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角度を指定した線の作図(15度毎含む)
このコマンドでできること
Jw_cadの「線」コマンドで、コントロールバーの**「傾き」入力欄に角度を直接入力したり、「15度毎」チェックボックス**をオンにしたりすることで、任意の角度に固定された直線を作図できるようになります。手作業のマウス操作では難しい正確な斜め線(屋根勾配・斜め壁・敷地境界線など)も、数値1つで一発で決められます。
背景: 建築図面では「真北方向の敷地境界線(例: 北から東に23度)」「屋根勾配の野地板ライン(4寸勾配≒21.8度)」など、水平・垂直以外の角度線が頻出します。マウスのフリーハンドでは0.1度単位の精度を出せないため、角度指定は実務で必須の操作です。
起動方法(線コマンド)
線コマンドの基本起動・始点終点の指示は 線コマンドの基本(始点・終点・水平垂直) で扱います。この記事では、線コマンドが起動済みの状態から角度を指定する操作に絞って解説します。
おさらいとして、線コマンドの起動方法は次の3通りです。
| 方法 | 操作 |
|---|---|
| メニューバー | 「作図」→「線」 |
| ツールバー | 左側ツールバーの「/」アイコンをクリック |
| ショートカット | 標準では割り当てなし(基本設定でカスタマイズ可) |
線コマンドを起動すると、画面上部のコントロールバーに「水平・垂直」「傾き」「寸法」「15度毎」などの項目が表示されます。
画像準備中 — 線コマンド実行直後のコントロールバー全体(「傾き」「15度毎」を矢印で示す)
角度指定の方法は2系統ある
線コマンドで角度を制御する方法は、目的別に大きく2系統あります。それぞれ動作が異なるので、用途に合わせて使い分けることが大切です。
| 方法 | 操作場所 | 動作 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 傾き入力 | コントロールバー「傾き」欄に数値入力 | 入力した角度に完全固定。マウスを動かしても角度は変わらない | 図面上の特定角度(例: 23度、4寸勾配)を1本だけ正確に引く |
| 15度毎 | コントロールバー「15度毎」にチェック | マウスの動きに合わせて15度刻みでスナップ。0/15/30/45/60/75/90...で吸着 | 放射状のスケッチ、概念図、プレゼン用の補助線 |
両者は併用も可能です(後述の「派生パターン」を参照)。
基本操作1: 「傾き」入力で角度を固定する
手順サマリー(全5ステップ)
| # | 操作 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | 線コマンドを起動 | 数秒 |
| 2 | コントロールバー「傾き」欄をクリック | 数秒 |
| 3 | 角度を半角数字で入力 | 数秒 |
| 4 | 始点を左クリック(または右クリックで読取点) | 数秒 |
| 5 | 終点側へマウスを動かして左クリック | 数秒 |
手順1: 線コマンドを起動する
ツールバーの「/」アイコンをクリックして線コマンドを起動します。
手順2: 「傾き」入力欄をクリック
コントロールバーの「傾き」と書かれたテキストボックスを左クリックして、入力フォーカスを移します。
画像準備中 — コントロールバーの「傾き」入力欄にフォーカスが移った状態
手順3: 角度を半角数字で入力
例えば水平から上方向に30度傾いた線を引きたい場合、「30」と半角で入力します。
Tips: プラスの値(0〜359)は反時計回り、マイナスの値(例: -30)は時計回りを表します。「-30」と入力するのと「330」と入力するのは結果として同じ向きの線になります。
手順4: 始点を指示する
作図ウィンドウ上で、線の始点としたい位置を左クリックします。既存の点や線端に合わせたい場合は右クリックで読取点を取ります。
手順5: 終点側へマウスを動かして確定
始点を指示すると、入力した角度で赤い仮線が固定されて伸びます。終点としたい方向にマウスを動かし、左クリック(読取点なら右クリック)で確定します。
画像準備中 — 「傾き」に30と入力した状態で始点指示後、30度の仮線が表示されている様子
注意: 「傾き」を指定した状態でも、マウスが始点よりも反対側にある場合は、入力角度+180度の方向に線が伸びます。例えば「傾き=30」で始点の右上にマウスがあれば30度方向、左下にマウスがあれば210度方向の線になります。どちらの向きに引きたいかは、始点とマウス位置の関係で決まります。
基本操作2: 「15度毎」でスナップさせる
手順サマリー(全4ステップ)
| # | 操作 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | 線コマンドを起動 | 数秒 |
| 2 | コントロールバー「15度毎」にチェック | 数秒 |
| 3 | 始点を左クリック(または右クリックで読取点) | 数秒 |
| 4 | マウスを動かすと15度刻みで仮線がスナップする → 左クリックで確定 | 数秒 |
手順1: 線コマンドを起動する
ツールバーの「/」アイコンから線コマンドを起動します。
手順2: 「15度毎」にチェックを入れる
コントロールバーの「15度毎」チェックボックスを左クリックしてオンにします。
画像準備中 — コントロールバー「15度毎」にチェックが入った状態
手順3: 始点を指示する
作図ウィンドウ上で線の始点を左クリック(または読取点なら右クリック)で指示します。
手順4: マウスを動かして15度刻みでスナップさせる
始点を指示後、マウスを移動すると、水平から15度刻み(0/15/30/45/60/75/90/105...)に角度が吸着します。引きたい方向で左クリック(読取点なら右クリック)して確定します。
画像準備中 — 「15度毎」オンで始点指示後、マウス移動につれて15度刻みに角度がスナップする様子(複数フレーム)
Tips: 「15度毎」はマウスの位置が15度の境界をまたぐ瞬間にカチッと角度が切り替わります。マウスを少し動かすだけで角度が変わるので、画面上の細かい位置調整は不要です。45度の屋根線や30度・60度の補助線を目分量で素早く引きたいときに最適です。
コントロールバーの設定項目(角度関連)
| 項目 | 意味 | 入力例/挙動 |
|---|---|---|
| 傾き | 始点を中心に、水平右方向(X+)から反時計回りに測った角度(度) | 30, 45, -30, 135 |
| 15度毎 | チェックON時、15度刻みでスナップする | チェックボックス(ON/OFF) |
| 水平・垂直 | チェックON時、0/90/180/270度に固定 | チェックボックス(ON/OFF)。詳細は 線コマンドの基本 へ |
背景: 「傾き」の角度0度は画面の右方向(X+方向)が基準です。これは数学の極座標表現と同じで、反時計回りがプラスです。建築図面で「北を上にして時計回りで方位角を測る」習慣とは回転方向が逆なので、最初は混乱しがちです。
派生パターン
パターンA: 「傾き」と「15度毎」を併用する
「15度毎」にチェックを入れた状態で「傾き」欄に数値を入れると、15度の倍数に「傾き」入力値を加算した角度でスナップします。
たとえば「傾き=5」「15度毎=ON」にすると、角度は 5/20/35/50/65/80/95... と、15度刻みに5度分オフセットされた値で吸着します。
要確認: この併用挙動は s-projects/line.md の記述に基づきます。実機での動作確認が必要です。
Tips: 軸角を回さずに、特定の起点角度から15度刻みのスナップを使いたいときに便利です。例えば敷地境界角が23度なら「傾き=23」「15度毎=ON」で、23/38/53/68度...に吸着できます。
パターンB: よく使う角度(30度/45度/60度)の入力例
| 用途 | 「傾き」入力値 |
|---|---|
| 一点透視図の補助線(45度) | 45 |
| 等角投影(アイソメ)の30度/150度 | 30 または 150(または -30 で逆方向) |
| 矩形の対角線(60度・正三角形) | 60 |
| 4寸勾配(屋根勾配)の野地ライン | 21.8(4/10 = 0.4 → arctan(0.4) ≈ 21.80度) |
| 5寸勾配 | 26.57 |
| 矩計図のハッチング | 45(一般)/30(コンクリート系) |
PERSCの推奨: 屋根勾配のような端数を含む角度は、図面ごとに使い回しが発生します。よく使う値はメモアプリやJw_cadの「[傾き]プルダウン」(実機検証要)に登録しておくと、毎回計算しなくて済みます。
パターンC: 負の角度(マイナス)を使う
「傾き」欄にマイナスの値を入れると、時計回り方向の角度として扱われます。
| 入力値 | 等価な正角度 | 線の方向 |
|---|---|---|
-30 | 330 | 水平から下方向に30度 |
-45 | 315 | 水平から下方向に45度 |
-90 | 270 | 真下(垂直下向き) |
Tips: 「下方向に30度」を表現したいとき、「-30」と入れる方が頭の中の方向と一致しやすく、入力ミスが減ります。「330度」と「-30度」は完全に等価なので、好きな書き方で大丈夫です。
パターンD: 軸角を回した状態で角度指定する
軸角を設定する と、画面の水平・垂直方向そのものが回転します。この状態で線コマンドを使うと、「傾き」欄の値は軸角を基準とした相対角度として扱われます(軸角の方向=0度として扱われる挙動)。
要確認: 軸角設定中の「傾き」の解釈(軸角基準の相対角度かどうか)は実機で要確認です。バージョン間で挙動が異なる可能性があります。
Tips: 敷地が23度傾いている図面では、軸角を23度に設定しておけば、敷地に平行な線は「傾き=0」、敷地に直交する線は「傾き=90」で引けます。複雑な角度計算をその都度しなくて済むので、傾いた敷地の作図効率が大きく上がります。
角度指定後の確定操作と入力欄からの戻り方
「傾き」欄に数値を入力した後、すぐに作図ウィンドウ上で始点をクリックすればそのまま確定されます。Enterキーを押す必要はありません(押してもエラーにはなりません)。
要確認: 「傾き」入力後、フォーカスを作図ウィンドウに戻す確実な方法(Tabキー/Enterキー/作図ウィンドウクリックの順)は実機で要確認。
入力した「傾き」を解除して任意角度に戻したいときは、「傾き」欄をクリックして値を全選択し、Delete キーまたは Backspace キーで空欄にします。空欄になれば、マウスの動きに合わせて任意の角度で線が引ける状態に戻ります。
注意: 線コマンドを別のコマンド(例: 矩形)に切り替えても、「傾き」の数値はコマンド間で共有保持される場合があります。意図しない角度線が描かれて困ったときは、まず「傾き」欄が空欄になっているか確認しましょう。
書込線属性との関係
「傾き」や「15度毎」で角度を指定して引いた線は、その時点での**書込線属性(線色・線種)**で作図されます。線色や線種を変えたいときは、線コマンド起動の前後どちらでも構わないので、線属性を変更する で書込線色・線種を切り替えてから作図します。
PERSCの推奨: 屋根勾配ラインなどの斜め線は、平面図上では補助的な役割を持つことが多いです。**補助線レイヤ+細線(線色6)**にしておくと、印刷時に主役の壁線と区別しやすくなります。
実務での使い方 ★PERSC独自
屋根勾配ラインを正確に引く
矩計図(かなばかりず:建物の断面詳細図)で屋根勾配を表現するときは、勾配数値(例: 4寸勾配=4/10)から角度に換算して「傾き」に入力します。
| 勾配 | 比率 | 角度(度) |
|---|---|---|
| 2寸勾配 | 2/10 | 11.31 |
| 3寸勾配 | 3/10 | 16.70 |
| 4寸勾配 | 4/10 | 21.80 |
| 5寸勾配 | 5/10 | 26.57 |
| 6寸勾配 | 6/10 | 30.96 |
| 10寸勾配 | 10/10 | 45.00 |
棟(むね:屋根の最頂部)の点を始点にして「傾き=-21.8」(4寸勾配の野地下り方向)と入力すれば、軒先まで一発で正確な勾配ラインが引けます。
敷地境界線(角度付き)の入力
敷地測量図には「N23°15'30"E」のような方位角・分・秒の表記があります。この場合、まず度に換算します(23 + 15/60 + 30/3600 ≈ 23.258度)。
ただし、Jw_cadの「傾き=0」がX+方向(東)であるのに対し、測量の方位角は北基準で時計回りです。そのため、測量での「N23°E」(北から東へ23度)は、Jw_cadの傾きでは 90 - 23 = 67度 に相当します。
Tips: 敷地全体を回転させて作図したい場合は、軸角設定で23度などに回しておく方が、各境界線ごとに角度換算するよりずっとラクです(軸角の使い方は 軸角を設定する を参照)。
階段の踏面ラインを15度毎で素早く引く
打ち合わせ用の概念スケッチで「階段はだいたい30度の登り勾配」と表現したいときは、「15度毎=ON」にしてマウスで30度方向にスナップさせるのが最速です。正確さが必要な実施図とは別に、プレゼン段階のラフ図で重宝します。
構造ブレース(筋交い)の45度線
木造軸組図で柱間の筋交い(ブレース)を表現するときは、「傾き=45」または「傾き=-45」で柱頭・柱脚を結ぶラインを引きます。15度毎チェックでも45度はスナップ対象なので、「15度毎=ON」でマウスで方向を選ぶ方が早い場合もあります。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 「傾き」に数値を入れたのに、線がその角度にならない
→ 以下を順に確認してください。
- 「水平・垂直」のチェックが外れているか確認(水平・垂直オンの場合、「傾き」入力値は90度刻みの方向と組み合わさって最大8方向に制限されます)
- 軸角が0以外に設定されていないか確認(軸角を回している場合、「傾き」は軸角基準の相対角度として解釈される可能性があります)
- 入力値が全角数字になっていないか確認(半角数字で入れ直し)
Q: 「傾き」に入れた角度と逆向きに線が引かれてしまう
→ 「傾き=30」で始点を打った後、マウスが始点の左下にあると 30+180=210度 の方向に線が伸びます。右上方向にマウスを動かしてから左クリックすれば、意図した30度方向に引けます。
Q: 「15度毎」をオンにしたのに、15度に吸着しない
→ 同時に「水平・垂直」がチェックされていないか確認してください。s-projects/line.md の記載によれば、「15度毎」と「水平・垂直」の両方がチェックされている場合は 「15度毎」が優先されます(「水平・垂直」の方が無視される)。実機挙動と異なる場合は実機を正としてください。
Q: 図面上の既存の斜め線と同じ角度で別の線を引きたい
→ 既存線の角度を「傾き」欄に手入力するのではなく、「線角度取得」機能を使うのが正解です。メニューバー「設定」→「角度取得」→「線角度」で対象線をクリックすると、「傾き」欄にその線の角度が自動入力されます。詳しくは 角度取得の使い方 を参照。
Q: 「傾き」を一度入れると、他のコマンドに切り替えても残ってしまう
→ コントロールバーの「傾き」欄はコマンド間で値を共有する場面があります。意図しない斜め線が描かれて困ったら、線コマンドに戻り「傾き」欄をクリック → Delete キーで空欄にしてください。
Q: 端数のある角度(例: 21.80度)で「傾き」に入れる時、小数点はどう書く?
→ 半角の「.」(ピリオド)で 21.80 と入力します。全角ピリオドや読点(、)はエラーになります。小数第2位までは確実に認識されます(それ以降の桁は実機要確認)。
関連項目
- 線コマンドの基本(始点・終点・水平垂直) — 角度を指定しない通常の線の引き方
- 長さを指定して線を作図する — 「寸法」欄に長さを入れる
- 端点・矢印付きの線 — 線の端に矢印や実点を付ける
- 軸角を設定する — 図面全体を回転させた状態で作図する
- 線属性を変更する — 書込線色・線種の切り替え
- 角度取得の使い方 — 既存線から角度を読み取る
- トラブルシュート: 思い通りの方向に線が引けない ※準備中
まとめ
- 角度指定の方法は2系統。「傾き」入力で固定 / 「15度毎」でスナップを用途で使い分け
- 「傾き=0」は画面の右方向(X+)。反時計回りがプラス、時計回りはマイナス(または360-x)
- 「傾き」と「15度毎」は併用可能。
傾き=23 + 15度毎=ONなら 23/38/53...にスナップ - 屋根勾配や敷地境界など、実務で角度線は頻出。よく使う角度(21.80/26.57/45)は覚えておくと早い
- 入力した「傾き」はコマンド間で残ることがある。意図しない斜め線が出たら、まず「傾き」欄を空欄に