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未検証

建築図面のレイヤ分け実践 ★PERSC独自

このページでできるようになること

Jw_cad で建築図面を描く際の レイヤ分けの実践テンプレート を、PERSC 編集部の実務知見からまとめて提示します。平面図・立面図・断面図・詳細図・設備図それぞれの「どのレイヤに何を描くか」を、コピペで使える具体例として提供します。新規物件のテンプレ作成時にそのまま参照できる粒度で記述しているため、初見でも「とりあえずこの構成で始める」ができるようになります。

背景: Jw_cad は 16×16=256 のレイヤを自由に使えますが、自由度が高いゆえに「何をどこに描くべきか」で初心者がつまずきます。この記事はベテラン建築技術者が実際に使っている代表的なレイヤ構成を、PERSC 編集部の解釈で標準化したものです。製図規約 (Ch.11) の解説ではなく、「明日の作業で迷わない実用テンプレ」 を目的としています。


レイヤ分けの基本原則(PERSC編)

原則 1: 縮尺の異なる図面はグループを分ける

平面図 1/100 と詳細図 1/50 は別の レイヤグループ に配置します。同じグループ内のレイヤはすべて同じ縮尺になるため、縮尺をまたぐ要素はグループ分割が必須です。

原則 2: 編集頻度の高い要素を独立レイヤに

通り芯・寸法・文字など「後から修正することが多い要素」は、それぞれ独立したレイヤに配置します。これにより:

  • 「寸法だけ非表示にしてチェック」が 1 クリックで可能
  • 「通り芯だけプロテクトして守る」運用ができる
  • 印刷時にレイヤ単位で出力 / 非出力を制御できる

原則 3: 図面枠は FF レイヤ + プロテクト

図面枠は Gp.F のレイヤ F(FF レイヤ)に配置し、紫の×プロテクトで保護します。詳しくは レイヤと図面枠 ※準備中 を参照。

原則 4: 番号順は描画順を意識する

レイヤ番号 0 → 1 → 2 ... の順で「下地 → 構造 → 仕上げ → 注釈」と並べておくと、視覚的に整理しやすく、新規メンバーへの引き継ぎも容易です。


平面図のレイヤ構成(標準テンプレ)

推奨構成(住宅・小規模建築)

レイヤ用途線色(推奨)線種
0下書き・補助線補助線色(非印刷)任意
1通り芯(X 通り・Y 通り)線色 7(桃系)一点鎖線
2柱・梁(構造体)線色 2(黒〜濃色)実線
3(外壁・内壁・間仕切)外壁=線色 2 / 内壁=線色 3(緑系)実線
4建具(ドア・窓・サッシ)線色 3(緑系)実線
5設備記号(衛生・電気・空調)線色 4(黄系)実線
6寸法(寸法線・寸法値・引出線)線色 6(白〜灰系)実線
7文字(室名・面積・注記)線色 6(白〜灰系)実線
8記号(方位・縮尺記号・GL)線色 6(白〜灰系)実線
9ハッチング(仕上材・外構・壁断面)線色 1(水色系)実線
A〜E予備(修正履歴・変更指示・チェック印など)任意任意
F図面枠(同グループ運用の場合)または空き線色 2実線

PERSCの推奨: 線色は印刷時の線幅と紐づきます。線色 2 = 太線(外壁断面・主要構造)線色 6 = 細線(寸法・文字・記号)線色 1 = 極細線(ハッチング)線色 7 = 中(通り芯・基準線、一点鎖線) という 線色運用の標準 のマスター方針に合わせて配置すると、印刷出力が整います。

各レイヤの描画順イメージ

レイヤ 0: 下書き ─┐
レイヤ 1: 通り芯 ─┤
レイヤ 2: 柱・梁 ─┤  下から積み上げ
レイヤ 3: 壁     ─┤
レイヤ 4: 建具   ─┤
レイヤ 5: 設備   ─┤
レイヤ 6: 寸法   ─┤
レイヤ 7: 文字   ─┘
(最上層が文字・注釈)

立面図・断面図のレイヤ構成

立面図のレイヤ構成

立面図は平面図と別グループ(例: Gp.1)に配置し、平面図と同じ縮尺で描くのが一般的です。

レイヤ用途
0下書き・補助線(GL ライン・階高ライン)
1基準線(GL・FL・軒高・最高高さ)
2躯体外形線(壁・柱・梁の見え線)
3建具(窓・玄関ドア・庇)
4仕上線(外装材の目地・継ぎ目)
5設備外観(給湯器・エアコン室外機・換気フード)
6寸法(高さ寸法・幅寸法)
7文字(室名・仕上材記号・矢視記号)
8方位・記号(北矢印・断面位置記号)
9ハッチング(外装材・地盤・植栽)

断面図のレイヤ構成

断面図は構造体の表現が複雑なため、平面図より細分化して使うことが多いです。

レイヤ用途
0下書き・補助線
1基準線(GL・FL・天井高)
2構造躯体(柱・梁・床スラブ・基礎)
3(外壁・内壁の断面)
4天井(天井ふところ含む)
5床仕上(フローリング・タイル・畳など)
6建具(ドア・窓の断面)
7設備(配管・ダクト・配線)
8寸法(高さ寸法・天井高寸法)
9文字・注釈(仕上材・室名)
Aハッチング(断面表現の塗り)

詳細図のレイヤ構成

詳細図は別グループ(例: Gp.4 や Gp.5、縮尺 1/30 や 1/20)に配置します。

一般的な詳細図のレイヤ構成

レイヤ用途
0下書き・補助線
1基準線(基礎芯・通り芯・FL)
2構造材(柱・梁・土台・桁・束など)
3下地材(合板・石膏ボード・断熱材)
4仕上材(フローリング・タイル・サイディング)
5金物(接合金物・コーチボルト・釘)
6建具・サッシ(枠・額縁・水切り)
7寸法(実寸法・部材寸法)
8文字・引出線(部材名・仕上材名)
9ハッチング(断熱材・コンクリート・木材繊維方向)

木造詳細図と RC 造詳細図の差異

要素木造(在来軸組)RC 造
構造材レイヤ柱・梁・土台・桁・束を細分化柱・梁・スラブをまとめる
仕上材レイヤフローリング・畳・サイディングタイル・コンクリート打放し
ハッチング木材断面の繊維線コンクリートのドット
鉄筋表現不要専用レイヤで配筋を表現

背景: 木造詳細は構造材の種類が多いため、レイヤ細分化が必要。RC 造はコンクリート塊として一体扱いが基本のため、レイヤ数は少なくて済みます。


設備図のレイヤ構成

設備図は専門性が高く、設備種別ごとにレイヤを分けるのが定石です。

給排水・衛生設備図

レイヤ用途線色(慣例)
0平面図躯体(背景・薄表示)線色 7(薄グレー)
1給水管(青系で表現)線色 3(青系)
2排水管(赤系で表現)線色 8(赤系)
3湯給水管(橙系)線色 9
4通気管線色 4
5衛生器具記号(便器・洗面・キッチン等)線色 2
6配管寸法・勾配線色 2
7文字・記号線色 2

要確認: 設備図の色慣例(給水=青、排水=赤、ガス=黄など)は事務所・地域・国交省基準で異なる場合があります。実務では受注先の標準を優先

電気設備図

レイヤ用途
0平面図躯体(背景)
1配線(VVF / VVR)
2コンセント・スイッチ
3照明器具
4分電盤・コンセント盤
5弱電(LAN・電話・TV)
6凡例・記号
7文字

空調・換気設備図

レイヤ用途
0平面図躯体(背景)
1ダクト(給気・排気)
2室内機・室外機
3換気扇・レジスター
4配管
5記号・凡例
6文字

グループ × レイヤの全体構成(住宅プロジェクト例)

複数の図面を 1 つの JWW ファイルで管理する場合の、グループ × レイヤ全体構成例です。

全体構成テンプレート

グループグループ名縮尺主な内容
Gp.0平面図 1/1001/1001F 平面図(通り芯・柱・壁・建具・寸法・文字)
Gp.1平面図 2F1/1002F 平面図(同様の構成)
Gp.2立面図1/100東西南北の 4 立面
Gp.3断面図1/100主要断面 1〜2 本
Gp.4詳細図 A1/30玄関・階段・キッチンの納まり
Gp.5詳細図 B1/30浴室・トイレ・収納の納まり
Gp.6構造図1/100基礎伏図・床伏図・小屋伏図
Gp.7設備平面1/100衛生・電気・空調の各設備平面
Gp.8配置図1/200敷地・隣地境界・外構
Gp.9〜E予備・改訂版・参考図任意バックアップや変更履歴
Gp.F図面枠1/1FF レイヤに図面枠(プロテクト紫の×)

Tips: 1 物件 1 ファイルではなく、「意匠系(Gp.0-5)」「構造系(Gp.6)」「設備系(Gp.7)」「外構(Gp.8)」とグループで分業可能。1 ファイルで全体を俯瞰できるのが Jw_cad の強みです。

グループ別運用のメリット

  • 整合性チェックが容易: 平面図と設備図を同時表示で位置整合を確認
  • 同一情報の参照: 通り芯(Gp.0 のレイヤ 1)を Gp.6 構造図でも参照できるよう編集可能化
  • バージョン管理一元化: ファイル数を減らして履歴管理を簡素化

命名規則とグループ名の付け方 ★PERSC独自

グループ名のフォーマット推奨

PERSC 編集部の推奨フォーマット:

{図面種別}_{縮尺}_{枝番}
例: 平面図_1/100_1F
   詳細_1/30_玄関
   設備_1/100_電気

レイヤ名のフォーマット推奨

{要素種別}_{詳細}
例: 通り芯_X
   柱_RC
   壁_間仕切
   寸法_平面

命名のメリット

  • ステータスバーに常時表示: 自分が今どのレイヤを編集中か一目でわかる
  • チーム共有時の認識ズレ防止: 「このレイヤ何だっけ?」が消える
  • 検索性向上: 大量レイヤを使うプロジェクトで目的レイヤを素早く特定

詳しくは レイヤ命名規則 ※準備中 を参照(標準ルール詳細は Ch.11 で)。


実務で起こりがちな問題と対処 ★PERSC独自

問題 1: レイヤ分けせずに描き始めて、後から分けられない

典型ケース: 急ぎの図面で 0-0 にすべて描いてしまい、後から「寸法だけ非表示」ができない。

対処:

  1. 範囲選択 → 寸法だけを選ぶ(属性で絞り込み)
  2. 「属性変更」コマンドで対象レイヤを変更
  3. 寸法を寸法レイヤに移動

詳しくは 属性変更 ※準備中 を参照。

問題 2: グループをまたぐ要素のレイヤ管理

典型ケース: 平面図グループ Gp.0 の通り芯を、構造図グループ Gp.6 でも基準として表示したい。

対処:

  1. Gp.0 のレイヤ 1(通り芯)を「編集可能」または「表示のみ」に
  2. Gp.6 を書込みグループに切替
  3. 構造図を作図しながら通り芯を参照

注意: 異なるグループのレイヤを表示する場合、縮尺差で見え方が変わることに注意。例えば Gp.0(1/100)と Gp.6(1/100)が同縮尺ならズレなし。

問題 3: 設備担当からファイルを受領し、自社レイヤ構成と合わない

対処:

  1. 受領ファイルのレイヤ構成を確認
  2. 「属性変更」で自社標準に再配置
  3. 必要なら「全レイヤを 1 つにまとめる」→「自社テンプレに分け直す」工程

PERSCの推奨: 受領頻度が高い相手とは事前に「レイヤ構成のすり合わせ」をしておくのがベスト。

問題 4: 改訂版で「変更箇所」を視覚化したい

対処:

  1. 変更前の図形を保持したまま、新規レイヤ(例: レイヤ A 改訂 v2)に変更後の図形を描く
  2. 線色を変えて変更箇所を強調
  3. 変更履歴をレイヤ名に記載

問題 5: 大規模プロジェクトでレイヤが足りない

対処:

  1. 16×16 = 256 レイヤを使い切るプロジェクトは稀
  2. 不足する場合は 複数ファイル分割 が現実的
  3. ファイル名で「{物件名}_意匠.jww」「{物件名}_構造.jww」のように分ける

業種別テンプレ:木造 vs RC vs 商業 ★PERSC独自

木造住宅向け推奨構成

グループ内容特徴
Gp.0平面図在来軸組向けレイヤ(柱・梁・土台を細分化)
Gp.4-5詳細図 1/30木造仕口・継ぎ手の表現
Gp.6構造図軸組図・伏図

RC 造向け推奨構成

グループ内容特徴
Gp.0平面図RC 壁・スラブを一体扱い
Gp.4-5詳細図 1/30配筋詳細用レイヤ追加
Gp.6構造図配筋図・スラブ伏図
Gp.A鉄筋詳細 1/10鉄筋種別ごとに個別レイヤ

商業施設向け推奨構成

グループ内容特徴
Gp.0平面図テナント区画レイヤ追加
Gp.7設備平面厨房設備・冷凍機・ダクト多
Gp.Aサイン計画看板・ピクト・誘導サイン
Gp.B防災図避難経路・消火器位置・誘導灯

つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: 「初心者でレイヤ構成をどうしたらいいか分からない」

対処:

  1. まずはこの記事の「平面図のレイヤ構成(標準テンプレ)」をそのまま採用
  2. レイヤ 0〜9 の 10 種類を覚える
  3. 慣れてきたら自分の業務に合わせてカスタマイズ

Q: 「レイヤ番号と用途の対応を忘れてしまう」

対処:

  1. グループ名・レイヤ名にカタカナ / 漢字で用途を明記(例: レイヤ 1 → 「通り芯」)
  2. 環境設定ファイル(jw_win.jwf)に保存しておけば、新規ファイルでも同じ名前が使える
  3. 詳しくは 環境設定ファイル を参照

Q: 「他社・他人の標準と違う場合、合わせるべきか?」

対処:

  1. 受注先・取引先の標準があればそれに従う(特に役所提出図面)
  2. 社内のみで使うなら自社標準で OK
  3. 標準切替時は「属性変更」コマンドで一括移行

Q: 「グループの数が足りなくなった」

対処:

  1. 16 グループを使い切るのは大規模プロジェクトのみ
  2. 用途を統合できないか再検討(例: 立面図と断面図を同グループに)
  3. それでも足りなければファイル分割

Q: 「設備図の色慣例(青=給水・赤=排水)が事務所と違う」

対処:

  1. 受注先の標準を優先
  2. 自社標準も明文化して引き継ぎ可能な形に
  3. 国交省 CAD 製図基準と SXF 規格は別途確認 → Ch.11 line-color-standard ※準備中

Q: 「テンプレファイルを作りたい。何から始める?」

対処:

  1. この記事の標準構成を新規ファイルで再現
  2. 各グループに名前を付ける
  3. 各レイヤに名前を付ける
  4. 図面枠を FF レイヤに配置 + プロテクト
  5. 縮尺を各グループに設定
  6. 「テンプレ_A2.jww」として保存
  7. 詳しくは レイヤテンプレート ※準備中 を参照

関連項目


まとめ

  • 建築図面のレイヤ分けは 平面図テンプレ(10 レイヤ構成) から始めるのが入門ルート
  • グループは「縮尺の違いで分ける」「図面種別で分ける」の 2 軸で運用
  • 通り芯・寸法・文字は独立レイヤに配置して、編集・非表示制御を柔軟に
  • 図面枠は Gp.F の FF レイヤ + 紫の×プロテクト で守る
  • 命名規則を整えると、ステータスバー表示で自分の作業位置が一目瞭然になる
  • 木造 / RC / 商業の業種別にテンプレを微調整するのが実務の効率化のコツ
  • 受領ファイルとの整合は「属性変更」コマンドで一括移行が可能