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未検証

Jw_cad同士のバージョン互換と他者への図面渡し(JWW/JWC形式)

このページでできるようになること

Jw_cadを使う相手(クライアント・協力業者・若手スタッフ)に図面ファイルを送る/受け取る場面で、相手のバージョン違いに起因するトラブルを未然に防げます。「相手のJw_cadバージョンを確認する手順」「相手が古いバージョン(Ver.7以下)の場合の旧バージョン保存」「DOS版(JWC形式)の相手への対応」「メール添付・クラウド共有での圧縮とパスワード」「外部変形・図形登録ファイル・自社テンプレ(jw_win.JWF / JWS)を含めた一式の渡し方」「確認申請でJw_cadデータ提出を求められた場合の対処」まで、PERSC編集部が実務で蓄積した運用ノウハウをまとめます。

背景: Jw_cadは1991年のDOS版から始まり、Windows版(JWW)が登場した後も継続的にバージョンアップされている長寿フリーソフトです。同じ「Jw_cad」を名乗っていても、相手のバージョンが10年以上古いケースがいまだに普通にあります。同じソフト同士のやり取りなのに「ファイルが開けない」「文字や寸法が崩れた」というトラブルが起きる根因は、ほぼ100%このバージョン差です。形式そのものの概念解説(JWWとJWCの違い)は JWW形式とJWC形式の違い に集約してあるため、ここでは実際の受け渡し場面で何をするかに絞って解説します。


関連記事との役割分担

このページは「シナリオ」に特化しています。形式の概念解説・操作手順詳細は別記事に任せ、ここでは現場で迷うポイントだけを取り上げます。

知りたいこと担当記事
JWWとJWCの形式そのものの違い・拡張子の意味JWW形式とJWC形式の違い
旧バージョンのJWW形式で保存する操作手順古いバージョンのJWW形式で保存
Jw_cadでファイルが開けない・読込エラーの原因と対処Jw_cadでファイルが開けない
JacConvert・JWC2JWW等の変換ツールファイル形式変換ツール
複数ファイルをまとめてバージョン変換する操作ファイル一括変換
AutoCADとのDXF経由のデータ交換DXFでAutoCADとやり取りする実例
SFCでの公共CADデータ交換SFCでの公共CAD連携
DXFファイルを開く・保存する基本操作DXFファイルを開くDXF形式で保存
SFC・P21の開き方と保存SFC・P21の開き方と保存

PERSCの推奨: このページは「Jw_cadユーザー同士でファイルを渡す前に1度眺めるチェックリスト」として設計しています。新規取引が始まったタイミングで、相手のバージョンと運用環境を確認するついでに、上記関連記事の該当箇所も一緒に開いておくと、その後のやり取りで詰まる回数が減ります。


前提: Jw_cadの世代を4つに分けて理解する

Jw_cad同士のバージョン互換でつまずく根因は、Jw_cadには 大きく4つの世代 があり、世代をまたぐと一方向(新→旧)の互換しか担保されない点に尽きます。先にこの世代区分を押さえておきましょう。

世代1: DOS版(JWC形式が原本)

項目内容
年代1991年〜2000年代前半
動作環境MS-DOS / Windows 95・98 等
原本形式.jwc(JWCファイル)
図形ファイル.jwk(JWK形式)
現役利用者公共機関・大手ゼネコンの古参オペレータの一部に残存

DOS版Jw_cadのネイティブ形式が JWC です。Windows版が普及した今でも、図面アーカイブとしてJWCファイルが現役で残っている事業所は実在します。

世代2: 初期Win版(v3 〜 v6 系)

項目内容
年代1990年代後半〜2010年頃
動作環境Windows 98 / 2000 / XP
原本形式.jww(JWW形式・古い世代)
図形ファイル.jws(JWS形式・新しい世代と共通)
現役利用者XP時代に作られた図面アーカイブを抱えた中小事務所

JWW形式自体は早い段階から使われていますが、v6系以前のJWWファイルは8.x系・10.x系とバイナリ仕様に差があります。新しいバージョンで保存したJWWを古い実機で開こうとすると「読み込みエラー」または「読めるが要素が欠落」する場合があります。

世代3: 8.x系(旧安定版・互換重視)

項目内容
年代2014年頃〜2020年代前半
動作環境Windows 7 / 8.1 / 10 / 11
代表バージョンVersion 8.25a(旧安定版として広く流通)
原本形式.jww(JWW形式)
図形ファイル.jws(JWS形式)
SXF拡張線色・線種標準対応

8.x系は長期間にわたり広く利用された世代で、特に 8.25a は「動作実績の蓄積された旧安定版」として今も実機が残っています。取引先の環境が8.25aで止まっているケースは少なくありません。

世代4: 10.x系(現行最新版)

項目内容
年代2020年代中頃〜現在
公式最新版Version 10.02.1(2026/01/21公開)
実行ファイル名Jww10021.exe
動作環境Windows 10 / 11
原本形式.jww(JWW形式)
図形ファイル.jws(JWS形式)
SXF拡張線色・線種標準対応

10.x系は公式の現行最新版で、PERSCマニュアルもこの世代を前提として記述しています。8.x系と同じ .jww 拡張子を使いますが、内部仕様の追加項目があるため、新(10.x系)→旧(8.x系・初期Win版)への受け渡しでは「旧バージョンで保存」が必要になる場合があります。

背景: 上記の世代区分は厳密なバージョン番号と1対1で対応しているわけではなく、「ある時期に大きな仕様変更があった」という大まかな括りです。実務では「相手は10.x系(現行)か」「相手は8.x系か」「相手は初期Win版か」「相手はDOS版か」の4択でほぼ十分判断できます。詳細なバージョン仕様差は JWW形式とJWC形式の違い を参照してください。

要確認: 上記の世代年代・対応Windows・現役利用者の傾向は、PERSC編集部が実務で観測している範囲の整理です。公式の世代区分定義ではない点に注意します。


ステップ0: 相手のJw_cadバージョンを確認する

Jw_cadユーザー同士の受け渡しで最初にやるべきは「相手のJw_cadバージョン確認」です。これを省くと、保存形式の判断が全部ブレます。

相手に聞く確認テンプレ

新規取引・新人スタッフ宛に最初に送る簡易確認テンプレです。メールやチャットでそのまま使えます。

text
お世話になっております。
図面ファイルの受け渡しにあたり、念のためお使いのJw_cad環境を確認させてください。

(1) Jw_cadのバージョン番号
   起動後、メニューバー「ヘルプ」→「バージョン情報」で表示される番号です。
   例: 「Version 10.02.1」「Version 8.25a」「Version 7.11」「Version 6.00」 等

(2) DOS版・Windows版のどちらか
   DOS版はJWC形式(拡張子.jwc)、Windows版はJWW形式(拡張子.jww)が原本です。

(3) 普段の図面の拡張子
   .jww / .jwc / .dxf / .sfc のどれを主に使っているか

確認できましたら返信いただけますと幸いです。

PERSCの推奨: このテンプレは初回の1度だけ相手に送り、得られた回答は 取引先カルテ(社内のNotion・スプレッドシート等)に記録しておきます。次回以降は確認不要で、保存形式を即決できます。

バージョン情報の確認手順(自分のJw_cad)

自分のJw_cadバージョンを確認する手順も同じです。

  1. Jw_cadを起動
  2. メニューバー「ヘルプ」→「バージョン情報」をクリック
  3. 表示されるダイアログでバージョン番号を確認

Tips: 相手がCADに不慣れで「バージョンの確認方法が分からない」と言われた場合は、画面のスクショを撮って送ってもらうのが早道です。「画面の左上の『Jw_cad』タイトルバーまたは『ヘルプ→バージョン情報』を撮影して送ってください」と依頼すれば、こちらでバージョンを判別できます。


シナリオ1: 相手が現行最新版(v10.x系)の場合

最も簡単なケース。お互いが現行の最新版(Version 10.02.1 等)を使っているなら、追加の配慮はほぼ不要です。

標準の受け渡しフロー

  1. Jw_cadで図面を開く
  2. メニューバー「ファイル」→「上書き保存」または「名前を付けて保存」で .jww 形式のまま保存
  3. ファイルをメール添付・クラウド共有で送信
  4. 相手は受信した .jww をダブルクリック、または「ファイル」→「開く」で読み込み

PERSCの推奨: 現行最新版同士の受け渡しでは、JWW形式そのまま で送るのが原則です。途中でDXF・SFC等を経由する必要は基本的にありません。経由するほど属性が劣化するため、Jw_cadユーザー同士なら最短経路でJWWを渡すのがベストです。

注意点: SXF拡張線色・線種を使っている場合

現行最新版の SXF対応拡張線色・線種で作図した図面は、現行最新版同士なら問題なく開けますが、相手の 基本設定の表示RGB値 が異なると色味が変わって見えます。これはバージョン互換ではなく設定差の問題のため、相手に「こちらと同じRGB設定にしてもらう」または「線色1〜8の標準範囲で作図する」のどちらかで揃えます。


シナリオ2: 相手が旧版Win版(v8.x系以下)の場合

相手が v8.x系(8.25a 等の旧安定版) ・ v7 系・v6 系等の古いWindows版を使っているケース。「現行最新版(v10.x系)で保存したJWWは古い実機では開けない場合がある」のが原則のため、こちらで「旧バージョンで保存」する必要があります。

旧バージョン保存の手順サマリー(全6ステップ)

#操作所要
1相手のバージョン番号を確認
2メニューバー「ファイル」→「名前を付けて保存」数秒
3ダイアログ右下の「新規」ボタンをクリック数秒
4「新規作成」ダイアログで「旧バージョンで保存」にチェック数秒
5旧バージョンのラジオボタンから相手のバージョンを選択数秒
6ファイル名を入力 →「OK」→ 確認ダイアログで「はい」数秒

合計: 慣れれば30秒以内です。詳しい操作画面は 古いバージョンのJWW形式で保存 を参照してください。

旧バージョン保存で失われやすい属性

現行最新版(v10.x系)で使えていた新しい属性は、旧バージョンで保存すると以下のように扱われます。

属性新→旧変換時の扱い
SXF対応拡張線色(線色9〜256相当)線色1〜8の最も近い色に丸め込まれる
SXF対応拡張線種(破線2・一点鎖線2 等)標準線種(実線・点線・一点鎖線等)に置換
寸法属性の細かいパラメータ旧バージョンが対応する範囲に丸め込まれる
新しいハッチパターン線分の集合に分解されることがある
図形登録のバージョン依存属性旧バージョン互換の最低限属性のみ保持

注意: 旧バージョン保存で属性が落ちた図面を、もう一度現行最新版で開いて上書きしても落ちた属性は復活しません。社内には必ず現行最新版(v10.x系)形式の原本を残し、相手送付用は別ファイル名(例: _v6送付用.jww)で書き出す運用にします。

相手のバージョンが分からない時の安全策

相手のバージョン情報が取れない・回答が遅い場合は、以下の優先順位で安全策を取ります。

優先方針想定する相手
1JWW v6.00相当で保存古いWin版・v8.x系を含む大半のWindows版で開ける
2DXF(R2000形式)で保存して送るJw_cad以外も含む可能性がある相手
3PDFも併送する「とりあえず内容が見たい」相手

PERSCの推奨: 一回限りの取引・とりあえず確認だけ送りたい場合は 「JWW v6保存版+PDF」のセット送付 が無難です。相手が現行最新版(v10.x系)なら v6 で保存したJWWでも問題なく開けます(後方互換は保証)。古いバージョン(v8.x系・v7・v6 等)でも開ける可能性が高くなります。


シナリオ3: 相手がDOS版(JWC形式)の場合

頻度は低いものの、公共機関・大手ゼネコンの古いアーカイブ案件で稀に遭遇するパターン。JWC形式(DOS版のネイティブ)で保存する必要があります

JWC形式で保存する手順

Jw_cadには専用の「JWC形式で保存」コマンドが用意されています。

  1. メニューバー「ファイル」→「JWC形式で保存」をクリック
  2. 「ファイル選択」ダイアログ右下の「新規」ボタンをクリック
  3. 「新規作成」ダイアログの「保存形式」が初期状態で jwc になっているのを確認
  4. 名前・メモを入力して「OK」をクリック
  5. 拡張子 .jwc でファイルが保存される

または「名前を付けて保存」ダイアログから「新規」→「保存形式」で jwc を選択しても同じ結果になります。

要確認: 「JWCファイルを開く」「JWC形式で保存」のメニュー項目名は実機で確認します。バージョンによっては「JWCファイルを読込み」「JWCで保存」等の表記揺れの可能性があります。

JWC形式で失われる属性

JWWからJWCへの変換は 「進化前の世代に戻す」 操作のため、Win版で追加された属性が大幅に欠落します。

失われる主な属性影響
SXF拡張線色・線種線色1〜8相当に丸め込み
SOLID(塗りつぶし図形)線の集合に分解 or 削除
ハッチパターンの一部線分の集合に分解
寸法の連動属性寸法線・矢印・文字の3要素に分解
図形登録(JWS)配置済みは線・文字の集合として展開
文字フォント(MSゴシック以外)DOS版が対応する数フォントに置換
用紙枠の細かい属性簡易な矩形に変換

注意: JWC変換は 片道切符 です。一度JWCにした図面を再度JWWに戻しても、失われた属性は復元しません。原本(JWW)を必ず別ファイルで保管した上で、JWC変換は派生コピーに対してのみ行います。

JWCを受け取った場合(読み込み)

逆に、相手から .jwc ファイルを受け取った場合は、専用の「JWCファイルを開く」コマンドを使います。

  1. メニューバー「ファイル」→「JWCファイルを開く」をクリック
  2. 「ファイル選択」ダイアログで .jwc ファイルを選んで開く

開く」コマンド(通常)でも .jwc ファイルは読めますが、専用コマンドの方がダイアログのフィルタが .jwc のみに絞られて選択しやすくなります。

Tips: 受け取ったJWCをJw_cadで開いたら、最初の作業として JWWで上書き保存 することをおすすめします。JWCのまま編集を続けると、新しい属性(SXF拡張色等)を使った時に保存できない・保存しても落ちるトラブルが起きやすくなります。


シナリオ4: メール添付・クラウド共有で送る場合

Jw_cadのファイル自体は数十KB〜数MBと比較的小さいため、メール添付で送れることがほとんどです。ただし、1案件分の図面一式になると、外部変形・図形登録ファイル・テンプレを含めて数十MBになる場合があります。

ファイルサイズ別の送付手段

サイズ推奨手段
〜10MBメール添付(一般的なメールサーバの上限内)
10〜25MBメール添付(受信側の上限を確認)または分割zip
25〜100MBクラウドストレージ(Google Drive・Dropbox・OneDrive・Box)の共有リンク
100MB〜専用ファイル転送サービス(GigaFile便・firestorage等)または物理メディア

PERSCの推奨: 業務での図面ファイル送付は クラウドストレージの共有リンク を標準にすることを推奨します。メール添付は誤送信時の取り消しが効きませんが、共有リンクなら後からリンク無効化や閲覧者制限ができます。

zip圧縮とパスワードの運用

複数ファイル(図面・外部変形・テンプレ等)をまとめて送る場合は zip圧縮 が一般的です。

運用パターン内容
単純zip単純にまとめて送る。社内・信頼できる相手用
パスワード付きzipパスワードを別メール(または別経路)で送る
zip + クラウドクラウドにzipをアップロードしてリンク共有

注意: 機微な情報(顧客名・住所・坪単価等)が図面・タイトルに記載されている場合は、パスワード付きzip + パスワード別経路 を推奨します。クラウドストレージの共有リンクでも、リンクが流出すれば誰でもアクセスできるため、ファイル自体の暗号化は別レイヤとして有効です。

背景: かつて主流だった「PPAP」(パスワード付きzipとパスワードを同じ経路で送る方式)は、セキュリティ効果が低いとして大手企業・官公庁で順次廃止されています。現在の主流は クラウドストレージの認証付き共有 + 必要に応じて zip 暗号化 の組合わせです。

送付メールの本文テンプレ

Jw_cad図面を送る際の標準メール本文テンプレです。

text
〇〇様

お世話になっております。〇〇邸プロジェクトの図面一式を共有いたします。

【ファイル】
- 平面図_v3.jww(Jw_cad v10.02.1 で作成)
- 立面図_v3.jww
- 矩計図_v3.jww
- 図形_部品.jws(建具・什器の図形登録ファイル)

【共有方法】
- Google Drive 共有リンク: [URL]
- 閲覧期限: YYYY-MM-DD

【ご確認のお願い】
- 旧バージョンのJw_cadをご利用の場合はお知らせください。Ver.6相当で再保存します。
- 開封時にエラーが出た場合もご連絡ください。

何かありましたらお気軽にご連絡ください。

Tips: メール本文に 「Jw_cadのバージョン」「ファイル一覧」「閲覧期限」「トラブル時の連絡先」 を必ず明記すると、相手側で行き違いが発生する確率が大きく下がります。慣れたらこのテンプレを社内の共有テンプレに保存しておきます。


シナリオ5: 外部変形・図形登録・テンプレを含めた一式渡し

Jw_cad図面を「そのまま開ける状態」で渡したい場合(後任への引継・協力業者への業務委託・若手スタッフへの社内継承等)は、図面ファイル単体ではなく周辺ファイル一式を同梱する必要があります。

一式に含めるべきファイル

ファイル種別拡張子役割同梱要否
図面ファイル.jww本体必須
図形登録ファイル.jws建具・什器・部品ライブラリ同梱推奨
DOS版図形ファイル.jwkDOS版用の図形(DOS版相手のみ)DOS版相手のみ同梱
環境設定ファイルjw_win.jwf線色RGB・寸法設定・基本設定社内継承時のみ
線記号変形ファイル.dat線記号変形のデータ該当機能を使う場合
外部変形バッチ.bat外部変形コマンドの定義該当機能を使う場合
外部変形スクリプト.exe .rb .pl外部変形の実体プログラム該当機能を使う場合
テンプレファイル.jww用紙枠・凡例等の社内テンプレ社内継承時

一式zipの推奨フォルダ構造

社内でテンプレ化されたフォルダ構造の例です。

text
〇〇邸プロジェクト一式/
├── 01_図面/
│   ├── 平面図_v3.jww
│   ├── 立面図_v3.jww
│   └── 矩計図_v3.jww
├── 02_図形/
│   ├── 建具.jws
│   └── 什器.jws
├── 03_テンプレ/
│   ├── 用紙枠_A1.jww
│   └── 凡例.jww
├── 04_外部変形/
│   ├── 面積計算.bat
│   └── 面積計算.rb
├── 05_設定/
│   └── jw_win.jwf  (社内継承時のみ・社外には付けない)
└── README.txt

README.txt には Jw_cadのバージョン要件外部変形の動作要件(Ruby/Perl/Python のインストール必要性)図形フォルダのパス指定方法 を書き残します。

PERSCの推奨: jw_win.jwf には 基本設定 が含まれます。社外に渡すと自社の設定(線色RGBや作業フォルダのパス等)が漏れる可能性があるため、社外向けには jw_win.jwf を含めず、社内継承時のみ同梱する方針を推奨します。

注意: 外部変形バッチ(.bat)は 絶対パスで書かれていることが多い ため、相手のPCでそのまま動かない場合があります。一式渡しの際は「相手のPCでバッチファイルのパスを書き換える必要がある」旨をREADMEに明記します。詳細は ファイル形式変換ツール の周辺ノウハウも参照してください。


シナリオ6: クラウドストレージで継続的に共有する場合

協力業者と数か月にわたって設計を進める案件では、メール添付ではなく クラウドストレージで継続共有 するパターンが一般的になりつつあります。

主要クラウドストレージの特性

サービス無料枠バージョン履歴Jw_cadとの相性
Google Drive15GB30日間◎(共有リンクの認証管理が柔軟)
Dropbox2GB(無料)/ 大容量プランあり30日(無料)◎(同期クライアントが軽快)
OneDrive5GB(無料)/ Microsoft 365統合30日○(Officeとの統合は強い)
Box10GB(個人)/ 法人プラン100バージョン(法人)○(法人案件で採用される)

クラウド運用の落とし穴

落とし穴内容
同時編集による上書き衝突同一ファイルを複数人が同時に開いて保存すると、片方の変更が消える
共有リンクの期限切れ月単位で期限が切れると相手が突然開けなくなる
サブフォルダ権限の継承漏れ親フォルダで共有していてもサブフォルダ単位で権限が違う場合がある
ローカル同期の遅延クラウド経由で開いたつもりが古いキャッシュ版だった
バージョン履歴の保持期間標準では30日程度。重要案件は手動でリビジョン保管が必要

PERSCの推奨: Jw_cad図面は 「クラウド上で直接開かず、ダウンロードして作業し、完了したらアップロード」 という運用が安全です。クラウド上のファイルをJw_cadで直接開くと、保存時にネットワーク遅延で破損・上書き衝突のリスクが上がります。手間でもダウンロード→作業→アップロードの3ステップを徹底します。

注意: 同時編集が起きる可能性のある案件では、「編集中はファイル名末尾に担当者名を付ける」 などのルールで衝突を予防します。例: 平面図_v3_PERSC編集中.jww のような命名で、編集者以外は触らないことを明示します。


シナリオ7: 確認申請でJw_cadデータ提出を求められた場合

建築確認申請の電子化が進む中、地方の特定行政庁・指定確認検査機関で「設計図書のCADデータ提出」を求められるケース が出てきています。すべての自治体で必須化されているわけではありませんが、案件によっては事前準備が必要です。

提出を求められやすいパターン

パターン状況
公共発注の建物(庁舎・学校・福祉施設等)設計図書のCADデータ納品が要件に含まれる
大規模開発(再開発・大型施設)行政との協議資料としてCADデータ要請がある
特例措置を受ける案件(補助金・税控除等)審査機関がCADで干渉確認するため要請
民間でも一部の指定確認検査機関機関の方針でCADデータ提出を依頼

Jw_cadデータ提出の運用パターン

提出形式は機関ごとに異なります。実務で遭遇する3パターンです。

パターン提出形式補足
パターンA: Jw_cad(JWW)そのまま.jww担当者がJw_cadを使える機関。地方では現役
パターンB: SXF(SFC・P21).sfc または .p21公共CADデータ交換標準。詳細は SFCでの公共CAD連携
パターンC: PDF + JWW(バックアップ).pdf + .jwwPDFが主、JWWは参照用

要確認: 確認申請でJw_cadデータ提出を求める自治体・機関の現況は、特定行政庁・指定確認検査機関ごとに大きく異なります。案件着手時に申請先へ事前確認するのが確実です。

提出前のチェックリスト

#チェック項目
1提出機関が指定するJw_cadバージョン(または「最新版」「Ver.6以下」等の指定)を確認
2提出形式(JWW・SFC・P21・PDF併送)を確認
3レイヤ命名・線色・線種が機関の要領(あれば)に準拠しているか
4補助線・作業中の試行線が残っていないか
5機種依存文字(丸数字・髙﨑等)を使っていないか
6ファイル名が半角英数字・所定の命名規則に従っているか
7図面範囲・縮尺がレイヤグループごとに整合しているか

PERSCの推奨: 確認申請の電子化は今後さらに進む見込みです。社内テンプレを 「半角英数字レイヤ名」「線色1〜8」「MSゴシック」 で運用しておくと、急に提出形式の指定が来ても慌てません。


実務での使い方 ★PERSC独自

パターン1: 親方の代から続く事務所での世代継承

40〜50代の所長がJw_cadを使い続け、若手スタッフが新たに加入する設計事務所では、所長の図面アーカイブ(10〜20年分)を若手が引き継ぐシーンがよくあります。

想定される世代差

関係者想定バージョン
所長(ベテラン)v6.x または v7.x で安定運用
若手スタッフ(新入社員)v10.x(現行最新版・Version 10.02.1 等)
外部協力者(構造・設備)バラバラ(v6 〜 v8.25a 〜 v10.x)

継承時のチェックポイント

ポイント内容
図面アーカイブの世代調査一番古いファイルがいつ・どのバージョンで作られたか
図形登録ライブラリの有無所長が独自に蓄積した .jws ファイルの所在
外部変形のバッチ整備.bat ファイルが特定PCの絶対パスに依存していないか
jw_win.jwf の世代設定ファイルが古い場合、現行最新版(v10.x系)で開いても問題ないかの確認

PERSCの推奨: 世代継承時は「最初の数日で図面アーカイブを現行最新版(Version 10.02.1)で1度上書き保存」することを推奨します。これで以後は現行最新版の世代に統一できます。ただし、所長が「古いバージョンの相手にも送れるようにしておきたい」と希望する場合は、現行最新版原本+旧バージョン保存版の二本立てで運用します。

パターン2: 大手ゼネコンの古いアーカイブ案件

大手ゼネコンの過去物件改修・増築案件で、20年以上前の図面(DOS版JWC形式)の現物がCDまたはMOディスクで支給されるケースがあります。

想定される受領パターン

受領形式内容
CD-R(古い)DOS版JWCファイル + 紙図面のPDF
MOディスクDOS版JWCファイル(読み出し可能なドライブが必要)
紙図面のみスキャンPDFまたは図面用紙、CADデータは存在しない
担当者の個人PC担当者のPCに残っていたJWWファイル

このパターンの実務対応

  1. JWCファイルを現行最新版Jw_cad(Version 10.02.1)で「JWCファイルを開く」コマンドで読み込み
  2. 文字フォント・線色のズレを確認(DOS版時代のフォントが置換される)
  3. 現行最新版Jw_cadで .jww 形式に上書き保存
  4. JWCの原本は読み取り専用フォルダに別保管
  5. 改修・増築の作業はJWW版に対して実施

背景: 古いMOディスクの読み出しには、対応ドライブが現役で動いているPCが必要です。中小事務所では事務所長の自宅倉庫にしか残っていない、というケースも珍しくありません。受け取った時点で対応PCの確保から始める前提で計画します。

パターン3: 若手スタッフ(協力業者の新人)への教材提供

協力業者の新人がJw_cadを学ぶ過程で、社内テンプレ・参考図面を「学習用に貸与」するパターン。教育目的のため、機微情報を消し込んだ「サンプル化」が必要です。

サンプル化のチェックポイント

項目対応
顧客名「サンプル様」等の架空名に置換
物件住所「〇〇市〇〇町1-1-1」等の架空住所に置換
寸法・面積学習に支障ない範囲で残す(または丸める)
図面番号・案件番号「SAMPLE-001」等に置換
提出先・確認機関名削除または架空名に置換
担当者名・印影削除

PERSCの推奨: 教材用にサンプル化したJWWは、ファイル名にも _サンプル_教育用 を付けて、原本との区別をはっきりさせます。社内のサーバには「教材ライブラリ」フォルダを別建てし、新人配属時にここから貸し出す運用が安全です。

パターン4: 外部変形を含む業務用ツールの社外配布

社内で開発した外部変形ツール(面積計算・座標出力等)を、協力業者にも使ってもらうために配布するケース。

配布物の構成

text
PERSC外部変形_面積計算/
├── jw_area.bat       (Jw_cadから呼び出すバッチ)
├── jw_area.rb        (Ruby実装)
├── README.md         (使い方・必要環境)
├── 動作確認用.jww    (テスト用の図面)
└── LICENSE.txt       (著作権・利用条件)

配布前の確認

項目内容
絶対パス依存の解消バッチ内のパス指定を相手のPCで動くよう汎用化
動作環境(Ruby・Perl・Python等)の明記READMEに「Ruby 3.0以上」等を記載
依存ライブラリ別途インストールが必要なものをREADMEに明記
動作確認用ファイルテスト実行で正常動作を確認できる図面を同梱
利用条件・改変可否LICENSEファイルで明示

Tips: 外部変形の配布は「渡したらゴール」ではなく、「相手のPCで初回動作確認まで電話・チャットで伴走する」つもりで構えると、後々のトラブル対応が楽になります。

パターン5: クライアントへの中間提出(PDF併送)

設計事務所が個人住宅クライアントに中間設計案を提出するケース。クライアントはCADを使えないため、PDFが主、JWWは将来の引継用バックアップとして同梱します。

提出物の構成

ファイル用途
平面図.pdf / 立面図.pdf 等クライアントの確認用(プリントもしやすい)
平面図.jww 等将来別の事務所に引き継ぐ可能性に備えて
説明資料.pdfプラン概要・想定面積・工程

PERSCの推奨: 個人クライアント向けには PDFを主、JWWは「念のため」のバックアップ と位置付けるのが現実的です。「将来別の建築士に引き継ぐ可能性があるため、CADデータも一式お渡しします」と説明書きを添えると、クライアントの安心感につながります。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 相手から送られてきた .jww を開いたら「このファイルは新しいバージョンで作成されています」と出た

→ 相手のJw_cadが自分より新しい世代で、互換性のない属性が含まれているケースです。対処パターン:

  1. 自分のJw_cadを現行最新版(Version 10.02.1)にバージョンアップ(公式サイト jwcad.net から最新インストーラを取得)
  2. 相手に「Ver.〇 で旧バージョン保存して再送付」を依頼
  3. PDF併送でとりあえず内容だけ確認する

詳細は Jw_cadでファイルが開けない も参照してください。

Q: 自分が現行最新版で保存したJWWを、Ver.6の相手が開けないと言ってきた

→ JWW形式は 後方互換のみ保証(古い版で保存→新しい版で開ける)で、前方互換は無い(新しい版で保存→古い版で開けないことがある)のが原則です。「名前を付けて保存」→「新規」→「旧バージョンで保存」にチェックを入れて、相手のバージョンで再保存してください。詳細は 古いバージョンのJWW形式で保存 を参照してください。

Q: 旧バージョンで保存したら、SXF拡張線色で描いた線の色がおかしくなった

→ 旧バージョンが対応していないSXF拡張線色は、線色1〜8の最も近い色に丸め込まれます。仕様通りで異常ではありません。現行最新版同士で渡せる相手向けには通常のJWWを、旧バージョン相手には別ファイル名(例: _v6送付用.jww)で旧バージョン保存版を作る運用を推奨します。

Q: DOS版の相手にJWCで送ったら「文字が化ける」と言われた

→ DOS版Jw_cadで対応している文字フォントは限定的です。現行最新版のWindows版で使った装飾系フォント(行書体・ポップ体等)はDOS版には存在しません。MSゴシック・MS明朝に統一してから再度JWC保存→送付してください。MSゴシック・MS明朝はDOS版時代から互換性のある定番フォントです。

Q: 受け取ったJWCを現行最新版で開いたら、丸数字(①②③)が「〓」(ゲタ)になっている

→ 機種依存文字のため、DOS版↔Windows版間で文字コードが一致しないケースです。「(1)(2)(3)」のような半角括弧表記に置換するルールを社内で定めるのが安全です。図面記号としての丸数字を残したい場合は、**文字ではなく図形(円+数字テキスト)**として描き直すと文字コード非依存になります。

Q: 相手に「外部変形が動かない」と言われた

→ 外部変形は 環境依存 です。Ruby・Perl・Python等のスクリプト言語が相手のPCにインストールされていないと動きません。対処パターン:

  1. README.txtに動作環境を明記して同梱
  2. .bat ファイル内のパス指定を相手のPC構成に書き換えてもらう
  3. インストール手順を電話・チャットで伴走

外部変形の配布全般については ファイル形式変換ツール の周辺ノウハウも参考になります。

Q: クラウド共有したJWWを相手が開いたら「ファイルが破損しています」と出た

→ アップロード途中で接続が切れた・同期が完了していないケースが多いです。対処パターン:

  1. クラウド側でファイルを再アップロード
  2. 相手にダウンロードを再試行してもらう
  3. それでもダメなら別経路(メール直接添付)で送る

予防として、クラウドにアップしたら自分でも一度ダウンロードして開いてみる ラウンドトリップ確認が有効です。

Q: 相手が「Jw_cadのバージョン情報が分からない」と言ってきた

→ Jw_cadに不慣れな相手はバージョン確認自体が難しいことがあります。対処パターン:

  1. メニュー「ヘルプ」→「バージョン情報」のスクショ送付を依頼
  2. ダメなら、Jw_cadのタイトルバー(画面最上部)のスクショを送付してもらう
  3. それも難しければ「いつインストールしましたか?」「公式サイトからですか?」と質問
  4. 諦めて Ver.6相当で旧バージョン保存 して送る(最も安全策)

Q: 図形登録した部品(JWS)を相手に渡したのに、相手側で図形が呼び出せない

→ 図形ファイルの 検索パスが相手のPCで通っていない ケースです。Jw_cadは基本設定で指定された図形フォルダから図形を読み込みます。対処:

  1. 相手に「図形フォルダの場所」を確認
  2. JWSファイルを相手の図形フォルダにコピーしてもらう
  3. または「図形」コマンドの「ファイル選択」ダイアログで直接JWSファイルを指定して開く

Q: 自社の jw_win.jwf を相手に渡しても問題ない?

jw_win.jwf には 基本設定(線色RGB・寸法初期値・文字設定・フォルダパス等)が含まれます。社外への配布は 作業フォルダパスや個人情報の漏洩リスク があるため、原則として 社外には渡さない 方針を推奨します。社内継承時は同梱しても問題ありませんが、念のため作業フォルダパスを汎用化(C:\users\〇〇 等の個人パスを削除)してから渡します。

Q: 「拡張子.jwc」と「拡張子.jww」を間違えて受け渡したらどうなる?

→ 拡張子だけを書き換えた場合、ファイル中身は元の形式のままなので 読み込み時にエラー になります。Jw_cadは中身のファイルヘッダで形式を判別しているため、拡張子変更だけでは形式変換になりません。正しい変換は「ファイル一括変換」コマンドまたは「JWC形式で保存」「JWW形式で保存」を経由します。詳細は ファイル一括変換 を参照してください。

Q: 確認申請でCADデータを提出するように言われたが、社内に経験者がいない

→ 申請先(特定行政庁・指定確認検査機関)に 「提出形式は具体的に何を希望されているか」 を文書で確認します。回答パターン:

  • 「Jw_cad(JWW)形式で」→ 通常通りJWWを提出
  • 「SXF(SFC・P21)で」→ SFCでの公共CAD連携 を参照してSFC・P21に変換
  • 「機関で開ければ何でも良い」→ JWW + PDF の併送が無難

申請先の指定が不明確な場合は 「JWW + PDF + 念のためSFC」の三点セット で送ると、ほぼ確実にカバーできます。


関連項目


まとめ

  • Jw_cadには大きく4つの世代(DOS版JWC・初期Win版・8.x系・10.x系(現行最新版))があり、世代をまたぐ受け渡しでは保存形式の調整が必要
  • 受け渡しの最初は 相手のJw_cadバージョン確認 から始める。社内に取引先カルテを作って記録する
  • 現行最新版(v10.x系)同士なら JWW形式そのまま が最短経路。経由形式(DXF・SFC)は基本的に不要
  • 古いWin版相手には 「旧バージョンで保存」 で相手のバージョンに合わせる。属性の劣化は仕様として割り切る
  • DOS版相手には JWC形式で保存。SOLID・SXF拡張色等が失われるため、原本(JWW)は必ず別保管
  • バージョン不明の相手には JWW v6.00相当で旧バージョン保存 + PDF併送 が安全策
  • メール添付は10MB以下、それ以上はクラウド共有リンクが標準。機微情報があればパスワード付きzipを併用
  • 一式渡し(外部変形・図形登録・テンプレ含む)はフォルダ構造を整えてREADMEを添える。jw_win.jwf は社内継承時のみ
  • 確認申請でCADデータを求められたら、申請先に提出形式を文書確認してから対応する