Skip to content
未検証

縮尺の標準(建築図面の用途別)

このページでできるようになること

Jw_cadで建築図面を描くときに、「どの図面にどの縮尺を選べばよいか」 が判断できるようになります。平面図・立面図・断面図・矩計図・詳細図・配置図といった図面種別ごとの推奨縮尺、用紙サイズ(A1〜A4)と縮尺の現実的な組み合わせ、レイヤグループ別に異なる縮尺を持たせる運用、PERSC編集部の推奨セットまでを通しで身につけます。具体的な縮尺設定の操作(「縮尺・読取 設定」ダイアログの開き方)は縮尺設定の操作に委ねて、ここでは 「規格としての縮尺」「実務での選び方」 に集中します。

背景: 縮尺は JIS Z 8314(製図 尺度)JIS A 0150(建築製図通則) の双方で扱われている標準項目です。建築図面では「1/100」「1/50」「1/30」など特定の縮尺が用途別に定着しており、この共通言語に沿わない縮尺の図面は、施工者・確認申請審査担当者・施主のいずれにとっても読みづらくなります。縮尺は単なる数値ではなく、「その図面で何を伝えたいか」を表現する設計判断 でもあります。


縮尺とは何か

図面上の長さ ÷ 実物の長さ

縮尺(しゅくしゃく)は、図面に描かれた長さと実物の長さの比 のことです。「1/100」は「図面1mm = 実物100mm(=10cm)」を意味します。

縮尺図面1mmが表す実物長実物1mを描くと図面では
1/1(原寸)1 mm1000 mm
1/55 mm200 mm
1/1010 mm100 mm
1/2020 mm50 mm
1/3030 mm約 33.3 mm
1/5050 mm20 mm
1/100100 mm10 mm
1/200200 mm5 mm
1/500500 mm2 mm

Tips: 「分母が大きいほど縮小率が大きい(=小さく描かれる)」関係です。1/500は1/100より5倍小さく描かれるため、敷地全体や周辺地形を1枚に収めたいときに使います。逆に1/5は1/100より20倍大きく描かれ、納まりや金物のディテールを表現できます。

縮尺は「描き手」と「読み手」の共通言語

縮尺が標準値に揃っていることには、現場で次のような効用があります。

効用説明
図面種別の推測が即可能「1/30なら矩計か詳細図」「1/200なら配置図か敷地図」と読み手が即推測できる
スケール(三角スケール)で長さを実測しやすい標準縮尺ならスケールの目盛がそのまま使える
印刷時の用紙サイズ判断が早い「1/100の平面図ならA2かA3」のように勘所が働く
異なる図面間の整合確認が容易平面図1/100と矩計図1/30で同じ箇所を見比べる時、頭の中で換算しやすい

背景: JIS Z 8314 は「推奨尺度」として 1, 2, 5 とその10進倍数の組み合わせ(1/2, 1/5, 1/10, 1/20, 1/50, 1/100, 1/200, 1/500, 1/1000…)を基本としています。建築では加えて 1/301/3 が伝統的に使われており、JIS A 0150 がこれを許容しています。「1/30」は工業製図全般では使わないが建築・土木では当たり前という、業界文化の違いを反映した縮尺です。


JISが定める推奨縮尺

JIS Z 8314 の推奨尺度(製図全般)

区分推奨尺度
縮尺1/2、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100、1/200、1/500、1/1000、1/2000、1/5000、1/10000
現尺1/1
倍尺2/1、5/1、10/1、20/1、50/1

要確認: JIS Z 8314 の現行版で示される推奨尺度の正確な範囲は実機検証フェーズで一次情報を確認します。

JIS A 0150 が建築で許容する縮尺

JIS A 0150 はZ 8314 の推奨尺度をベースに、建築図面で慣用される縮尺を許容しています。具体的には次の通り。

縮尺建築での主な用途
1/3、1/5、1/10詳細図・部分詳細・金物・納まり
1/20、1/30矩計図・部分平面・部分立面・部分詳細
1/50平面図(住宅)・立面図(住宅)・展開図
1/100平面図・立面図・断面図(一般建築)・基本設計図
1/200配置図・大規模建築の平面図
1/500、1/1000配置図(大規模)・敷地求積図・周辺関係図
1/2000、1/2500案内図・周辺関係図

背景: 「1/30」は機械製図(JIS B)には登場しないが、建築・土木では矩計図・部分詳細で長く使われてきた慣習縮尺です。JIS A 0150 はこの慣行を引き継いで許容しているため、Jw_cadの縮尺ダイアログでも「1/30」は標準的に選べます。


図面種別ごとの推奨縮尺

建築実務で日常的に作る図面ごとに、現実によく使われる縮尺をまとめます。

意匠系図面

図面種別推奨縮尺補足
配置図1/100 / 1/200 / 1/500敷地規模で選択。住宅は1/100、中規模建築は1/200、大規模建築・別荘地など広い敷地は1/500
案内図1/2500 / 1/5000 / 1/10000敷地周辺の地図。住宅地図・国土地理院地図ベースが多い
平面図(一般階)1/100木造住宅・小〜中規模RC建築の標準
平面図(住宅小屋裏・狭小)1/50狭小住宅・部分平面・モデルルーム提案図
平面図(大規模建築)1/200床面積1万m²超など、1/100だとA1に収まらない場合
立面図(4面)1/100平面図と縮尺を合わせるのが原則
立面図(住宅・部分立面)1/50外観の意匠を見せたい場合
断面図(一般)1/100平面図と整合させる
矩計図(かなばかり)1/20 / 1/30軒先〜基礎まで縦に詳細を見せる図面。木造は1/30、RC造・S造は1/20が多い
展開図1/50室内の壁面を四方向に展開する図
天井伏図1/100 / 1/50平面図と整合
屋根伏図1/100平面図と整合
仕上表縮尺なし表形式のため縮尺の概念が無い

詳細図系

図面種別推奨縮尺補足
部分詳細図1/10 / 1/20開口部・取合い部の納まり詳細
金物詳細図1/5 / 1/10階段手摺・笠木・水切り等の納まり
建具詳細図1/5 / 1/10框・召合せ・水返し等の断面
階段詳細図1/30 / 1/20段板・蹴上・手摺の取合い
階段平面詳細1/30 / 1/50段の割付・有効幅

構造系図面

図面種別推奨縮尺補足
構造伏図(梁伏・床伏・小屋伏)1/100意匠平面と整合させる
軸組図1/100柱・梁の構成を示す
基礎伏図1/100意匠平面と整合
構造詳細図(柱脚・梁端)1/20 / 1/30配筋・接合金物の詳細
配筋詳細図1/20 / 1/30RC造の主筋・あばら筋・スターラップ

設備系図面

図面種別推奨縮尺補足
電気設備平面図1/100 / 1/50意匠平面に重ねるのが基本
給排水衛生設備平面図1/100 / 1/50同上
空調換気設備平面図1/100 / 1/50同上
系統図・単線結線図縮尺なし模式図のため縮尺概念なし

確認申請・許認可系図面

図面種別推奨縮尺補足
求積図(敷地・床面積)1/100 / 1/200 / 1/500配置図と整合。三斜法・座標法で作図
日影図1/100 / 1/200配置図に重ねる。建物高さ・季節・時刻で計算
天空図・天空率1/100 / 1/200道路斜線・隣地斜線の検討
案内図1/2500 等住宅地図ベースに目立つ目印を記入

PERSCの推奨: 「平面・立面・断面の主要図面は同じ縮尺で揃える」 のが鉄則です。住宅なら1/100、狭小住宅・モデル提案なら1/50で、平面・立面・断面を統一します。同一案件で平面1/100・立面1/50などと混在させると、寸法を見比べたときに頭の中で換算が必要になり、施工者・施主が読み違えるリスクが上がります。


用紙サイズと縮尺の組み合わせ

縮尺の選択は 用紙サイズの選択と表裏一体 です。建築物の規模に対して、A1/A2/A3/A4 のどの用紙にどの縮尺で収めるかの目安を示します。

A判用紙の寸法(再掲)

用紙寸法(mm)
A0841 × 1189
A1594 × 841
A2420 × 594
A3297 × 420
A4210 × 297

詳しくは 図面枠の規格 を参照してください。

用紙×縮尺で収まる建物規模の目安

平面図を例に、各用紙サイズで描ける建物規模の目安です(とじ代・表題欄・寸法欄を含む実用的な作図領域基準)。

用紙1/501/1001/2001/500
A4約8m×12m(小規模住宅の部分)約16m×24m(小〜中住宅)約32m×48m約80m×120m
A3約12m×16m(小規模住宅全体)約24m×32m(戸建住宅)約48m×64m約120m×160m
A2約16m×24m(中規模住宅)約32m×48m(中規模建築)約64m×96m約160m×240m
A1約24m×32m(大型住宅)約48m×64m(中規模建築)約96m×128m約240m×320m

背景: 上記は 作図可能な実寸の目安 であり、表題欄・図面枠余白・凡例・引出線などを差し引いた現実的な数値です。実務では「ぎりぎり収まる」では読みにくいため、目安より一回り小さい範囲で描くのが標準です。

用紙サイズ選択のフロー

  1. 建物の最大寸法(縦×横)を把握
  2. 基本縮尺を決める(住宅なら1/100、大規模なら1/200)
  3. 上記表で 必要な用紙サイズを判定
  4. 表題欄・凡例の追加分を考慮して 一回り大きいサイズに切り替えるか判断
  5. 用紙サイズが決まったら 縮尺と整合する用紙設定 をJw_cadで反映

よくある組み合わせ(PERSC推奨セット)

案件タイプ用紙×縮尺図面種別の例
木造2階建て住宅(30〜40坪)A3×1/100配置・平面・立面・断面・矩計(矩計のみA3×1/30)
注文住宅(やや大きめ)A2×1/100配置・平面・立面・断面・矩計(矩計はA3×1/30)
中規模RC建築(500〜2000m²)A1×1/100平面・立面・断面・伏図
大規模建築(5000m²超)A1×1/200平面・立面・断面、別途部分図でA1×1/100
詳細図単独A3×1/10〜1/20部分詳細・金物・建具詳細
配置図単独A3×1/200 / A2×1/500敷地全体・周辺道路

PERSCの推奨: 設計事務所の テンプレート整備時は「用紙×縮尺の標準セット」を3〜5種類用意 しておくと、案件着手時の意思決定が速くなります。「住宅A3標準セット」「中規模建築A1標準セット」のように名前を付けて、新規案件の最初に1セットを選ぶだけで初期設定が決まる状態が理想です。


レイヤグループ別の縮尺運用

Jw_cadは レイヤグループ(0〜F の16グループ)ごとに異なる縮尺を持てる という他CADにはない特徴があります(jwdojo解説より)。これは1枚の図面ファイル内に、異なる縮尺の図を同居させる仕組みです。

1ファイル内に複数縮尺を共存させる

レイヤグループ縮尺の例配置する図
グループ01/1001階平面図
グループ11/1002階平面図
グループ21/100立面図
グループ31/30矩計図
グループ41/10部分詳細図
グループ51/200配置図
グループF図面枠・表題欄(縮尺の影響を受けにくい配置)

背景: 同じ用紙サイズ(=同じ印刷物)の中に、異なる縮尺の図が混在するのが建築図面の特徴です。たとえばA1の1枚に「平面図1/100+矩計図1/30+部分詳細1/10」を一緒に印刷するケースは日常的にあります。レイヤグループの縮尺を別々に設定することで、それぞれの縮尺で正しい寸法表記・正しい線太さ・正しい文字サイズが自動的に適用されます。

レイヤグループ別の縮尺設定操作については レイヤグループ縮尺 で詳説します。

寸法・文字サイズが縮尺に連動する

Jw_cadでは 寸法値・文字サイズは「描いた瞬間のレイヤグループの縮尺」で決まる ため、縮尺ごとに正しい寸法・文字が自動配置されます(jwdojo「寸法」解説)。

1/100で描いた寸法1/30で描いた寸法
実寸3000mmの線に寸法「3000」と表示(1/100の文字サイズ)「3000」と表示(1/30の文字サイズ。文字は3.3倍大きく印刷される)
文字種3(3.5mm想定)で記入A1原寸印刷で3.5mmA1原寸印刷で同じく3.5mm

Tips: 文字種で指定したサイズ(例: 3.5mm)は 印刷時の実寸サイズ です。図面上の「描かれている寸法」とは別管理のため、縮尺が変わっても印刷時の見た目は同じ大きさになります。これが文字サイズで縮尺を意識しなくて済む理由です。

縮尺をまたぐ図形のコピペ

異なる縮尺のレイヤグループ間で図形をコピーすると、実寸(mm)は維持されたまま、図面上の見た目の大きさが変わります(kantancad解説のとおり)。

操作結果
1/100 → 1/50 にコピー図面上の見た目が 2倍 に拡大される(実寸は変わらず)
1/100 → 1/200 にコピー図面上の見た目が 半分 に縮小される(実寸は変わらず)
1/100 → 1/30 にコピー図面上の見た目が 約3.3倍 に拡大される

PERSCの推奨: 詳細図を作るとき、1/100で描いた基準部分を1/30や1/10のレイヤグループにコピー すると、寸法・線太さ・文字サイズが自動で詳細図の縮尺に最適化されます。ゼロから書き直す必要がないため、矩計図・部分詳細の作図時間が短縮できます。


確認申請・公共工事での縮尺の扱い

確認申請添付図面で求められる縮尺

建築確認申請の添付図面には、暗黙の縮尺ルールがあります。

提出図面想定縮尺
案内図1/2500 / 1/5000 程度
配置図1/100 / 1/200 / 1/500
各階平面図1/100 / 1/200
立面図(4面以上)1/100 / 1/200
断面図(少なくとも2面)1/100 / 1/200
矩計図1/30 / 1/20
求積図(敷地・建築・床面積)1/100 / 1/200 / 1/500
構造詳細・配筋図(必要に応じ)1/20 / 1/30
日影図・天空率図1/100 / 1/200 / 1/500

要確認: 確認申請添付図面の縮尺要件は実機検証フェーズで建築基準法施行規則・各特定行政庁の運用要綱から最新情報を確定します。

公共工事の標準仕様書での縮尺

国・自治体発注の公共建築工事では、設計図書の縮尺が 公共建築工事標準仕様書公共建築設計業務委託共通仕様書 で規定されています。一般的な指定例。

図面種別標準仕様書の指定例
配置図1/200 〜 1/500
平面図1/100
立面図・断面図1/100
矩計図1/30
部分詳細1/20 〜 1/5

要確認: 公共建築工事標準仕様書・公共建築設計業務委託共通仕様書の最新版での縮尺指定の正確な記載は実機検証フェーズで一次情報を確認します。

背景: 公共工事は「標準を踏み外すと再提出」になりやすいため、民間案件以上に縮尺の標準値を遵守する文化があります。設計事務所が公共工事に対応する場合は、用紙サイズと縮尺をセットで規定したテンプレートを案件種別ごとに準備しておくのが標準的な実務です。


Jw_cadでの縮尺操作の入口

縮尺の 設定操作 はCh.2の縮尺設定で扱いますが、よく使うアクセス方法だけ概観します。

操作アクセス
縮尺の確認・変更ダイアログステータスバー(画面下部)の 縮尺ボタン をクリック
設定メニューからメニューバー「設定」→「縮尺・読取 設定
用紙サイズの変更ステータスバー右下の 用紙サイズボタン から

要確認: 「縮尺・読取 設定」のメニュー項目名は実機で確認します。

Tips: ステータスバーの縮尺表示は 「現在の書込みレイヤグループの縮尺」 を示します。レイヤグループを切り替えると表示縮尺も変わるため、作業中の混乱を避けるには「画面下にいま見えている縮尺はどのレイヤグループのものか」を常に意識することが大切です。


実務での使い方 ★PERSC独自

「住宅は1/100、矩計は1/30」が建築実務の常識

PERSC編集部が建築設計事務所・工務店と関わってきた経験では、住宅設計では「平面・立面・断面=1/100、矩計=1/30」がほぼ全国共通 の標準セットです。新人がこの組み合わせを覚えておくと、初日からどこの事務所でも違和感なく図面が読めます。

図面縮尺主な用紙
配置図1/100 または 1/200A3
平面図(各階)1/100A3
立面図(4面)1/100A3
断面図1/100A3
矩計図1/30A3(縦長を活かす)
部分詳細1/10 / 1/5A3

PERSCの推奨: 上記の 「住宅A3標準セット」をテンプレ化 しておけば、新規案件の最初の30分で初期設定が完了します。中堅・ベテランが「いつもの縮尺・いつもの用紙」で迷わないのは、この標準セットが頭に入っているからです。

中規模建築では「1/100が苦しいか1/200にするか」の判断

中規模建築(事務所ビル・共同住宅・店舗など)では、建物の長辺がA1に1/100で収まるかどうか が縮尺判断の分かれ目になります。

建物長辺A1 1/100A1 1/200推奨
〜40m余裕過剰1/100
40〜60mやや窮屈余裕1/100または1/200で迷う
60m〜入らない適切1/200

PERSCの推奨: 「1/100で入るなら1/100にする」のが原則です。1/200は1m=5mmと細かくなり、寸法の読み取り精度が落ちます。施工者は1/100の方が読みやすく、現場質疑が減ります。長辺が60mを超えるなど物理的に1/100で入らない場合のみ1/200に落とす判断をします。

矩計図の縮尺は「1/30 vs 1/20」で構造によって変わる

矩計図(かなばかり)は、軒先から基礎まで縦に通して納まりを示す重要図面です。建築実務では構造種別ごとに使い分けがあります。

構造矩計図の標準縮尺理由
木造1/30軒高さ7m前後をA3縦に1/30で入れると都合がよい。垂木・母屋・軒裏といった木材の納まりが見やすい
RC造1/20鉄筋・配筋・梁せいが大きく、1/30では細部が潰れる。1/20で細部を表現
S造1/20 / 1/30鉄骨断面・接合部のディテールに応じて判断
大スパン木造1/30 / 1/20軒高が大きい場合は分割して描く

PERSCの推奨: 木造2階建て住宅では A3縦×1/30 が黄金比です。屋根頂部から基礎下端までの高さ約8mが、A3縦の高さ297mmに対して 8000/30 ≒ 267mm でぴったり収まり、寸法線・記号・引出線が描き入れられます。1/20にすると入りきらず、1/50では細部が描けません。

詳細図は「描きたい部位の物理サイズ」で縮尺を逆算する

部分詳細図(金物・取合い・建具枠など)の縮尺選択は、描きたい部位の物理サイズと用紙サイズから逆算 するのが実務的です。

描きたい部位の物理サイズA4で描く場合A3で描く場合
100mm程度(金物単体)1/2 / 1/51/2
300mm程度(建具枠断面)1/5 / 1/101/5
1000mm程度(窓まわり全体)1/10 / 1/201/10
3000mm程度(外壁取合い)1/30 / 1/501/20 / 1/30

背景: 詳細図は 「読み手が拡大鏡なしで読める線の細さ」 が下限です。1/5未満(1/2や1/3)に拡大すると、図面というより模式図に近づき、寸法の整合チェックが大味になります。物理サイズが小さい部位ほど高倍率で描くべきですが、実物より大きく描いても精度は上がらないため、用途に応じた最適倍率を選びます。

同一プロジェクト内で縮尺を統一するメリット

複数の図面シートで縮尺を揃えると、現場での照合作業が劇的に楽になります。

効用説明
寸法の見比べが直感的1/100 シート同士なら、同じ箇所の寸法が同じ大きさで描かれる
位置照合が早い平面・立面・断面で「この柱の位置」がスケール計測なしで一致確認できる
縮尺換算ミスが減る設計者・施工者が「これは何分の1だっけ」と思考停止する時間が無くなる

PERSCの推奨: 「主要図面は1縮尺で揃える、詳細図系は別縮尺セットで揃える」 のが運用しやすい方針です。具体例として、住宅案件なら「主要=1/100、詳細=1/20」「特殊=1/5(金物のみ)」の3軸に整理し、それ以外の半端な縮尺(1/40・1/80など)は使わないルールにすると現場混乱が減ります。

縮尺欄を表題欄に必ず明記する

図面の表題欄には縮尺を明記するのが必須です(表題欄の項目と配置ルール を参照)。複数縮尺が同居する図面では、「主要縮尺+部分詳細の縮尺」を併記 するのが慣例です。

表題欄の縮尺欄記入例状況
「縮尺 S=1/100」単一縮尺の図面
「縮尺 S=1/100, 部分1/30」主要縮尺と部分詳細が混在
「縮尺 各図に記入」1枚に複数の図がそれぞれ別縮尺
「縮尺 NTS(Not To Scale)」模式図・系統図など縮尺無関係の図

背景: 「S=1/100」の「S」はScale(スケール)の頭文字で、世界共通の表記です。日本の建築図面でも「S=」を使うのが標準で、「縮尺=1/100」「1/100」のいずれも見かけますが、慣例的には「S=」付きが格式高い表記です。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 「縮尺と倍率の違いは何?」

縮尺はレイヤグループ全体に効く設定値倍率は特定の図形を拡大縮小する操作値 です。縮尺はファイルの構造的な情報、倍率は個別の編集操作と覚えてください。「複線」「移動」コマンドの倍率設定は、対象図形だけを拡大縮小します。一方「縮尺・読取 設定」はレイヤグループ単位で図面全体の見え方を変える設定です。

Q: 図面が描き終わってから縮尺を変えたい

「縮尺・読取 設定」ダイアログで縮尺を変更し、「実寸固定」のオプションをオン にすると、寸法・文字を維持したまま縮尺だけが変更できます。逆に「実寸固定」をオフにして縮尺変更すると、図形の物理サイズも一緒に変わります(kantancad解説)。意図しない方を選ぶと寸法がずれるため、変更前に必ず保存してください。詳細は 縮尺設定 を参照。

Q: 1枚の図面に1/100の平面と1/30の矩計を入れたい

レイヤグループを別々に使う のが解決策です。「平面=グループ0(縮尺1/100)」「矩計=グループ3(縮尺1/30)」のように分けると、それぞれのグループ内で寸法・線太さ・文字サイズが自動最適化されます。詳しくは レイヤグループ縮尺 を参照。

Q: 印刷したら寸法値が小さすぎて読めない

「文字サイズが縮尺と連動するメカニズムを誤って設定」 している可能性が高いです。文字種で指定するサイズ(例: 3.5mm)は 印刷時の実寸 です。レイヤグループの縮尺を確認し、文字種が3〜5(3.5〜5mm相当)になっていることを確認してください。詳細は 文字サイズの標準 を参照。

Q: 縮尺ボタンを押しても変更できない(グレーアウト)

→ Jw_cadのバージョン・状態によっては 特定の編集モード中(範囲選択中など)に縮尺変更が抑制 される場合があります。Escキーで現在の操作をキャンセルしてから縮尺ボタンを押し直してください。

Q: 1/40・1/80・1/150 のような半端な縮尺は使ってはいけない?

使えますが、推奨されません。JIS Z 8314 の推奨尺度から外れるため、三角スケールでの実測がしづらく、施工者・施主からも「これ何分の1?」と問い合わせが入ります。1/30、1/50、1/100、1/200の標準値内で完結させる のが原則です。どうしても用紙に収めたい場合は、用紙サイズを上げる方が筋がよい判断です。

Q: 配置図1/500の図面で寸法線が混んで読めない

→ 1/500では1m=2mmなので、5m未満の寸法は寸法線同士が重なって判読困難になります。「全体配置図1/500+部分配置図1/200」の2枚構成 に分ける、または 「主要寸法のみ1/500に記入し、詳細寸法は別図で1/100」 とする運用が有効です。

Q: 縮尺と用紙サイズの組み合わせがわからない

→ 上記「用紙サイズと縮尺の組み合わせ」の表を起点に、 「建物の長辺をその縮尺で割って、用紙の短辺に収まるか」 を計算してください。例えば長辺40mを1/100で描くと400mm。A3短辺297mmには入らないため、A2に上げるか1/200に変える判断になります。

Q: 確認申請でNG(質疑)が来る縮尺は?

→ JIS A 0150 や慣行から外れた縮尺(1/35、1/75、1/150 等)は、審査担当者が「なぜこの縮尺?」と疑問を持ち、質疑が増える原因になります。標準縮尺で出すのが質疑予防の基本 です。詳しくは JIS A 0150 全体像 を参照。


関連項目


まとめ

  • 縮尺はJIS Z 8314(製図 尺度)と JIS A 0150(建築製図通則)が定める 製図の共通言語
  • 建築標準セットは 平面・立面・断面=1/100、矩計=1/30、部分詳細=1/10〜1/5、配置=1/100〜1/500
  • 用紙サイズと縮尺は表裏一体。「住宅A3×1/100、矩計A3×1/30」が国内住宅設計の黄金比
  • Jw_cadは レイヤグループごとに別縮尺を持てる ため、1ファイルに平面1/100+矩計1/30+詳細1/10を共存させられる
  • 寸法・文字サイズは 「描いた瞬間のレイヤグループの縮尺」で自動連動 するため、混在しても破綻しない
  • 半端な縮尺(1/40・1/80・1/150)は避け、標準値(1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/500)に揃える のが現場流儀
  • 縮尺の操作手順はCh.2に委譲、ここでは 「どの縮尺を何に使うか」の規格知識 を整理