半角英数字+アンダーバーで統一(日本語不可)
- 例: 01_GRID(通り芯)、02_WALL(壁)、03_OPN(開口)...
- 共通レイヤテンプレ別添(zipに同梱)

【フォント】
- 日本語: MS ゴシック または MS 明朝のみ
- SHXフォント(txt.shx等)使用禁止
- 機種依存文字(髙・﨑・①等)使用禁止

【書出し時の分解設定】
- 寸法: 分解せず保持(DIMENSION)
- ハッチング: 分解せず保持(HATCH)
- ブロック: 分解せず保持(INSERT)
- ※先方Jw_cadで開く際の分解はJw_cad側ユーザに任せる

【受け渡し】
- ファイル名: YYYYMMDD_物件名_図面種別_vN.dxf(例: 20260507_佐藤邸_平面図_v3.dxf)
- 連絡: メール添付+クラウドストレージ併用
- バックアップ: 送付者・受領者の双方で原本保管

PERSCの推奨: このテンプレは「最初の送付時に1度だけ」相手と握っておくのがコツです。設計途中でルールを追加すると現場が混乱するため、初回交換時にすり合わせて固定します。テンプレ本体はGoogleドライブやNotionで一元管理し、案件ごとに物件名だけ書き換えて使い回します。

バージョン管理の運用

往復回数が多いほど「どのDXFが最新か」を見失いがちです。PERSC編集部が使っている運用は以下のとおりです。

運用ポイント内容
バージョン番号ファイル名末尾に _vN(v1, v2, v3...)を付ける
受領原本99_受領原本/ フォルダに「読み取り専用」で保管
作業コピー02_作業/ フォルダに別名で複製してから開く
送付済み履歴ZZ_送付/ フォルダに送信日でリネームして残す
差分管理重要案件は「差分DXF」(前バージョンとの変更箇所のみ)を併送依頼

注意: 化けた状態のDXFを開いてそのまま上書き保存すると、化けた文字データが書き戻されて復元不可能になります。受領原本は必ず別フォルダで読み取り専用化しておきます。詳しくは DXF文字化け対処 の「再発防止」節も参照してください。


実例集 ★PERSC独自

建築実務でよく遭遇する具体的な交換シーン4つを、PERSC編集部の運用ノウハウで整理します。「自分の取引先はどのパターンに該当するか」を当てはめながら読むと、すぐ実践に使えます。

実例A: 設計事務所(Jw_cad)↔ 構造設計事務所(AutoCAD)

意匠の平面図・立面図をJw_cadで作り、構造設計事務所にAutoCADで構造図を起こしてもらう、最も頻度の高いパターンです。

このパターンの典型フロー

  1. 意匠(Jw_cad)で平面図・立面図を作成 → DXF(R2000)で構造設計事務所へ送付
  2. 構造(AutoCAD)で構造図(伏図・軸組図)を起こす
  3. 構造図をDXF(R2000)で意匠へ返送
  4. 意匠(Jw_cad)で受領構造DXFを開いて確認・干渉チェック
  5. 修正があれば3〜4を反復

このパターンで起きやすい不具合

不具合原因対処
通り芯のスパン寸法が微妙にズレているJw_cad側の補助線色を含めて書出し、構造側で「補助線扱い」が無く実線化書出し前に補助線色の通り芯を削除しておく
構造図の柱記号が黒塗りつぶしで見えない構造側AutoCADでSOLIDエンティティ書出し、Jw_cad側で塗りつぶしが認識されない構造側に「塗りつぶしを線分に分解して書出し」を依頼
意匠と構造の用紙位置がズレているモデル空間原点の認識差受領後、最初の作業として「移動」コマンドで原点を意匠側に合わせる

PERSCの推奨: このパターンでは通り芯と用紙原点の位置を最初に合意しておくのが鍵です。意匠が「通り芯X1の交点を原点(0,0)に置く」と決めたら、構造もその規約に従ってもらうことで、毎回の合わせ込み作業が不要になります。

実例B: 設計事務所(Jw_cad)↔ サッシメーカー(AutoCAD)

サッシ・建具の発注で、意匠図の開口部寸法をサッシメーカーへ送り、メーカーから建具詳細DXFを受領する、量産住宅で頻発するパターンです。

このパターンの典型フロー

  1. 意匠(Jw_cad)でサッシ位置を含む平面図・立面図を作成 → 必要範囲だけ抜粋してDXF送付
  2. メーカー(AutoCAD)で建具詳細図(断面・三面図)を作図
  3. メーカーからDXF(R2000またはR12)で建具詳細を受領
  4. 意匠(Jw_cad)で受領詳細DXFを矩計図にレイヤ追加で取り込む

このパターンで起きやすい不具合

不具合原因対処
建具メーカーの社内専用線種が解読不能メーカー独自の Linetype DefinitionメーカーにR12形式・標準線種のみで再書出しを依頼
建具の寸法線が膨大な数の線分に分解されるDIMENSIONが分解出力された受領後にレイヤ分けして、不要寸法は非表示に
建具メーカーのロゴ・社名が文字化けTrueTypeフォントの企業独自指定ロゴはPDF併送、CAD図面側はテキスト化

Tips: サッシメーカーは「自社規格の建具詳細を流用回転(ブランド図面)」しているため、図面の整え方が業界横並びです。一度メーカーごとの「整形済みテンプレ」を作ってしまえば、案件が変わっても同じテンプレで取り込めます。

実例C: 設計事務所(Jw_cad)↔ プレカット工場(AutoCAD/専用CAD)

木造住宅の構造材プレカット発注で、意匠図と構造図をプレカット工場へ送り、工場からプレカット図(梁伏図・小屋伏図)をDXFで受領するパターン。プレカット業界では専用CAD(オークラ、宮川、富士スマット等)を使う工場も多く、DXF経由でJw_cadと連携します。

このパターンの典型フロー

  1. 意匠+構造(Jw_cad / AutoCAD)でプラン確定 → DXF(R2000)でプレカット工場へ
  2. 工場の専用CADでプレカット計算・伏図作成
  3. プレカット図をDXF(R2000またはR12)で受領
  4. Jw_cad側で建方図・施工図に組み込み

このパターンで起きやすい不具合

不具合原因対処
専用CADから書き出されたDXFのレイヤ名が機械可読の英数字番号専用CADの社内規格受領後に 一括変換 でレイヤ名整形 or 受領レイヤをそのまま受け入れる
梁の継手位置記号が独自シンボル専用CADで図形登録された独自ブロック必要箇所だけJw_cad側で再描画、それ以外は表示用に残す
プレカット図のレイヤが100枚以上ある部材種別ごとの細分化レイヤ運用受領DXFは閲覧専用とし、Jw_cad側ではレイヤグループにまとめる

PERSCの推奨: プレカット工場との交換は「閲覧目的の取り込み」と割り切るのが楽です。Jw_cad側で構造材を再描画する必要が無く、現場では工場発行のプレカット図PDFが原本になるため、Jw_cad内の取り込みは確認用と位置付けます。

実例D: 設計事務所(Jw_cad)↔ 設備設計事務所(AutoCAD)

電気・給排水・空調の設備図を設備設計事務所が起こし、意匠の平面図と重ねて干渉チェックを行うパターン。設備CADはAutoCAD系(CADWe'll Tfas、Rebro、空調シリーズ等)が主流です。

このパターンの典型フロー

  1. 意匠(Jw_cad)で平面図確定 → DXF(R2000)で設備設計事務所へ
  2. 設備CAD(AutoCAD系)で電気・給排水・空調の3系統を作図
  3. 設備3系統をそれぞれDXFで受領
  4. 意匠(Jw_cad)でレイヤグループを使い分けて重ね表示・干渉チェック

このパターンで起きやすい不具合

不具合原因対処
配管・配線の線がカラフル過ぎてJw_cadで識別不能設備CADは線色を多用(ACI 8〜255の独自色)受領DXFは「閲覧用レイヤグループ」にまとめ、編集はJw_cad側で線色1〜8に再割当
設備記号(コンセント・スイッチ等)が画像扱い設備CADで画像挿入されたシンボル設備側に「ベクターデータで送付」を依頼
給排水の管径文字(φ50・φ100等)が化ける「φ」(ファイ)が機種依存文字「Φ」(オメガ大文字)または「DIA」表記での再送付を依頼

Tips: 設備3系統は同時に重ねず、1系統ずつレイヤグループを切り替えて確認するのが実務的です。3系統を同時表示すると線が密集して視認性が落ちるため、干渉チェックは「電気→給排水」「電気→空調」のような2系統ペアで進めます。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 取引先のAutoCADバージョンが分からない。何形式で送ればいい?

R2000形式を推奨します。AutoCAD 2000以降のすべてのバージョン(LT含む)で読めるため、相手のバージョンが2025まで上がっていても問題なく開けます。互換性最優先ならR12形式ですが、新しめのAutoCADでは「古い形式」と警告が出ることがあるため、初回はR2000がバランス良好です。

Q: AutoCAD LT で開いてもらえるか不安

→ AutoCAD LT は AutoCAD のサブセット版で、3Dモデリング以外の主要機能(DXF読込・編集)はフル版と同等です。建築の2D図面のやり取りは LT で十分対応できます。LTでは LISP・カスタムシェイプの一部が制限されますが、Jw_cad側の標準DXFはこれらを使わないため、LTでも問題なく開けます。

Q: 取引先がDWGでくれと言ってきた。どうしたら良い?

→ Jw_cad本体は標準ではDWGの読み書きに対応していません。対処パターンは3つです。

  1. 取引先に「DXFでの受け渡し」を依頼(最も推奨)
  2. AutoCAD LT 体験版(30日無料)で DWG ↔ DXF 変換だけ実施
  3. 「DWG TrueView」(Autodesk無償ツール)で DWG → DXF に変換

PERSCの推奨: 1〜2回程度の受け渡しなら DWG TrueView が無料で安全です。ただし、TrueViewは閲覧と変換だけが目的のツールで編集はできません。継続案件であれば、相手側にDXF出力を依頼するのが結局いちばん効率的です。

Q: 書き出したDXFをAutoCADで開いたら「線が全部黒」と言われた

→ ByLayer運用に慣れた相手は「レイヤ色=線色」と思っているので、Jw_cadから書き出された「線一本ずつに色を持つDXF」を見て違和感を覚えます。対処は2方向あります。

  • 取引先側で「Acad ColorBook → Bylayer に色変換」してもらう(先方の手間1分)
  • Jw_cad側で書出し前にレイヤ分け(線色ごとにレイヤを分離)しておく

Q: 受領したDXFが「ハッチングが何万本もの細い線分」になっている

→ AutoCADでハッチング(HATCH)として書かれた領域が、書出し時に分解されて線分集合になったケースです。表示は重くなりますが、図面の意味は正しく伝わります。対処パターン:

  • そのまま閲覧用として受け入れる(編集しないなら問題なし)
  • 該当範囲を消去して、Jw_cad側で「ハッチ ※準備中」コマンドで再ハッチング
  • 取引先に「HATCH保持で再書出し」を依頼

Q: 用紙サイズがおかしい。A1のはずがA4くらいに見える

→ AutoCADはmm単位の実寸ベース(モデル空間)でDXFを書き出すため、Jw_cadで開くと用紙サイズの概念が一致しません。受領DXFを開いたあと、メニュー「設定」→「用紙サイズ」でA1を指定し、必要なら縮尺を1/100に再設定します。詳しくは 基本設定 DXF・SXF・JWC タブ の「読込時の縮尺取扱い」節も参照してください。

Q: 取引先から「Jw_cadが読めるDXFを送れ」と言われたが、どうすれば?

→ 質問が逆になっているケースですが、相手はおそらく「自分のCADから Jw_cad で開けるDXFを書き出すには?」を知りたがっています。回答テンプレ:

Jw_cad 側で正常に開ける DXF の書出し条件:
- AutoCAD R2000 形式(R12 形式でも可)
- 文字コード: Shift_JIS(ANSI_932)
- 文字フォント: MS ゴシック / MS 明朝
- SHXフォント(txt.shx等)は使用しない
- 機種依存文字(丸数字・髙﨑等)は使用しない
- 単位: mm

これを書面(PDFまたはメール本文)で渡すと、相手が自分のAutoCADで設定して書き出してくれます。

Q: 「ペーパースペース」「モデル空間」と相手が言っているが意味が分からない

→ AutoCADの2層構造の話です。詳しくはこの記事の「前提知識: 違い2」の表を見てください。Jw_cad側からの送付DXFは、デフォルトでモデル空間に全エンティティが配置された状態で書き出されます。相手が「ペーパースペースに配置してほしい」と言ってきた場合は、そのリクエストはAutoCAD固有の話のため、相手側で受領後にレイアウト構築してもらう運用が現実的です。

Q: 「TrueColor が使えるはず」と言われたが、Jw_cadでは色が変わらない

→ AutoCAD 2004以降の「TrueColor指定」(RGB値で線色を直接指定する機能)は、Jw_cad側では認識されず最も近い線色1〜8に丸め込まれます。Jw_cadの線色は1〜8の8色(+SXF対応拡張色)が基本なので、TrueColorで描かれたDXFは色情報の精度が落ちます。詳しくは DXF線種・線色トラブル を参照してください。

Q: AutoCADから受け取ったDXFをJw_cadで開いたら、画面に何も表示されない

→ 図面要素が画面範囲外(極端に遠い座標)に配置されている可能性があります。Ctrl+Home(全体表示)またはマウスホイール両押しで全体表示にすると、図面要素が見つかることがあります。それでも見えない場合は受領DXFが空または読込エラーなので、再送付を依頼します。

Q: 線種ピッチが詰まりすぎて破線が点に見える

→ AutoCAD側はmm単位の実寸ピッチ、Jw_cad側は図寸(縮尺反映後)ピッチで線種を表示する仕組み差です。基本設定の「線種」タブで該当線種のピッチを縮尺に合わせて調整するか、受領DXFのレイヤグループ縮尺を1/100など実図面の縮尺に合わせます。

Q: 受領DXFを開いた直後に「Ctrl+S」で保存したら、化けた状態で固定された

→ 受領原本を読み取り専用フォルダに保管して、作業コピーで編集する運用に切り替えてください。この記事のシナリオ3「バージョン管理の運用」の表を参照すると、フォルダ構造が真似できます。化けた状態で上書きしてしまったDXFは復元できないため、原本フォルダから再コピーが必要です。


関連項目


まとめ

  • AutoCAD↔Jw_cadの交換は DXF(R2000形式)+ Shift_JIS + MS ゴシック が安全確実
  • 送る側は 書出し前のセルフチェック7項目(レイヤ名・補助線・分解設定・フォント・用紙枠)を習慣化
  • 受け取る側は テキストエディタで $DWGCODEPAGE を事前確認してから開くと事故が減る
  • 受領原本は読み取り専用フォルダに保管し、作業コピーで編集するフォルダ運用が再発防止に効く
  • 継続案件は初回の交換ルール文書化(DXFバージョン・文字コード・レイヤ命名・フォント)で2巡目以降の手戻りをほぼゼロにできる
  • AutoCAD固有概念(ByLayer・モデル空間/ペーパースペース・TrueColor)は仕様差として割り切り、相手側に整えてもらうか、Jw_cad側で受け入れて再構成する
  • Jw_cadはDWG非対応のため、DWGで届いたらDXF再送付を依頼するのが正攻法