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寸法線の傾き・引出線角度
このコマンドでできること
Jw_cadの「寸法」コマンドで、コントロールバーの「傾き」欄に角度を入力したり、「0°/90°」切替ボタン・「引出角」ボタンを使ったりすることで、水平・垂直以外の任意の角度に向いた寸法線と、斜めに伸びる引出線を作図できるようになります。傾いた屋根の勾配寸法、斜め通り芯の建物寸法、敷地境界線に沿った寸法など、図面上で「水平でも垂直でもない寸法」が必要な場面のすべてに対応できます。
背景: 建築図面では「軒の出(傾いた屋根面に対する直角寸法)」「斜め45度に振れた建物の壁芯寸法」「敷地境界線(北から東へ23度)に平行な道路境界寸法」など、水平・垂直以外の角度線に沿って寸法を入れる場面が多くあります。手作業のマウスでは正確な傾き角度を出せないため、寸法コマンドの「傾き」入力は実務で必須の操作です。
注意: この記事は寸法線の角度・引出線の角度に絞った内容です。寸法コマンドの起動方法・始点と終点で寸法を書く基本手順は 直線寸法の基本(始点・終点・引出線) を参照してください。引出線の端部形状(矢印・点)と小数桁の細かい設定は 引出線・端部形状(矢印・点・小数桁) で扱います。
角度を扱う3つのUIと役割の違い
寸法コマンドのコントロールバーには、角度に関わる項目が3つあります。それぞれ役割が異なるので、最初に整理しておきましょう。
| UI | 操作場所 | 何が変わるか | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 傾き 入力欄 | コントロールバーの「傾き」テキストボックスに角度を半角入力 | 寸法線そのものの方向が指定角度に固定される | 斜め屋根の勾配方向の寸法、斜め敷地に平行な寸法 |
| 0°/90° 切替ボタン | 「傾き」横のボタンをクリック | 「傾き」値をワンクリックで0または90に切り替える | 通常の水平・垂直寸法と斜め寸法を素早く往復したいとき |
| 引出角 ボタン | 寸法線位置を指示した後の同一ボタンをクリック | 引出線の角度だけが指定値(0/30/45/-45/-30)に変わる。寸法線の角度は変わらない | 細かい部位の寸法を見やすくする(機械図面風)、寸法線の混雑を避ける |
背景: 「傾き」と「引出角」は別々の角度で、寸法線と引出線を独立に制御できる仕組みになっています。両方を使い分けることで、傾いた寸法線に対して引出線だけを別の角度で出す表現も可能です。
「傾き」で寸法線の角度を固定する
傾き指定の作図サマリー(全6ステップ)
| # | 操作 | 所要 |
|---|---|---|
| 1 | 寸法コマンドを起動 | 数秒 |
| 2 | コントロールバー「傾き」欄を左クリック | 数秒 |
| 3 | 角度を半角数字で入力(例: 20) | 数秒 |
| 4 | 引出線の開始位置を左クリック(読取点なら右クリック) | 数秒 |
| 5 | 寸法線の位置を左クリック(読取点なら右クリック) | 数秒 |
| 6 | 寸法の始点・終点を右クリックで指示 → 寸法が確定 | 数秒 |
合計: 慣れれば1本の傾き寸法を15秒程度で確定できます。
画像準備中 — 「傾き」指定で寸法を作図する全体フロー(傾き入力→引出線位置→寸法線位置→始点→終点→確定)
手順1: 寸法コマンドを起動
ツールバーの「寸法」アイコン、またはメニューバー「作図」→「寸法」で寸法コマンドを起動します。コントロールバーが寸法用の表示に切り替わり、「傾き」「0°/90°」「=」「端部」「小数桁」などのボタンが並びます。
画像準備中 — 寸法コマンド起動時のコントロールバー全体(「傾き」欄と「0°/90°」ボタンの位置にマーカー)
手順2: 「傾き」欄に角度を入力
コントロールバーの「傾き」と書かれたテキストボックスを左クリックし、入力フォーカスを移します。続けて、寸法線を傾けたい角度を半角数字で入力します。
例えば、水平から反時計回りに20度傾いた寸法線を作図したい場合は 20 と入力します。
Tips: プラスの値(0〜359)は反時計回り、マイナスの値(例:
-30)は時計回りを表します。線コマンド・矩形コマンドの「傾き」と完全に同じ向きの取り方なので、それらに慣れている方はそのまま同じ感覚で入力できます。
画像準備中 — 「傾き」欄に `20` と入力した状態
手順3: 引出線の開始位置を指示
寸法を測りたい部位の端点近くで、引出線の開始位置を左クリック(既存の点や線端に合わせたい場合は右クリックで読取点)します。
手順4: 寸法線の位置を指示
引出線をどの位置まで伸ばすか、寸法線(数値が並ぶ線)を引きたい位置で左クリック(読取点なら右クリック)します。
Tips: 引出線開始位置から寸法線位置までの間隔は、現在の寸法設定(寸法設定)で決まる場合と、実際にクリックした位置で決まる場合があります。寸法コマンドのコントロールバー「=」ボタンで切り替えできるので、設定値で揃えたい場面と任意の位置で取りたい場面を使い分けます。
手順5: 寸法の始点と終点を指示
寸法を測りたい区間の始点・終点を右クリックで読取り指示します。寸法線が手順2で入力した「傾き」角度に沿って自動的に作図され、寸法値も同じ角度に揃います。
画像準備中 — 「傾き=20」で作図した寸法線(屋根勾配のような斜めの寸法線が確定した状態)
手順6: 続けて同じ傾きで寸法を入れる
寸法が1本確定すると、コマンドはそのまま次の寸法を待ち受ける状態に戻ります。「傾き」欄の値も保持されたままなので、同じ傾きの寸法を続けて何本でも作図できます。違う傾きに切り替えたい場合は、再び「傾き」欄をクリックして数値を書き換えます。
注意: 「傾き」欄に数値が残ったままで通常の水平寸法を入れようとすると、意図せず斜めの寸法線になります。水平寸法に戻したいときは「傾き」欄を
0にするか、空欄にするのが安全です。空欄にする手順は後述「入力した『傾き』のクリア・書き換え」を参照してください。
「0°/90°」ボタンでワンクリック切替
「傾き」欄の隣にある「0°/90°」切替ボタンをクリックすると、傾き値が 0 と 90 の間でワンクリック切り替わります。
| ボタンクリック前の「傾き」 | クリック後の「傾き」 |
|---|---|
| 0(水平)または空欄 | 90(垂直) |
| 90(垂直) | 0(水平) |
| その他の値(例: 20) | 0(水平)に戻る |
Tips: 通常の図面では水平寸法と垂直寸法を交互に入れる場面が多いため、「傾き」欄を毎回クリックして数値を書き換えるよりも、「0°/90°」ボタン1つで切り替えるほうが速いです。マウスポインタを動かす量が減り、入力ミスも起きにくくなります。
要確認: ボタンの表記は
0°/90°形式と0/90形式の両方が参考サイトで見られます。実機で正確な表記(°の有無・全角/半角)を確認します。
画像準備中 — 「0°/90°」ボタンクリック前後の傾き値の変化
「引出角」で引出線だけを傾ける
寸法線位置を指示した後、コントロールバーの同じボタン(「0°/90°」と表示されていた位置)が「引出角 0」のボタンに変わります。このボタンをクリックすると、引出線の角度だけを固定値で切り替えられます。
引出角の巡回順
ボタンをクリックするたびに、引出角の値は以下の順で巡回します。
| クリック回数 | 引出角の値 | 引出線の方向 |
|---|---|---|
| 0回(初期) | 0 | 寸法線に直角(通常の引出し) |
| 1回 | 30 | 寸法線から30度傾けた方向 |
| 2回 | 45 | 寸法線から45度傾けた方向 |
| 3回 | -45 | 寸法線から-45度(逆45度)の方向 |
| 4回 | -30 | 寸法線から-30度(逆30度)の方向 |
| 5回 | 0 に戻る | 通常の引出し |
背景: 引出角は「寸法線に対する相対角度」です。寸法線が水平(傾き=0)のとき、引出角=30 にすれば引出線は寸法線から30度傾いた斜めに伸びます。寸法線が傾いている(例: 傾き=20)場合は、その傾いた寸法線を基準にしてさらに30度斜めに伸びます。
引出角を変える操作手順
- 寸法コマンドを起動
- 引出線の開始位置・寸法線の位置を順に指示
- 寸法線位置を指示した直後、コントロールバーのボタン表示が「引出角 0」に切り替わったことを確認
- 「引出角 0」ボタンをクリックして、希望の角度(30/45/-45/-30)に切り替える
- 寸法の始点・終点を右クリックで指示すると、引出線が指定角度で作図される
画像準備中 — 「引出角 30」に切り替えた状態と、その引出角で作図された寸法(引出線が30度斜めに伸びている様子)
要確認: 引出角ボタンの初期表示文言は「引出角 0」「引出線 0」「引出角度 0」のいずれかが各サイトで揺れています。実機での正確な文言を確認します。
Tips: 引出角は「寸法線が混み合って引出線同士がぶつかるとき」に使うと効果的です。同じ部位の寸法を複数並べる場合、引出角を30や45にすると引出線が斜めに広がり、視認性が上がります。
寸法線位置指示の前後でも「傾き」は変更可
s-projectsの記述によれば、傾きは引出線・寸法線の位置を指示した後でも変更可能です。寸法線位置を指示してから「傾き」欄を書き換えると、それ以降に作図される寸法線がその新しい角度で確定します。
Tips: 「先に水平寸法を1本入れたあと、続けて同じ位置から斜め寸法も入れたい」場面で役立ちます。寸法線位置を指示済みの状態で「傾き」を変えれば、引出線開始位置の指示からやり直さずに済みます。
要確認: 寸法線位置指示後の「傾き」変更が、すでに表示されている仮線にも反映されるか/次の作図から反映されるかは実機で確認します。
コントロールバーの設定項目(角度関連)
| 項目 | 意味 | 入力例/挙動 |
|---|---|---|
| 傾き | 寸法線の方向。水平右方向(X+)から反時計回りに測った角度(度) | 20, 45, -30, 90 |
| 0°/90° | 「傾き」値を 0 または 90 にワンクリック切替 | ボタンクリックでトグル |
| 引出角 | 寸法線に対する引出線の相対角度。寸法線位置指示後に切替可能 | ボタンクリックで 0→30→45→-45→-30→0 巡回 |
背景: 「傾き=0」は**画面の右方向(X+方向)**が基準で、反時計回りがプラスです。これは線コマンド・矩形コマンドなど、Jw_cadで角度を扱うすべてのコマンドで共通の規約です。建築図面で「北を上にして時計回りで方位角を測る」習慣とは回転方向が逆なので、最初は混乱しがちです。詳しい考え方は 角度を指定した線の作図(15度毎含む) を参照してください。
軸角を回した状態で寸法を入れる
軸角を設定する と画面の水平・垂直方向そのものが回転します。傾いた敷地・斜め通り芯の建物では、軸角を建物の主軸に合わせて回しておくのが定石です。
軸角を回した状態で寸法コマンドを使うと、「傾き=0」が**軸角の方向(建物に平行)**として扱われます。建物の長辺方向の寸法を入れたいときは、わざわざ「傾き」に角度を入れる必要はなく、通常の水平寸法と同じ感覚(傾き=0)で作図できます。
| 軸角 | 「傾き」値 | 作図される寸法線の方向 |
|---|---|---|
| 0度 | 0 | 画面水平 |
| 0度 | 20 | 画面水平から反時計回りに20度傾いた寸法線 |
| 23度 | 0 | 軸角に沿った水平(画面上は23度傾いて見える) |
| 23度 | 90 | 軸角に直交する垂直(画面上は113度傾いて見える) |
| 23度 | 20 | 軸角を含めた合計43度の方向(要実機確認) |
要確認: 軸角設定中の「傾き」値が「軸角を含めた絶対角度」か「軸角からの相対角度」かはバージョン差の可能性があります。実機で確認します。
PERSCの推奨: 敷地・建物全体が傾いている案件では、寸法ごとに「傾き」を個別入力するよりも、先に軸角を建物主軸に合わせて回しておくほうが大幅に効率的です。軸角を回せば建物の長辺方向は「傾き=0」、短辺方向は「傾き=90」、または「0°/90°」ボタンで切り替えるだけで済みます。詳しくは 軸角を設定する を参照。
既存線の角度を「傾き」欄に取り込む(角度取得)
既存の線(敷地境界線・斜め通り芯など)と平行な寸法線を作図したいときは、目分量で角度を読み取って「傾き」欄に入力するのではなく、角度取得機能を使うのが正解です。
メニューバー「設定」→「角度取得」→「線角度」で対象の既存線をクリックすると、コントロールバー「傾き」欄にその線の角度が自動入力されます。寸法コマンドが起動した状態でも実行可能で、取得後はそのまま寸法の作図に進めます。
詳しい操作は 角度取得の使い方 を参照してください。
Tips: 角度取得を使うと、敷地測量図の境界線(例: N23°15'30"E のような分秒表記)からも、画面上の線をクリックするだけで正確な角度を取得できます。手計算で度・分・秒を10進度に換算する手間が省けます。
PERSCの推奨: 敷地境界寸法・斜め屋根の野地板寸法・斜め通り芯の建物寸法など、既存の斜め線が図面上にすでに描かれている場合は、必ず角度取得を使ってください。手入力で
21.8のような端数を入れると、敷地境界線そのものの角度(例: 21.801度)と微妙にずれて、寸法線が境界線に完全平行にならない事故が起きます。
入力した「傾き」のクリア・書き換え
「傾き」欄に一度数値を入れると、寸法コマンドを抜けて再び寸法コマンドに戻ったときも、その値が残った状態になることがあります。意図しない斜め寸法を防ぐため、クリア手順を覚えておきましょう。
クリア手順
- 「傾き」入力欄を左クリックしてカーソルを置く
Ctrl + Aで全選択 →DeleteまたはBackspaceで削除- 空欄になったか、または
0を入力して水平寸法に戻したことを確認
または、「0°/90°」切替ボタンをクリックして傾きを 0 に戻す方法でも同じ効果があります(こちらのほうが速い場合が多いです)。
別角度に書き換える場合
クリアしてから入力し直すよりも、「傾き」欄をダブルクリックで全選択してから直接タイプしたほうが速いです。全選択された状態でキー入力すると元の数値が上書きされます。
注意: 「傾き」欄が
0でない値のまま寸法を作図すると、入力済みの角度で寸法線が固定されます。「マウスで自由に寸法線位置を指示しているのに、なぜか斜めの寸法線になる」ときは、まず「傾き」欄の値を確認してください。
要確認: 「傾き」欄の値がJw_cad終了時まで保持されるか、コマンド切替で自動クリアされるかを実機で確認します。線コマンド・矩形コマンドの「傾き」と寸法コマンドの「傾き」が同じ値を共有するかどうかも合わせて検証します。
画像準備中 — 「傾き」欄に値が残っている状態と、クリア後の空欄状態の比較
派生パターン
パターンA: 屋根勾配ラインに沿った直角寸法(軒の出など)
斜めの屋根面(4寸勾配=21.80度など)に対して直角方向の寸法を入れたいときは、屋根勾配方向に沿って「傾き」を指定するのではなく、直角方向に90度足した値を入れます。
| 屋根勾配 | 屋根面の傾き | 直角寸法の「傾き」値 |
|---|---|---|
| 4寸勾配 | 21.80 | 21.80 + 90 = 111.80(または -68.20) |
| 5寸勾配 | 26.57 | 26.57 + 90 = 116.57 |
| 10寸勾配 | 45.00 | 45.00 + 90 = 135.00 |
Tips: 直角寸法の値を毎回計算するのが面倒な場合は、屋根勾配ラインを1本引いてから角度取得 → そのまま寸法コマンドに切り替えると、取得した値に手動で90を加算するだけで直角寸法の傾きが求まります。
パターンB: 敷地境界線に平行な道路境界寸法
敷地境界線(北辺・南辺など)に沿った寸法(道路境界寸法・隣地境界寸法)を入れる場合は、境界線そのものから角度取得して「傾き」に取り込むのが最速です。
1. 敷地境界線を1本クリック → 角度取得で「傾き」欄に角度がセット
2. 寸法コマンド起動済みのまま、引出線開始位置を右クリックで境界端点
3. 寸法線位置を任意点で左クリック
4. 始点・終点を右クリックで境界の両端点パターンC: 引出角を-30/-45にして引出線を寸法線の下側に出す
引出角の正負は「寸法線に対する引出線の方向」を左右します。プラスの値(30/45)では引出線が寸法線の上側に伸び、マイナスの値(-30/-45)では寸法線の下側に伸びます。
要確認: 引出角の正負と引出線の伸びる側(上/下)の対応関係は実機で確認します。寸法線が傾いている場合の上側/下側の判定基準(画面の上下か、寸法線基準の左右か)も合わせて検証します。
Tips: 同じ寸法線に複数の引出線を出すレイアウトでは、引出角をプラスとマイナスで使い分けることで、引出線が両側に広がる視認性の高い図面が作れます。
パターンD: 「傾き」と「引出角」を同時に使う
寸法線そのものを傾けつつ、引出線をさらにその寸法線から斜めに出したい場合は、「傾き」と「引出角」を組み合わせます。
例: 寸法線を20度傾けて、引出線を寸法線から30度斜めに出す
- 「傾き」欄に
20と入力 - 引出線開始位置 → 寸法線位置を指示
- 「引出角 0」ボタンを1回クリックして「引出角 30」に切替
- 寸法の始点・終点を右クリック
結果として、寸法線は画面水平から20度傾き、引出線はさらに寸法線から30度傾いた合計50度の方向に伸びます。
要確認: 「傾き」と「引出角」を同時に有効にしたときの引出線の最終方向(傾き角度+引出角の合計か、画面基準の絶対角度か)は実機で確認します。
実務での使い方 ★PERSC独自
斜め屋根勾配の野地板寸法
矩計図(かなばかりず:建物の断面詳細図)で屋根勾配を表現するとき、屋根面(野地板)の長さを示す寸法は屋根面に沿った傾き寸法になります。4寸勾配(21.80度)の屋根面の野地板寸法を入れる場合、「傾き」欄に 21.80 を入力して棟側・軒先側の2点を指示するだけで、屋根面に平行な寸法線が自動配置されます。
例: 4寸勾配・野地板長3640mmの寸法
- 寸法コマンド起動
- 「傾き」に
21.80を入力 - 棟側の野地板端点近くで引出線開始位置を左クリック
- 屋根面に平行な位置で寸法線位置を左クリック
- 棟側の野地板端点を右クリック → 軒先側の端点を右クリック
斜め通り芯(45度等)の建物寸法
特殊形状の建物(L字平面で45度に振れた棟、扇形配置の集合住宅)では、通り芯そのものが斜めです。この場合、軸角を建物主軸に合わせて回すか、寸法コマンドの「傾き」を通り芯角度(例: 45)に合わせて入力します。
軸角を回さない選択をする場合は、各寸法ごとに「傾き」値を切り替える運用になります。同じ通り芯に並ぶ寸法は連続作図できるので、1区間分を「傾き=45」で全部入れた後、次の通り芯に移って「傾き」を変更する流れが効率的です。
斜め階段の踏面・蹴上げ寸法
階段詳細図では、階段全体が斜めに上がる断面で、踏面と蹴上げの寸法を示します。階段の登り角度(例: 30度)に「傾き」を合わせて踏面寸法を入れると、階段勾配に沿った寸法線が並びます。
PERSCの推奨: 階段詳細図では、踏面・蹴上げの寸法と階段全体の登り寸法(H寸法)を別々の傾きで入れます。踏面寸法は踏面に水平(傾き=0)、蹴上げ寸法は蹴上げに垂直(傾き=90)、登り全長寸法は階段勾配に沿った傾き(例:
30)と、3種類の傾きを意識して使い分けると、見やすい階段詳細図に仕上がります。
敷地境界寸法(角度付き)
敷地測量図では「N23°15'30"E」のような方位角・分・秒の表記があります。この方角に沿った道路境界寸法を入れるときは、境界線そのものをすでに作図してあるはずなので、角度取得で境界線から「傾き」をセットするのが最も確実です。手計算で 23 + 15/60 + 30/3600 = 23.258 のような10進度に換算する手間も、Jw_cadの「傾き=0」基準(東がX+方向)と測量の方位角(北基準・時計回り)の換算(90 - 角度)も、すべて角度取得が自動でやってくれます。
配置図での道路傾斜表記
商業施設・大型物件の配置図では、敷地に対して道路が斜めに走るレイアウトが頻出します。道路境界寸法・歩道寸法・植栽帯寸法を道路に平行に並べる場合、まず道路境界線を1本作図してから、その線を角度取得 → 「傾き」セット → 連続して寸法を入れる流れが効率的です。
機械図面風の引出角を使った寸法
引出角(30/45)は機械図面でよく使われる表現で、建築図面でも詳細図や納まり図で活用できます。建具枠の小さなチリ寸法(数mm単位の寸法)を入れるとき、引出線を斜めに出すことで寸法値がぶつからずに整理できます。
PERSCの推奨: 詳細図では「引出角=30」を標準にすると統一感が出ます。同じ図面内で引出角を 0/30/45/-45 と混在させると、見た目がバラついて読みづらくなります。kantancadの解説でも「同じ図面内では統一しておくことが必要」と指摘されています。
寸法と通り芯ラベルの共存
斜めに振れた建物では、通り芯ラベル(X1/X2/Y1/Y2 等の符号)と寸法線が同じ角度で並びます。通り芯ラベルを先に 文字コマンド ※準備中 で配置してから寸法を入れる場合、通り芯と寸法の傾きを揃えることで図面全体の整合性が取れます。寸法コマンドの「傾き」は文字コマンドの「角度」とは独立した設定なので、両者を同じ値(例: 23)に揃える運用が必要です。
つまずきポイント・対処 ★PERSC独自
Q: 「傾き」に数値を入れたのに、寸法線が水平のまま作図される
→ 以下を順に確認してください。
- 入力値が全角数字になっていないか確認(半角数字で入れ直し)
- 「傾き」欄を左クリックしてフォーカスが移っているか確認(フォーカスが作図ウィンドウのままだと数値が「ショートカットキー」として誤解される可能性があります)
- 軸角が0以外に設定されていないか確認(軸角が回っていると、画面上の見え方が想定と異なります)
Q: 「0°/90°」ボタンを押しても切り替わらない
→ コントロールバーのボタン表示が「0°/90°」ではなく「引出角 0」になっている可能性があります。「引出角」ボタンは寸法線位置を指示した後にだけ表示される別物のボタンで、寸法線位置指示前は「0°/90°」、指示後は「引出角」と切り替わります。寸法を1本確定してから次の作図に入ると、また「0°/90°」表示に戻ります。
Q: 「引出角」を切り替えても引出線の角度が変わらない
→ 「引出角」ボタンは寸法線の位置を指示した直後のタイミングだけ有効です。寸法の始点を指示した後では設定が反映されません。引出線の開始位置 → 寸法線の位置 → ここで「引出角」をクリック → 寸法の始点・終点を指示、の順序で操作してください。
Q: 「傾き=20」で寸法線を傾けたら、寸法値の文字も20度傾いた
→ それが正しい挙動です。寸法コマンドで作図される寸法値は寸法線と同じ角度に揃う仕様です。寸法線だけを傾けて寸法値だけを水平にしたい場合は、寸法値を後から個別に文字コマンドで配置するか、寸法を作図後に文字を回転コマンドで戻す運用になります。
Q: マイナスの傾き(例: -30)を入れたら寸法値が逆さまに表示された
→ 「傾き=-30」は寸法線が水平から時計回りに30度傾く設定で、寸法値もその方向に揃って表示されます。場合によっては寸法値が反対向きに見える(読み取り方向が逆)ことがあります。意図と異なる場合は、-30 の代わりに 330 を入れる、または 150(180-30)を入れて寸法線の向きを反対にすると改善することがあります。
要確認: 寸法値の表示向き(180度反転表示)が、寸法線の傾き角度(0〜180か180〜360か)に応じて自動的に切り替わるかは実機で確認します。
Q: 屋根勾配の寸法を入れたいが、4寸勾配の角度が思い出せない
→ 屋根勾配と角度の対応表をメモしておくと便利です(よく使うのは2/3/4/5/6/10寸勾配)。
| 勾配 | 比率 | 角度(度) |
|---|---|---|
| 2寸勾配 | 2/10 | 11.31 |
| 3寸勾配 | 3/10 | 16.70 |
| 4寸勾配 | 4/10 | 21.80 |
| 5寸勾配 | 5/10 | 26.57 |
| 6寸勾配 | 6/10 | 30.96 |
| 10寸勾配 | 10/10 | 45.00 |
または、矩計図上で屋根勾配ラインがすでに作図されている場合は、その線を角度取得して「傾き」にセットするのが最も正確です。
Q: 既存の斜め線と完全に同じ角度で寸法を入れたい
→ 角度を目分量で読み取って手入力するのではなく、角度取得機能を使ってください。メニューバー「設定」→「角度取得」→「線角度」で対象線をクリックすると、コントロールバー「傾き」欄にその線の角度が自動入力されます。手入力では端数(例: 21.801度)を取りこぼして寸法線が既存線と平行にならない事故が起きるため、既存線がある場合は必ず角度取得を使うのが正解です。詳しくは 角度取得の使い方 を参照。
Q: 「傾き」を入れた後、寸法を確定する前に角度を変えたくなった
→ s-projectsの記述によれば、傾きは引出線・寸法線の位置を指示した後でも変更可能です。ただし、寸法の始点を指示した後は角度変更が反映されない場合があります。始点指示の前に「傾き」欄を書き換える運用が確実です。
Q: 寸法コマンドを抜けたら「傾き」値が消えた/残った
→ Jw_cadのバージョンによって挙動が異なる可能性があります。残っている場合は、次回コマンド起動時に意図しない斜め寸法が描かれる事故を防ぐため、コマンド起動直後に「傾き」欄が 0 または空欄か確認する習慣をつけてください。
Q: 端数のある角度(例: 21.80度)はどう入力する?
→ 半角の「.」(ピリオド)で 21.80 と入力します。全角ピリオドや読点(、)はエラーになります。屋根勾配やJIS規格の角度(4寸勾配=21.80度、5寸勾配=26.57度など)はすべてこの方法で入れられます。
Q: 引出角を変えたら、過去に作図済みの寸法の引出線まで変わった
→ そのような挙動はありません。引出角の設定はこれから作図する寸法にのみ反映され、すでに作図済みの寸法は影響を受けません。過去の寸法の引出線を変えたい場合は、対象寸法を消去 → 引出角を変えて作図し直す手順になります。
関連項目
- 直線寸法の基本(始点・終点・引出線) — 寸法コマンドの起動・基本操作・引出線位置の設定
- 角度寸法(2点間・2線間) — 角度そのものを寸法として作図
- 半径・直径寸法 — 円・円弧の半径直径を寸法として作図
- 引出線・端部形状(矢印・点・小数桁) — 端部形状や桁数の細かい設定
- 寸法設定(基本) — 寸法線色・引出線色・矢印長さ・小数桁の規定値
- 軸角を設定する — 図面全体を回転させた状態で作図する
- 角度取得の使い方 — 既存線の角度を「傾き」欄に取り込む
- 角度を指定した線の作図(15度毎含む) — 「傾き」UIの基本仕様(線コマンド側)
- 角度を指定した矩形の作図 — 「傾き」UIの基本仕様(矩形コマンド側)
- 読取点の使い方(端点・交点・中点) — 寸法の始点・終点を正確に取るための読取点
- 製図規約: 文字スタイル基準 — 寸法値の標準サイズ・線色
まとめ
- 寸法線の角度は 「傾き」欄に半角数字 で入力。プラスは反時計回り、マイナスは時計回り
- 水平・垂直の往復は 「0°/90°」切替ボタン がワンクリックで最速
- 引出線だけを斜めにしたいときは 「引出角」ボタン で 0/30/45/-45/-30 を切替(寸法線位置指示後にのみ有効)
- 既存の斜め線と平行な寸法は、手入力ではなく 角度取得で「傾き」にセット するのが正解
- 図面・敷地全体が傾いている場合は 軸角設定 で対応するのが第1選択。一部の寸法だけが斜めなら「傾き」で個別対応
- 入力した「傾き」値はコマンド間で残ることがある。意図しない斜め寸法が出たら、まず「傾き」欄を 0 または空欄に