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複数線の一括伸縮
Jw_cadの伸縮コマンドには、複数の直線を選んでまとめて基準線まで揃える「一括処理」という機能があります。壁線端部の整形のように「同じ基準線に対して10本以上の線を揃える」作業で、1本ずつ操作するよりもはるかに速く処理できます。
個別に1本ずつ揃える操作については 伸縮(基本/包絡伸縮/突出長指定) で解説しています。この記事では、複数線を一度に揃える「一括処理」の手順に特化して説明します。
背景: 伸縮コマンドの「一括処理」は直線のみを対象としており、円・円弧は対象外です。円弧が混在している場合は、直線のみを一括処理した後、円弧を個別に伸縮してください。
一括処理の起動
伸縮コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「一括処理」ボタンをクリックします。
| 方法 | 操作 |
|---|---|
| メニューバー | 編集 → 伸縮 → CBの「一括処理」をクリック |
| ツールバー | 「編集(1)」ツールバーの「伸縮」ボタン → CBの「一括処理」をクリック |
画像準備中 — 伸縮コマンド起動直後のCB(「一括処理」ボタンの位置を矢印で示す)
操作の全体像
一括処理は「基準の指定」→「伸縮する線の範囲選択」→「処理実行」の3段階で進みます。
一括処理サマリー(全6ステップ)
| # | 操作 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | CBの「一括処理」をクリック | 一括処理モードに切り替わる |
| 2 | 基準線を左クリックで指定(または基準点を指定) | 基準線は仮表示線色に変わる |
| 3 | 伸縮させたい線のうち一番端にある線を左クリック | 選択の始点となる |
| 4 | 反対側の一番端にある線を左クリック | 2点間の赤点線と交差する線がすべて選択される |
| 5 | 追加・除外したい線を個別に左クリック(任意) | 選択色に変わった線が対象、再クリックで除外できる |
| 6 | CBの「処理実行」をクリック(または右クリック) | 全選択線が基準線との交点まで伸縮される |
操作手順(詳細)
ステップ1: 一括処理モードに切り替える
伸縮コマンドを起動した状態で、コントロールバーの「一括処理」ボタンを左クリックします。コントロールバーの表示が切り替わり、基準の指定を促す状態になります。
画像準備中 — 「一括処理」ボタンをクリックした後のCBの状態
ステップ2: 基準線を指定する
基準にしたい線を左クリックします。クリックした線が仮表示線色に変わり、基準線として登録されます。
注意: 一括処理での基準線指定は「左クリック」です。個別伸縮(5-19)では右ダブルクリックで基準線を選びましたが、一括処理では左クリックに変わります。誤操作しやすいポイントなので注意してください。
基準線の代わりに「基準点」を指定することもできます。
| 基準の種類 | 操作 |
|---|---|
| 基準線 | 基準にしたい線を左クリック |
| 任意の基準点 | 基準にしたい点を左ダブルクリック |
| 読取り基準点(スナップ点) | 基準にしたい点を右クリック |
画像準備中 — 基準線をクリックした直後(仮表示線色に変わった状態)
背景: 基準点を指定した場合の伸縮は、基準線指定とは動作が異なります。基準点を通り、各伸縮対象の直線と直角に交わる仮想の基準線を自動生成し、そこまで伸縮する仕組みです。縦横が混在した複数線を同じ基準点で揃えたい場面に使います。
ステップ3: 伸縮させる線の始点を選択する
伸縮させたい複数の線のうち、一番端にある線を左クリックします。これが選択範囲の始点になります。
画像準備中 — 始点となる線を左クリックした状態
ステップ4: 伸縮させる線の終点を選択する
マウスポインタを移動させると、始点からの仮表示(赤点線)が伸びます。この赤点線と交わっているすべての線が選択対象です。反対側の一番端にある線を左クリックして選択を確定します。
選択された線はすべて選択色に変わります。
画像準備中 — 始点から終点まで左クリック後、赤点線と交差する線が選択色になった状態
Tips: 終点の線を右クリックで選択すると、始点と同じ属性(線色・線種)の線のみを選択対象にできます。異なる線種が混在していて特定属性だけを揃えたい場面に役立ちます。
要確認: 「右クリックで同属性のみ選択」の挙動を実機で確認してください。
ステップ5: 選択の追加・除外(任意)
選択範囲に含めたくない線がある場合は、その線を個別に左クリックして除外できます。逆に範囲外に追加したい線も左クリックで選択に加えられます。
画像準備中 — 個別に除外・追加した後の選択状態
ステップ6: 処理実行
選択が完了したら、コントロールバーの「処理実行」ボタンを左クリックします。右クリックでも同様に実行できます。
選択されたすべての直線が、指定した基準線との交点まで一括で伸縮されます。
画像準備中 — 処理実行後、複数の線が基準線に揃った完成状態
基準線の場合と基準点の場合の違い
基準線を指定した場合
基準線との交点まで各直線が伸縮されます。伸縮後の端部は基準線の上に揃います。横向きの複数の壁線端部を縦の基準線で揃えるなど、直線×直線の整形に最適です。
画像準備中 — 基準線指定での一括伸縮(Before/After比較)
基準点を指定した場合
基準点を通り、各伸縮対象線に直角な仮想基準線を自動生成してそこまで伸縮します。基準線が存在しない場面や、傾いた線群を点で揃えたい場面で使います。
画像準備中 — 基準点指定での一括伸縮(Before/After比較)
要確認: 基準点(任意点・読取り点)を使った場合の伸縮挙動を実機で確認してください。
実務での使い方 ★PERSC独自
平面図の壁線端部をまとめて揃える
住宅・集合住宅の平面図を描くとき、外壁線や間仕切り壁線の端部が開口部や他の壁との交点に揃いきれていないことがよくあります。1本ずつ個別伸縮で揃えることもできますが、線の本数が多いと作業時間が膨らみます。
一括処理なら、縦の基準壁線を左クリックで指定し、横に伸びる複数の壁線を範囲選択して「処理実行」するだけで、全線を基準壁線の位置で一気に揃えられます。
たとえば住宅の外壁コーナー部では、外面線・内面線の計4本を同時に揃えることができます。外壁の仕上げ代を考慮して突出寸法を設定した場合でも、一括処理と組み合わせて使えます(突出寸法はCBで指定してから一括処理モードに入ります)。
PERSCの推奨: 一括処理の後は コーナー処理 ※準備中 でコーナーを仕上げると、壁の入隅・出隅が素早く整理できます。伸縮(一括)→コーナー処理の順を覚えておくと平面図の作業スピードが上がります。
詳細図の線群を一本の基準線に揃える
RC造の壁断面詳細図や鉄骨の接合部詳細図では、フカシ・モルタル・断熱材などの層を表す線が複数並びます。これらの線の端部を開口端や部材端の基準線に揃える作業は繰り返し発生します。
一括処理を使えば、同じ向きに並んでいる線群を一度の操作でまとめて処理できます。属性(線種)が異なる線が混在する場合も、終点の右クリック選択で同属性のみに絞ることができます。
設備図の配管群の端部処理
設備の平面図では、壁に沿って引いた複数本の配管線を壁面の位置で揃える作業があります。1本ずつ基準線指定で揃えることもできますが、配管が何本も並んでいる場面では一括処理が効率的です。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 「一括処理」モードで基準線を「右ダブルクリック」したら反応しない
→ 一括処理での基準線指定は「左クリック」です。個別伸縮(5-19)では基準線を「右ダブルクリック」で選びましたが、一括処理では操作が異なります。左クリックで基準線をクリックしてください。
Q: 複数線を選択したつもりなのに、一部の線が選択されていない
→ 選択される線は「始線と終線の間の赤点線と交差している直線」のみです。赤点線の向き(始線と終線を結ぶ向き)を確認してください。また、一括処理は直線のみが対象のため、円弧・円は選択されません。これらは個別伸縮で処理してください。
Q: 処理実行後、一部の線だけ反対方向に伸びた(縮んでほしいのに伸びた)
→ 基準線に対して伸縮させる線が交わらない場合、仮想交点(延長線上の交点)まで伸縮されることがあります。意図した結果と異なる場合は 戻る・進む(取り消し・やり直し) で取り消し、個別伸縮に切り替えて処理してください。
Q: 円弧も一括処理で揃えたい
→ 一括処理では円・円弧は対象外です。円弧はまとめて揃える機能はなく、個別の基準線指定モードで1本ずつ処理してください。詳しくは 伸縮(基本/包絡伸縮/突出長指定) を参照してください。
Q: 始線・終線を選択する順番はどちらでもよいか
→ 始線・終線の順番は任意で、どちらを先にクリックしても同じ結果になります。2点間に赤点線が引かれ、その赤点線と交差するすべての直線が対象になる仕組みです。
関連項目
- 伸縮(基本/包絡伸縮/突出長指定) — 1本ずつ基準線に揃える個別伸縮
- 間隔切断 ※準備中 — 伸縮コマンドでの線の間隔切断
- コーナー処理 ※準備中 — 伸縮後の端部を角でつなぐ
- 戻る・進む(取り消し・やり直し) — 操作ミス時の取り消し
- 範囲選択の基本 — Jw_cadの範囲選択の考え方
まとめ
- 伸縮コマンドの「一括処理」を使うと、複数の直線を一度に基準線との交点まで揃えられる
- 操作の流れは「一括処理ボタン → 基準線(左クリック) → 始線・終線の指定 → 処理実行」の4段階
- 基準は「線」と「点」の2種類から選べる。点を基準にすると、各線に直角な仮想線を基準にして伸縮される
- 円・円弧は一括処理の対象外。直線のみを対象として割り切って使うのが実務での正しい使い方