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未検証

平面図の描き方(通り芯から建具配置までの一連ワークフロー)

このページでできるようになること

Jw_cad で住宅の平面図を1枚描き上げるための 全工程の流れ を、初心者でも迷わない順番で把握できるようになります。通り芯から始まり、柱・壁・建具・部屋名・寸法までを「どの順番で・何を・どのレイヤに描くか」という俯瞰図として提示します。各工程の詳細手順は別ページに委譲し、この記事では 工程と工程の接続部分(前のステップで何を完成させてから次へ進むか、レイヤ切替のタイミング、チェックポイント)に焦点を絞って解説します。

背景: 平面図は建築図面の中で最も基本となる図面であり、立面図・断面図・詳細図のすべてが平面図を起点として展開されます。順序を間違えると後戻り工数が発生するため、「どこから描くか」「どこで折り返すか」を最初に押さえておくと、全体の作業効率が大きく変わります。この記事は、ベテランが当たり前に進めている工程順を、初心者向けに明文化したものです。


平面図ワークフローの全体像

この記事が対象とする平面図

この記事は、木造2階建て住宅の1フロア(30坪程度) を想定したワークフローを基準にします。RC造マンションや鉄骨造の店舗でも工程の大枠は変わりません(差異は「業種別の差異」節で補足)。

項目想定
建物種別木造2階建て住宅
規模30坪程度(1フロア15坪)
縮尺1/100
用紙サイズA3
モジュール910mm(半間モジュール)

ワークフローの基本思想

Jw_cad で平面図を描く工程は、下から積み上げる順序で進めるのが定石です。

  1. 基準(通り芯)→ 2. 構造(柱)→ 3. 囲い(壁)→ 4. 開口(建具)→ 5. 情報(部屋名・面積・寸法)

この順序を守ることで、各工程の出力が次の工程の入力になり、後戻りが最小化されます。逆に「いきなり壁から描く」「先に部屋名を入れてから柱を入れる」といった順序逆転は、寸法ズレや配置ミスが連鎖して図面全体を描き直す原因になります。

PERSCの推奨: 初学者は工程順を頭で覚えるより「通り芯→柱→壁→建具→情報」を口に出して唱えてから作業に入ると、抜け漏れが減ります。実務でも、案件の最初に「今日は通り芯まで」「明日は柱と壁」とマイルストーンを設定すると進捗管理が楽になります。


ワークフローサマリー(全7ステップ)

#工程担当レイヤ所要目安成果物詳細記事
1用紙・縮尺・レイヤテンプレの準備5〜10分設定済みの空ファイル用紙サイズと縮尺の設定 ※準備中
2通り芯を描く(X軸→Y軸→番号→寸法)レイヤ120〜30分通り芯マトリクス+スパン寸法通り芯の描き方
3を配置する(通り芯交点+管柱・通し柱)レイヤ215〜25分柱位置の確定柱の作図
4を作図する(外壁→内壁→間仕切)レイヤ330〜60分部屋境界の確定壁の作図
5建具を配置する(窓→ドア→引戸)レイヤ430〜45分開口位置と建具シンボル建具の配置
6部屋名・面積を記入するレイヤ715〜20分室名・面積・床仕上記号部屋名・面積の記入 ※準備中
7寸法・記号・最終チェックレイヤ6/820〜30分完成平面図この記事の「最終チェック」節

合計目安: 2〜4時間(30坪規模・初学者は4時間、慣れれば2時間)

要確認: 上記の所要時間は木造2階建て30坪を想定した目安です。物件規模・複雑度・Jw_cad習熟度で大きく変動します。複雑な変形プラン・大規模物件・初学者の最初の1枚目は、上記の1.5〜2倍を見込んでください。

工程順の根拠

各工程の順序には実務上の根拠があります。

順序理由
通り芯 → 柱柱は通り芯の交点に配置するため、通り芯が完成していないと柱位置が決まらない
柱 → 壁壁は柱と柱の間に引くため、柱位置確定後でないと壁芯がブレる
壁 → 建具建具は壁の開口部に配置するため、壁が確定していないと建具寸法が決まらない
建具 → 部屋名部屋の輪郭が建具配置で確定するため、面積算出も建具配置後が正確
部屋名 → 寸法・記号寸法・記号は最後にまとめて記入することで、図面全体のバランスを取りやすい

ステップ1: 用紙・縮尺・レイヤテンプレの準備

このステップで決めること

新規ファイルを開いて作図を始める前に、3つの設定を確定させます。

  1. 用紙サイズ(A3 / A2 / A1)
  2. 縮尺(1/100 / 1/50)
  3. レイヤ構成(レイヤ番号と用途の対応)

用紙と縮尺の組み合わせ目安

物件規模用紙縮尺
戸建住宅(30〜40坪)A31/100
中規模住宅・小規模店舗A21/100
詳細平面図(部分図)A21/50
RC造マンション1フロアA11/100

設定方法の詳細は 用紙サイズと縮尺の設定 ※準備中 を参照してください。

レイヤテンプレの確認

このワークフローで使うレイヤ構成は次のとおりです。

レイヤ用途線色
0下書き・補助線線色1(水色)
1通り芯線色1(水色・一点鎖線)
2線色5(紫)
3線色4(黄)
4建具線色3(緑)
5設備記号(後工程)線色6
6寸法線色2(黒)
7文字(部屋名・面積)線色2(黒)
8記号(方位・GL)線色2(黒)

レイヤ構成の全体像と線色運用の根拠は 建築図面のレイヤ分け実践 を参照してください。命名規則の詳細は レイヤ命名規則 で扱います。

PERSCの推奨: 初学者は「通り芯テンプレJWW」「住宅平面図テンプレJWW」を1つ作って、新規物件のたびに「名前を付けて保存」で複製する運用がおすすめです。レイヤ構成と用紙設定が毎回そろうため、毎回ゼロから設定する必要がなくなります。


ステップ2: 通り芯を描く

このステップで完成させること

  • X軸(横方向)の通り芯を1本目から左→右へ
  • Y軸(縦方向)の通り芯を1本目から下→上へ
  • 通り芯番号(X1・X2・X3... / Y1・Y2・Y3...)を円囲みで配置
  • 各通り芯間のスパン寸法を記入(分割寸法+全体寸法の2段書き)

このステップの目安

工程所要
X軸の通り芯(5〜7本)5〜10分
Y軸の通り芯(4〜6本)5〜10分
通り芯番号の円囲み配置5分
スパン寸法の記入5〜10分

接続ポイント: 次のステップ(柱)に必要なもの

柱は通り芯の交点に配置するため、次のステップに進む前に すべての通り芯交点が正確に直角で交わっていること を確認します。具体的には:

  • 「水平・垂直」オプションをオンにして引いた通り芯か
  • X通りとY通りが直角に交差しているか(目視+計測コマンドで角度確認)
  • 通り芯番号が正しい順序で付与されているか

PERSCの推奨: 通り芯を描き終えたら、そのレイヤを プロテクト(紫の×)にしてから次のステップに進みましょう。柱・壁の作図中に誤って通り芯を動かしてしまう事故を完全に防げます。プロテクトは レイヤ状態切替 ※準備中 で詳しく扱います。

詳細手順

通り芯の具体的な描き方(線属性ダイアログ・複線コマンドでのスパン展開・通り芯番号の円囲み・分割寸法と全体寸法の記入)は、専用記事に詳細をまとめています。

詳しい操作は 通り芯の描き方 を参照してください。


ステップ3: 柱を配置する

このステップで完成させること

  • 通り芯の交点に柱を配置(通常 105mm角・120mm角の正方形)
  • 通し柱と管柱の区別(記号や塗りつぶしで識別)
  • 端部柱・中間柱・隅柱の漏れがないか確認

このステップの目安

工程所要
柱レイヤへの切替30秒
1本目の柱を作図(標準形を確定)3〜5分
図形登録 → 全交点に複製配置10〜15分
通し柱・管柱の識別記号付与5分

接続ポイント: 前ステップ(通り芯)から受け取るもの

  • 確定した通り芯マトリクス(プロテクト推奨)
  • スパン寸法(柱の中心位置の参照基準)

接続ポイント: 次のステップ(壁)に必要なもの

壁は柱と柱の間に引かれるため、次のステップに進む前に次の確認を行います。

  • すべての通り芯交点に柱が配置されているか(漏れチェック)
  • 柱の中心が通り芯と完全に一致しているか
  • 柱寸法(105mm角 / 120mm角)が物件規模・構造に合っているか

注意: 柱が通り芯から少しでもズレていると、後で壁を引いたときに「壁芯と通り芯が一致しない」事態になります。柱配置時は必ず通り芯交点に右クリック(読取点スナップ)で配置してください。任意点(左クリック)配置は厳禁です。

木造の柱種別

木造在来軸組では、柱の種類を識別します。

種類説明図面表現
通し柱1階から2階まで通っている柱中心に印(×印・塗りつぶし)
管柱各階で完結する柱通常の正方形のみ
隅柱建物の四隅の柱通し柱として扱うことが多い

詳細手順

柱の具体的な作図方法(矩形コマンドでの作図・図形登録・全交点への複製配置・通し柱記号の付け方)は専用記事にまとめています。

詳しい操作は 柱の作図 を参照してください。


ステップ4: 壁を作図する

このステップで完成させること

  • 外壁(建物の外周を囲む壁)の作図
  • 内壁・間仕切(部屋を仕切る壁)の作図
  • 壁の厚み(150mm程度の在来軸組標準)と壁芯の整合
  • 開口部(ドア・窓を入れる位置)はこの段階では「開けたまま」または「壁を切らずに引いておき後で削除」のいずれか

このステップの目安

工程所要
壁レイヤへの切替+線属性確認1分
外壁の作図(複線コマンドで壁芯から両側)10〜20分
内壁・間仕切の作図15〜30分
壁の交点処理(伸縮・コーナー処理)5〜10分

接続ポイント: 前ステップ(柱)から受け取るもの

  • 確定した柱位置
  • 柱を結ぶ通り芯(壁芯の基準)

接続ポイント: 次のステップ(建具)に必要なもの

建具は壁の開口部に配置されるため、次のステップに進む前に確認します。

  • 外壁の閉じ(建物外周がすべて閉じているか)
  • 内壁・間仕切が部屋として成立する位置に配置されているか
  • 壁の交点が「T字」「十字」「コーナー」で正しく処理されているか

壁の作図方針

Jw_cad で壁を作図する方法は、大きく2通りあります。

方法概要向き
複線で両側展開壁芯(通り芯)から左右に75mmずつ複線外壁・直線壁
2線コマンド1本のクリックで両側の線を同時に作図内壁・間仕切

PERSCの推奨: 木造の壁厚は内法で105mm、仕上込みで150mm前後が標準です。事務所の標準寸法を確認し、複線間隔を統一してから作図開始すると、後で壁厚がバラつく事故を防げます。

詳細手順

壁の具体的な作図方法(2線コマンド・複線コマンド・コーナー処理・開口部の確保・壁の伸縮)は専用記事にまとめています。

詳しい操作は 壁の作図 を参照してください。


ステップ5: 建具を配置する

このステップで完成させること

  • 窓(引違窓・はめ殺し窓・出窓)の配置
  • ドア(玄関・室内ドア)の配置
  • 引戸・折戸など特殊建具の配置
  • 建具の開口幅・建具シンボル(開き勝手の弧線)

このステップの目安

工程所要
建具レイヤへの切替30秒
窓の配置(建具平面コマンド)15〜20分
ドアの配置10〜15分
引戸・特殊建具の配置5〜10分

接続ポイント: 前ステップ(壁)から受け取るもの

  • 確定した壁の位置と厚み
  • 開口部として「壁を切るべき位置」の目安

接続ポイント: 次のステップ(部屋名)に必要なもの

部屋名・面積は部屋の輪郭から算出されるため、次のステップに進む前に確認します。

  • すべての開口部に建具が配置されているか
  • 建具の開口幅が壁の構造寸法に対して整合しているか(910mm / 1820mm 等)
  • 建具シンボル(開き勝手の弧線)の向きが室内側/室外側で正しいか

建具配置の3方式

Jw_cad で建具を配置する方法は3通りあります。

方式概要適用場面
建具平面コマンドJw_cad標準コマンドで開口幅指定窓・ドアの大半
図形登録の建具シンボルを呼び出し事前に登録した建具を貼り付け引戸・特殊建具
線コマンドで個別作図弧線・矩形を組み合わせて作図標準外の特殊建具

Tips: 建具平面コマンドは「見込寸法」(壁厚)と「開口幅」を指定するだけで、壁を切って建具シンボルまで一括描画してくれる便利機能です。標準的な引違窓・片開ドアならこのコマンドだけで作業が終わります。

詳細手順

建具の具体的な配置方法(建具平面コマンド・建具シンボルの登録・開口部の確保・引違窓と片開ドアの区別)は専用記事にまとめています。

詳しい操作は 建具の配置 を参照してください。


ステップ6: 部屋名・面積を記入する

このステップで完成させること

  • 各部屋の中心に部屋名(リビング・寝室・玄関等)を配置
  • 各部屋の床面積(◯㎡または◯帖)を併記
  • 床仕上記号(フローリング・タイル・畳)を記入

このステップの目安

工程所要
文字レイヤへの切替+文字種設定1分
部屋名の配置(5〜10部屋)10〜15分
面積計算と記入5〜10分

接続ポイント: 前ステップ(建具)から受け取るもの

  • 部屋として完成した輪郭(壁+建具で囲まれた閉領域)
  • 各部屋の正確な寸法(面積算出の基準)

部屋名・面積記入の標準

項目表記例配置位置
部屋名「LDK」「主寝室」「玄関」「洗面」部屋の中心
面積「12.5㎡」「7.5帖」部屋名の直下
床仕上「フローリング」「畳」「タイル」部屋名の右側または下段

PERSCの推奨: 部屋名・面積は文字種を統一しましょう。文字種3〜4(高さ3〜4mm程度)が標準です。文字種が部屋ごとにバラつくと図面が雑に見え、提出時の印象が悪くなります。文字種設定の詳細は 文字記入の基本 を参照してください。

詳細手順

部屋名・面積・床仕上記号の具体的な記入方法は専用記事にまとめています。

詳しい操作は 部屋名・面積の記入 ※準備中 を参照してください。


ステップ7: 寸法・記号・最終チェック

このステップで完成させること

  • 外形寸法(建物全体の縦横寸法)の記入
  • 詳細寸法(建具開口幅・部屋寸法)の記入
  • 方位記号(北矢印)の配置
  • GL記号・縮尺記号の配置
  • 最終チェックリストでの確認

このステップの目安

工程所要
寸法レイヤへの切替30秒
外形寸法・詳細寸法の記入10〜20分
方位・記号の配置5分
最終チェック5〜10分

寸法の階層構造

平面図の寸法は3階層で記入するのが標準です。

階層内容配置位置
全体寸法建物外形の縦・横の総寸法図面の最外側
スパン寸法通り芯間の各スパン値全体寸法の内側
詳細寸法建具開口幅・部屋内寸法図面内部または引出

背景: 寸法を3階層で記入する理由は、見る人の関心レベルに応じて情報を階層化するためです。施工担当は全体寸法から確認、設備担当は部屋内寸法から確認、といった使い分けができます。

最終チェックリスト

平面図完成前に、次の項目を必ず確認します。

#チェック項目確認方法
1通り芯と柱の位置がすべて一致各交点を画面拡大して目視
2壁の閉じ(建物外周が連続)に欠けがない外壁を辿って閉領域確認
3建具開口幅と壁構造寸法が整合建具寸法を計測コマンドで確認
4部屋名と面積の整合部屋輪郭と面積値を計測コマンドで照合
5文字種・線色がレイヤテンプレに合致属性確認コマンドで全要素を点検
6寸法線・引出線にダブり・抜けがない寸法レイヤだけ表示して確認
7縮尺記号・方位・GL記号が配置済み図面隅部の有無確認

PERSCの推奨: 最終チェックでは、レイヤを1つずつ単独表示にして点検すると漏れが減ります。「通り芯だけ表示」「壁だけ表示」「文字だけ表示」と切り替えながら確認していくと、各レイヤの完成度が個別に評価できます。

チェック完了後の保存とプロテクト

最終チェックが完了したら、次の処理を行います。

  1. すべてのレイヤをプロテクト(紫の×)にして誤操作を防ぐ
  2. 「名前を付けて保存」で完成版ファイルを別名保存(例: 物件名_平面図_v1.0.jww
  3. 印刷プレビューで線種・線幅を確認

Tips: バージョン管理は「v1.0」「v1.1」のように小数点付き番号を使うと、設計変更が連発する物件でも履歴を追いやすくなります。プロジェクトのファイル命名は事務所標準があればそれを優先してください。


業種別の差異(木造・RC造・鉄骨造)

木造2階建て住宅(標準モデル)

この記事の標準ワークフローはこの業種を前提としています。

  • スパン: 910mm(半間)または1000mm(メーターモジュール)
  • 柱寸法: 105mm角または120mm角
  • 壁厚: 仕上込み150mm前後
  • 工程順: 通り芯→柱→壁→建具→部屋名

RC造マンション

RC造はワークフローの順序は同じですが、以下の差異があります。

工程差異
通り芯スパン5〜7mが標準(住戸割りベース)
RC柱(500mm角〜800mm角)。数は少ない
RC壁が構造壁(200mm厚)、間仕切は乾式壁(100mm厚)と区別
建具サッシ寸法が大きい(窓幅2700mm等)

背景: RC造は壁自体が構造体になるため、木造の「柱で構造を持たせ、壁で空間を仕切る」とは設計思想が異なります。RC造専用のレイヤ構成や寸法体系は、木造とは別テンプレで管理するのが実務的です。

鉄骨造(S造)店舗・小規模事務所

工程差異
通り芯大スパン(6〜9m)
鉄骨柱(H型鋼300×300等)。図面表現は専用シンボル
軽量鉄骨下地+ボード仕上で壁厚が薄い(70〜100mm)
建具大型ガラス・自動ドア・シャッター等の特殊建具が多い

1F平面図と2F平面図の関係

2階建て以上の住宅では、1F平面図と2F平面図を 同一JWWファイルの別グループ(Gp.0が1F、Gp.1が2Fなど)に配置するのが定番です。1F→2Fの順で作図し、通し柱・PS(パイプスペース)・階段の位置を1F・2Fで完全一致させます。

グループ内容
Gp.01F平面図
Gp.12F平面図
Gp.2立面図(後工程)
Gp.3断面図(後工程)

要確認: 1F平面図と2F平面図を別ファイルに分ける運用も一部で見られます。同一ファイル運用と別ファイル運用のメリット・デメリットは事務所方針で判断してください。


実務での使い方 ★PERSC独自

案件着手時のキックオフ手順

新規物件で平面図を描き始める際、PERSC編集部が推奨する手順は次のとおりです。

着手日のチェックリスト

  1. 意匠図のラフスケッチを準備(手書きスケッチ・他CADデータ)
  2. 建物概要をテキストでメモ(建物用途・延床面積・階数・構造種別)
  3. テンプレJWWファイルを複製(通り芯テンプレ・住宅平面図テンプレ等)
  4. 物件専用のフォルダを作成{年}_{物件名}/平面図/ のような階層)
  5. ファイル名を決定(例: 2026_山田邸_1F平面図_v1.0.jww

PERSCの推奨: 着手日に「フォルダ階層・ファイル名・テンプレ複製」までを終わらせておくと、翌日からは作図に集中できます。慣れないうちは「何を準備したか」をテキストファイルに残しておくと、次の物件でも同じ準備が再現できます。

工程ごとの「区切り保存」運用

各ステップ終了時に バージョン番号を上げて別名保存 する運用を推奨します。

バージョン完了時点
v1.1通り芯完了
v1.2柱配置完了
v1.3壁完了
v1.4建具配置完了
v1.5部屋名・面積記入完了
v1.6寸法・最終チェック完了(提出可能版)

Tips: 「区切り保存」をしておくと、ある工程で大きなミスをしても1つ前のバージョンに戻れます。Jw_cad には自動バックアップ機能もありますが、自分で意図的に保存した版の方が、復元時の心理的安心感が違います。バックアップ運用の詳細は 自動バックアップ設定 ※準備中 を参照してください。

設計変更時の差し戻し手順

クライアントから「リビングの間仕切を撤去したい」「窓を増やしたい」などの設計変更が入った場合の標準フローは次のとおりです。

  1. 現状ファイルをコピーして「v2.0」として別名保存
  2. 変更箇所のレイヤだけプロテクト解除
  3. 変更を実施(壁削除・建具追加など)
  4. 影響範囲を点検(部屋名・面積・寸法の更新)
  5. 「v2.1」として完了版を保存

注意: 設計変更は「壁を消した」「建具を追加した」だけで終わらず、部屋名・面積・寸法・建具表・仕上表すべての連動更新が必要です。1箇所変更しただけで終わらせると、図面の整合性が崩れます。変更箇所をチェックリスト化して連動更新を漏れなく行いましょう。

チームでの分業運用

複数人で平面図を分担する場合の典型例:

担当担当範囲
ベテラン通り芯・柱(基礎工程)
中堅壁・建具(造形工程)
若手部屋名・寸法・記号(情報工程)

各担当が完了時にレイヤをプロテクトして次の担当に引き継ぐと、編集事故が起きにくくなります。

PERSCの推奨: 分業時は1ファイルを1人が触る運用が基本です。複数人が同時に1ファイルを編集すると、最後に保存した人の変更だけが残るリスクがあります。同時並行が必要な場合はファイルを分割し、最後に統合する運用を推奨します。

テンプレファイルの整備

平面図を描く案件が増えてきたら、事務所専用のテンプレJWWファイルを整備しましょう。

テンプレ名用途
通り芯テンプレ_910モジュール木造在来軸組
通り芯テンプレ_1000モジュールメーターモジュール住宅
通り芯テンプレ_RC造_5mスパンRCマンション
平面図テンプレ_30坪住宅通り芯+柱+レイヤ構成済み

詳しいテンプレ運用は レイヤテンプレート ※準備中 を参照してください。


つまずきポイント・対処 ★PERSC独自

Q: ステップを飛ばして「いきなり壁から描いてしまった」

→ 後戻り工数が大きいため、できれば最初からやり直しを推奨します。少なくとも次のリカバリは必須です。

  1. 描いた壁を一旦すべて選択 → 削除(または別レイヤに退避)
  2. 通り芯を描く(ステップ2に戻る)
  3. 柱を描く
  4. 壁を再作図(退避していた壁を参考に位置調整)

注意: 「いきなり壁」をリカバリせずにそのまま続けると、寸法ズレ・柱位置のあいまいさが図面全体に蓄積します。提出時に手戻りが大きくなるため、初期段階で気付いたら早めにやり直す方が結果的に時間が短縮されます。

Q: 通り芯の交点に柱を配置したのに、壁を引いたら壁芯と通り芯がズレる

→ 柱配置時に「読取点スナップ」(右クリック)でなく「任意点」(左クリック)で配置している可能性があります。柱を一度すべて削除して、必ず通り芯交点に右クリックスナップで再配置してください。読取点と任意点の違いは 読取点・任意点の使い分け を参照してください。

Q: 部屋名を入れたら、壁の位置を変更したくなった

→ 設計変更フローと同じ手順で対応します。

  1. 現状をバージョン保存(v1.6 → v2.0)
  2. 関係するレイヤ(壁・建具・部屋名)のプロテクトを解除
  3. 壁を変更
  4. 建具を再配置(必要に応じて)
  5. 部屋名・面積を再計算して再配置
  6. 寸法を更新

PERSCの推奨: 設計変更が頻繁に発生する物件では、部屋名・面積記入を最終工程に回す運用も有効です。壁・建具が確定するまで部屋名を入れないことで、再記入の手間を減らせます。

Q: 1Fと2Fで通し柱の位置がズレた

→ 1F平面図を完成させた後、2F平面図を作る際に 1Fの通り芯と柱を表示状態で残しておく のが鉄則です。具体的な操作は次のとおり。

  1. 2F平面図のグループ(Gp.1)に書き込み切替
  2. 1Fのグループ(Gp.0)のうち通り芯レイヤと柱レイヤを 表示のみ にする
  3. 2Fの通り芯を1Fと同じ位置に複製(または1Fをコピー)
  4. 通し柱の位置を1F柱と完全一致で配置

レイヤグループの状態切替の詳細は レイヤグループ操作 を参照してください。

Q: 全工程を終えたあと、印刷したら線種・線幅がおかしい

→ 線色と印刷線幅の対応が事務所標準と合っていない可能性があります。次の手順で確認します。

  1. メニューバー「設定」→「基本設定」→「色・画面」タブで線色ごとの印刷時太さを確認
  2. 線色2(黒)が中太、線色1(水色)が細線、線色5(紫)が太線になっているか
  3. 必要に応じて事務所標準に合わせて調整

詳細は 線色運用ルール ※準備中 を参照してください。

Q: 平面図完成後、立面図・断面図に展開したいが工程が分からない

→ 平面図ができていれば、立面図・断面図は平面図を基準として展開できます。基本のフローは次のとおり。

  1. 平面図を別グループ(Gp.2など)に下絵としてコピー
  2. 平面図の柱・壁・建具位置から 垂直に補助線 を上に引く(立面図の場合)
  3. 補助線を基準に立面図の外形を描く

詳細は 立面図の描き方 ※準備中 と 断面図の描き方 ※準備中 を参照してください。

Q: 大規模物件でステップ4(壁)が終わらない

→ 壁の作図が30分を大きく超える場合、次の効率化を試してください。

  1. 2線コマンド(1クリックで両側線を同時作図)を活用
  2. コーナー処理コマンドで壁の交点を一括処理
  3. 複線コマンドで壁芯から両側展開(特に直線壁が多い物件)

詳しい高速化Tipsは 効率化Tips集 ※準備中 を参照してください。

Q: チーム共有時、他のメンバーから「レイヤ構成が違う」と言われた

→ 事務所内でレイヤ構成が統一されていない可能性があります。次の対応を推奨します。

  1. 受領ファイルのレイヤ構成を確認
  2. 「属性変更」コマンドで自社標準に再配置
  3. 事務所内でレイヤテンプレを統一する合意形成

レイヤ構成の標準化については 建築図面のレイヤ分け実践レイヤ命名規則 を参照してください。


関連項目


まとめ

  • 平面図ワークフローは 通り芯→柱→壁→建具→部屋名→寸法 の7ステップ構成
  • 木造2階建て30坪規模で 2〜4時間 が所要目安。慣れれば2時間以内に短縮できる
  • 工程順を守ることで、各ステップの出力が次の入力になり後戻りが最小化される
  • 各ステップ終了時に 対象レイヤをプロテクト して、次工程での誤操作を防ぐ
  • ステップごとに バージョン番号を上げて別名保存 すると、設計変更時の差し戻しが容易
  • RC造・鉄骨造でも工程順は同じ。スパン・柱寸法・壁厚が変わるだけ
  • 1Fと2Fは同一JWWファイルの別グループに配置し、通し柱位置を完全一致させる
  • 各工程の詳細手順は専用記事(12-2〜12-6)に委譲。この記事は工程の俯瞰と接続部分に集中