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未検証

ハッチング 馬乗り目地

このコマンドでできること

Jw_cadの「ハッチ」コマンドの馬乗り目地モードを使うと、閉鎖された図形の中をレンガやタイルの目地模様で一括して埋められます。コントロールバーの「馬乗り目地」ラジオボタンを選び、縦ピッチ・横ピッチ・角度を数値で指定するだけで、本来なら手作業で何十本もの線を引いて作るレンガ柄が数クリックで完成します。外装レンガタイル・床のタイル張り・ブロック塀・舗装平面の石畳など、建築・土木で頻出する模様パターンの作図にそのまま使える機能です。

背景: 「馬乗り目地」とは、レンガやタイルを積むときに目地(継ぎ目)が縦一列にそろわないよう、上下の段で半分ずつずらして並べる積み方のことです。建築では「破れ目地」「いも目地」と対比される標準的な目地パターンで、構造的にも見た目のリズムでも使われます。

注意: この記事はハッチコマンドの「馬乗り目地」モード固有の操作に絞った内容です。1線ハッチ(斜線で塗る)は ハッチング 1線、2線・3線ハッチは ハッチング 2線・3線、図形ハッチは ハッチング 図形 をそれぞれ参照してください。


馬乗り目地で描けるパターンの全体像

ハッチコマンドの「馬乗り目地」モードでは、入力する縦ピッチ・横ピッチ・角度の組み合わせで以下のような模様を描き分けられます。

パターン縦ピッチ : 横ピッチ角度用途例
標準レンガ柄(横長)60 : 2100度外装レンガ・煉瓦塀
大判タイル100 : 3000度外装タイル張り
正方形タイル馬目地200 : 2000度床タイル・天井ジプトーン
縦張りレンガ210 : 600度縦張り意匠の外壁
ヘリンボーン風(45度傾斜)60 : 21045アクセント床仕上げ
石畳・ピンコロ100 : 1000度舗装平面

背景: ジプトーン(天井下地材)は455×910mmが標準寸法ですが、これをハッチで再現する場合は実寸入力で 455,910 を縦横ピッチに設定すれば1/100の天井伏図にそのまま乗ります。建築実務では「使いたい仕上材の寸法をそのまま入力する」のが基本姿勢です。


馬乗り目地ハッチの作図サマリー(全7ステップ)

#操作所要
1ハッチコマンドを起動数秒
2コントロールバーで「馬乗り目地」のラジオボタンを選択数秒
3「角度」「縦ピッチ」「横ピッチ」を入力約30秒
4必要なら「実寸」にチェック数秒
5ハッチング対象の閉鎖図形を選択(左クリック連続選択 or 一辺右クリック)数秒
6必要に応じて「基点変」で目地の起点を変更数秒
7コントロールバーの「実行」をクリックして確定数秒

合計: 慣れれば1領域あたり1分以内で1パターンを描き上げられます。


起動方法

馬乗り目地モードはハッチコマンドのオプションのため、まずハッチコマンドを起動します。

方法操作
ツールバー ★推奨左側「作図(2)」ツールバー内の「ハッチ」アイコンを左クリック
メニューバー作図」 → 「ハッチ」を左クリック
クロックメニュー作図ウィンドウ内で7時方向に左ドラッグ中に右クリック

要確認: クロックメニューの起動方向(7時方向の左ドラッグ中に右クリック)は実機で確認します。クロックメニューの基本については マウス操作の基本 ※準備中 を参照。


馬乗り目地モードへの切り替え

ハッチコマンドを起動すると、コントロールバーに「1線」「2線」「3線」「馬乗り目地」「図形」のラジオボタンが並びます。馬乗り目地モードは、その中の**「馬乗り目地」ラジオボタン**を左クリックで選ぶと有効になります。

「馬乗り目地」ラジオボタンの見つけ方

馬乗り目地のラジオボタンは、文字ではなく**「宀」のような小さなアイコン**で表示されています。レンガを上下にずらして積み上げた様子を抽象化したマークです。1線・2線・3線のラジオボタンの並びの右側にあります。

要確認: 「馬乗り目地」ラジオボタンのアイコン形状(宀のような表記)は実機で正確な見た目を確認します。バージョンによっては「umameji」「馬乗目地」のような文字ラベルに変わっている可能性も含めて検証してください。

モード切替時のコントロールバーの変化

馬乗り目地モードを選ぶと、コントロールバーの入力欄が**「角度」「縦ピッチ」「横ピッチ」の3つ**に切り替わります。1線モードでは「角度」「ピッチ」の2つだったのが、馬乗り目地モードでは縦横別々のピッチを指定できるようになる、と覚えておくと整理がつきます。


縦ピッチ・横ピッチ・角度の入力

馬乗り目地モードの肝は、3つの数値入力欄です。順番に意味を整理します。

縦ピッチ

レンガやタイル1枚分の縦方向の高さを入力します。たとえば一般的な外装レンガなら「60」(60mm相当)、大判タイルなら「100」、ジプトーンなら「455」を入れます。

横ピッチ

レンガやタイル1枚分の横方向の長さを入力します。標準的な外装レンガなら「210」、ジプトーンなら「910」、正方形タイルなら縦ピッチと同じ値を入れます。

角度

目地全体を何度傾けるかを入力します。ヘリンボーン風の意匠床なら「45」、通常のレンガ壁なら「0」のままでOKです。

入力例(縦, 横, 角度)完成する模様主な用途
60, 210, 0標準サイズの横長レンガ柄外装レンガ壁・煉瓦塀
100, 300, 0大判タイル外装タイル張り
200, 200, 0正方形タイルの馬目地床タイル・建物外周舗装
100, 100, 0ピンコロ(小型石)の馬目地石畳舗装
60, 210, 4545度傾斜のレンガ柄デザイン床・アクセントウォール
455, 910, 0ジプトーン天井伏図

Tips: ピッチ入力欄では半角カンマ区切りではなく、それぞれの欄にひとつずつ数値を入れます。矩形コマンドの「寸法」欄と混同してカンマで 60,210 と書かないように注意します(縦ピッチ欄に 60、横ピッチ欄に 210 と分けて入力)。

要確認: ピッチ入力欄で計算式(例: 1820/9 のような割り算)を受け付けるかは実機で確認します。矩形コマンドの寸法欄と同じく四則演算が使えるなら、規格寸法を分割した数値を直接入力できて便利です。


「実寸」チェックの有無で意味が変わる

馬乗り目地モードのピッチ数値の解釈は、「実寸」チェックの状態で2通りに変わります。ここを取り違えると意図と全く違うサイズの目地が描かれるため、最初の習得時にしっかり押さえます。

「実寸」チェックOFFの場合(デフォルト)

入力した縦ピッチ・横ピッチは用紙上のミリとして解釈されます。図面の縮尺をかけて自動計算されないため、たとえば1/100の図面で実物寸法210mmのレンガを描きたい場合は、210 ÷ 100 = 2.1 を横ピッチに入力する必要があります。

「実寸」チェックONの場合

入力した縦ピッチ・横ピッチは**実際の建物の寸法(mm)**として解釈されます。1/100の図面でも1/50の図面でも、210 と入れれば実物210mmのレンガが描かれます。縮尺の換算を頭でする必要が消えるため、実務ではこちらを使うのが標準です。

チェック入力値の意味1/100で「210」と入れた場合
OFF用紙上のミリ用紙上210mmの巨大レンガ(実物では21m)
ON実寸(建物のミリ)用紙上2.1mmで描かれる実物210mmのレンガ

PERSCの推奨: 馬乗り目地ハッチを使うときは、ほぼ常に「実寸」チェックをONにして使います。建築図面はすべて実寸基準で組まれるため、実寸ONのほうが図面との整合性が取りやすく、縮尺を変更したときも目地サイズが自動で追従します。

背景: ハッチコマンドのデフォルトが「実寸OFF」になっているのは、Jw_cadが用紙上のCAD(実寸の概念がレイヤごとに切り替わる仕様)として設計されているからです。模様を「紙の上で何mmのピッチで並べたいか」を直接指定したいケースもあるため、実寸ON/OFFの切替が用意されています。

要確認: 「実寸」チェックボックスの正確な位置と表記を実機で確認します。コントロールバーの右端付近にあると推定されますが、バージョンによる差を含めて検証してください。


ハッチング対象の選択方法

縦ピッチ・横ピッチ・角度を入力したら、次にハッチングする閉鎖図形を選択します。選択方法は2通りあります。

方法1: 線を1本ずつ左クリック(連続線選択)

閉鎖図形を構成する線を順番に左クリックしていきます。最初にクリックした線は波形(ランダム線)の選択色で表示され、これが選択の起点になります。続けて次の線、その次の線と1周回って、最初の波形表示の線をもう一度左クリックすれば閉鎖が確定します。

方法2: 一辺を右クリック(連続線一括選択)

閉鎖図形のどこか1辺を右クリックするだけで、つながった連続線全体が一括選択されます。複雑な多角形でも1クリックで完了するため、実務ではこちらが標準的によく使われます

PERSCの推奨: 馬乗り目地のような大面積に塗るパターンでは、右クリック1発の方法が時短として効きます。長方形の壁面・床・天井などの単純な閉鎖図形なら、迷わず右クリックを使いましょう。

注意: 右クリック選択は閉じている連続線でないと正しく機能しません。線同士の端点がぴったりつながっていない場合、「作図されない部分があります」と表示され、開いている近くがハッチされない結果になります。事前に 線・点の交差・端点まわりの整合 ※準備中 を整えておきましょう。


「実行」ボタンで確定

選択が終わると、コントロールバーに「実行」ボタンが表示されます。これを左クリックすると、入力したピッチ・角度・選択範囲に従って馬乗り目地が一気に作図されます。

Tips: 実行を押す前に**「縦ピッチ」「横ピッチ」「実寸チェック」の3点をもう一度見直す**癖をつけると、寸法違いの目地を描いて消去・再作図する手戻りを防げます。とくに前回のハッチで使った数値が残ったままになる挙動があるため、新しいパターンを描くときは毎回確認します。


基点変(基点変更)で目地のずれ位置を調整

馬乗り目地は、目地の起点(左下のレンガが始まる位置)が指定した1つの基点から計算されて並べられます。デフォルトでは閉鎖図形の左下角あたりが基点になりますが、外壁の柱位置に目地を合わせたい・既存図面の目地ラインに揃えたい、といった要件があるときには基点を変更できます。

基点変の使い方

  1. ハッチコマンドの状態で、コントロールバーの「基点変」ボタンを左クリック
  2. 作図ウィンドウ内の任意の位置を左クリック(読取点に合わせるなら右クリック)
  3. その位置が新しい目地の起点になる
  4. 実行」をクリックして反映

背景: 外装タイル・レンガの実施図では、目地が出隅・入隅・サッシ枠などの建具周りで切れる位置を指定して描くケースがあります。基点変はその要求に応えるための調整機能です。詳しくは ハッチ 基点変更 ※準備中 を参照。

要確認: 基点変のクリック位置が「目地のどの点(左下角・中心など)に対応するか」を実機で確認します。


クリアー(選択のやり直し)

選択を間違えた・別の図形に塗り直したい場合は、コントロールバーの「クリアー」ボタンを左クリックすれば選択状態が全てリセットされます。コマンドを抜けずに同じハッチ設定のまま、別の図形を選び直せます。

要確認: クリアーボタンの正確な表記(「クリアー」「クリア」「Clear」のどれか)は実機で確認してください。


角度を変えて傾いたレンガ柄を描く

馬乗り目地は、「角度」入力欄に0以外の数値を入れると目地全体を傾けて作図できます。45度のヘリンボーン調、30度の意匠床など、デザイン性の高い仕上げ図に応用できます。

操作手順

  1. 馬乗り目地」ラジオボタンを選択
  2. 角度」欄に傾けたい角度を入力(例: 45
  3. 縦ピッチ」「横ピッチ」を入力
  4. 対象図形を選択して「実行

角度入力の例

角度効果
0水平のレンガ柄(標準)
3030度傾いたデザイン床
45ヘリンボーン風アクセント仕上げ
90縦張りレンガ(縦ピッチと横ピッチを入れ替えれば縦長矩形の柄になる)

Tips: 角度を入れて描いた目地は、同じ閉鎖図形に対しても表情が大きく変わります。デザイン検討時には、同じ図形を複写して別レイヤに置き、角度違いで複数案を一度に作って比較すると合意形成が早く進みます。


実務での使い方 ★PERSC独自

外装レンガタイルの立面図

木造・RC造の住宅外壁に煉瓦調タイルを貼る意匠の立面図では、馬乗り目地ハッチが第一選択になります。標準的な外装レンガ(210×60mm)の場合、立面図の壁面範囲を閉鎖図形にして、馬乗り目地モード + 実寸チェックON + 縦60・横210で一発仕上げ。施主提案図にそのまま載せられる解像感が出ます。

床タイル平面の仕上げ図

トイレ・洗面・玄関ホールの床タイル張りの平面詳細図でも頻出します。300×300の正方形タイルを馬目地で並べたい場合、縦ピッチ300・横ピッチ300・角度0、で描けば馬乗り目地パターンが完成します。タイルの目地幅は実線で別途付加するか、目地そのものをハッチの線で表現するかを案件のスケールで判断します。

ブロック塀の立面図

外構工事のコンクリートブロック塀(CB塀)も、馬乗り目地ハッチで断面パターンを表現できます。標準ブロックは390×190mmなので、縦190・横390を実寸で入力すれば現場のブロックと整合した目地割が描けます。控壁(ひかえかべ)の位置を読み取って基点変で目地を合わせると、施工図としての精度が上がります。

舗装平面のパターン図

エクステリア(外構)の石畳舗装・ピンコロ・コンクリート平板敷きなどのパターン図でも活躍します。100×100のピンコロなら正方形馬目地、450×600のテラゾーブロックなら長方形馬目地、と仕上材ごとにピッチを切り替えるだけで意匠提案の質が上がります。

床仕上げ図のフローリング

無垢フローリングの**乱尺張り(みだれじゃくばり)**は実物では各板の長さが揃わないため馬乗り目地で完全には再現できませんが、定尺フローリング(910×75)の整然とした張り方なら馬乗り目地ハッチで近似表現が可能です。リフォーム提案時のラフ図面に重宝します。

PERSCの推奨: 案件種別ごとに「自分の使う馬乗り目地レシピ」を1枚にまとめておくと再利用効率が一気に上がります。木造住宅外壁・RC共同住宅エントランス・店舗床仕上げ・外構舗装、など案件種別ごとに使うピッチを固定化し、メモ帳でも図形登録でも残しておけば、案件のたびに迷う時間が消えます。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 馬乗り目地のラジオボタンが見つからない

→ コントロールバーの並びに「1線」「2線」「3線」と続いて、文字ではなく小さな宀状のアイコンとして表示されています。アイコンの上にマウスを置くと、「馬乗り目地」のツールチップが出ます。詳しくは ハッチコマンドの基本 ※準備中 も参照してください。

Q: 入力したピッチで描いたら極端に大きい・小さいレンガになる

「実寸」チェックの状態を確認してください。チェックOFFの状態で実物寸法(例: 60や210)を入れると、用紙上のmmとして解釈されて巨大に描かれます。逆にチェックONなのに用紙上の数値(例: 0.6や2.1)を入れると、極小の目地になります。建築図面では実寸ON固定を基本にしましょう。

Q: 「実行」を押しても何も描かれない

→ 図形の選択が確定していない可能性があります。左クリックで線を1本ずつ選んでいる場合、最初に波形表示された線をもう一度左クリックするまでハッチングは実行されません。連続線の右クリック選択に切り替えるか、選択漏れがないか確認します。

Q: 「作図されない部分があります」と表示される

→ 閉鎖図形の端点同士がつながっていない箇所があります。線の端が見た目には合っていても、座標的に微妙にずれているとJw_cadは閉鎖と認識しません。読取点(右クリック)で線を引き直すか、コーナー処理コマンドで端点を整えてから再度ハッチを実行してください。詳しくは トラブルシュート: 閉鎖図形にならない ※準備中 を参照。

Q: 目地の起点を変えたいのに反映されない

→ 「基点変」をクリックしてから作図ウィンドウ上で位置を1回クリックする手順が抜けている可能性があります。基点変ボタンを押しただけでは新しい起点は決まりません。クリック後に「実行」をクリックして反映されたか確認します。

Q: 1度ハッチを描いたら、別の閉鎖図形にも同じ設定で描きたい

→ 「クリアー」ボタンで選択をリセットすれば、同じピッチ・角度のまま別の図形を選び直せます。コマンドを抜ける必要はありません。連続して別領域に同じパターンを塗るときに便利です。

Q: 描いた目地の線色を後から変えたい

→ 馬乗り目地は作図時点での書込線色・線種で確定されます。事後に色だけ変えたい場合は、属性変更コマンド(範囲選択 → 属性変更)でレイヤごと色を切り替えるか、目地全体を範囲選択してから線属性ダイアログで一括変更します。詳しくは 属性変更で線色・線種だけ変える ※準備中 を参照。

Q: 縦ピッチと横ピッチを入れ替えたら同じ模様になった

→ それは正常な挙動です。馬乗り目地は長辺と短辺を入れ替えても見た目は90度回転するだけで、構造的には同じパターンになります。縦張り・横張りを切り替えたいときは、ピッチを入れ替えるか「角度」を90に設定するかの2通りで実現できます。

Q: 描いたあとに目地の数を増やしたい・減らしたい

→ ハッチコマンドは1回ごとに新規作図する仕様で、既存の目地の修正機能はありません。いったん範囲選択 → 削除して、ピッチを変えて再度ハッチコマンドで描き直す流れになります。レイヤを分けておくと再描画時のやり直しが楽です。


関連項目


まとめ

  • 馬乗り目地ハッチは、コントロールバーの**「馬乗り目地」ラジオボタン**を選び、縦ピッチ・横ピッチ・角度を入力して使う
  • 建築実務では**「実寸」チェックON**を標準にして、現実の仕上材寸法をそのまま入力する
  • 図形選択は閉鎖図形の一辺を右クリックで一括選択が最速
  • 目地の起点は「基点変」で任意位置にずらせる。柱位置や建具まわりに合わせるときに使う
  • 外装レンガ・床タイル・ブロック塀・石畳舗装・ジプトーン天井など、建築・外構の意匠表現に幅広く効く